60pと24p

仕事柄、60pの映像を日常的に見るようになって、ふと24pの映像を見ると、ハッキリとコマ数が少ないことがわかるようになりました。

 

「60pを見続けた後に、24pを見ると、QT再生でフレーム落ちしているように見える」と聞いて、「そんな大げさな」と思っていたのですが、確かに、60pを見た直後に24pを見るとコマが少ないのがハッキリ視認できます。

 

たまに耳にする論調で、「1秒に24枚もあればフレーム数は十分。24フレームと60フレームの差なんて、人間は知覚できない」というのがあります。‥‥思うに、それは頭の中で考えた「空論」で、実際に現物を色々と見れば、「差って、ちゃんとわかるんだね」と、頭ではなく目で理解できます。

 

静止した情景・被写体で24pと60pを比べても差がないのは当然で、大きな差が出て来るのは「大きく速く動いた時」です。シルエットの変化が大きく、動作も速ければ速いほど、24pと60pの差は誰にでも知覚できます。

 

4Kの需要、60pの需要は、果たしてあるのか?

 

‥‥そうした事前の脳内のシミュレーションは、実際に人々がスマホで4K60pで日常茶飯事にムービーを撮るようになれば、あっけなく駆逐されます。

 

日本で圧倒的なシェアを誇るiPhoneが「8」「X」となり、4K60p映像を気軽に撮影できるようになれば、人々は徐々に4K60pの映像に無意識に慣れていきます。映像業界、アニメ業界の事情など全く関係なしに、普通の人々がスマホという媒体によって旧来の2K24p/30pから4K60pへと馴染んでいきます。

 

H.265の実装は、4K60pをカジュアル(=低容量で扱いやすい)にするために、どうしても必要なものですが、当然ながら、新しいmacOSもiOSもH.265を有します。

 

次のご家庭のテレビ買い替え時期には、ごく普通に4KHDRテレビになり、そのテレビのHDMIに繋がっている映像配信の端末には4KHDRのコンテンツが供給され、例えばApple TV 4Kのような端末ならば、iPhone8で撮影した4K60pのプライベートムービーをそのままテレビに「AirPlay」で再生できるようになるでしょう。

 

 

人々、特に映像業界の人間の中には、新しい高品質の何かが出るたびに、「オーバースペックだ」「使い道がない」「その高品質の中で、何をすれば良いか、見当もつかない」と言う人がいます。「今ので十分」派の人々です。

 

現在ごくありふれた規格となったHDが、いよいよ実用として姿を現し始めた時も、「ハイビジョンなんか必要ない。現行地上アナログ波の映像規格で十分だ」という人を何人も見ましたし、Webの論調でも多く見かけました。

 

今にして思うと、おかしな話なんですが、でもまあ、「人の常」なんでしょうね。

 

「今ので十分」派の人々は、毎回同じ論調を繰り返し、世間が馴染んで自分もちゃっかりとその技術に馴染んだ際には、「昔のことはなかったことにする」派でもあるのです。‥‥少しは学習すれば良いのに‥‥と思いますが。

 

一方で、「3Dテレビ(ステレオグラム)は流行らなかったんだから、4Kだって怪しい」という言葉も聞いたことがあります。でも、考えてみれば簡単にわかりますよね。なぜお茶の間に、3Dテレビがはやらなかったのか?‥‥は。

 

3Dテレビは、日常でテレビを見るには、「鬱陶しい」のひとことに尽きたのです。裸眼立体視ならともかく、珍妙な被りものを強制しないと楽しめない3Dテレビが、家庭のリビングに受け入れられるはずがなかったのです。私は新しもの好きではありますが、3Dテレビは買う気になれませんでした。

 

家庭でステレオグラムを見るならば、今のところ、HMDの一択しかなく、それは家族ではなく個人用途で伸びていくと思います。そして、ステレオグラムのHMDは、近い未来の「ダークホース」になる予感すら感じます。HMDの解像度が16Kとか32Kになれば、人間の「体験の価値」を大きく変動させる存在にすらなり得ます。

 

 

話を戻して24pと60p。

 

アニメ業界、映像業界の都合で、世界が動くのではない‥‥のは、誰でもわかることです。

 

Apple社のiPhone8が4K60pのムービー撮影を可能にした以上、他社、他ジャンルの「撮影端末」も、負けじと同じ機能を搭載してくるでしょう。

 

そして、人々は、4K60pの映像を、ごく普通の日常の中で、手軽に用いて鑑賞するようになるでしょう。

 

ラジオ、テレビ、カラーテレビ、ハイビジョンテレビ‥‥と人々がブロードキャストの技術革新の中で、ごく自然にテクノロジーに馴染んでいった歴史から学びましょう。

 

「4K60pHDRに至っては、世間の人々は拒絶してくれるはず」‥‥とでも、アニメ業界の人々は思いたいのでしょうか。‥‥ありえませんよね。

 

それどころか、自前の4k60pホームムービーと、アニメの2Kの2コマ3コマ打ちのムービーの差に、徐々に違和感と不快感を感じるようになる‥‥ことも想像できます。「何でアニメって、こんなにぼやけてるし動きがカクカクして見づらいの?」とすら言われてもおかしくない時代がくるかも知れません。

 

「4K60pのアニメ映像に慣れると、今までのアニメはまるでチャップリンのトーキー映画のように見える」と言っている人がいました。私も、作画の技術や絵作りの技術ではなく、映像全体のテクノロジーで見れば、同じように思います。

 

現場スタッフの技術がどんなに高くても、24pの「フレーム落ち」感はどうにも払拭できません。

 

アニメ業界は「現場の窮状」の話題が深刻ですが、実はもっと、根本的な「大きな技術転換の波」=津波級の大混乱を、近い未来に迎えるのではないか‥‥と、日々の水面下の状況を見ていて思います。

 

現代の労働基準、そして技術革新など、新しい時代の波にのれず、アニメ業界が冬の時代を迎えたとしても、その冬が新しい春を迎えるためのものなら、それは受け入れるべき必然の冬の時代‥‥なのかも知れませんネ。

 

 


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