AST:4K制作対応チャート

漠然と4K対応の可否を思慮していても、要領を得ません。

 

まずは、自分たちのアニメーション制作集団が4Kに対応可能な状態にあるか、簡易チャートで判断してみましょう。

 

 

 

 

次世代の4K映像技術は、2018年現在の2Kと比べて、以下のような差があります。

 

2K解像度の4倍の面積=4K

秒間30フレーム(アニメの場合は24フレーム)の2倍の秒間フレーム数=60p

旧世代のテレビとの互換性を保った狭いダイナミックレンジから大幅にレンジを拡張=HDR

 

これら3つの要素に対して、自分ら制作集団がどこまで対応できるかで、2020年以降の映像産業との親和性が変化します。

 

3つどれにも対応できない場合は、現在の2K24pSDR仕様で作り続けて、アップコンバート=上位フォーマットに拡大(=水増し)して対応する選択肢となるでしょう。

 

では、何かしら4K時代に対応する場合、どのような問題が考えられるか、列記します。

 

■4K解像度に対応する場合

旧来のキャラクターデザインや背景美術の映像表現のまま、キャンバスサイズを4Kに拡大しても、4K解像度の映像効果は発揮されません。4Kのキャンバスを用いるのなら、相応の高詳細な映像表現が求められます。

 

旧来と同じデザインのまま、作業解像度だけ4Kにアップしても、線のエッジのニュアンスが変わる程度です。キャラクターデザインや背景美術、コンポジット技術(撮影技術)が2Kの作業意識のままでは、4Kへと品質向上した訴求力は全くと言って良いほど発揮されません。

 

4Kにビデオ解像度を広げたならば、その広さを有効に活用できる絵のデザインと演出技法が求められます。

 

仮に、4Kに見合った高詳細作画を実施した場合、当然ながら、作業時間と品質基準は増大します。つまり、作業費の大幅な増額を果たさずに、4K作画を実践することは不可能だと言えるでしょう。

 

 

■60p(48p)に対応する場合

旧来のアニメーション現場における実質的な作画上のフレームレートは秒間8コマ(または12コマ)で、「3コマ打ち」「8fps on 24fps」です。秒間8コマの動きは、近い未来の秒間60コマの実写の動きに慣れた一般視聴者から見れば、少なからずぎこちない動きとして認識されるようになるでしょう。

 

もし、1秒間を48コマにして、その中で「3コマ打ち」をおこなって、動きのフリッカー感(カクカクとしたぎこちない印象の動き)を軽減した場合、秒間16コマの動きとなります。1秒間を60コマにした場合だと、秒間20コマにもなります。すなわち、制作コストも相応に増大します。

 

逆に、60pのフレームレートの中で、旧来の24コマでの3コマ打ちをすると、8コマ(8フレーム)も静止画が連続することになります。60pフルモーションに慣れてしまった未来の人々が、8フレーム分も絵が止まる旧来のアニメに対して、どのように反応するのかは、今後の経緯を見守るしかありません。

 

未来の一般視聴者が、アニメ作品にだけはフレームレートの低さを許容して鑑賞するのか、2018年現在では判断しかねます。

 

旧来のフィルム由来の24コマに合わせた作画を踏襲し続けるか否かは、制作集団の判断に委ねられていますが、一方で、社会的な品質基準は高水準化の一途を辿るがゆえに、技術の時代性を考慮する必要があります。

 

一方で、新しい技術ベースにおいては、60コマの動きに関わらず、あらゆるフレームレートに対応可能です。ただし、安易にフレームレートの設定を変更すれば済むわけではなく、フレームレートに応じた残像ポージングの変化や、アクション演技やエフェクトにおけるフレームデュレーション(*のちに用語辞書にて解説)の操作が、併せて必要になります。

 

 

■HDRに対応する場合

HDRに対応するには、まず何よりも、HDRに対応する4Kディスプレイモニタが必要です。

 

HDRは、ハイ・ダイナミック・レンジの総称であり、色域の特定規格の名称ではありません。つまり、「HDR対応」を謳っている製品でも、性能には大きな違いがあります。

 

HDRのアニメ作品を制作する場合、少なくとも、DCI-P3の色域をカバーするディスプレイモニタが必要ですが、2018年現在は、3840〜4096px, 10bit, 60Hz, DCI-P3カバーなど、映像制作に必要なスペックを有する製品は、最低でも十数万円に達します。

 

DCI-P3よりもさらに広域なBT.2020色域をカバーするディスプレイモニタは、さらに高価であり、制作集団の作業環境における設備導入費用は、2KSDR時代より大幅に増大します。

 

しかし、実質的な作業量が増大する4K解像度や60pと異なり、HDRに関しては、機材の低価格化が進行し、運用事例も豊富になれば、導入のハードルも徐々に下がると推測されます。

 

 

■4K60pHDRの生理的影響

4K60pHDRは、その3要素全てにおいて、従来と比して、高解像で広範囲のスペックを持つがゆえに、視聴者の生理的影響は慎重に考慮しなければなりません。

 

例えば、秒間24コマで1コマごとに明滅した映像を見た時の視聴者サイドの生理的不快感・ダメージと、秒間60コマで1コマごとに明滅した映像を見た時では、大きく異なるでしょう。

 

また、明滅の輝度差についても、0〜100なのか、0〜300なのか、0〜1000なのかによって、視聴者側の生理的ダメージは大幅に異なることが予測できます。

 

すでに24〜30コマの現在においても、生理的不快感を物理的に引き起こす表現について、特にテレビ作品では厳しく制限されています。4K60pHDR時代においては、より一層の事前検証が求められるでしょう。

 

 

* * *

 

以上、メモ終わり。草稿です。

 

 

こうして書いてみると、やっぱり、旧来現場が未来の映像技術に追随する道は険しい‥‥と言わざる得ませんネ。今でさえ「ギャラが厳しい」「制作費が厳しい」と言ってるのに、さらなるコスト増大に猛烈に拍車がかかって、もはや「無理なのでは‥‥」とすら思えます。

 

もし旧来作画ベースで「4K60pHDR」なんて目指したら、30分1話1億くらいかかるんじゃないですかネ。あまりにも果てしなくて想像もできないです。まあ、試算すれば概算は算出できるだろうけど、それはやりたい人に任せます。

 

ゆえに、旧来技術の終着点は、2K24pHDRのように思います。HDRだけは(今は高価ですけど)機材価格の移行で導入も可能でしょう。背景美術さん、色彩設計さん、撮影さん、そして編集さんは、SDRからHDRの移行で「ひと悶着」あるかと予想しますが‥‥。

 

もちろん、新しい技術だって、開発の険しい道が延々と続きますが、歩き続ければ充分到達できそう‥‥という希望があります。そもそも新技術は新時代の社会ありきで設計されているわけですしネ。新しい技術は4K60pHDRや8K120pHDRにネイティブ対応が基本です。‥‥まあ、8Kとか120pは機材的にまだ無理(に近いくらい困難)ですけどネ。

 

 

 

 

技術に関する様々なドキュメントは、技術開発の一環として必要です。技術開発の本番作業だけでなく、ドキュメントの充実は開発プロジェクト成功の鍵を握るとも思います。技術開発者の「頭の中だけで出来上がって」いても、進展しません。

 

しかし、ドキュメントの執筆と編集は、図の作成まで含めると、相当な熱量・労力を必要とします。その点、従来技術の要点を体系的にまとめ上げた「撮ま」はホントに凄いと思います。

 

新しい技術を自分らの技術集団で定着させたいのなら、口頭伝達の「一子相伝」の職人技に頼り切るのではなく、記述としてまとめた「秘伝書」「コンフィデンシャル・マニュアル」も必要でしょうし、一般的な「標準マニュアル」「基礎解説書」も必要です。

 

まあ、こうしたドキュメントをひとりで書こうとも書けるとも思っていないですし、やがては共同で執筆し編集することになりましょう。その近い未来に向けて、まずは書けるものから書いていこうと思います。

 

 

 


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