ソフトウェア迷走

今から20年前の頃、「デジタルアニメーション」と呼ばれた、アニメ制作技術の大転換期がありました。その頃、よく話題にのぼっていたのが、「撮影ソフトをどうするか」でした。

 

「撮影をするには」「撮影処理をデジタルでどうするのか」「撮影台をどのようにして再現するか」

 

多くの人が、「撮影」という言葉に縛られて、思考の柔軟さを自ら捨て去っていたことを、昨日のことのように思い出します。

 

フィルムカメラなき後、どうやって、フィルムカメラの代替技術を確立するか。その「代替」思考に縛られて、「Think Different」的発想ができなくなっていました。

 

‥‥で、さて、現在。

 

After Effectsを「フィルム撮影の身代わりソフト」と捉えて、使っている人、います?

 

まあ今でも、慣習で「撮影」という言葉は使います。まるで「ログ=丸太」のような感じで。

 

しかし、撮影台をシミュレーションしたり、フィルムやレンズの特性を模倣したりと、フィルム撮影台縛りの考え方はもはや消滅した‥‥と言っても過言ではないですよネ。

 

セル重ねはレイヤー階層、背景やBOOKやセルのスライドはレイヤーの位置(やスケール)プロパティの操作であって、撮影の「台」ではないです。

 

現在の「撮影工程」には、ブレンド=隣り合った2色のボカシとか、テクスチャの貼り込みとか、パーティクル系のシミュレーションエフェクトとか、フィルム撮影台の面影よりも、ビデオ合成やCG/VFXの機能を期待されています。

 

 

 

同じことです。‥‥「作画」のソフトもネ。

 

妙に「作画」に縛られていますよネ。

 

ゆえに、今は「作画のソフトが何がよいか」みたいな話が多いです。まるで、「撮影のソフト」を一生懸命探し出そうとしていた、あの頃のように。

 

「作画のソフト」の可否・是非に囚われた人は、視野をもはや「絵を描いて動かす」根本的な部分に向け直す心の余裕すら失っているように見えます。

 

 

 

じゃあ、なぜ、撮影工程は、「撮影ソフト」ではない、After Effectsへと目を向けられたのか。

 

色々と理由はありますが、大きな理由の1つに、「根本を見つめ直せた」ことが大きいでしょう。

 

セル素材がある、背景素材がある、その素材を組み合わせて、映像効果を追加し、1つの映像にまとめる。

 

‥‥それができれば、アニメの「撮影」工程は十分機能することがわかり、撮影台のシミュレーションはどうやら不要だということに気が付いたのです。

*ちなみに、もう1つの大きな理由は、After Effectsの「スムージングのプラグイン」が使えるようになった‥‥ですネ。タイムリマップ=タイムシートをAfter Effectsに適用する手法と、二値化のスムージングプラグインの登場によって、コアレタスは役割を完全に失ったのです。

 

今から20年前の、もはや「笑い話」のような話ですが、

 

アニメの透過光はどうやれば、「デジタル」で可能になるのか?

 

‥‥と現場は悩んでいました。

 

絵を描く人間なら、すぐに「そりゃあ、光っているように画面を作れば、光の表現になるだろう」と思うのですが、撮影台の意識に囚われた現場は、「撮影台では、透過光は光源を直に撮影している。ということは、光源のシミュレーション、光学レンズのシミュレーションがソフトウェア上で必要ではないか」と、物凄い遠回りをして考えていたのです。

 

私のようにカラーイメージボードを度々描くアニメーター、そして光と陰を毎日のように描く美術監督さんは、「光っているように絵を作れば良いだけの話だ」と解っていました。どう言う画面の内容=映像の絵を作れば良いかを考えるのであって、撮影台を模したままごとなど不要だと、すぐに理解できたのです。

 

つまり、「光を描けば良い」、それだけの話‥‥だったのです。

 

そもそも撮影台だって、光の表現をもっと美しくかっこよくしたいから、透過光の技術を編み出したわけですよネ。最初にありきは、「絵のイメージ」であって、決して「透過光のメソッド」ではなかったはずです。

 

それがいつしか「主従逆転」して、透過光のための画面処理‥‥みたいに変質しただけのことです。

 

 

 

そして2018年の今、「作画」。

 

20年前の「撮影」と同じ道筋を、不思議なほど忠実に、トレースしているように思います。

 

 

 

そもそも「作画」は、何を成し遂げるために存在するのでしょうか。

 

絵を描いて、動かすため、‥‥だったと思います。‥‥私の記憶と認識が間違っていなければ。

 

 

 

私はアニメーション作品を作りたいです。自分たちの絵が動く、アニメを。

 

だから、「アニメの原画・動画」スタイルだけの「専用ソフト」は不要です。

 

必要なのは、「絵を描く」ソフトウェア、そして「絵を動かせる」ソフトウェアです。

 

 

 


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