規則の順番

ファイル名なりレイヤー名なりレイヤー構造なり、制作現場で整然と運用するためには、何らかの規定が必要です。皆が皆、めいめいに自由な独自規則で作業したら、あらゆる面で弊害が発生します。作業現場の歴史は、作業規則の確立と崩壊の歴史‥‥とも言えそうです。

 

なので、ある程度経験を積んだ人々は、「作業を開始する前に規則を決めるぞ」と意気込みます。作業経験ゆえの、当然の流れでしょう。

 

しかし一方で、新しいタイプのワークフローや作業規則の計画を思い描いて実施する時、最初のひと筆から迷いなく清書状態で描き始められるものではありません。絵と同様に、運用計画図にも必ず、下絵やスケッチ、下書きが必要です。

 

ある程度の経験‥‥ではなく、何度も新しい取り組みを経験して成功も失敗も経た人間なら、「規則を決める順番」のバッファをあらかじめ用意しておくものです。

 

規則を決めるにも順番というか手順のループがあります。

 

Observe

Orient

Decide

Act

 

新しいワークフローや技術を実施する際は、上記のループ〜OODA(ウーダ)ループで、「初めてのことばかりで予測が難しく、どこに飛んでいくかわからない」物事をしっかり捕捉することが求められます。既存の現場でPDCAを回すのとは、異なります。

 

技術的にも運用的にも新しいことばかりのプロジェクトでは、過去の経験と知識は充分活きますが、過去の決め型や定番は通用しないことが多いです。戦闘機パイロットが、今までの敵機とは一味も二味も違う新型戦闘機と遭遇するようなもので、OODAの2度目のループの「Observe」は貴重な「次の手がかり」となります。

 

今までこれでうまくいってたんだから‥‥なんて、OODAループには通用しません。どんどん頭を切り替えて、有効な手を繰り出していきます。

 

ですので、最初から大軍団で、例えば4KHDRなどは制作不可能です。今までの「軍隊」のドクトリンと装備では対応できないことも多く、色々と難しい局面に立たされるからです。‥‥だから、今でもアニメ業界の多くの現場は4KHDRなどの新しい映像制作にはに手を出せないままですし、いまだに「デジタル作画」すら取り扱いに難儀していますよね。

 

1発でうまくいく、新たな規則などありません。新しい物事が試行錯誤の連続なら、新しい規則も試行錯誤の繰り返しです。

 

観察し、仮説を立て、暫定判断し、実行、その結果を、観察し、新たな仮説を立て、‥‥の繰り返しを行いながら、徐々に「使える規則」へと育てていくわけです。

 

 

 

下書きなしで描けるのは、以前描いた絵だからです。特徴も勝手も分かっていれば、下書きなしで描けることも多いでしょうが、一度も描いたことがないものを下書きやスケッチなしで描き始めて満足のいく仕上がりにするのは、実質無理です。

 

なので、新しい技術やプロジェクトを、いきなり大きなハコからスタートするのは、まあ、無謀ですよネ。戦い方を解っていない素人的な発想です。

 

新しい規則は、二転三転しますが、それは無計画だからとは言い切れず、むしろ新しい規則を決める時にはいくつも「読みきれない要素」が含まれていると認識しましょう。そうした「フワフワした状態」であることを、ヘッドメンバーはいつも実感し、OODAループにて改良を積み重ねることに力を注げば良いのです。

 

はっきり正直に言えば、「読みきれない要素」が多く、「フワフワした状態」は、不安が多いです。ゆえに、その不安から逃れようと、「昔取った杵柄」を持ち出したくなります。しかしそれはあまり良い結果を招きません。昔取った杵柄が、テクノロジーを過去へと引き戻す「本末転倒」を呼び寄せやすいからです。

 

経験のある年長者なら、昔の杵柄で威勢を張るのではなく、経験の多さをもって動じない恰幅の広さを示すべきでしょう。

 

「新しい未知の物事でトラブル? であるなら、これこれこういう風に事態の解決を実践しよう」とパニックにならない重心の低さを活かしてこそ、「年の功」ですよネ。

 

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM