単価?

単価制で無理があるのなら、拘束料金や社員雇用だ。‥‥というのは、大雑把でしょ。

 

単価制の限界だ‥‥なんて軽々しく言う人もいますけど、今までのアニメ業界において単価制の限界や可否を問えるほど、単価について色々なアプローチをしてきたでしょうか?

 

アニメ業界の大きな問題として、私がフリーランスの原画マンだった頃から捉えているのは、単価制そのものではなく、「均一単価制」、単一価格の単価制です。

 

アニメ業界の単価制は異常です。

 

例えば、どこのラーメン屋さんに、餃子3個、ラーメン、味玉ラーメン、チャーシューメン、チャーシューメン餃子セットの単価(売価)が全て同じ店があるでしょうか。普通、内容やグレードによって単価は分けるでしょ。

 

アニメ制作の場合、口パク1枚絵と、巨大ロボ3体1枚絵の単価が同一だ‥‥というのが異常過ぎるんですよ。

 

まあでも、今の現場では、何をどうやってグレードを分けたら良いかも判らんですよネ。多くの場合、「見た目のさじ加減」になってしまうでしょう。紙に描かれた絵の作業量を計量することはできませんもんネ。だから、ずっと単一単価制です。

 

一方で、制作期間中に単価では計り知れない作業を依頼する場合は、いわゆる「一式」料金の方法があります。前述の飲食店で例えれば、「食べ放題」価格のことですネ。仕事を依頼する側は、単価のつけようもない難易度の高いシーンを頼めるし、受ける側は自分の能力を期間中に発揮できるしで、金額の折り合いがつけば「均一単価」の悪所を回避できます。

 

でも、多くの場合、単価制がデフォルトで、「均一単価制」になります。

 

作画よりももっと酷いな‥‥と思うのは、撮影作業を単価で扱う時です。「秒単価」で内容の濃いアクションやスペクタクルシーンを依頼された時は、正直、殺意が芽生えたものです。「倍の単価? いい、いい。いらん、いらん。 元の単価=半分の単価でいいから、芝居のシーンをちょうだい。そっちの方が数倍稼げるからさ」‥‥なんて言うから、私は仕事を干されるんだろうけど、実際「撮影はもうやりたくない」なんていう中堅〜ベテランの人は結構周りにいるんですよネ。色んな経験と技量を蓄積すればするほど、どんどん割に合わない仕事が増えて‥‥という状況に辟易している人は、作画だけでなく撮影作業者でもいます。

 

表現力の技量が低く、簡単なシーンばかりを振られる人間ほど、作業実績が上がるシステム。‥‥誰だって、アホらしいキモチになって、やってられないでしょ?

 

 

私の考える未来の現場は、均一単価制は廃止です。苦労して技術を磨いた人間がバカを見る制度なんて、新しい現場で継承するわけがないです。新しい現場を組む時に、なぜ自分が辛酸を舐めた状況を、新しい現場作りに導入しちゃうのよ。普通、過ちは繰り返すまい‥‥とするでしょ。

 

ではどのように単価のランク付けをするか‥‥ですが、作画に関しては既に具体的なアイデアがあります。何なら、自分でソフトウェアのプログラムコードを書くこともできます。私はあくまでサンデープログラマーレベルなので、自分で作った画像処理プログラムが高速に動作するかは別として‥‥ですけどネ。

 

事前の単価分けが難しい場合は、やはり「一式」方式が基本となりましょう。一式料金の場合、受発注両者の合意の上で金額を決めていく「人と人との関係」は一層重要です。

 

ただまあ、今のところ、アウトソーシングをするつもりはなく、内製化で体制を作るので、変動単価制はもうちょっと先の話です。

 

 

自分の能力が上がると、お金がより多く貰えるようになるんだ。

 

大変なカットをやれば、普通のカットの数倍、十数倍、数十倍、お金が出るんだ。

 

‥‥そんな、あまりにも普通のことを、未来の新しい現場で実現しないでどうする。

 

変動単価制はそれこそ私が20代の頃に監督と話していましたし、今から10年前には違う切り口で実現できそうなアイデアも思いついていました。ただ、それは旧来現場の色々なしがらみで出来ませんでした。恐らく今でも、旧来から様々な因習を継承する現場では、変動単価性は、感情的にもシステム的にも技術的にも無理だと思います。たとえ「デジタル作画」に変えても、です。

 

でも、新しい技術体系でゼロから作れる現場なら、因習を断ち切れますし、昔の常識は亡きものにできます。ルールも意識も違います、過去の常識はここにはありません‥‥と、新しい技術体系の現場なら言い切れるでしょう。デジタルデータを基盤とする運用スタイルであれば、データを総当たりで解析することだって、コンピュータが高速処理化した2020年目前の今なら出来るのです。

 

 

もう2年待たずに2020年代です。

 

ゼロから組み立てることで育っていく新技術の現場ならば、色んなことを仕切り直せると確信しています。私は残りの半生を新しい現場に注ぎ込む覚悟です。

 

一方、旧来の慣習を引き継がないと成立しない現場は、長きに渡る大問題を根本解決したいのなら、一旦全部要素を取り外してバラして、ゼロからの組み立て直し‥‥になるんでしょうけど、それはもう、大変なことですネ。誰がそれに着手するのか。それとも誰もしないのか。

 

未来の様相は様々‥‥ですネ。

 

 

 


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