パワーゲームをしない選択

海を見たことがなければ、海の広さや深さ、そして海産物の豊かさなど、実感を持って理解することは不可能です。その「海」にあたるのが、未来の映像フォーマットによる映像ビジネスのフィールドです。アニメ業界の多くの人々は、池や沼、広くても湖しか知らない人が多く、「海」を知らないがゆえに「海でビジネスする」イメージを持てないのは、アニメ業界の現状としてはしょうがないことだとは承知しています。

 

では、勝手知ったる池や湖で、どれだけ楽しく豊かに商売できているか‥‥と言えば、最近の報道〜業界のブラック事情からも解る通り、どんどん限界点が迫ってきているのを、少なくとも業界で作業している人なら実感しているはずです。今の状況は悪くなることは予想できても、良くなることは考えにくいです。それこそ、「乱獲」しすぎて、「死の沼」になることすら思い浮かびます。

 

池や湖での生活はどんどん苦しくなる。かと言って、海に乗り出す準備など全くしていない。

 

しかも、今まで力を貸してくれていた外国の労働力は、「自分の国で商売すれば良い」ことに気がつき始めた‥‥となると、至るところ、弱味だらけです。

 

 

でもね‥‥、「どんなに劣勢だと解っていても、もう止められない」のは、今も昔も同じ。まるで、太平洋戦争末期日本における断末魔の様相です。

 

戦争末期と同じ状況は、今のアニメ業界でも等しく繰り返されています。「神風(しんぷう)特別攻撃隊」「ゾンダーコマンド・エルベ」が編成される時点でその国の「負けが確定」するのと同じく、新入の人材が「若い時期に数年だけアニメ業界で働いて健康状態を著しく壊して辞める」というのは、アニメ制作の「特攻」による「戦死」であって、未来のアニメ業界の破綻を予言しています。はっきり申しまして、私が20代だった20〜30年前より、現在は格段に過酷です。

 

私はもう、そうした特攻作戦の指揮官になるのも嫌ですし、特攻部隊の隊長になるのも嫌です。ちゃんと任務完了して生還して、次の戦いで経験値を活かして、もっと強く闘える軍団を作りたいです。

 

ゆえに、血で染まっていない海=ブルーオーシャンでビジネスをしたいわけですが、自覚なしに今までと同じ戦い方をしたら、あっという間に海に血が流れ出してレッドオーシャンへと汚染されるでしょう。海をブルーなまま維持するよう、最大限の注意と努力が必要です。

 

そのためには、互いに相手の体を刀で切り刻み合って血だらけになる「パワーゲーム」に陥らないことです。

 

「正々堂々勝負しろ」と相手が刀を振りかざして突進してきたら、対人地雷とアサルトライフルで対抗すれば良いです。相手を近づけさせない戦い方‥‥です。なぜ、相手と同じ武器や戦法で戦わなければいけないのか、ビジネスや作品作りは「競技じゃない」んですから、自分らの強みと最新技術を駆使した武器を選択すれば良いことです。

 

それに‥‥です。為す術もなく累々と特攻の戦死者の屍を積み上げている当時者は、決して「正々堂々」とは言えない‥‥ですよね。

 

進め一億火の玉、一人十殺、一人百殺、海ゆかば水漬く屍、山ゆかば草むす屍‥‥が正義で力=パワーなのだとしたら、私はそんなパワーゲームではなく、現在と未来の世界的な技術進化を武器にした戦い方で勝ちに獲りに行きたいと思います。

 

大量生産、短期生産、作画枚数競争、値引きディスカウント競争‥‥と言ったパワーゲームに巻き込まれて久しい、現在のアニメ業界。

 

そうしたパワーゲームからいち抜けして、全く違うアプローチ・価値観で対峙する方法こそ、小国日本が選択すべき最善の道だと確信しています。

 

 

 


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