人、技術、金

もし、今後、4K24インチクラスの液タブに盛り込む要素があるとすれば、

 

  • 有機ELの締まった色彩
  • HDRでBT.2020に対応
  • 120Hz以上のリフレッシュレート

 

‥‥ですかね。

 

有機ELはまだまだこれから値段がこなれる技術でしょうが、絵を描く際に黒が締まってキリッとしているのは、絵の内容確認の点で有利です。実際、ラボやポスプロの製品プレビューチェックで、マスモニと併設した有機ELテレビで見ることが多くなっています。

 

HDRは輝度(カンデラ)を抑えめに設定して、彩度の広がりだけを活かせば、絵を描く時に有用でしょう。BT.2020に対応できる基本性能は、これから必須となるように思います。

 

絵や映像を鑑賞するだけなら60Hzでも良いのですが、絵を描く時には120Hz、将来的には240Hzくらいは期待してもバチはあたりません。筆致を描画するフレームレートが高ければ、より生っぽい感覚で描けるようになります。

 

 

 

しかし、これら未来の妄想をぬきにしても、「作画環境はお金がかかる」ようになります。新人一人あたりのイニシャルコストは100万円くらいは普通にかかるように思います。

 

4K対応のマシンと液タブだけで、70万円ですもんネ。ソフトウェアや周辺機器は全く計上していない段階で、です。しかも、一度買った機材はそのままでは済まず、メンテと機材更新を続けなければなりません。

*4Kタブレットやモニタを買うだけでは済まないのは、コンピュータにちょっと詳しい人ならお判りですよネ。4Kのモニタと液タブのマルチモニタ環境は、言わば2Kモニタ8枚分です。4Kモニタを複数接続できる、ビデオ性能の高いマシン、そして4Kの映像を再生できる高速な記憶装置とCPU‥‥なんて、現状のアニメスタジオの「デジタル」機材の性能とはあまりにもかけ離れています。

 

 

 

でもそれは、「作画」の人材の根底意識を見直す良い機会だと思います。

 

人をひとり雇うために機材費だけで100万円はかかるようになるわけですから、使い古しの作画机に新人を座らせて済む話ではなくなります。

 

新人の時代で100万円をまず初期投資して、さらに当人が仕事を続けていく間には、ソフトウェアの更新やサブスクリプションの維持費、5〜6年周期のマシンの入れ替え、さらなるソフトウェアの追加購入‥‥など、お金はどんどん必要になります。

 

これはすなわち、どういうことかというと、「仕事を通じて人間が成長して、作品制作に貢献する」ことを見込まなければ、スキームは成り立たない‥‥ということです。

 

 

 

アパートを借りて作画机を並べてアニメ作画スタジオだ。上手く育つかどうかは本人次第と運次第。‥‥というのは、昭和と平成の古い時代感覚です。

 

今後は「人材」に対して「採用する側」も「採用される側」も格段にシビアな意識が求められます。

 

 

 

作画する当人、仕事を引き受ける側は「アニメが好き」とか「好きなキャラが描いてみたい」なんてことばかりに終始するのではなく、様々な映像全般の知識を習得して、自分の「価値」を高めなければなりません。自分は数百万の最新機材を使うに値する人間だ‥‥と平然と言いのける技術と経験と度胸を、作画の人間も持つべきでしょう。

 

採用する側、仕事を出す側も、「人間こそが技術」ということを今一度認識すべきでしょう。アニメ業界にありがちな雑な人材採用と人事は、結局は自分らの窮状を生み出し続ける元凶とも思えます。「技術を使いこなす人間がいるから、不可能と思えた事が可能にもなる。人こそが状況の可否を決める」と改めて心に留め置くのがよろしいです。

 

 

 

せっかく育った技術と人材が、途中で失われるのって、作品制作現場のとんでもない大損失です。

 

人間を失ってしまったら、どんなに高価な機材を揃えても意味がありません。

 

優秀な人材と性能の優れた機材、そしてそれらを現場で運用するノウハウの3つが揃って、高技術レベルでブランド力のある制作集団が形成されます。

 

 

 

まあ、だから、それには、「金」‥‥‥ですネ。

 

金、金、金、です。

 

金を避けて、先には進めません。

 

でも、金は「可変」で「ダイナミック」です。お金は一律ではなく、良い条件と悪い条件は往々にしてあります。

 

うまいこと技術力をブランド力へと転化できれば、ブランド力ゆえにお金の面で有利になり、さらに技術力を高めてブランド力を一層高めることもできます。

 

 

 

どこの世界に、安かろう悪かろうで買い叩かれるのを望む人間や集団がいるでしょうか。

 

でも、安かろう、悪かろうの仕事を続けていて、お金だけはいっぱい欲しい‥‥なんて通用しません。

 

逆も然りで、安い金で高い技術力は導入できません。

 

 

 

人は技術を為し、技術は金を為します。そして金は人を為します。

 

つまり循環します。

 

ふとした意識がきっかけで、下降していく循環構造と、上昇していく循環構造とで、命運が分かれます。

 

どちらの命運を選びたいか。

 

‥‥まあ、少なくとも私は、上昇するほう‥‥ですネ。

 

 

 


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