橘花

今年も終戦の日が近づいてきましたが、そんなシーズンに思い出すのが、日本人の飛行機好きなら誰もが知っている、終戦間際のジェット機、「橘花」。

 

 

Wikipediaには、こうあります。

 

1944年(昭和19年)8月、日本は高高度を飛行するための過給機付き高性能レシプロエンジンの開発にも行き詰まり、原油生産地のマレー半島と日本本土間の制海権の喪失から燃料事情も悪化していた。海軍は低質燃料、低質潤滑油でも稼動し、レシプロエンジンに比較し構成部品が少なく簡易で高性能なジェットエンジン(噴進機関、タービンロケット)を装備した陸上攻撃機を「皇国二号兵器」と仮称して企図し、同25日、中島飛行機に開発指示を出した。

 

 

44年の8月か。遅い。終戦の1年前にアクションして間に合うわけがないヨ。

 

橘花のお手本となった「Me262」は、41年には機体が完成しており、44年に実戦配備。

 

 

 

Me262の顛末は、戦後の主力となるジェット機の先駆け的存在であったものの、運用上の問題もあって、戦局に対する絶大な効果は発揮しないままドイツ敗戦となりました。

 

ドイツの場合は、先見的な技術を推し進めながらも、総合的な戦略で敗れ、日本の場合は後手に回った技術に甘んじたまま、戦略においても敗れ‥‥と、同じ敗戦国でも状況は大きく異なります。

 

 

技術はさ‥‥、「もうダメだ。あとがない。何か特効薬を!」みたいな段階で開発スタートしたんじゃ、遅すぎるんですよネ。

 

何度も書くけど、起死回生の戦局挽回兵器、決戦兵器なんて、負ける寸前の人間が考えることであって、「決戦」=「戦いを決める」という思想自体が、追い詰められた人間たちの産物であることに当事者こそ気がつかないのです。‥‥いや、気がついていても、「決戦を仕掛ければ、勝てる」と思い込んで自己洗脳するしか、道がないのかも知れません。

 

「戦い」なんて、「決戦」1つで簡単にカタがつく話じゃないのは、わかってるじゃん?

 

いくつもの作戦を地道に仕掛けて実行し、大攻勢の前段階を形成するのが、戦いというもの‥‥だと、私は多くの歴史から学びました。勝利条件の状況をいくつも積み重ねて、満を持して大攻勢を仕掛ける時点で、勝利への道筋はほぼ確定していることを、歴史は証明しています。一方で、寄せ集めの戦力でその場限りの大攻勢を仕掛けても、一時的な勝利は得られてもその後が続かないのも、歴史は証明しています。

 

 

 

戦史を読むたびに、いつも考え込むのが‥‥

 

新兵器の開発は、いつからスタートすべきだったのか

 

‥‥です。

 

日本が終戦を迎えた夏の日に思うことは、「敗戦間際では遅い」ということだけ‥‥は、わかっています。

 

 

 

とはいえ、アニメ業界は70数年前の状況を、奇妙にも全く似た構造をトレースしていますよネ。上掲の一節の‥‥

 

過給機付き高性能レシプロエンジンの開発にも行き詰まり、

 

‥‥は、レシプロエンジンの限界を心のどこかで薄々気づいていながら、終戦の1年前まで「新しいエンジン」の航空機開発に着手せず、固まった思考で重い腰を上げようとしなかった「日本人気質」そのものです。その気質は、全くそのまま、孫の代、ひ孫の代まで、脈々と受け継がれているのを、ひしひしと感じます。

 

上層部だけの問題ではなく、日本のパイロットたちが、そもそも「格闘戦至上」の考えを変えられず、新人パイロットの育成にも旧来思考が伝達され、日本国民も「堪えて忍べば、いつか勝てる」と思い込み、日本人一丸となって、最後は「one-way suicide mission」へ突き進んだわけです。

 

アニメ業界の「レシプロ」エンジンたる手描きで動かす技術。何千何万枚も描く技術。その技術を「高高度化」するために「デジタル」によって「過給器」を付加しても、果たして戦局を挽回するに至ると思いますか?

 

過給器によって強制的に空気を送り込んでレシプロエンジンの燃焼力をアップしたところで、プロペラブレードの限界に達していれば、それ以上の性能向上は望めません。‥‥同じように、どんなに「デジタル」を導入しても、何千何万と描き続ける技術そのままでは、限界は見えているでしょう。

 

 

なぜ、同じことを繰り返すのかな。

 

多くの人は、平和な日々がデフォルトで、日頃から「戦史」なんて読まないし研究もしないがゆえに、無意識に知らず知らずに、同じ道をトレースしてしまうのかな。

 

最近「ダス・ライヒ」のドキュメンタリーを見て、特に「オラドゥール」村の事件には血が凍る思いがしました。でも、そうした過去の事実の歴史を知らずして、平和を所与とするばかりでは、違う場面で同じことを繰り返すばかりです。

 

「橘花」や「火龍」がダメダメなまでに間に合わなかった歴史上の事実を思えば、アニメ制作現場での制作を維持しつつ、一方で何をバックグラウンドで進めるべきかは、もはや明白でしょう。

 

 


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