指先を動かす

指は第二の脳‥‥なんて言われますが、体性感覚のペンフィールドの地図が示す通り、手と指の「感覚野」「運動野」に占める割合や重要性は大きく、ヒトは5本の指を器用に用いるからこそヒト為らしめる‥‥とも言えるのでしょう。

若い頃はね‥‥、指を動かすことなど特に意識してなくても活発に活動できているので、気にすることは極めて少ないのですが、歳を喰ってくると、体の感覚が徐々に衰えてくるのを実感できます。

 

キモチの問題では解決できない、関節の軟骨的、コラーゲン的なものとか、筋肉のこわばりとか、どこかで「‥‥自分にもいよいよガタが出始めたか」と観念しなければならない時期がやってきます。いつまでも若いことなんて、物理的にありえないのです。かならず「中古」品に、自分の体は変化していきます。

 

バイクいじりをしていた経験から考えるに、酷使するのと同じくらい、テキトーに放置するのが、メカの故障の原因になります。「温存」とばかりに、中途半端に使わないでおくのは、実は一番故障しやすいんですよネ。まあ、ホンダは1年放っておいても数回のキックでエンジンが始動したりとかなりタフだったり、カワサキなんて3ヶ月放置しただけでエンジンがかからない‥‥とか、個体差はありますが、テキトーに使って、テキトーに使いっぱなしで、テキトーに放置するのは、「どうぞ、故障してくれ」と言わんばかりです。

 

それは自分の体も同じ。

 

メカニズムの機能低下=老化は、もしかしたら、指先を使わない習慣からも引き起こされる‥‥かも知れないと、最近感じます。指示だけ出すような立場に移行していくことで、どんどん指先を使うことが少なくなっていって‥‥と、いかにもアラウンド40以降にありがちな光景です。

 

絵や映像を思考して具現化していく職業として考えるならば、以前は自由に動いていた自分の指先が、怠けていることによって動かなくなっていくのは、「恐怖」でもあります。

 

「今は色々な経験も積んで、指先ではなく、頭の中の知識で、物事を動かしていく」なんて思っていても、頭でばかり考えがちになって物事を観念的に捉えるようになったら、それは劣化の始まりだとも思うのです。指先を動かさない=物事を頭だけで捉えて実体がない‥‥というのは、実はとてつもなくマズい行動パターンだと昔から感じていました。

 

歳をとってくると、指や体は使わないで、頭と口(文章)しか使わなくなる人は結構居るように思います。どんなに歳をとっても、「指と体と頭と口、目、耳」といった全センサーとデバイスを活用するように心がけないとダメです。体を壊して健康状態を害したことで、みるみる短期間のうちに、観念的で実体を伴わない行動パターンへと変化していった人を知っています。体の自由が効かないと、頭だけで考え、文章と会話だけで伝えようとするので、いつしか固着した概念の抜け出せないループにハマっていく‥‥のでしょう。

 

作品を作り出す柔軟性が欠けていく。思考が安全牌に凝り固まっていく。表現様式の度が過ぎて固定観念に束縛されていく。‥‥というのは、まさに映像制作者としての「死」を意味しますもんネ。

 

 

自分はどうか。

 

指は以前のように動かしてはいないですね‥‥。

 

キーボードとマウス、Apple Pencilは使っていますが、あくまで自分の使いやすい方法で使うだけです。

 

その点、20代の頃は、ピアノとギターを毎日の日課のように弾いていましたので、「自分の使いにくい」指の動かし方を、毎日実践していたとも言えます。

 

ピアノやギターは、鉛筆を指先で使うのとは、全く違うフィールドの難しさです。ある程度は自分の弾きやすいモデファイは可能ですが、絶対的に「リアルタイムにフレーズを弾かなければならない」ところが、鉛筆やマウスやキーボードとは大きく異なります。

 

鉛筆やApple Pencilで絵を描くとき、キーボードで文字入力するとき、4分音符=120で正確にペースを保って絵を描いたり入力する‥‥なんてないですもんネ。まあ、速さは必要ですが、描くテンポはフリーテンポです。

 

音楽の演奏はそうはいきません。4分音符=120のテンポ(1分で120拍=1秒で2拍)で16分音符を弾くには、1秒あたり8個の音符を正確に順序良く弾く必要があります。

 

スゴく基本的なこと‥‥‥‥ですが、それって大変なんですよネ。ぶっちゃけ。

*基礎的なことでもあるので軽視されがちですが(=正式な音楽教育を受けていないと特に)、正確に拍に合わせて演奏する‥‥というのは、とても重要な基礎技術です。

 

‥‥で、最近の私は、そういうことにあまり時間を割いてないです。作業の疲れをとるために休息も必要だと思うのですが、自分の「第二の脳のメンテ」も同じくらい必要なのかもな‥‥と思います。

 

 

ちまたでは、「指のグルグル体操」というのがあるらしいですが、鍵盤楽曲には「指がなまってたら絶対に弾けない」類いの、リハビリに最適な曲も数多いです。

 

グルグル体操的に、指のメンテによさげなのは、例えば、バッハのBWV884「平均律2巻のト長調」とかです。1小節目から、「指の分離運動体操」のような曲です。

 

 

メンテ視点なら、こんなに速めに弾かなくても良いです。片手ずつでスローテンポでも良いと思います。

 

1小節目の最初から、右手の小指を軸にするフレーズがありますが、そげな指の動き、日常生活では全くと言って良いほど必要としないので、ピアノを弾いたことのない人は特に難しいはずです。

 

鍵盤がなくてもできるように、指の動きだけで説明すると‥‥

 

5 4 5 3 5 2 5 1 5 2 5 3 5 4 5 〜リピート

 

‥‥です。親指から数えて、親指が1、人差し指は2、中指は3、薬指は4、小指が5です。

 

この運指のキツいところは、小指を軸にした、薬指や中指との往復の動きですネ。簡略系で、「5 4 5 3」の繰り返しでも相当「日頃の甘えた指の動きに喝!」をいれられるでしょう。

 

 

 

で、私。

 

最近また、あまりピアノを弾かなくなっているのですが(音符入力や楽曲分析で鍵盤はイジるけど、楽曲の演奏としてはご無沙汰)、「キモチわるいほど、ムズ痒く、指が分離しない」です。そんなんじゃあ、色んな感覚が鈍るわ。

 

絵も描くし、キーボードもタイプするし、スマホもイジるけど、やっぱり「自分の動きやすい」方に流れがちです。指の運動は、うまく動かなくて、もどかしいのを克服するくらいで丁度良いです。

 

歳喰って、指を動かさなくなるのは、ちょっと危険な兆候だよネ。「指のメンテがてら、愉しんで」気を張らずに細く長く続けるのが良いのでしょう。

 

指は、やっぱり、動かさなければ固まってきますネ。‥‥しみじみ実感。

 

 


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