クレイジーの内質

個人の「根性」を生産性の一環に組み込んで制作計画を立案する‥‥というのはナンセンスだと、以前書きました。しかし、ふと冷静に考えてみれば、原動仕の作業システム自体が、既に「根性ベース」のように思えます。だって、1話につき、動仕数千枚ですよ。その膨大な枚数の絵を人の手で1枚1枚描いて仕上げるって、どう考えても「ど根性」であり、クレイジーでしょう。

 

私ら技術グループの進めている新技術も、ぶっちゃけて言うならば、クレイジーです。膨大なキーフレームをひとりの人間が的確に整然と扱って、ようやくモーションが出来上がります。のべレイヤー数なんて膨大すぎて、語るだけ野暮ったいです。

 

しかし、現代のテレビアニメのクレイジーさに比べれば、全然平気。

 

まあ、テレビアニメ制作は、モーションの全てを一人の人間が完結するなんてことはなく、レイアウト・第1原画・第2原画・動画・仕上げ・撮影‥‥と多人数で分配しているので、過大な数千枚作業も「負担感」は紛らわされていますけどネ。ちなみに、撮影はモーション〜動きに関与しているのか?‥‥と不思議に思う人もおりましょうが、「貼り込み」は完全に動画技術のカテゴリーですヨ。

 

私らの新技術系は、日本ではあまり知られていない技術なので、外見的に「荒唐無稽」とも思われがちですが、「荒唐無稽」なんて言いだしたら、今のアニメ業界の制作体制〜明確なレギュレーションもなしに「デジタル」を方便として用いる現状のほうが、よほど「荒唐無稽」のように思えます。

 

 

 

新技術のクレイジーは、家に帰れば正気に戻れるクレイジーです。職場・作業場で作業している時は、「こんなAfter Effectsの使い方、アドビすら想定していないだろうな」と思うようなクレイジー具合ですが、そのクレイジーさゆえに集中できる時間には限りがあり、「はい、今日はここまで」と仕事を切り上げて帰る「キリの良さ」も持ち合わせています。

 

しかし、テレビアニメに代表される、複雑な絵柄を数千、時には万も、1枚ずつ描いていく旧来技術は、家に帰っても正気に戻れない‥‥というよりも、家に帰ることもできないほどクレイジーです。まあ、今は労基のアレコレで緩和の傾向にありますが、その技術の根本が「何千、何万も、絵を描き続けろ〜!」というクレイジーさを宿命的に宿しています。

 

旧来の技術は、すご〜〜〜〜〜〜く、大変な内容で、極めて労力を消費する技術であることを、今更ながらに、再認識しても良い時期ではないでしょうかね。

 

麻痺状態から一度抜けて、冷静になって。

 

アニメ業界は長年の実績のある旧来システムがあるからこそ、不可能が可能になっている‥‥と自信を持つ御仁もいらっしゃいましょうが、いまどきの恐ろしく大変な内容を貫徹できないからこそ、絵が崩れたり、打ち切りになったりして、「不可能を可能にしてきたけど、また不可能になりはじめている」わけです。‥‥そりゃ、当然ですヨ。アニメ業界の誰もが超々人でもない限り、どこかで心折れ、息も絶え絶えになりますよ。

 

 

 

クレイジーと言っても、先が明るいクレイジーと、お先真っ暗のクレイジーがあるのです。

 

才能ある新人が、4〜5万しか月に稼げないクレイジー。‥‥そんなクレイジーを延々と踏襲してどうする。私だって、旧体制の中では、もうどうにもやりきれません。「いつかパタッと死ぬかもしれない」と予感する、終わることのないロシアンルーレットを回し続けるのです。

 

 

 

「今度、こめかみに銃を突きつけて引き金を引いた時、弾が飛び出すのかも知れない」

 

そんな恐怖に慄くのなら、ロシアンルーレット自体に巻き込まれない方法を、会社も個人も模索すべきでしょう。

 

「会社がやってくれないから、何もできない」なんて言ってたら、私だって現在の新技術を手にできていません。会社に所属しようがフリーランスだろうが、未開の荒野で新しく開拓するくらいの意識をもたなきゃ。

 

 

どんなに個人が色々な新技術の可能性をもっていても、制作会社が古い脳しか持たなければ、何も新しいことは起こり得ない。

 

どんなに会社が新しい技術基盤を作ろうとしても、個人が旧態依然の作業様式と思考しか持たなければ、何も新しいことは起こり得ない。

 

 

なぜ、新しいことがいつまでたってもできないのか。‥‥個人と団体の、どちらか一方が悪いのではなく、どちらも悪いのです。

 

「そのとおりだね!今からすぐ、頭を切り替えるよ!」って誰もが思考をチェンジして動けるのなら、世の中、こんなじゃないですわな。

 

やっぱり、時代性は人を選びます。

 

 

 

私ら技術グループは、ロシアンルーレットを回し続けるクレイジーから抜け、未来の可能性を思考と実践によって回し続けるクレイジーへと転向する所存です。

 

みなさんも、今すぐ100%は無理でも、徐々に、転向していきませんか。

 

 

 



calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM