波と粒

人は、まるで時間の中を進み続ける粒子のような存在だなと思います。そして粒子が集まれば、大きな波となって産業を揺り動かします。粒子であり、波でもある。‥‥なんか、光みたいな性質ですネ。

 

若者のXX離れ‥‥とか世間では言いがちですが、実は、産業という名の「浮き輪」が、社会という「海」の上で、ベビーブームという「大波」が過ぎ去って谷間に落ち込んだに過ぎないと思うことがあります。

 

ベビーブーム世代が子供時代は、子供向けの商売。

 

ベビーブーム世代がティーンの頃は、ティーン向けの商売。

 

ベビーブーム世代が成人した後は、成人向けの商売。

 

ベビーブーム世代が家庭に入る頃は、家庭向けの商売。

 

‥‥と、ベビーブームという大波に合わせて「好景気の波乗り」を、各産業が順番に味わっているだけのようにも思います。

 

現在、ゴールデンタイムの子供向けアニメはほとんど存在しませんが、

 

テレビアニメ以外の子供向けの娯楽が増えた

 

‥‥だけではなく、同時に、

 

子供が減った

 

‥‥ことも関係しているように思います。

 

昔は街を歩いてると、子供だらけだったように思います。犬も歩けば子供にあたる‥‥くらいに、子供がそこらじゅうを駆けずりまわっていました。夏祭りともなれば、露店がはるか彼方まで連なっていたのを思い出します。

 

日曜のデパートのレストランには、どの席にも子供がいて、縁日の金魚のように、子供が群れていました。子供の数え方なんて、目分量だったもんな‥‥。放課後の街角が子供たちの声でうるさいなんてデフォルトだったし。

 

第二次ベビーブームの波は、子供時代からティーンを経て、20、30、40代へと加齢と共に移行しています。インスタントの袋麺の売り上げが落ちた‥‥とか聞きますけど、それは若者離れではなくて、インスタント麺の「お得意さん」だったベビーブーム世代の身体が「もうインスタントラーメンは腹にもたれて‥‥」と食べる機会が減っていることも、相応に影響していると予感します。現に私がそうで、袋麺はそれこそ「腹が減った時の最後の手段」とまで思うようになりました。‥‥昔は、苦もなくアホほど食べていたのに‥‥です。

 

「商売のお得意先」たるベビーブーム世代は、年齢の増加とともに、趣向に変化が生じているので、かつての20〜30代向けの商売がベビーブーム世代の「リアル」「ツボ」ではなくなり始めているように思います。

 

 

 

世代や層は「波」の性質に近い一方で、個人は「粒子」のような性質を持つように感じます。

 

人を見ずに世代や層だけを見ててもいまいち大雑把で的を得ないし、個人を見るだけでは全体像を客観視できません。ただ、産業の浮き沈みという点では、世代や層の「波」を分析するのは有効なのでしょうネ。波に翻弄されるのが産業ですもんネ。

 

技術立国と言われた日本の家電メーカー大手が、凋落の姿を晒すようになるとは、思いもしませんでした。オーディオメーカーに至っては、技術の移り変わりも相まって、今やオーディオコンポ時代の隆盛は跡形もなく消えましたし、Blu-rayも失速傾向にあり今後はどんどんネット配信映像に移り変わる様相です。

*実際、私らが制作中の4KHDRも、ネット配信によるDolby Vision&Atmosによる映像フォーマットです。再生機に未だバラツキを残すディスク媒体ではどうにも‥‥。去年、UHD BDのプレイヤーを買う予定でしたが、何だか色々と不安要素があって、買うのを保留しました。

 

さて‥‥、最後のベビーブームたる1960年代後半〜1970年代までの世代は、2020年代にどのような産業を浮き沈みさせるのか。

 

そして、ベビーブームではない世代は、何を求めるのか。

 

まあ、どんな世代であっても、海の中でたっぷんとっぷんと揺らいでいること自体には変わりありませんけどネ。

 

 

 

先週のNHK「小さな旅」で、和紙を作る産地の話を放送していましたが、戦後復興の高度経済成長のタイミングで障子紙の需要が格段に増え、和紙の産業が発達したものの、やがて需要が減り産業も衰退し、昔70人いた紙漉きの職人さんは現在は3人まで減ったとか。

 

アニメという娯楽産業はどうでしょうかね。アニメの産業を支えてきたのは、結局は第一次・二次のベビーブームが主役だったとも思います。世代人口の絶対的なパワーは、他の手段では簡単に覆すことはままならないでしょう。

 

自分らの「世代人口の数」に対して無自覚のままで、社会一般論を唱えること自体が、もはや2020年代以降には明らかに形骸化していくと思われます。

 

アニメの映像制作業であれ、ベビーブームが途絶えた後の日本社会を、目を背けずに見据えることが求められる‥‥のでしょうネ。

 

いつまでもゴールデンタイムのテレビアニメ隆盛を懐かしんだり、深夜集中のテレビアニメ時代が永遠に続くなんて、思っていてはイケないのです。波が寄せてはかえすように、やがて時代は変わるでしょう。

 

 

 


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