目的の違い

私は、AIやプログラム処理による自動中割り作画や自動彩色による「無人の完全独立処理」は無理だと、以前にも書きましたが、一方で、作業者のアシスト=「部分的・補助的」な用途であればかなりの効率化は可能だとも書きました。

 

実際、昨日もAIではないですが、ソフトウェアによる自動中割り‥‥というかピクセルモーションによってエフェクト作画を処理しました。自動中割りが有効な場合は用いますし、CO/KFアニメーション技術(CO/KF=カットアウト・キーフレーム)、タブレット作画による原動画など、必要に応じて最適な方法を選択する「ハイブリッド作業体制」で運用しています。

 

必ず、このソフトウェアで!

 

必ず、このシステムで!

 

必ず、この描き方で!

 

‥‥という縛りはないのです。

 

我々の目的ははっきりしていて、「作品を造り上げる事」です。

 

実際、作画に用いるソフトウェアは、私はProcreateですが、ある方はクリスタ、ある方はTVPaint、ある方はスタイロスと、バラバラです。チェック時にはPhotoshopもAfter EffectsもRetas Studioも使います。作業する当事者が使いやすく描きやすいソフトウェアを選んでいます。

 

なぜかというと、「このソフトウェアで作りました!」という宣伝は不要だからです。作品を作り上げることが目的なので、何か1つのソフトウェアやソリューションで作ったという実績をアピールする必要がありません。

 

いわゆる「フォース・ミックス」です。色々な技術手段を組み合わせて、作品を作る「チカラ」にするわけです。

 

どんなソフトやハードを使おうが、完成しないんじゃ意味がないス。

 

映像制作現場の人間の目的は、作品を完成させること‥‥ですよネ。

 

 

 

現在私らは4KHDRの作業を進めていますが、今までのアニメ業界の制作技術や作業慣習のまま4KHDRをガチでやったら、作れるはずがないと実感します。

 

‥‥というか、現段階の2KSDRだって、もう限界ギリギリ‥‥というか、限界を超えていると日々実感する人は多いでしょう。2Kであっても、あまりにも複雑になったキャラクターを、何千枚も描いて仕上げるのは、作業内容として金銭的にも時間的にも破綻しているからこそ、各所から阿鼻叫喚が聞こえてくるのです。

 

2Kの今ですら、実はもう、昭和から続いた従来技術の限界に達しています。

 

昭和の時代に構築した基礎技術の中で、未来にも通用する技術はたくさんあります。しかし、通用しない技術も当然あります。

 

そうした有効・無効を見極めて、「制作集団」の再編と最適化する時期に、アニメ制作現場は「社会的立場」からも迫られていると感じます。

 

 

 

「アニメ現場で4Kなんか作り始めたら、あまりにも作業者が過酷になる」‥‥なんて論調も聞こえそうですが、実際はそれはないです。なぜかと言うと、今までの意識と方法論(設備も含め)では4KHDRを作業開始することが無理だからです。

 

そもそも、スタートラインに立てません。

 

作業者が過酷になる以前に、作業を開始できません。

 

過去数年間、4Kの話を持ちかけられても引き受けられなかったですよネ。なぜかと言うと、今までの方法論では不可能だからです。「4Kはウチでは無理」と断った人は、賢明な判断だったと思います。新しい方法論や戦略・戦術を持たないのに、4Kを引き受けるのは無謀ですもん。

 

スタートラインに立つには、様々な現場の改革、再構築、そしていくつもの新技術の導入が必要です。でも、それは制作現場にとってまたとないチャンスでもあります。‥‥今までずっとできなかった「仕切り直し」ができるんですから。

 

4Kをチャンスとみるか、過酷とみるかで、当人の性質が見え隠れします。そしてさらには、未来のアニメ制作において「押し寄せるいくつも淘汰を生き残ろう」とするか「城を枕に討ち死にしよう」とするかすら、見えてきます。

 

未来を生き抜こうとする人と、行動をともにしますか?

 

過去と心中しようとする人と、行動をともにしますか?

 

選ぶのは、当人次第です。

 

 

 

アニメ制作に従事している人々の目的はハッキリしているはずなのに、今は現場の外から、「作業の無人化」を目的にしたり、ソフトウェアの売り込みを目的にしたりと、色々と惑わされることも多いでしょう。

 

制作者としての我々の目的はシンプルです。

 

アニメを作り続けて生きていく

 

 

この目的を達成し維持するには‥‥

 

アニメが滅んじゃマズいですよネ。時代遅れの過去の産業になるのもマズいですよネ。

 

現在の苦境から脱出しなければやがて崩壊しますよネ。

 

新しい時代とともに歩んでいくことが必要ですよネ。

 

アニメが未来においてもビジネスとして成立することが必要ですよネ。

 

 

‥‥ですから、目的・テーマを見失わず、今までとは違う未来を、まさにアニメ制作現場の当事者が志向すべきと、私は思います。

 

 


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