言語のススメ

例えば、日本語を喋る時、日本語で文を書く時、単語や接続詞の意味を1つ1つ辞書で調べて話したり記述したりするでしょうか。もちろん、誤用を避けるために辞書で改めて調べることはあるでしょうが、文を生み出す段階で既に頭の中では無意識に日本語で動作していますよネ。

 

プログラム言語も同じように、文を書いている時は日本語など介在せず、プログラム文で思考します。音楽を演奏する時も、日本語など介在せず、音の言語〜多くの場合12音ですが〜が脳内で処理されます。絵を描く時もいちいち絵の要素を日本語で発音し直すなんてことはしませんよネ。

 

例えば、エクスプレッションで言えば、「thisComp」を用いる時、わざわざ「このコンポジション」なんて脳内で日本語に訳しません。コンプアイテムのオブジェクトを直にまさぐって、あーもして、こーもして‥‥と、プログラムの構成イメージが頭の中で組み立てられます。

 

つまり、何かの言語を習得するということは、その言語ネイティブの言語領が脳内に形成される‥‥ということです。翻訳などいちいち挟みません。エクスプレッションにしてもスクリプトにしても、オブジェクトやプロパティや制御文が頭の中でネイティブにイメージされます。

 

私は高校時代にMSXのミュージックマクロだけは書いてみたことがありますが、本格的にプログラム言語を覚えだしたのは27歳くらいの頃です。今思えば、ギリギリ間に合った‥‥と思います。新たな言語を、後付けではなく、ネイティブに吸収するだけの柔軟性がまだあった頃‥‥ですからネ。

 

時間は等価ではなく、本人の年齢の推移によって、時間の価値は大きく様変わりします。10〜20代の真綿のように吸収力のある時間に、言語は習得するに限ります。残念ながら歳をとってから覚えられることはあまり多くないのです。若い頃にじゃんじゃん習得して溜め込んで、歳をとってからはその蓄積した技術と経験を体系立てて活用するフェイズに転ずるのです。

 

つまり、若いうちにどれだけタネをまいておけるか‥‥ということです。基礎や基本をマスターして、今後の自己発展に必要な区画を広げておけるかです。

 

 

 

自分の勘や感性に頼っていくだけだと、やがてどこかで越えられない壁にぶつかります。器用さだけで通用する期間はやがて終焉を迎え、何らかの言語化・体系化が必要になってきます。

 

それができない場合はどうなるか‥‥というと、慣習をテンプレート化して定型の決め型だけで生き延びることになります。例えば「歩きは中三枚」とかネ。いわば暗記モノ、手グセのようなものに頼って、その後の人生を歩むことになりますが、おそらく、40代後半からはそうした惰性や慣習も通用しなくなるでしょう。

 

では、自分の中に自分なりの言語体系を構築するにはどうすれば良いか。‥‥様々な他の言語の体系から学んで取り入れれば良いのです。体系化など1度も意識的に取り組んだことのない人間が、ぶっつけ本番でオリジナルの言語体系を作れるはずもないのです。先人から学べば良いのです。

 

 

 

前回で中学時代の自分を思い出したついで‥‥ではありますが、「ギターコード」の仕組みを解き明かそうと思ったのも、中学時代のことでした。

 

当時、「明星の歌本」というのがありまして、要は流行していた歌謡曲の歌詞とコードで構成された簡易なコード譜だったのですが、私を含め同級生はみな、コードが出てくるたびに巻末のコード一覧表でギターの指のポジションを調べながら、コードフォームを暗記してギターを弾いていました。

 

巻末にはほぼ全ての使用するコードのポジションが網羅されてはいましたが、たまに掲載されていないコードもあって、そういう場合には皆、いきなり頓挫して弾けなくなるのです。

 

C7 9

C7#9

C7-5

 

60〜70年代のフォークや歌謡曲は、上記のようなテンションノートを使ったコードはほとんど使われず、シンプルで弾きやすかったのですが、80年代に入ってロックやジャズ、フュージョンの影響が歌謡曲に入り始め、メジャーやマイナーやセブンスなどのシンプルなコードだけでは太刀打ちできなくなってきました。Cメジャーで言えば「C, F, G7, Am, Dm7, Em」だけでは弾けない曲が70年代後半からどんどん増えてきました。

 

「巻末のコード一覧に出てねえよ」で諦めるのも道の1つではありましたが、私は「知らないコードが出てくるだけで弾けなくなるのは悔しい。そもそもコードの記述には何らかの法則や意味があるだろうから、その法則を知ればどんなコードでも弾けるようになるはずだ」と思いました。

 

コードの仕組みを調べるうちに、法則や決まりが徐々にわかってきました。例えば、Cだけの記述はトライアド(なんて言葉は当時知りもしませんでしたが)=ドミソで、C7はシのフラット(フラットであることが曲者ですが)=ド(Cメジャースケール・ハ長調音階の第1音)から数えて7番目の音を足す、C7 9ならドから数えて7番目と9番目の音を足す、後は#9も-5も同じ手順です。+はシャープを意味し、-はフラットを意味します。ですから、C7#9はC7+9と書いても良いし、それで奏者に伝わります。「7+9」の響きは60〜70年代のロックでは定番中の定番ですネ。

 

「C on E」などのオンベース、「F/G」などの分数コードの意味、sus=サスペンデッド=ぶら下がった‥‥という独特な言い回しなども含めて、「なるほど。コードというのは、実は使いこなせば、簡素な手段で結構細かいニュアンスを伝えられるんだな」と思いました。根音(一番下の低音)も含めて結構具体的に表記できるんだと判ったのです。

 

そうしたことがきっかけで、楽典音楽通論、作曲法にも興味が湧いて、1オクターブ12音で構成される西洋由来の音楽の仕組みが徐々にわかるようになっていきました。つまり、西洋音楽の言語体系です。

 

 

 

一概には言えないことですが、一般的には若い頃ほど、こうした言語体系の習得には適していますよネ。何故なのかは深く調べていないのでわかりませんが、日本で生まれた幼児が日本語を自然と覚えるのと似たような感覚で、若い頃ほど学習能力が強烈に秀でているのでしょうかね‥‥?

 

なので、「そのうち」とか言ってたら、あっという間に30、40歳になりますから、今ここですぐに、覚えるべき言語は習得を開始したほうが良いと、私は実感します。

 

最初は覚えることばかりでうんうん唸るばかりだとは思いますが、その段階を超えたら、断片的な要素がリンクし始めて、言語体系の「成そうとしている意味」がそれとなく判ってくるのです。‥‥まあ、そこまでまず行くかが、最初の難関ではあるのですが。

 

アニメ制作は今後、どんどんコンピュータとは無縁ではいられなくなります。そんな時、スクリプトの短文でも書けた方が、絶対に有利ですし、実際に不可能が可能になったりもします。

 

‥‥と言っても、なぜか、アニメの現場の人間は、プログラムやスクリプトをやりたがらないんですよね‥‥。特に作画の人間は‥‥。

 

 


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