サブプライムローン

アニメ業界関係者のツイートを読んでいると、しみじみと、アニメ制作現場の「曲がり角」なんだと思います。放映本数が大きく減った‥‥なんていうのを読むと、近年、深夜に過剰な本数のアニメを放映していたことのほうが異常だったと感じます。多くのアニメ作品において、テレビ枠で与えられた時間帯が深夜である状況から、どんなに「数兆円の産業だ」と報道されようが「ゴールデンタイム」には復帰しない時点で、一時的な特需としか思えませんでした。

 

その「特需」を支えるために、現場も随分と無茶をしたと思います‥‥よネ? そもそも「第1原画」「第2原画」というカタチが常態化したことも、特需を支えるための仕組みだったと感じます。最初、意味がわかりませんでしたもん。「なぜ、第1と第2に分ける必要があるのか」が。

 

アニメ制作における「サブプライムローン」が終わろうとしているのかも知れない。‥‥そう思うことがあります。2010年代初頭には感じなかった終末の予感が。

 

第1原画、第2原画という仕組みは、現場生産能力の低い状況を、あたかも処理能力があるように見せかけるのに好都合だったかも知れません。しかし、そもそもレイアウトも動きもポーズもゼロから描けない人間を「原画」として動員すること自体が、サブプライムローンで言うところの「利息にすら満たない月払いを続ける」行為に等しかったと感じます。

 

原画を、第1と第2に分けた時点で、すでに生産力不足、キャパオーバーだったのを、延々とごまかし続けて、どんどん作品制作を受注して‥‥と、現場作業者がサブプライムの当事者だとすれば、多くの会社が近い未来に「リーマンブラザーズ」になり得る状況とも思えます。怖いですが、目を背けて逃げ切れるもんでもないでしょう。

 

放映本数の大きな減少、作業者から噴出する報酬への不満、新しい映像技術への順応における大きな不安。

 

昭和から続くアニメ制作システムで、これらを解決できるとは到底思えません。昭和には適していたかも知れませんが、平成ではどんどん苦しくなり、新しい元号の時代においては‥‥は、もう散々書いてきたことだしもういいか。

 

 

 

今までとは違う、新しい方法を見出さないと。

 

実は私は、もう10年前くらいに「曲がり角」を経験して、生き残りのいくつもの道を経て、現在に繋がっています。‥‥今だと、さらっと書けますが、ホントに辛かった。自分の存在意義を問うような期間でしたから。

 

2000年代後半から最近に至るまでの「深夜アニメの制作膨張」は、せっかく積み上げてきたコンピュータによるアニメ制作技法を、濫作乱造目的へと転換することを意味しました。‥‥ゆえに、深夜アニメ枠にはほとんど組みせず、丁寧に作れるMVやPVを主とし、実写にも活路を見つけ(実写素人だった私らを温かく迎え入れてくださった方々への恩義は終生忘れません)、一方でアニメ業界標準とは違うアニメ制作技術の確立を進めました。

 

今思えば、10年前に曲がり角を曲がったことで、未来の道筋も見えたと実感します。

 

 

 

ですから、現在のアニメ業界のアニメ制作現場も、曲がり角を率先して曲がっちゃえば良いのに‥‥と思います。今までの直線道路の道筋が閉ざされたのなら、別の道を探し出すべく、何度も曲がれば良いです。

 

おそらく、「新しい道探し」で一番過酷なのは作画作業者でしょう。作画工程の人間は、1原2原というバイパス道路はあったものの、ずっと直線道路で右左折なしで進んできたので、これから未来の曲がり角には大きく混乱し疲弊消耗し淘汰もあるでしょう。

 

特に、原画といえど第2原画までしかキャリアのない人間はキツいと思います。どんなに技術様式が変わろうと、レイアウトを作れること、絵を描けること、絵を動かせることは、新しい未来の現場でいくらでも応用が利きますが、第2原画の作業内容は直近10年程度の一過性のものでしかなく未来においては応用が利かないからです。動画と原画の経験は活きますが、第2原画の経験は扱いが難しいです。

 

作業様式に特化するのは、とても危険です。様式なんて時代によって変わっていくものです。

 

もし自分の今の立ち位置が第2原画でも、レイアウトやフレーミングを研究し、絵をゼロから描くことを実践し、動きの研究に勤しむことをお勧めします。仮に第2原画の工程が消滅する未来が訪れても、絵を描いて動かす技術さえ獲得しておけば、かなりツブシが効くからです。私が今、4KHDRのプロジェクトで作業可能なのは、原画マンの作業要素の中に内包される、絵と動きの技術を学び得たがゆえです。

 

技術においては、様式ではなく、本質に迫りましょう。

 

 

 

お金を運用する人々は必要です。一方で、お金の中身を作る人々も、あたりまえですが、絶対に必要です。

 

お金を転がすだけでは立ち行かないことを、バブルでもリーマンでも学んだはずです。

 

未来の様相は、アニメ制作現場・アニメ業界において困難でしょう。しかし、サブプライムローン的な制作構造を終息させて、新しい制作構造を作り出す機運となるのなら、必ずしも悲観的でないように思います。近視眼的に見るのではなく、中期的な観点で考えれば、です。

 

でもまあ、新しい制作構造のカタチが、長期的に見て「新たなスタイルのサブプライムローン」へと変質するのは、絶対に阻止しないとネ。

 

同じ轍を何度も何度も踏み続ける必要はないですもんネ。

 

 

 



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