サンダーボルト

Cintiq Pro 16が発売(予約開始)されて、色々判明してきた事の中で、一番イタタの部分は、Thunderbolt3(USB-C)でしか4K表示ができない点です。つまり、出力側のビデオ性能が4Kスタンバイでも、USB-C/Thunderbolt3を装備していなければ4Kタブレットにはならないということです。

 

これは「現在の観点」で言えば、中々にキツい条件ですネ。

 

 

Thunderbolt3。USB-C

 

一部の最新型Mac(MacBook)やWindows機がようやく搭載し始めた高速転送の規格です。

 

Thunderbolt3の転送速度は40Gbps(理論値)で、映像屋の視点で言えば、4Kの映像を何トラックもストリームするのに適した規格と言えます。‥‥もちろん、送り出し側に極めて高速な送出速度が求められますが。

 

ちなみに、今でも現役のUSB2.0は0.5Gbps、USB3.0ですら5Gbpsです。Mac標準のThunderbolt2は20Gbpsで、私の作業場のMac ProはThunderbolt2のRAID0を組んであり、4KのProRes4444の60fpsをなんとか再生できるスペックです(=HDDのRAIDなので、規格の理論値が20Gbpsでも、2〜3Gbpsの実測値しかでません。SSDのRAIDなら速度が期待できますが、容量がな‥‥‥)

 

4K8K時代の映像制作を鑑みれば、たしかにThunderbolt3の40Gbpsの速度は妥当とも思えますが、現実と理想は常にギャップがあるものです。実際、転送速度だけ速くなっても、送り出し側の速度がイマイチついていけず、実がともなわない感があって、Thunderbolt3は盛り上がりに欠けていました。

 

Thunderbolt2で満足していた2014年に、次期規格としてThunderbolt3のスペックを見た時には、「未来のケーブル(要は規格ですネ)、きたー!」と思いましたが、「アニメの現場にこれが入ってくるのは、数年は待たないとダメだろうな。」とも思いました。

 

 

 

MacBookやiMacって、往々にして現在の標準より前倒しで規格を盛り込む傾向があって、まだフロッピーが活躍していた頃にフロッピードライブやSCSIを廃止してCD-ROMやUSBオンリーにしたり、CDやDVDドライブの廃止=データを何か固有の媒体で提供する概念自体を廃止したりと、「極端過ぎる」と「常識派」から難色を示されてきた経緯があります。結果的には、「常識派」の支持していたものは廃れていき、Apple製品が示したチョイスの多くは世の中の主流を先取りしていたと言わざる得ません。

 

去年2016年からMacBook ProはThunderbolt3を搭載し始めました。オルタネートモードによりUSB-Cとの共通性・互換性があるので、以前より融通が効きそうです。

 

Thinderbolt3・USB-Cは、一層の高速データ転送の未来において、有力な選択肢なのだとは思います。実際、Thunderbolt規格とUSB-C規格の差異を意識せずに周辺機器が接続できるようになれば、すごく楽ですよネ。

 

しかし、Apple製品でもThunderbolt3は最新型のMacBookしか搭載しておらず、Cintiq Pro 16は、さらにそこから「ペンタブで絵を描く人」に絞り込むわけですから、2017年4月現在では、中々な「狭き門」です。

 

 

USB-Cは確かに便利。しかし、普及加減はまだまだなので、ユーザ側の反応はいかなるものか。

 

Cintiq Pro 16の売りの4K性能は、今しばらく「おあずけ=マシンを買い換える時まで」ということでしょうネ。

 

 

 

まあでも、4K性能がおあずけでアダプタ経由の2.5Kでも、十分絵は描けると思いますけどネ。

 

2.8KのiPad Proで6Kの原画も問題なく描けているので、ドットバイドットでなくても、高詳細液晶パネルで快適に絵は描けるんじゃないかと推測します。

 

単体で使うMobile Studio Pro 16と違って、メインディスプレイと併用するのが一般的でしょうから、邪魔なツールウィンドウはPCモニタ側において、必要なツールウィンドウだけを16インチ側におくようにすれば、広く使えることでしょう。

 

ちなみに、私の作業場のMacProは「トリプルモニタ」です。しかも、2台の2.5Kモニタがミラーリングで、1台が2Kモニタという変則的な構成で、これがまた、ワコムのペンタブドライバの不具合のタネになるのです。ゆえに、板タブすら通常はOFFにしているくらいです。‥‥なので、今の作業環境にさらにCintiqを追加するのは相当ムチャな話で、今のところ、Cintiq Pro 16の導入は考えておりません。

 

どうしてもクリスタをCintiq Pro 16で使いたい!‥‥というニーズが高まってきた際には、マシンの調達も含めて考えようかと思っていますが、一方でiPad作画が相当使い勝手に優れているのも実感しているので、もう少し先の話‥‥ですネ。秋頃と噂されるiMacの新型がUSB-Cを搭載した頃に、妄想を膨らませてみようかと思います。

 

 

でもまあ、なんやかんやいっても、テクノロジーの発達はわくわくするものです。

 

Blood劇場版やイノセンスを作ってたときに、4K60pHDRなんて考えもしなかったですもん。PC/Macにフロッピーの挿入口がついている光景は普通なことでしたしネ。DVD-Rに自分でオーサリングしたDVDコンテンツを焼いて、家電のDVDプレイヤーで29インチブラウン管テレビで見る‥‥なんてことが「すごい時代になった」と思ってたのが、今や‥‥です。

 

私の作業グループではもはや4Kは「来たらやりますよ」くらいな感触になり始めてますし、実写でも3DCGでもないアニメの60pのモーションにも慣れてきています。

 

「アニメとはこうあるべき」なんて宣う「常識派」の格言なんて、その格言が吐かれる時点ですでに骨董レベルになり始めているのです。

 

ほんの10年ちょい前、SD(地上波アナログ)に慣れきった人々が、「HDなんてオーバースペックな高詳細フォーマットで、アニメは何を作れば良いんだ」‥‥なんてセリフをぼやいていましたが、いまそれを言う人、居る?

 

同じような性質の人々が、今度は「4Kで何を作れば良いのか、わからん」などと同じ事を繰り返して言ってるんだよな。

 

* * *

 

ビデオ解像度で一歩遅れをとり続けていた液タブでしたが、Cintiq Proは一気に現代的なスペックまで引き上げました。USB-Cというのが、やや「引き上げすぎた」感もあるのでしょうけどネ。

 

Cintiq Pro 16は、4Kで繋げない面を強調するよりも、先行投資と考えて、今は2.5Kで使うけど、2〜3年後にマシンを買い換えたときに本来の4Kで使う‥‥という考え方もアリでしょう。

 

高詳細液晶に直に絵を描く感覚は、結構マジメに、未来のスタンダードになるような気がしています。

 

現在、紙の作監作業を久々に引き受けたりしてますが、iPad作画を経験した後では、紙の良さを感じるよりも、紙の欠点のほうが目立つようになりました。iPadならば、拡大表示すれば視力とか関係ないし、黒鉛や消しゴムの物理的精度も関係ない、どんなに描いても先端が丸くならずに細い線を維持できる、自分の腕の動きに合わせて紙(=キャンバス)を自由にジェスチャーで移動ズーム回転できる‥‥など、「デジタルのやりにくさ」を相殺するにあまりある利点がiPad作画にはあります。クリスタやTVPでも同じことが言えると思われます。

 

ただそうした利点は、作業者レベルの限定した範疇で、作画システム自体を揺り動かすほどではありません。何度も書きますが、新しい時代の新しい技術基盤の新しいニーズが生まれてきた時、ようやく「包括的な」コンピュータベースの作画システムの必要性が認識されるのだと思います。

 

 

 

で、CIntiq Pro 16。

 

iPad作画を常用している私としては、「いいじゃん。当面は2.5KのCintiq Pro 16でも。」という感じでしょうかネ。

 

マシンはどうせ買い換えることになります。その時に、Cintiqを4Kで表示できるマシンを調達すれば良いのです。

 

4Kでなく2.5Kか‥‥と意気消沈するキモチもありましょうが、それよりも、高詳細液晶に絵を直に描くという体験をし、常用レベルまで習熟するほうが、よほど未来の実りに繋がっていく‥‥と感じます。

 

 


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