アニメの絵柄

今のアニメの絵柄は、言うまでもなく、以前のアニメ彩色用の塗料=アニメカラーの名残りを大きく引きずっています。アニメの絵柄は、そもそもデザイン視点で今のスタイルを選択したのではなく、彩色上の制限を反映したゆえのスタイルです。塗料を混ぜ合わせることが実質不可能だったので、「色は混ぜない、ぼかさない」制限の中で、アニメの絵柄は工夫を重ねて発展してきました。

 

しかし、現在は色を無段階に混ぜ合わせることも可能になり、アニメカラーの制限は形骸化しています。つまり、今はもう、キャラデザインの時点から、「絵柄の考え方」を変えても良いわけです。

 

一方で、多重組みの問題や、髪の毛の色分けが7色にも及ぶ‥‥など、作業の混乱や複雑化など、様々な問題が増えています。

 

形骸化した制限を今でも慣習的に踏襲して、昔の足枷をハメたまま、障害走や全力ダッシュで今まで以上のパフォーマンスを得ようとする。

 

‥‥色々と、仕切り直しの潮時ですネ。

 

思うに、仕切り直しの第一歩はキャラのデザインからです。デザインが2020年代の現用技術を意識できていなければ、続く工程が全て影響を受けます。

 

例えば、プロペラ機からプロペラだけをとって、ジェットエンジンをくっつけたような機体では、次世代を体現するスタイルにはなりません。

 

 

 

上図はエアラコメットというアメリカ陸軍航空隊時代のジェット機ですが、性能は散々だったようです。

 

ジェットエンジンで心臓部が変わったのならば、ボディデザインも応じて変わってこそ、ポテンシャルが発揮できようというものです。洗練の余地が残されていようと、古い慣習や常識から抜け出すことが何よりも必要です。

 

 

 

 

 

 

‥‥で、これは飛行機での例え話。

 

アニメのデザインは、どのような変化が、2020年にふさわしいのか。有効なのか。そして、受け入れられるのか。

 

戦後のジェット機開発と同じで、トライ&エラーの繰り返しです。頭の中だけ考えて、何も実践しないまま、解答が導き出せるわけ、ないです。

 

 

 

ただ1つ、わかっているのは、今までの尺度だけで物事を考える人々は消え、新しい尺度で物事を推し進める人々が台頭することです。様々な歴史が証明しています。

 

実際、今のアニメだって、1960年代の初期テレビアニメのアトムやロビンの常識のまま‥‥ではないですよネ。もし1960年代のアニメーターがタイムスリップして2018年現在のキャラ表や原画を見たら、「こんなの非常識だ」と絶句するでしょうしネ。

 

そして、タイムスリップした1960年代のアニメーターは、こんなことも思うかも知れません。「絵柄は複雑になったけど、基本的な段取りは大して変わってないんだな」と。

 

 

 

2020年代を迎えるにあたって、認識を新たにすべきは、「今のアニメの絵柄は何に由来するのか」です。

 

枚数量産の制限、セル絵具の制限、フィルム撮影台の制限が、まさにアニメの絵柄に強く影響していたのです。とかく、「アニメはアニメの絵柄だから」なんていう無自覚で間抜けな認識に陥りやすいですが、ちゃんと物理的な理由がありますし、黎明期のアニメスタッフはその制限を強く意識していたことでしょう。

 

アニメの絵柄を所与のものとして認識するのではなく、なぜ今までのアニメはこのような絵柄なのか‥‥を改めて深く考えた時、未来に繋がる「温故知新」が得られるでしょう。

 

昔の人は、物理的な理由ありきでアニメの絵柄をデザインし、その制限を逆手にとって、魅力的なものへと変えていった。

 

では、今を生きる私らは、どのような物理的な理由があって、どのように絵柄をデザインすれば良いのだろう。

 

 

絵柄の好みは色々あって良いし、もっと様々な「旧来アニメ絵以外の絵柄」が増えるべきとも思います。要は「昔」に縛られずに、「昔」の「切り拓いた精神」に学ぶべき‥‥なのでしょうネ。

 

アニメを通例や慣習で扱う人々は、やがて過去に消え、アニメを新しい技術基盤で「再発明」できる人々こそが、今後のアニメ制作の未来を担っていく‥‥と私は思います。

 

 

 


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