デジタルピアノ

私が馴染んだデジタルピアノは、20年前以上に実家で購入したヤマハのクラビノーバで、20万円くらいしました。同時発音数は16か32、空間系のエフェクトは3種類のリバーブだけ、音は今となっては特筆すべき点もない普通のサンプリング音‥‥ですが、それなりに気に入っています。

 

究極のエントリーモデルの3万円デジタルピアノはともかくとして、20年前当時と同じ金額を投じるなら、それはもう別次元のクオリティのデジタルピアノが購入できます。音源は言うに及ばず、鍵盤もペダルもスピーカーも、何もかも、進化しております。以前はハーフペダルに対応しているだけで「おお」となったものですが、今のペダルは何でしょうか、「プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダル」??

 

RolandのHP603HP605は、まさに15〜20万円クラスの昔ながらのデジタルピアノ普及機〜標準機と言えるモデルで、そのカタログスペックやデモ演奏を見聞きするだに、やはり「現代はズルい」と言いたくなるような製品です。今、ピアノを弾いてみようかな‥‥と思う人は、いきなりこのクオリティの製品を買えるのか‥‥と。

 

 

国内楽器店の「製品弾き比べ」のYouTubeビデオは、楽器店らしからぬ酷い録音状態で、全く参考になりませんので、国外楽器店のレビューが参考になります。楽器店が「これが製品の音です」と紹介する場合、ちゃんと音質にも気をかけてほしいですよネ。製品の音の良し悪しよりも、録音状態の良し悪しがまず問われるようではどうにもならんです。こちらのポーランドの楽器実演レビューは、ZOOMのレコーダー(H6)を用いて気を使って録音しているので、HP603の素性がよく聴いて取れます。

 

 

最近のデジタルピアノの「モダン=現用」をあまり知ろうともしなかったので、HP603や605は驚くことばかりです。

 

まず音源。打鍵した音だけでなく、共鳴する音もシミュレーションして音を出す仕組みが、上位機種のテクノロジから導入されており、その名も「スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源」を、なんと、ソロピアノ時は同時発音数無制限(!?)、他の音色でも384音と、圧倒的な同時発音数を誇ります。無制限の同時発音って、どういう仕組みなんだろう‥‥。

 

まあ、実家の20年前以上のクラビノーバは、MacがそれこそMC68040だPPC601だとか言ってた頃の製品ですから、比べるほうが酷ですが、それにしても遥かなる進化を遂げたものです。

 

デモ演奏を聴くと、「デジタル」ならではのあまりにも綺麗な音(雑味を感じない整形された音)ではありますが、十分満足して気分に浸れる音です。デモを聴く限り、特にポップスピアノのフレーズにおいては、オンマイクで収録して整形した生ピアノ音と聴きわけがつかないレベルですもんネ。

 

ピアノデザイナーというアプリを使って、ピアノの音の構成要素を自分なりにモデファイできる「スキモノ」好みの機能も有しております。その要素は‥‥

 

大屋根
キーオフノイズ
ハンマーノイズ
アリコート
全鍵ストリングレゾナンス
ダンパーレゾナンス
キーオフレゾナンス
キャビネットレゾナンス
サウンドボードタイプ
ダンパーノイズ
88鍵チューニング(ストレッチ・チューニング)
88鍵ボリューム
88鍵キャラクター

 

‥‥と、サンプリングして発音するだけではない、まさにモデリング音源という名にふさわしい内容です。もしかしたら、ピアノデザイナーをうまく調整すれば、生ピアノの収録音のようなある種の「粗さ」「ささくれ感」も表現できるかも知れないですネ。調律も、近代の平均律だけでなく、ベルクマイスターやキルンベルガーなどもパラメータで選択できるのは、デジタルピアノならではです。

 

鍵盤も丁寧に設計され作り込まれておりますし(「PHA-50」という鍵盤らしい)、ペダルは単にサスティンのスイッチではなく音質の変化まで表現しているし、USB MIDIインタフェースを別途購入しなくても最初からUSBが実装されているし、昔のデジタルピアノとの落差は半端じゃないです。

 

HP603が「エントリー=入門機種」と言われても、「はい、そうですか」とは全く言えません。ピアニストを目指すのでもなければ、HP603で十分、音にこだわるのなら6スピーカーのHP605で十分過ぎるでしょう。

 

ちなみに、私が良いなあ‥‥と思っている「Kiyola」は、HP603系の真骨頂であるモデリング音源や鍵盤のクオリティを受け継ぎ、さらに「木製品」としてのクオリティを盛り込んだモデルです。‥‥ゆえに、35万円前後とお高いですが、それにしたって、iMac 5Kを1台と思えば、かたや、買えば十数年以上は確実に使えるデジタルピアノ、一方は5年くらいで現役引退のパソコンですから、お金の年数的な価値は、ことデジタルピアノに至っては高いです。

 

 

しかしまあ、15万円台でHP603か‥‥‥。凄いとしか言いようがないよな‥‥。

 

今、「ピアノでもやってみようか」と思う人たちが、羨ましい限りです。その点、昔はなあ‥‥‥とボヤきがちですが、考えてみれば、デジタルピアノが20数年前に存在していてくれただけでも私の世代はラッキーと言えばラッキーなんですよネ。昔話はきりがないですからネ。

 

 

 

ちなみに「デジタルピアノ」という言葉。

 

今では、昔「デジタルピアノ」という言葉を使っていたメーカーも、「電子ピアノ」とか「ホームピアノ」などの名称に移行している雰囲気がありますネ。

 

私は、デジタルピアノなるものが市場に登場した際、「楽器で一番重要な発音のメカニズムを、デジタルサンプリング処理によって実現している」ことが「デジタルピアノ」の名称からすぐに判別できたので、特に違和感はありませんでしたし、今でも自覚して用いています。

 

まあ、「デジタル鍵盤」「デジタルペダル」なんて言い出したら、「それはないでしょ」と拒絶するとは思いますけど、既にメーカー側で「デジタル」の単語を安易に用いるのを避けているようにも思えます。まあ、そりゃあ、そうだわな。ちょっと前時代っぽい使い方だもんね、「デジタル何々」なんていう名称はね。

 

私が18歳のころにようやく手にできた88鍵の鍵盤楽器は、まさに電子ピアノというべき「PF80」でした。PF80は「デジタルピアノ」以前のスペックで、大きな違いは音源がサンプリング系の音源ではなく、FM音源でした。おそらくオシレータはデジタル回路だと思うので、広義では「デジタルピアノ」と呼べなくもないですが、実際は「デジタルピアノ」と呼ぶことはなく、「エレピ」の分類でした。

 

エレピ=エレクトリック(エレクトロニック)ピアノ=電気ピアノ・電子ピアノ‥‥で、私のような昭和生まれの人間は、電子ピアノというと、生ピアノとは似ても似つかない音を出すピアノの印象が強いので、どうしてもサンプリング系・モデリング系のピアノは、「デジタルピアノ」と呼びたいわけです。

 

‥‥で、もっとややこしいのは、実際に弦や音叉をハンマーで叩いて、それをピックアップマイクで拾う、まさに「電気ピアノ」も存在します。「電気」と「電子」の差‥‥です。昔、バンドの練習スタジオにあったヤマハのアップライトのエレピ(多分、中身は弦が張ってあったと思います)は、練習の合間に弾くのを楽しみにしていましたが、まさに「電気式で音量を増大するピアノ」でした。

 

PF80はFM音源ですから、「電気のピアノ」とはいえず、「電子のピアノ」ですが、カテゴリとしては「エレピ」に分類されていました。今だと「ステージピアノ」とか呼ばれるジャンルです。

 

まあ、分類ありきで製品が出現するのではなく、分類は後付けですからネ。混乱するのはある程度しょうがないですね。

 

 

 

 

 


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