ペーパーレスをテッテイ的に

現実的な話、これからのアニメーション技術展開において、紙と鉛筆をこれ以上使い続けても発展していかない‥‥と私は判断しております。紙と鉛筆を使い続ければ使い続けるほど、技術の発展は先延ばしになります。

 

ふと視点を変えて、「今までの技術を伝統として継承するんだ」というのならば、紙と鉛筆は重要なアイテム、中心的存在となるでしょう。であるならば、「紙と鉛筆を存続させる強い自覚と意識」が必要になりましょう。漠然と今まで使い続けてきたから‥‥なんていう意識ではなく。

 

技術を「伝統として保存する」のではなく、「時代とともに発展し続けて、未来と共存していく」と考えるならば、もはや「できるだけ紙は使わない方が良い」と私は考えています。2017年の上半期でそのあたりの思考は全くもって明快でクリアになりました。‥‥おそらく、最近「ワンハムワンボリューム」のギターを作ったのは、私なりの原点回帰、そして、過去とのピリオドを兼ねていたのだと思います。人は、何か新しい境地を目指す時に、自分とはなんぞやを改めて問うのと同時に、今まで背負ってきた荷をおろして身軽になる必要があるのかも知れませんネ。

 

自分の机の周りに必要なものは何か。

 

それは決して、紙の時代に生きて、なんとなく持ち続けてきた、紙を束ねるバインダーでもドキュメントボックスでもないはず。

 

もし紙が必要だとすれば、紙でしか手に入らない書籍の類いだけでしょう。徒然に溜まっていった印刷物や紙で描いた絵を、創作の最前線である机の周辺に放置して「場所取り」させている場合ではないです。最前線=制作・創作の作業場の「特等席」が、なんとなしに溜まり続けた紙の類いに占拠されているのは、作業の根本的な効率に関わります。

 

この2年くらい、旧来の原画作業をiPadで作業しましたが、設定類は全てデータとして供給してもらい、PDF化してサブのiPadやFireで表示して作業しました。それで十分作業は可能ですし、紙に机を占拠されずに済むので、机が広く使えます。旧来作業においても、ペーパーレス=データ化が有用なことは、私の中では既に実証済みで、新技術を展開するのなら、紙は1枚も存在すべきではないとすら思います。

 

しかし、一方で、自分の自宅の作業場をみると、まだまだ紙関連のものが放置されたまま残っています。

 

 

思えば、全く触らずに「デッドストック」状態になっている用紙の類いを、一番手の届く位置に置き続けているのは、我ながらどうしたことか。紙をこれ以上増やすつもりがないのに、机の脇の棚で堂々とドキュメントボックスが鎮座しているのは、なんとしたことか。

 

上述した通り、人は色んなものを貯め続けて背負ってきた経緯がありますから、紙もその流れの中で溜まり続けたわけですが、これから新しいプロジェクトに専心するには無用の品です。‥‥なので、自宅の作業場もどんどん紙をなくすべく、案を練っています。

 

自分的には、紙の存在意義を明確に「清算」する時期なのだと思います。

 

もしデータではない、リアルな物品が身近に必要なのなら、紙の書籍と、創作のイメージを膨らますための立体資料でしょう。‥‥こんな感じの。

 

タミヤの1/48のミリタリーミニチュアです。1/35に比べて場所をとりませんし、精密度は「コミックやアニメの作画の省略」に適した良い感じで、さらには1/48の航空機モデルと並べて対比できるので、オススメです。‥‥今は、1/48のRX-78もあるんですネ。驚きました。

 

画像データの閲覧だけでは、映像のイメージが貧困になることは多々あります。なんでもかんでも、ネットのデータ検索で済むことはないのは承知しています。

 

しかし、成り行き上でそこにあり続けて場所を占拠する紙の類いは、もはや私には不要です。紙をあえて置くのなら貴重な(=私にとって)書籍、そうでなければ「現実の立体として意味があるもの」を置いておくべき‥‥です。

 

日本がカナダくらい広いのなら、別室に紙資料をアーカイブ‥‥‥とか可能ですけど、日本で一番高価なのは「空間」ですもんネ。紙が絶え間なく増殖して空間を占拠していく様を、制作現場で日々目撃していますが、これから先、紙が現場を埋め尽くしていく状況を放置すべきなのかも、熟慮する必要があるでしょう。大量の紙素材に占有された空間を、未来の映像技術開発に活用すれば、どれだけ技術が発展できることか。

 

日本においては、空間をどのように有効に、これから先の未来に活用するか‥‥ということだと思います。

 

極論めいたことを言いますが、アニメの制作会社・制作集団が「過去に生きるのか」、「現在そして未来に生きるのか」を確実に分けていくのが、「紙」との関係だと思います。

 

過渡的に「デジタル作画」であったとしても、まずは紙から離れられるか‥‥が、過去の追憶に生きるか、未来を生き抜いていくかの、決定的な行動指針となりましょう。

 

* * *

 

デジタルテレビ放送、DCP、デジタルディスクの商売、そしてネットの映像配信。アナログデータなんて、どこにあるのか。アナログのデータで今後どれだけ映像ビジネスが成立するのか。

 

どんなに「鉛筆と紙の力を信じて」も、最後は「デジタルのお世話になっている」のです。フィルムを手放した時点で、紙の時代も終わっていたのだと思います。

 

私は紙が嫌いなわけでも憎んでいるわけでもなくて、むしろ長く深い愛着がありますが、しがみ続けていても商売は発展していかないじゃん?

 

映像の商業にこらから先の未来も関わっていくのなら、リアルな選択として、紙との付き合いは終止符をうたなければならない‥‥というのが、私の30年間アニメを作り続けきた上での答えです。

 

人間はあくまで生身の存在ですが、身の回りの物品、道具、そして創作の表現は、デジタルネットワークの中で発展していくことでしょう。その「変えられない社会全体の流れ」に観念して、自分の方針を決定すべし‥‥です。

 

どこかの国から核ミサイルが飛んできて爆発して、世界中が戦乱に巻き込まれるのなら、デジタルネットワークなんて物理的に分断されて成り立たなくなるかも知れません。しかし、そんな時はアニメだって今のようには作れないでしょう。デジタルネットワークが崩壊したら、その時はその時で考えることにします。

 

文明社会が滅亡するような事がなく、発展を続けていくのなら、デジタルデータのネットワークは‥‥どう考えても‥‥主流でしょうねえ‥‥。アナログデータはアンティークや懐古趣味の世界で存続するとは思いますけども。

 

デジタル映像産業の中において、紙を使い続けて「意図的にガラパゴス化」することで希少価値を高めることはできるでしょう。カセットテープが今でもわずかな会社で生産され続けているように。

 

しかし、本流、主流は、デジタルをどれだけうまく使いこなすかです。

 

なので、自分の身の回りから、紙をどんどん片付けていこうと思います。今までも取り組んできたことではありますが、今後はテッテイ的に‥‥です。

 


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