4K HDRの時代

新しいFire TV Stickは、4Kに対応したのが目立ちがちですが、実はDolby Visionにも対応しているのも、私としては大きな注目要素です。

 

 

 

Dolby Visionは、HDR10やHDR10+とは「格」が違います。まずなによりも12bitですし輝度の変換調整もフレーム単位ですし、映像制作者サイドの観点でいえば、付け足し機能強化のHDR10+よりも、素のスペックから強力なDolby Visionのほうに軍配を上げざる得ません。

 

ゆえに、Fire TVが新たにDolby Visionに対応したのは、制作者側としては嬉しい要素です。

 

もうさ。HDR10陣営も10はやめて、「HDR12」に規格バージョンアップすれば良いのにネ。やっぱり、1000nitsを常用するようになると、12bitでPQは必須だと実感します。妙にHDR10に粘ってこだわらずに、HDR10の上位互換として早々に12bit版のHDR12を出した方が良いと思うんですよネ。

 

映像制作者として、そして映像コンテンツに対価を毎月支払って視聴している人間としても、2K SDRからのアップコンの「偽4K」「偽HDR」との差が、ハッキリと判別できる映像配信形態が望ましいです。

 

でもまあ、廉価なFire TVもDolby Visionに対応したし、今後どんどん高画質映像配信の普及は浸透して(=買ったらデフォルト)いくのでしょう。まやかしではない、本当の4K、本当のHDRのアニメーションを、家庭の4K HDRテレビにマスターモニタさながらの画質で届けられる状態が揃ってきたのは、作っている人間たちとしては良い状況です。

 

 

 

4Kのアニメ。HDRのアニメ。

 

After Effectsにもトランスフォームプロパティのスケールのパーセント拡大だけでなく、アップスケールなどの「詳細感を保った拡大」フィルタがありますし、線のシャープさを保ったスケール拡大メソッドも色々とあるようです。‥‥が、それらでアニメの描線が繊細になるわけではないですし、元素材の絶対的な面積の小ささは絵の内容でバレてしまいます。「アップコン感」はぬぐえません。

 

正当に、映像表現と映像品質に価値・価格が付与されるため=例えばアップコンか否かを見抜くためにも、家庭レベルのインフラ向上と端末(=テレビやパソコンやタブレットやスマホ)の性能進化は欠かせません。

 

現在はまだ2KのHDテレビが主流でしょうが、今後、どんどんぶっ壊れますから(液晶テレビの寿命ってヤツです)、4K HDRテレビが今よりさらにお手頃価格になった頃に、新しいペンキで塗り替えられるかのように、ごく普通に無感動に当たり前に、4K HDRテレビは普及するでしょう。

 

スマホも2K解像度が当たり前となり、高密度で手のひら画面のHDがごく普通になると思われます。

 

‥‥もしかしたら、今の2K制作現場は、スマホ用途専用になっちゃって、「スマホで見てた時は綺麗だと思ったけど、大きなテレビだとキツいね」なんて一般層から言われる日も、あながち来ないとも言えません。

 

アニメ現場もやがて、4K HDRの波を前に、進退を決する日が来るでしょう。

 

 

 

一時期の「萌えキャラ燃え」の影響で、どんな映像品質でも技術であっても、内容が萌えキャラならOK‥‥的な流れに、濁流にのまれるが如く流された時期がアニメ業界にはありました。‥‥今でも、、、かな?

 

萌えキャラだって日本の文化だ。表現だ。多様性を認めろ。‥‥という論調は、私もそう思います。額縁に飾ってある名画だけが価値のある絵ではないと思います。

 

しかし、残念ながら、そして皮肉なことながら、萌えキャラは長い期間、アニメ業界の多様性を奪う主役としても、その力を発揮していまいました。どんなに線がぶっとくて粗雑でも、どんなにレイアウトがおかしくても、「萌えキャラ主人公のアニメなら許される」的な風潮にどっぷりとアニメ業界が浸かってしまいました。私が業界を「尻馬にのりやすい性質だ」と日頃書いているのは、そういう面からもです。

 

「萌えキャラ」の次に、どんな言葉に変わっていくのかわかりませんが、「萌えキャラ」のような可愛い女の子キャラでも、映像技術の品質にはこだわるべきだと思います。キャラの嗜好性とは別のベクトル=4K、HDRなどの映像技術要素も、アニメ制作の大きな柱として取り組んでいくべきなのです。アニメ作りで未来を生きようとするならばネ。

 

このままのアニメ業界のベクトルでいくと、いつまでも制作現場は、アップコン頼みでごまかし続ける技術で停滞します。しかし、そうした「偽の新技術」で、ず〜っと未来もごまかせるとは‥‥‥‥‥思えませんよネ。

 

お客さんを「どうせわかりっこない」と馬鹿にするのも、そろそろいい加減に止めないとダメだよ。

 

「偽の新技術」と、「真の新技術」を、ちゃんと顧客に見分けてもらって、価格の差を実感してもらうことこそ、アニメの未来には絶対必要な要素です。

 

どんなに手を抜いても、どんなに頑張っても、評価は同じなんだ‥‥なんていうフィールドで、だれが頑張ってものを作ろうと思うのでしょうか。‥‥考えれば、すぐにわかることですよネ。自分たちが報われない原因は、自分たちで形作っている現場にあるのです。

 

現場の中だけだからウヤムヤになるのです。

 

「評価を分けるフィールド」が、アニメ制作現場の中だけではなく、例えば家庭の大画面4K HDRテレビの中にもあれば良いのです。

 

 

 

それに、映像作品を配信や円盤で売る‥‥という行為は、「高いお金を出して、高品質な映像体験を手に入れた」と考える「顧客との約束」でもあるでしょう?

 

4K HDR時代に、1.5Kで作画して二値化のぶっとい粗雑な線と256階調リニアで仕上げたアニメ絵を、6〜7倍にも拡大したアニメ映像と事後HDR処理で、まさか「4K HDR作品です」と売るのだとしたら、それはもう‥‥‥‥約束を破るどころか、詐欺としか言いようがないです。

 

良くて、「4K HDRリマスター」ですよネ。決して、「4K HDR作品」ではないです。

 

思うに、可愛い萌えキャラは、生粋の4K HDRで作っても、可愛いままですよ。決して、4K HDRは、可愛いキャラやかっこいいキャラの「敵ではなく」、むしろ「強い味方」です。

 

アニメ業界もさ。いつまでも、このままで作り続けられるとは思ってないでしょ? 萌えキャラを隠れ蓑にした低品質作業体制の「潮時」が近づいていると思いますヨ。

 

 

 

アニメの映像作品を購入するお客さんに対して、話の面白さやキャラのかっこよさ・可愛さだけでなく、映像の技術や品質面でも、「価格に応じた映像体験」を「約束」することは、これから未来の映像制作者の責務と思います。

 

映像高品質時代の制作者は、D1時代の意識では通用しません。

 

新時代の制作者の責務は、Fire Stick 4Kなどの新しい映像体験手段によって、お客さんに対して果たされ、そして然るべき報酬にて還元されるのです。

 

 

 


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