美しき世界

最近テスト環境を組んで、iMac Pro、Thunderbolt3の高速RAIDで再生環境を確保し、BlackmagicのUltra Studio 4K Extreme経由でHDRモニタに映し出した4K60pHDRのアニメ映像を見ています。True4K、True60p、TrueHDRが映し出される映像は、まさに次世代の映像美を体現してやまない別格の美しさです。ふと、「商売の計算とか色々あるけど、結局のところ自分は、この美しさに惹かれてるんだな」と改めて自覚しました。

 

商売や新技術がどうこう‥‥だけでは、そもそも映像作品作りをしたい私が、(自分ながら)こんなに積極的にアクションするはずがないのです。シンプルに4K60pHDRのアニメ映像の真の美しさに惹かれている根本があって、もっと美しいものを見たい・作りたいという衝動によって動き、その上に商売的な展開やら成長戦略やらが「ものごとを成就するために」のっているに過ぎません。アニメの映像作りをする際に、まず必要なのは、やっぱりアニメを作りたいという純朴な「根っこ」なのです。

 

しかし、純朴なだけでは、上述した機材(300万くらいします...)を揃えることは無理です。ビジネスとして成立するからこそ、美しい映像を制作可能な環境も揃えられるし維持もできます。クリエイティブとビジネスを両輪として進む意識は必須です。

 

 

機材関連で自覚したのは、PC/Macのビデオカードの出力は、内容をプレビューするための簡易的な出力でしかないことです。機材とOSのコンフィグレーションがうまいこと一致すれば、かなり綺麗に出力されるのですが、その状態を安定させるのが中々難しいです。特に複数台のモニタを繋いでいると、様々な要因で映像に「キレ」がなくなってきます。

 

「キレ」とか変な言い方ですが、人間の感覚は自分で思っているより遥かに鋭敏なものです。例えば、ギターの1弦の「0.009インチ=0.2286ミリ」と「0.010インチ=0.254ミリ」のわずか「0.0254ミリ(0.001インチ)」の差を指先で容易に感じ分けることができます。

 

 

 

OS管轄のビデオ出力は、そうした人間の鋭敏な感覚からすれば、アバウトです。‥‥というよりは、様々な出力の場面で破綻しないように、うまく「丸めて表示するよう」設計されているのかも知れません。ただその親切設計が、厳密な映像制作用途だと仇となり、「なんでこんなにもっさりしてるんだ? (情報表示などで)数値を見るとちゃんと条件は満たしているのに」と混乱することになります。変換アダプタまで絡むと、状況はさらに混沌とし、目でしっかりとジャッジできないと、4K環境が「ぬか喜び」になりかねません。ディスプレイが60Hzで表示できているからといって、ムービーが等しく60Hzで表示できているかどうかは、OS経由だと危うくなってきます。

 

‥‥で、OSに任せず、例えばBlackmagicのソフトウェアハードウェアでビデオ出力すると、あるべき姿のコンディションで再生され、胸を撫で下ろします。OS管轄のぬるい映像を見て、「自分の目が狂ったか、(逆の意味で)プラシーボ効果か」と基準そのものに疑心を抱きかけますが、安定した環境でスペック通りに再生すれば、何が狂っていたのかがわかります。

*ちなみに、機材はむやみに高いもの買えばOK‥‥ではなく、必要に応じて最適な機材を調達するのが基本です。機材を扱うのに相応の知識や技術も必要です。理由もなしにExtreme 4Kなんて導入しても適切に扱えないばかりでなく、トラブルの原因にもなりましょう。

 

そうした様々な要素を鑑みるに、やはり4K映像制作は人もメカも相当ハードルが高いのは確かです。だからといって2Kをアップコンしても、出自が4Kの映像と比べれば、その全体の美しさの差ですぐにバレますから、ネイティブに正直に、4K映像作りに取り組むのが、結局は一番の近道だと実感します。

 

 

 

4Kはアニメ業界の未来の試金石になり得ます。

 

もしアニメ業界が今の業態のまま4Kを作るハメになったら、‥‥まあ、解りますよネ。

 

4Kに対応するには、まず、その完成物の品質要求の高さから、人々の働き方の変化が必要です。アニメは人が作っているので、当事者たる人々の働き方が、最終的には作品に表れます。‥‥ということは、4Kの品質に見合った、働き方の変化がどうしても生じましょう。

 

‥‥ですので、もしかしたら、未来は「2Kアップコン組」と「4Kネイティブ組」の2種類に分岐するかも知れません。

 

今までのアニメ業界の良きも悪きもあれこれを引きずり続けて旧来のまま制作を続ける集団は、その状況的限界から、2Kで打ち止めとなりアップコンに頼ることになりましょう。作業費も2K時代のまま、大きな増額は見込めないでしょう。

 

一方、業界の良い部分を厳選して継承し悪しき部分を絶って、技術体系も制作システムも次世代にふさわしく改善もしくは再構築できる集団は、4K、そして8K時代にも対応することが可能となりましょう。生産技術・生産効率や労働条件にもメスを入れて、内側と外側から、お金の問題を解決していくことになりましょう。

 

4Kをはじめとした未来の映像産業は、その産業を形成する人々とテクノロジーで、未来の姿になり得ます。つまり、アニメ業界・アニメ制作集団・アニメ制作者が「変われるチャンス」でもあるわけです。

 

アニメ作品の映像世界、そして制作者各人の現場を、美しき世界とするか否か。

 

試金石が目の前に転がっています。

 

 


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