ガセネタ

私がギターを弾き始めた頃、音楽雑誌に掲載されていた「奏法譜」を頼りに練習することも多かったのですが、これがまた、色々と難があって(=難ありを自覚できたのは後になってからですが)、少なからず混乱していました。よりによって、奏法を指南する奏法譜が、遠回りや挫折のきっかけになっていたことも、しばしばあったのです。皮肉‥‥としかいいようもありませんが、採譜する人にしたって、楽曲を演奏したギタリスト本人に聞いたわけではなくて、全部、採譜者の耳で拾ってるんですから、運指のポジションが違う!と言うのも、酷といえば酷です。

 

しかし、「このギタリストはこう弾いている!」と書かれた記事を読めば、特に年少者は真に受けてしまうわけです。それが憶測の産物で、裏付けのない仮説であっても‥‥です。

 

エドワード・ヴァン・ヘイレンが登場した時は、そうした「ガセネタ」を至る所で目にしました。そうス‥‥「ライトハンド奏法」がらみです。

 

有名な「Eruption」は、ライトハンド奏法の代名詞とも言える曲ですが、後半の有名な分散和音を、通常の運指とピッキングで解説している奏法譜を音楽雑誌で見たことがあります。私は小学校6年か中学校1年くらいの子供でしたが、その誤りを痛烈に記憶しております。おそらく、採譜者さんは「You Really Got Me」のミュージックビデオ(ライトハンド奏法の様子が映ります)を未見だったのでしょうネ。

 

最近、昔の音楽雑誌を眺めていて、やっぱりライトハンド奏法がらみで出てきました。「ガセ」が。

 

 

スパニッシュフライ」は、エドワード・ヴァン・ヘイレンが、ガットギター(別名クラシックギターと呼ばれる)を用いたソロ曲ですが、ガット弦(ナイロン製かどうか、材質的なことはわかりません)を豪快にライトハンド奏法で弾きまくります。

 

雑誌には色々と読者を悩ます記述が溢れています。まずこれ。

 

*写っているギターがSGなのが、「この時代の感じ」ですネ。

 

うーん。今だから解るけど、オープンチューニングは必要ないんですよネ。普通に6弦からEADGBEで弾くことが可能です。なぜ、オープンチューニングだと分析したのかは、ナゾです。冒頭の分散和音の解析で深読みしすぎたのかなあ‥‥。奏法があまりにも想像できなさ過ぎるので、さぞトリッキーなことをしてるんだろうと邪推したのか‥‥。

 

で、この頃にありがちな「ライトハンド奏法を、旧来の奏法で分析する」という典型がまさにコレ。

 

 

オープンチューニングでのTAB譜だと思うので、さらに混乱しますが、それはおいといて、何よりもまず、最初の分散和音が、アルペジオということになっています。 これはキツい。実際は、開放弦を含むライトハンドによる4つの音の往復フレーズです。

 

もしかしたら、クラシックギター畑の人は、このアルペジオを弾けちゃうかも知れませんが、雰囲気はかなり違ってしまうはずです。ライトハンド奏法ですと、単一弦で弾くので、スラーでモノフォニックな音になるので、アルペジオのように音が同時に混ざらないのです。

 

実際、このTAB譜を採譜した人は、エドワード・ヴァン・ヘイレンと同じニュアンスで弾けていたのか、甚だ疑わしいですネ。とりあえず、音符だけ拾った感じ‥‥ですかね。

 

ライトハンドで採譜している部分も、ポジションに誤記があります。いや、誤記というよりは、誤採譜というべきか。

 

 

 

‥‥で、解説の最後に、このような一文でまとめてあります。

 

 

言っていることは至極正しいです。

 

しかし‥‥‥‥‥‥‥、正確なテクニック云々を諭すのなら、まずは正確な採譜を実践してから‥‥ですネ。

 

「とにかく頑張って欲しい」というのは、採譜した本人の「心の声」かも知れないですネ。「採譜してみたけど、自分では弾ける気がしない。弾けそうな人がいたら、頑張って欲しい‥‥!」という。

 

 

ちなみに、スパニッシュフライは、実はライトハンドの部分は、慣れてしまえばコンスタントに弾ける手堅い部分です。間違った採譜では鬼のように難しくなってますが、ライトハンド奏法なら思いの外すんなりと弾けちゃいます。ライトハンドに慣れていればそんなに難しい内容ではないです。

 

スパニッシュフライは、なによりも、エレキ弦ではなく、ナイロンのぶっとい弦で綺麗に弾くのが難しいことと、中間部のピックを使った速弾きの部分をごまかさずに弾くことが難しいと思います。エレキと違って、弦高は高いですしネ。ガットギターは電気で音量が増幅されるわけではないので、粒立ちの良い出音を心がけないと、音楽になりません。それが一番、この曲の難しいところだと感じます。

 

 

ガセ。誤情報。悩ましい限りですが、では、現代はどうか‥‥というと、昔よりガセネタの危険は多いように思います。正確に言えば、ガセネタの感染速度が速く、感染範囲も広い‥‥というべきでしょうかネ。

 

しかし一方では、昔では得難い情報も得られるので、要は当人の「情報分析スキル」次第なんでしょうネ。

 

 

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM