伸びしろの有った時代、無い時代

連続テレビ小説の記念すべき第100作は、なんとアニメーターが主役だそうな。凄いね。

 

日本のアニメ制作の創生期が舞台‥‥とのことで、「丁寧に」劇場アニメを作っていた1960年前後の頃を描くのでしょうかね。‥‥であれば、朝のテレビ小説に相応しい希望に満ちた内容にもなりそうな予感です。

 

創生期、黎明期を扱うのであれば、2017年現在のアニメ業界が失っている「アニメーションを造る根源的な意識」を呼び覚ます内容にもなりそうです。

 

しかし、現在のテレビアニメ制作事情、過酷な現場の状況を嫌というほど思い知っている人間からすれば、ただただ、辛い想いにかられる内容にもなりそうな予感もします。

 

 

何もかも初めてのことだらけで困難の連続だけど、同時に、たくさんの伸びしろもあった時代は、「やりがい」「生きがい」「未来への希望」に満ちていたでしょう。アニメーション映画、テレビ漫画が成長していく過程は、日本の戦後の復興と成長にシンクロしており、困難を乗り越えた先には幸せが待っていると、純粋に思えたことでしょう。

 

しかし、今は「困難の連続」の質が全く違いますもんね。


そして、社会の状況はあまりにも違います。

 

 

昔はね‥‥。

 

日曜にデパートのレストランにいけばどのテーブルにもお子様ランチを食べている子供がいて、映像産業がまだ未発達だったがゆえに絵が動くこと自体に人々が驚いて、テレビが普及すれば子供向けのテレビ番組はゴールデンタイムで、玩具やお菓子など子供向けの商売が盛りだくさんで‥‥という団塊&団塊ジュニアのピークは、今思えば、社会全体がゴールドラッシュだったのかも知れません。アメリカの戦後の黄金時代も多少の時差はあれどシンクロしてましたしね。

 

ネットもタブレットもなかったけど、それを凌駕して余るヒューマンパワーがひしめいていました。

 

アニメ業界自体に伸びしろがたくさん有って、作画技法や演出技法にもまだ未開拓のフィールドがたくさん残されていた頃をドラマで見せつけらるのは、今の世の中、‥‥なかなか残酷なものがある‥‥かも知れないですね。

 

私は1980年代後半から、アニメの作画でお金を稼ぎ始めましたが、その頃ですら、今よりは希望が持てました。‥‥まあ、それは若さゆえの錯覚だったのかも知れませんが、確実に作画の内容は今より軽く(=単純に線の数を数えれば解ります)、「アニメーターで喰えそうな予感」はありました。

 

しかし、今は作画だけで生きていけるとは思えません。手広く、絵全般に関わること、映像全般に関わることをこなして、総合的に稼ぐ方法を実践する必要があります。

 

 

どうせなら、2017年現在のアニメ業界のアニメーターの話を扱ってくれれば良かったのに。

 

でもまあ、それでは、朝の8:00からはキツ過ぎるのかな‥‥。

 

 

アニメ業界も、リニアに伸びしろの少ない未来へと下降していったわけでは無いです。少なくとも私は、1996年から2005年までの「デジタルアニメーション黎明期」は希望を持てておりました。

 

‥‥ですが、様々な制作会社がセルとフィルムを捨てて、新興の会社も増え、皆がドドドっと「デジタルアニメーション」に参入して、一気に「レッドオーシャン」化しました。作業の値段がどんどん下がって、スケジュールもあっという間に短縮され、今の状況に至りました。2006〜2010年くらいの数年間に「デジタルアニメーション」の未来は実質的に破壊されたのです。

 

業界の窮状‥‥と現場の人間は言うけれど、青かった海が、あれよあれよと言う間に、業界内部の当人たちによって赤く染まったのを私は目の当たりにしたので、「海を赤くしてしまった当人たちが、改善して青く戻すしか道はない」と思っております。今の現場を大切に思う人々がブルーへと海を蘇らせるしかないです。

 

 

現在の私は、新たなアニメーション技術の黎明期を形成すべく、色々と行動中です。今日、ようやく仕事場に4Kのメインモニタも導入され、新しい時代のアニメーションの足場がまた1つ積み上がりました。

 

伸びしろがたくさんありすぎて、すぐにでももっと人を増やして手分けして伸びしろを埋めていきたいところではありますが、まあ、新しいプロジェクトやムーブメントには試練がつきものですから、焦らず急いで頑張る所存です。

 

‥‥と同時に、1960〜80年までの経緯、2006〜2017年現在までの経緯を踏まえて、「レッドオーシャン」化に引き摺り込まれる同じ轍は踏まない心構えです。作業スタッフの雇用の問題も含め、旧来の考えは全て白紙に戻し、新しい思想とドクトリンで創生期を切り開いていかねばなりません。

 

アニメーション創生期を扱った2019年の連続テレビ小説は、ちょうどその頃の私にとって、まさに感慨深いテレビ番組になるような気も‥‥‥します。

 

 



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