雑感

以前、「After Effectsで作業するのは撮影処理」だと言っている人がいた‥‥と耳にして、そんなアホな、いつからAfter Effectsは撮影ソフトになったんだ?‥‥と思いましたが、After Effectsに限らず、一定数の人は「ソフトウェアで工程を考える」ようで、それこそがコンピュータ活用術の限界を自ら生み出す大原因ですし、新しい映像技術にも追随できない理由でもある‥‥と考えています。

 

なので、そうした意味でも、After Effectsだけで作ったキャラのテストを以前紹介した次第です。キャラの描線からペイント、背景に至るまで、すべてAfter Effectsだけでゼロから作っていますが、これって「撮処理」なんでしょうかね。

 

 

 

まあ、違いますよね。明らかに作画カテゴリです。もっと根本的な表現で言えば「絵を描く行為」です。

 

After Effectsでキャラが描けるから、After Effectsを用いた場合は撮処理だ!‥‥なんて、誰も思わないでしょ。エフェクトアニメーションにおいても、After Effectsでゼロからビームや波の動きの素材(=原動仕に相当する)を作りますが、それは撮影処理じゃないですよネ。

 

 

*After Effectsにも「ペンツール」があるのですから、絵は描けますわな。

 

まあ、上図はイジワルな例ではありますが、実際、After EffectsやPhotoshopなど様々なツールを「何用」と定義するのは、ソフトウェア、ひいてはハードウェアや制作行為そのものに自ら重い足枷をハメるようなものです。

 

誰がいつ、After Effectsを狭義の撮影ソフトということにしてしまったのか。少なくとも、前世紀からAfter Effectsを使っている人々は、撮影専用ソフトだなんて思っちゃぁいないですヨ。実際、After Effectsは2005年くらいまで撮影ソフトとしては認知されておらず、コアレタスじゃないと撮影は無理だなんていう風潮が支配的だったんですから。

 

思うに、後から参入した人々は、「ソフトウェアを何用と決めつける」傾向が強いように感じます。何も定型がないところから試行錯誤して作った人々は、ソフトウェアがどのように使えるかを制作過程で経験しますから、発想を様々に転換して柔軟にツールを使えるのですが、先人の事例を踏襲してスタートした人々は「これは何用」と思い込んでしまって、使い方を限定して狭めていく傾向があります。

 

ゆえに、アニメ業界のAfter Effectsの使いかたは、正直なところ、After Effectsのポテンシャルを20〜30%くらいしか活用していないように思います。After Effectsの中に、アニメの撮影作業で使ったことのない機能が多ければ、まさにそれが論より証拠。

 

 

おそらく、2020年代の最初の動きは、2000年代後半から現在までに決めつけられてしまったツールの使い方を一旦バラして、新しい時代の映像産業が欲する品質と性能に合わせて、組み直す・考え直すことではないか‥‥と感じます。10年かけて凝り固まってしまった認識を、10年かけて解きほぐしていく‥‥のでしょう。

 

じゃないと、先には進めんですもんネ。今までの使いかたを一新するからこそ、新しい映像を具現化できるのです。

 

 

道具の使い方は、巡り巡って、未来の命運を分けると思います。大げさな話ではなく、将来の生産力を左右してしまう‥‥でしょう。

 

まずは、世界規模で進行する映像技術進化との足並み。4KとHDR、そしてインフラの更新とともに60pなど、道具の使い方次第で対応の可否がわかれます。

 

アニメに4Kなんて不要だ‥‥なんていう人は、今までのアニメの映像しか頭に思い浮かばないからです。4K60pHDRを駆使するアニメは必ず現れます。そして、時代に進行に合わせて、アニメに対する認識が変わっていくのです。‥‥今までと同じように。

 

さらには労働力。

 

現在の「アジアの労働力」は、果たして、これから10年20年変わらず、日本の制作会社のオーダーに対して、同等の処理能力と受注金額を維持してくれるのでしょうか。

 

おそらく、アジアの生産力は、「金の切れ目は縁の切れ目」でしょう。日本の仕事を「義理と人情」「友情」で引き受けているわけじゃないのですから、もっと良い条件の仕事が他から受注できれば、日本からの仕事は少なくとも今までの条件では引き受けてくれなくなる‥‥のは誰でも想像できることです。

 

アジアの労働力を、採掘すればいくらでも湧き出す無限の油田みたいに思い込むのは、そろそろ考え直した方が良いと思います。それは労働力的にも、日本の技術者育成の観点でも。

 

ボロボロにダメージを受けた国内の労働力・生産力を再生し、新しい時代と共に歩むには、道具の使い方が何よりも第一歩でしょう。新しい時代のニーズに合わせて道具を使えてこそ、生産力と呼べる流れ・勢いも具現化しましょう。

 

 

道具の使い方〜コンピュータとソフトウェアの使い方は、未来を切り拓く上での、最重要なキーワードです。

 

手元に存在する道具に対して、昔の使い方しかできない集団は、時代の変化についていけず徐々に力を削がれ、どこかの時点で1つ消え、2つ消え‥‥と淘汰が進むと予想します。

 

でもまあ、普通に考えて、誰も「淘汰される側」にはなりたくない‥‥ですよネ。

 

だったら、時代の変化の大波小波にさらわれて溺れ死ぬのではなく、むしろ、その波のエネルギーを活用して波乗りするのが良いです。

 

活用するには、まずは「After Effectsは撮処理だ」とか言ってちゃあダメす。この10年で固まった意識は、ほぐしていきましょう。

 

作画用ソフト、撮影用ソフト。そんなことを考えるばかりでは、未来など過去の刷り直しに過ぎない‥‥のです。

 

 

 

 


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