筆塗り雑感。

作りかけで放置していた「パンサー中戦車」を20年ぶりに作業再開した際、以前の塗装が絵画技法でいうところの「下塗り」と同じ効果となって、妙に味のある塗装面になったのは、思わぬ収穫でした。

 

考えてみれば、あらかじめ「オキサイドレッド」のサーフェイサーを吹く方法=下塗りの際に落差の大きい色で塗装する方法は、エアブラシをメインとした技法でも定番です。私も1/72スケールのAFVで実践していますが、実のところは、マティエールが無機質になりがちなエアブラシでは効果がハッキリとは表れませんでした。

 

 

しかし、田中式塗装術、アクリル絵画式塗装法ならば、オキサイドレッドやハルレッドの下地、ランダムにまだらに暗色で塗りつぶした下地が、筆のマティエールとの相乗効果によって、かなり「風情のある」塗装面が期待できそうです。

 

前回の「パンサー中戦車」は未塗装のパーツもあり、パーツ成型色のダークイエローの上に、塗料のダークイエローを上塗りした箇所もありました。しかし、同系色の下塗りに、同系色を上塗りをしても、ほとんど効果がなかったところから察するに、塗装色の隠蔽力もある程度計算に入れて、「透けた後の効果」を狙って塗ったほうが良い‥‥というのも、実は絵画技法そのまんま‥‥です。

 

絵画技法から応用できる要素は、筆塗り塗装に関しては、豊富にありそうです。

 

試しに、今度は1/48の、これまた20年越しで放置中の航空機モデルがいくつかあるので、「ダメでもともと」で下塗りの塗装を試行錯誤してみようかと思っています。

 

まずはアリイ(オオタキ)の四式戦「疾風」あたりでやってみようかと思いますが、疾風は陸軍のダークグリーンと無塗装銀の2種類があるようなので、どちらをやってみようか、考え中です。

 

ダークグリーンの場合、下地の色は何色にすべきか、また、銀色の場合、下地の色相に影響されて寒色・暖色如何様にでも振られまくるんじゃないか‥‥とか、色々と未知な部分はありますが、まあ、気楽にやります。

 

*これはハセガワの疾風1/48。このボックスアートの筆致、タッチは、まさに小池繁夫さんの独壇場ですネ。最近は、1/48のMMのボックスアートを描かれている方(お名前は調べていないのでわかりません)の絵も好きです。米軍燃料補給車の箱絵は、リアルかつ絵画的で、お気に入りです。

 

* * *

 

プラモデルの作り方って、どこか「作り方の常道がいつのまにか出来上がって、無意識にそれありきで思考していた」自分を思い起こします。綺麗にマスキングしてエアブラシで塗装した後、質感を加えていく‥‥みたいな。

 

でも、私が学生の頃に学んだ油彩も水彩も、そんな描き方ではありませんでした。綺麗にムラなく塗った後に質感を加える‥‥という方法ではなく、様々なアプローチやフローがありました。下の写真は、高校時代に愛読した技法書です。カラヴァッジオやレンブラントなどを模した技法のフローが解説されています。(現在、絶版のようです)

 

 

「プラモデルには、プラモデルなりの作り方が…」と考えて他の可能性を積極的には考えようとしなかった中、「プラモデルの絵画技法」とも呼べる「田中流塗装術」の本を偶然目にして、アマゾンで購入して読んだ時に、じゅわ〜と雪解けたのです。「自分の思うカッコよさが表現できれば、現在の常道を必ずしも踏襲する必要はない」と。

 

プラモデルのエアブラシ技法は、なんだかんだ言ってもやっぱり「塗装」の延長線上であって、「絵画」の延長線上にあるとは言えないんですよネ。エラブラシにだって絵画技法はありますが、こと、プラモデルのエアブラシ活用はやはり「塗装」のイメージであって、絵画のイメージではないのです。そこがずっと、心の中でひっかかり続けてたんですよネ、私の中で。

 

しかし、田中式塗装術で開眼したあとは、より一層気軽に実践できるアクリル絵画式塗装法を探ることによって、部屋の換気などあまり気にもせずに(ラッカーよりアクリルや水性のほうが圧倒的に臭気が穏やかです)、マティエールのバラエティも試しつつ、楽しんで制作が可能になりました。これはプラモを作る上で、あまりにもデカい変革の要素です。

 

最初に綺麗に塗装した上で経年変化や汚れなどの質感を加えていくという方法ではなく、ラフな描画状態から、徐々に細部をつめて、全体像を完成させていくという方法も、「実は、同じくらいアリ」なんだと実感します。

 

でもまあ、エアブラシの機材も買って揃えて、色々とハンドピースで塗装してみた後で、筆塗り塗装法の特性も比較・認識できるのも事実。思うに、両方必要かな‥‥とも実感します。

 

*現在の私の主力機「タミヤ レボ2」。もっと強力なポンポンポンポン!‥‥と音のするのもありますが、今はこれで十分です。あとは、カンスプレーのサーフェイサーや塗料です。缶だと、屋外で吹けるのがミソ。

 

 

要は、様々な技法の可能性を得るには、筆もエアブラシも両方必要‥‥ということですネ。

 

 

「もう出尽くした」なんて言ってても、案外、考え方の根本を変えると、色々と出てくるもんですよネ。

 

プラモの塗装だって、「憧れのエアブラシ」ではなく、恐ろしく身近な数百円の筆による筆塗りで、色々な問題が解決することもあります。臭気、コスト、フットワーク、どれも筆塗りなら軽快です。

 

 

私の本業のアニメーション制作も、実は考え方の根本を変えれば、「色々」と出てくるもの‥‥ですヨ。

 

 



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