CSとCC

アニメ業界が今でもCS5.5やCS6を使っているのは、業界内部では広く知られた現状です。外部の一般の人にはあまり知られていないとは思いますが。

 

「なぜなの?」と普通の人は思うはず。CS6がサポート終了して結構経ちますし、いったいどれだけ前のバージョンかも忘れるくらい古いバージョンですが、理由はまあ、すごくシンプルに言えば、金がないからです。あらゆる方面において。

 

CS6を最新のCC2019にアップするためには、複数のハードルが存在します。

 

ライセンス買い切りではなく、定額の使用料金を、スタッフのアカウント分、支払い続けるための金

 

CCへの更新にともない、ハードウェアの性能=必要システム環境をアップするための、機材買い替えの金

 

CCへの更新にともない、別購入のプラグインの更新のための金

 

CCライセンスを整然と運用するためのシステムメンテナンススタッフを雇用するための金

 

最新のCCだとアニメの撮影ができなくなるという話では全くなく、PhotoshopやAfter Effectsを更新できない会社に合わせて、業界全体が引きずられているに過ぎません。

 

 

思うに、アニメに関わる会社が、AdobeのCCに更新できた時が、「大きな変化の象徴」だと感じます。

 

必要なお金を捻出できずに、昔のまま、作り続ける。

 

‥‥‥それって、AdobeのCCに限ったことではないですネ。原動画の一律で安い単価のまま作り続ける、アニメ業界の体質そのものにも通じることです。

 

「必要なお金を捻出できずに、昔のまま、作り続ける」状況が、「必要なお金をちゃんと捻出した上で、新しい社会や環境の基準に合わせて、作り方を変えていく」意識と実態に変わるということは、アニメの現場が変わり始めた象徴と言えるでしょう。

 

 

CS6を使い続けていれば、購入時以後のお金は発生せずに、相当なコスト抑制にはなりますが、新しい時代の新しい映像技術基準からはどんどん立ち遅れていき、前時代的作業環境と前時代的品質に留まることにもなります。

 

「じゃあ、どこかで一斉にCCにしちゃえばいいじゃん」とか思いがちですが、CCはCS6と違って「買い切りではない」ので、CCを使い続ける以上は延々とお金がかかります。今までのアニメ業界の「作画机を買ったら何十年でも使える」と言った「昔の作業環境の意識」のままでは、CCの料金制度は容認も許容もできない部分です。「ソフトを買って、その後はあまりバージョンアップしないで、費用を節約する」ということができなくなります。

 

 

一方で、ソフトウェアを作る会社側も、一度ソフトを売ったら、延々とバージョンアップとメンテナンスを無料で提供し続けるなんて、無理です。

 

「Windowsのバージョンが上がって動作しなくなったから、アップデータを無料で供給しろ!」と、最初にソフトウェア購入のお金だけしか払っていないユーザが主張するのは、「どんなに乗っても壊れない乗用車を売れ。もし壊れたら無償で修理しろ。」というようなものですから、それがどれだけ非常識なことか、お分かりかと思います。

 

ソフトウェア会社は霞を食って生きているわけではないです。霞では食えない‥‥はもう、お互い様‥‥ですよネ。

 

つまり、どういうことかというと、

 

アニメ業界内部の慣習や都合だけでエコシステムを形成する時代は終わろうとしている

 

‥‥のです。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのインフラ、そして社会的な労働の基準も含め、過去のままでは済まないわけです。

 

その時代的変化を受け入れられるか、受け入れられないか、まさにCCの導入が象徴的に物語っています。

 

 

ものすごくバッサリ言うと、CCを導入できない制作集団は、過去から続く色々な物事を変えられない集団で、CCを導入できた制作集団は、新しく変わる可能性をもった集団‥‥とも言えるでしょう。CCを運用する時点で、お金の問題はクリアする必要がありますもんネ。まあ、CCを導入しても旧態依然とした作り方は可能なので、あくまでも「変わる可能性」ではあります。

 

しかしねえ‥‥‥。アニメ業界の暗部を知る人は、「まさか、CCの導入のために、人的コスト=報酬・単価を削ったりするんじゃないか」と嫌な予感を感じる人もおりましょう。‥‥たしかに、そういうことをしそうな業界なのは否定できません。

 

もしかしたら、10年後にPhotoshopがバージョン30だ!‥‥とか言ってる世の中で、アニメ業界はCS6を使い続けていたりして。

 

‥‥そこまでキモが座っていれば、それはそれで凄いのですが、アニメ業界って一方で「簡単に尻馬にのる」性質も持ち合わせているので、果たして2020年以降はどうなることか、歴史とともに歩むばかりです。

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< August 2019 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM