動きの知識

どんな方法を用いたとしても、絵を動かして映像作品を作るわけですから、絵を描くことと動かすことは、基本の技術として必須です。

 

昭和40年代生まれの私の同世代で、特に東京近辺に在住する人は、小中学生でマンガやアニメを模写してパラパラ漫画にも熱中し、高校生になる頃にはぼちぼちバイトで動画を経験し、状況によっては先輩の監修のもとに原画も何カットか作業し、高校卒業と同時に原画‥‥みたいな経歴は、さして珍しくないことでした。そういう人は何人も知っていますし、私もそうした「お定まりのアニメーター」コースでした。

 

しかし、都心近郊に住んでいない人は、上京してからのキャリアになり不利です。ゆえに、相当の覚悟と頑張りが必要なのでしょう。私の周りの巧い人たちは、北海道出身の人が多いのも事実です。

 

また、学校であまり絵のうまさで目立たなかった人でも、動画を経て原画になったほんの2〜3年で、メキメキとうまくなっちゃう人もいます。制作上がりの作監の人も知っていますし。

 

でも、どの場合も、絵が描ける人間としての「何か」が当人にあって、なるべくしてなった‥‥と思います。

 

当然のことですが、絵が描けないのに絵を描く仕事には就けないし、動きが判らないのに動きに関わる仕事にも就けません。それは誰でもわかるはず‥‥なんですが、「デジタル」のバイアスが、そうした正常な見識を鈍らせることは最近よく見かけます。

 

どんなに「デジタル」の道具を揃えても、絵も動きも上手くはなりません。ソフトウェアの機能をコレクションして、本人の技術が向上するのなら、それほど楽なことはないもんな。

 

「デジタル」〜コンピュータは、傲慢な技術的弱者を勘違いさせるための道具ではないはず。‥‥です。

 

 

 

絵を動かす?

 

だったら、それこそ、小中学生の頃から、描けば良いんですよ。

 

道具?

 

コピー用紙1000枚とLEDのA4ライトボックス。合計3千円。それでパラパラアニメを描けば上達します。

 

 

 

技能を習得する年齢は早ければ早いほど良いです。そして絶対的な練習量は必要です。

 

最初からタブレットで少ない枚数をチマチマ描くよりも、千枚規模で紙でガシガシパラパラめくって描いたほうが、確実に、動きは上達すると思います。特に、子供の頃は。

 

 

 

私は全ての工程をコンピュータで作業する新しい技術基盤を主力に据えていますが、決して、「デジタルで何でもできて楽」とは思っていません。むしろ、逆。

 

動きの知識を体内に叩き込んだ前提で、そこからさらにコンピュータの流儀に合わせて動きの技術をデータへと噛み砕かなければなりません。絵で描いて動かして作業完了‥‥よりも、格段に難易度が高い技術、および冷静な視点を要求されます。「自分の感覚に甘えて」いるだけでは、コンピュータ上においてデータとして表現できないですからネ。

 

 

 

しかしまあ、A4の薄型トレス台が、アマゾンの特価セールで1850円か。

 

機材はこんなに入手しやすくなったのに、生身の人間の技術は相乗的に向上しているんですかね。

 

むしろ、機材が貧相で、渇望していた時代こそ、人々の技術はその渇望感ゆえに成長が促進されたのかも知れない‥‥と思う昨今。

 

 

 

成熟してしまった旧来のアニメ技術は、特に、渇望感は希薄かも知れません。

 

飢餓感、閉塞感、行き詰まり感‥‥はあるでしょうが、それって、技術発展的なことよりも、お金の問題にウェイトがかかっていますよネ。

 

技術的には、全域を埋め尽くすほどの、マンネリ感。

 

マンネリ化した先にあるのは、緩やかな老い、そして死です。

 

 

 

若い世代は、本当に、旧世代と共に「殉死」したいのかな。

 

新しいこと、クレイジーなことを、やるべきなんじゃないですかネ。動きの技術ひとつとっても。

 

 

 


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