不都合な現実

未来に向けて新しく機材をリプレースして、制作中の映像から過去作品の映像まで、日々色々と見るようになると、映像だけでなく、アニメの旧来技術の「不都合な現実」も見えてきます。

 

別にね‥‥、毎回毎回、旧来技術のネガティブキャンペーンを張ろうというのではないのです。四方八方から、旧来アニメ技術の弱点を突くような状況に実際に触れ、耳にする話もアニメ業界標準技術にとって不都合な内容が多いのを、ここで書き綴っているに過ぎません。

 

私は小さい頃からオバQのQちゃんが大好きですし、ヤマトも999も好き、カリ城うる星のBDも好き過ぎて、セリフを暗記しているほどです。アニメをこき下ろしたいなんて、根本的に思ってはいません。

 

しかし、現実は不都合なことばかり。民生の4Kテレビは、24p3コマ打ちのアニメにとって「余計、技術の古さが強調される」モーション補完技術がデフォルトでONですし、詳細化・高品質化する世間の基準と裏腹に、映像技術内容も作業労働内容も前近代的なものへと陥る一方です。

 

ぶっちゃけ、昔から今に続くアニメ作品の映像を、現在最新の4Kテレビで「自然」で「あるべき内容」で見るためには、色々な高度な機能を軒並みOFFにする必要があります。ソニーブラビアの「コマ数補完技術」などテレビの「倍速補完技術」はその筆頭ですが、そうした「売りの機能」を、旧来アニメではOFFにしなければ正常な再生ができません。

 

何がマズいって、アニメの2コマうち・3コマうちシートの動きはそのままで、24コマフルモーション部分だけフレーム補完技術が適用されるので、そりゃあもう、違和感たっぷりで「制作者側の意図しない」結果となります。PANのカメラワークだけ120fpsでセル部分は8fps‥‥なんていう恐ろしいほどの落差を、テレビに自動で生成され映し出されてしまいます。皮肉な話ですが、最新のテレビの補完技術によって、アニメ技術の古い部分が「さらしもの」になってしまうわけです。

 

で、たたみかけるように、旧来アニメにとって不都合なのは、その「アニメにとって違和感たっぷり」な機能設定が「工場出荷時のデフォルト」だということです。一般的な消費者が、果たして、テレビ設定メニューの深い階層に潜って「機能をわざわざOFF」にするのか、よく考えてみましょう。

 

 

 

さて‥‥。

 

こうした不都合な現実がどんどん迫ってくる、すぐ先の未来において、アニメ業界関係者は‥‥

 

新しい技術などけしからん。全くもって不要の長物だ。

 

世間がアニメ業界に合わせろ。世界の技術がアニメ業界の事情に合わせろ。

 

‥‥とでも言うのでしょうか。

 

まあ、そんな人はいまい。

 

明らかにアニメ業界の技術がどんどん旧式化していくのを、なすがままに放置している業界当事者側が「分が悪い」でしょう。進化する世界的規模の映像技術に対して、どんどん「アウェー」になっていきます。

 

 

 

今、制作本数が多いのは、未来への何の担保にもなり得ません。いつか減少に転じ、あれよあれよと言う間に新興勢力に制作が移り変わり、「昔は作りきれないほどのアニメの本数が溢れていたんだよ」と懐かしい想い出話になることだってありましょう。どんなに多くの業界関係者の生活がかかっていようと、必要とされなくなった時点で無残にバッサリ切られます。

 

昔ね‥‥。「合作アニメ」というのがあったんですが、あれもバッサリ無くなりましたもんネ。今思うと「特需」だったんだな‥‥と思います。「合作アニメ」を主軸にしていた会社が、「合作アニメの特需終了」とともに国内テレビアニメに転身を図るも、数年で倒れる‥‥というのを見たことがあります。

 

あくまで私の考えや実感‥‥ではありますが、未来への担保とは、「未来の技術とともに歩むこと」ただそれだけです。

 

どんな昔話も武勇伝も、未来への担保にはならず、昔のやりかたに固執することは、未来に見捨てられ置き去りにされる運命を好んで選択するようなもの‥‥と、私は思います。

 

明確な意志と戦略があって昔の方法を選択しているのなら勝機もありましょう。しかし、「それしか方法がない」という理由だけだと、未来は相当危ないと感じます。

 

 

 

現在私らが進める技術は、フルモーションが基本で、そこにストップモーションを表現として意図的に加える手法です。ゆえに、どんなにテレビがフレーム補完をしてくれても、全然OKオーライ。むしろ、補完した映像を楽しみたいとすら思います。エコノミーな理由で8〜12fpsに動きを抑える必要など全くないのが、新しい手描きとコンピュータ共存のアニメの技術です。

 

4Kも、HDRも、そして24〜60pが120pに補完されるのも、全く問題なし。だって、手描きならではのキャラを、未来とともに歩ませようと、本気で取り組んでいるのですから。

 

 

 

私がかつて少年時代に熱中したアニメの輝きは、まるで失せることはありません。むしろ、新しい時代の中で、輝きをいちだんと増すほどです。

 

でも、その昔つくられたアニメの技術にすがりついて未来も生きるのは、限界アリアリです。不都合な現実だけが突きつけられましょう。

 

アニメ現場が培ってきた技術をこき下ろしたいのではなく、現在の現実を純粋にシンプルに見定めるべき‥‥と思うだけなのです。タイムシートで2コマ3コマのシートを打ち続ける限り、不都合な現実からは脱出できないです。

 

でもまあ‥‥何を言っても、何を考えても、多かれ少なかれ、何らかの「淘汰」は生じるだろうなあ‥‥。本人たちが行動を開始しない限りは‥‥。

 

 

 


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