新しい時代の新しい映像技術によるアニメーション制作に至る前には、何本もの大きな河が流れていて、乗り越えられる人間と乗り越えられない人間を分けるだろうと思っています。それは技術的な面も大きいですが、意識、感情として、乗り越えたくない‥‥と思う人も多いでしょう。

 

前回書いたスキームも、河を渡る際に大きく影響してきます。スキームのもたらす利潤が、今まで通りのアニメ業界基準では、河を渡るための船さえ調達が困難です。船をうまく操縦して向こう岸に渡れるかが問われる以前に、渡河できる船そのものを得られるかも、個人や集団で明暗をわけるでしょう。

 

Windowsマシンは安く調達できる‥‥なんて今でも思っている人はいるかも知れません。しかし、安いWindowsマシンは要は安くて性能の低いマシンです。4Kの描き仕事とコンポジット仕事をこなせるCPUとグラフィックそしてM.2のSSDを、BTOで見積もりしようものなら、コンパクト筐体のマシン本体だけ(4Kモニタを含まず)で30〜50万円に軽く到達します。性能の高い構成にすれば、WindowsもMacもお金は同じ。

 

つまり、そうした「高性能な船」を買って、大きく激しく流れる大河を渡った末に得られる「利益」が問われます。高性能な船で激しく流れる河を渡って得られる報酬が、今までの原動仕の単価では、あまりにも採算に合いませんし、作業者たちのモチベーションがあがろうはずもないです。

 

河を渡る前段階でそんな状態では、向こう岸にたどり着いた先こそ本番なのですから、まさに、「是非に及ばず」です。どんな理由であれ、新天地に到達することができなければ、その新天地で店を開いて商売するなんて、できようはずもなし‥‥です。

 

今までの相場はこうだった。現在の単価はこうだ。アニメとはそもそもこういうものだ。アニメのあるべき姿とは‥‥のような話を繰り返すのなら、今までの場所に居続ければ良いです。受注側も発注側もネ。

 

 

ゆえに、「河を渡る必要なんてないじゃん」と言う人がいても当然です。しかし、今いる場所の境遇・待遇が、この先の未来も延々と続くことは、覚悟すべきでしょう。もちろん、「河を渡る」と決意した人にも覚悟は必要です。

 

ただ、「覚悟」の「致し方」は、40〜50代の人間と、20〜30代の人間とでは、大きく変わってきます。

 

「私はもう歳だし、こっち側でいいや」という50代の人間に、20代の人間が意志に関係なく巻き込まれるとしたら、それはもう災難以外のなにものでもないです。しかし、アニメ業界は旧来の技術基盤に深く足をのめり込ませたまま動けないので、若い世代ももろとも、選択の自由なしに、「河のこっち側」に引き止められ続けるような気配は満杯です。

 

一方、50代の人間でも、向こう岸に渡ろうと粛々とミッションをこなしている私のような人間もいますから、50代のなんとない総意=「別に今までのやりかたでいいじゃん」的総意に巻き込まれて同一視されるのは甚だ心外です。50代の人間がおしなべて古い思考しか獲得できないなんて、思われたくもないです。私のひと回り近く年上のベテラン中のベテランでも、20代の固定概念に囚われた人間よりも格段に思考が柔らかい人も多いです。

 

 

まあ、若い人間でも古い考え方をする人間は多いですし、年を喰った人間でも新しい考え方を実践する人間もいます。老若に関係なく、前例のない新しいことにチャレンジする人もおりましょうし、昔どこかで定まった意識にずっと縛られ続ける人もおりましょう。

 

色々な人間がいようと、新旧それぞれの考え方によって、土台となるスキームも変わるし、映像表現の結果物も変わるし、当然、お金も変わります。

 

「河」を渡るか否かは、当人各々の自由です。自分の運命の選択‥‥ですもんネ。

 

 

制作の枠組みも、人の技術も、人の感情も、集団の心理や行動原理も、河を渡るか否かで大きく変わるのが、まさに2020年代の未来といえましょう。

 

 

 


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