AST:はじめに

旧来アニメ制作に関わらず、新技術ベースのアニメ制作にも、当然のことながら、根底となる「標準の技術」があります。

 

しかし、旧来アニメ制作現場は、日本人の著しく悪い習慣=「規則や決め事すら、空気を読んで、なんとなく決めていく」習慣があり、ゆえに手軽に安価に現場を組める反面、色々な場面でトラブルが頻発します。

 

例えば、「付けPAN」。

 

「付けPAN」と「Follow PAN」を同一として運用する流派もあれば、「付けPANは作画とBGが大判で、Follow PANは100F作画でBGだけ大判」だという流派もあり(その逆も然り)、もう訳がわかりません。そして、一度思い込んだ人々は決して他の人々の意見に耳を貸そうとしない傾向もあります。‥‥‥そもそも、規約も無し、用語辞書も無し‥‥となれば、誰が何を尤もらしく言おうが、特にアニメ用語に関しては誰もが「自流」でしかありません。

 

私も「付けPAN」と「Follow PAN」に関しては、ハッキリ言いまして、自信をもって使い分けできません。レイアウト時に「100F作画の付けPAN」「大判作画の付けPAN」と書くようにするくらいです。私が撮影スタッフだったら、まず知りたいのはソコだからです。

 

その昔、2000年代前半に出版されていた業界有志のアニメ技術書(今は内容が古い部分も多い)の用語辞書に「プアビスタ」「貧乏ビスタ」の語句を見た際は、腰が砕けそうになりました。用語と言うよりは、スラングだよね。でもまあ、「プアビスタ」のほうが「付けPAN」よりはマシです。「付けPAN」「Follow PAN」の混乱は収拾できないけど、「プアビスタ」の意味は1つだもんネ。

 

今までのアニメ制作における決め事の、特に撮影周りに関しては「撮影まとめ」=「撮ま」にお任せするとして、私は2020年代の新しい映像技術において、アニメーション制作技術をどのように順応させてまとめあげていくか、その「基本部分」「標準的な部分」に関して、このブログでメモ・草稿を書き綴っていこうと思います。

 

これはアニメ業界ではなく、これから未来のアニメーション制作に踏み出そうと情熱を注ぐアマ・プロの表現者の、個人および集団を意識して書くものです。その個人、集団には、私自身も含まれており、自分たち新技術制作集団の基礎としてまとめるものでもあります。

 

 

 

新年が明けて早々に「共有の悪」について書きましたが、それは「場当たり的で野放図に技術を共有してしまう過ち」が、どのような影響を個人や制作集団に及ぼすか、極めて深刻な反面で軽視もされている現状についてでした。

 

一方で、あまりにも基礎的なことすら共有できていない現実もあります。ビットマップ画像において、8bit、10bit、12bitと数字が増えていくと、どのような利点と欠点があるのか‥‥とか、そもそも2進法の数の数え方‥‥とか、これから未来はたとえアニメーターであっても、コンピュータと深く付き合うわけですから、自身のコンピュータ音痴を自嘲して自虐ネタにしてても困るわけです。

 

未来にどんなアニメが作りたいとか、どんなアニメが素晴らしいとか、そういうのは各自が好きにやれば良いのです。

 

しかし、各自が作ったアニメは、どんな思想や表現の主張があろうと、現在は実質上、完成形は全てデジタルデータです。どんなに「自然派」「アナログ派」を気取ろうが、デジタルデータフォーマットの箱の中に収められ、視聴者に公開・配布されます。

 

そうした現実を踏まえ、コンピュータ運用を基幹とした未来においては、誰にも共通する「標準技術」に関しては「共有」し、各自各集団が「自分たちの表現」に用いる「独自技術」に関しては「固守」すれば良いのです。そして技術を持つもの同士で、ライセンスという一定の技術の対価を踏まえて交流すれば良いのです。

 

つまり、技術に関しても「寛厳よろしきを得る」‥‥です。

 

 

 

 

上図の緑の部分が、標準技術です。標準技術と独自技術の両輪があってこそ、「絵を描いて、映像を作る」未来の取り組みが全うできます。‥‥ただ、私は2Dアニメーションで精一杯。映像技術全体は果てしない‥‥ですネ。

 

野放図でも場当たりでもなく、ちゃんと明確なガイドラインを敷いて、技術や知識や用語を「セグメント」できっちり分けて、計画的に共有・非共有すれば、質の高い映像作品制作の競争原理を実現できると思っています。

 

まあ、私はコテコテの日本人として育ちましたが、アニメ業界の狭い世界だけでなく色々な映像ジャンルの、狭い日本だけでなく国内外の、様々な運用手法や制作意識の中で作業して、アニメ業界ボケした自身の目が醒める思いを何度も体験してきました。それこそ、棚の置き方一つとっても‥‥です。日本のアニメ業界のアニメ現場の限定的な視野だと、意識すら及ばない事って、いくらでもあるのです。

 

今までのアニメ現場は色々なしがらみがあって仕方ないとしても、これからの新しい技術による新しいアニメ現場は、意識から変えていかねばならない‥‥‥と痛感します。

 

どんなに道具を変えてもさ‥‥意識が変わらなければ、同じことを繰り返すだけだから‥‥‥さ。

 

ちなみに、表題の「AST」とは、「アニメーション標準技術」の略です。「標準アニメーション技術」ではなく「アニメーションにおける標準技術」としたかったので、SATではなくASTとしました。「アスト」と呼べば良いかな‥‥と思います。

 

SAT〜「サッと」片付けるアニメ制作ではなく、AST〜「あす(明日)と」共に歩むアニメ制作‥‥という心意気も込めて。…まあ、ダジャレ、こじつけ、ですけど。

 

 

 

まあ、肩を張らず、思いついた「標準的なこと」をメモしていこうと思います。技術書や用語辞書にまとめるのは、別の取り組みにして、まずは覚書的に。

 

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< June 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM