日本の強み

欧米のいわゆるカットアウト系のアニメや3DCGベースのアニメは、日本の今後の技術展開の観点からみて、決して無視できない「潮流」であると感じます。その「潮流」が、新たなエコシステム=生態系をかたち作ると考えます。

 

ただ、私は一方で、欧米の動向は気にはなるけれど、日本は日本ならではの強みがあって、その強みが「新たな潮流」と混じりあった時、欧米では考えつかないような形態を形成できるとも考えています。私が、悲観的な展望を抱かないのは、その「日本の強み」ゆえです。

 

欧米がカットアウト系で発展しようが、日本も合わせて「カットアウト一本勝負」にでる必要はなく、むしろ、従来の技術を最大限に活用し、カットアウト系と様々な豊かな表現と組み合わせて「複合技術」とすることで、「欧米のカットアウト系とは一線を画す」映像が作れると、今から強く予感できます。

 

欧米から輸入した技術をもとに、日本人は何を作り出したか。今のアニメを見渡せば、ディズニーの絵柄の影も形もないですよネ。

 

同じく、カットアウト系の技術を日本が扱い始めても、決して欧米の表現スタイルで満足するわけはなく、独自の美意識を色濃く反映するでしょう。小難しい技術論を持ち出すまでもなく、実は、日本の美意識こそ、日本の最大の強みだと思います。同じ動力源を用いても、欧米とは活用アイデアが大きく異なる、美意識を足場とした「発展の独自性」が日本にはあるのです。

 

しかし、どんなに日本に「強み」があろうと、新たな表現技術の潮流が一向に滴ってこないのなら、どうにもなりません。カットアウト系を全く扱うことができなければ、組み合すもクソもないです。0 x 1000 = 0です。

 

もっと言えば、「日本ならではの強み」が、潮流を塞き止めているような皮肉な状況すらあり得ます。

 

日本のアニメは、たとえその源流がディズニーなどのアメリカンアニメーション(タップの規格やところどころに残るインチサイズが「先祖の面影」を物語っていますよネ)だとしても、独自の美意識を色濃く反映した、「ほとんど米国人の血が残っていない、クオーターのクオーター」の混血です。しかし、出自がどうであれ、アニメ業界を支えている技術基盤は、テレビや劇場の夥しい数のアニメを作り上げてきた経験と実績であり、それゆえに、日本で独自に発達した作業様式に「かなりの自信を持っている」と言えます。今や、アニメは日本の「土着の特産物」かのようです。

 

その和製アニメに対する強い自信が、24コマシートに作画のタイミングを書き込んで、絵を一枚ずつ動かす技術基盤から、一向に目線がそれず、旧来作業スタイルに「無意識」にでも固執している原因だとも言えます。「新しいものなど求めずとも、今のやりかたで十分うまくいく」という考えは、口に出さずとも、多くの作画関係者が胸に秘めているのではないでしょうか。

 

ゆえに、カットアウト系のアニメ技術に対してひとたび日本が「本気」で取り組み始めたら、欧米人では全く予想もできなかった作品表現を生み出せるにも関わらず、「そもそも手を出さないから、進展もしない」状況に甘んじます。現在のエコシステムに漫然とした安心感を抱くあまりに、新しい技術の潮流を感じることができずに遅きに失する‥‥のも、実は「日本人ならでは」なのです。

 

 

日本のアニメの作り方が、特に状況が過酷なテレビアニメにおいては、産業として成立しにくい状況にどんどん進んでいるのを、業界経験のある人なら誰しも認識しているはず‥‥です。70〜80年代に形成されたアニメ業界のエコシステムが、2020年以降にどのような様相を呈するのか、どんなにポジティブに考えようとしても楽観的なビジョンは浮かびません。

 

一方で、家庭のテレビは、やがて耐用年数に到達し、「次に買い換えるのなら、4K」という人は結構いるでしょう。白黒テレビ〜カラーテレビ〜テレビのステレオ放送〜VHSビデオデッキでの録画〜DVDの登場〜DVDレコーダでの録画〜ハイビジョン放送〜BDの登場〜BD or HDDレコーダでの録画‥‥という流れに、人々がなんだかんだ言いながらも誘導されていることを考えると、次のリプレース時期にすんなりと4Kを受け入れてしまう家庭は多いと予測されます。家電メーカーの2020年あたりの主力が、2K上位互換の4Kテレビになっていれば、なおさらです。

 

旧来のアニメ技術の限界は、内側からも外側からも、ジワジワと迫ってくるのに、「今は大丈夫。だから、未来も大丈夫だろう。」という、ある種の、戦前から通じる日本人の「おおらかさ=呑気さ=危機管理の甘さ」が、「同じ過ちの歴史を繰り返す」元凶とも言えます。

 

今のアニメ制作スタイルで散々痛い目にあって、もうこれ以上はダメだと疲弊しきって破綻するまで、次の技術への移行へと踏み出せないのは、日本人の悪い性質だとも思います‥‥が、同時にその粘って粘って粘りきる粘り強さが、アニメをここまで高度に技術発展させた原動力とも考えます。

 

弱さは強さのみなもと。悪は善を生み出すジェネレータ。

 

‥‥悩ましいですネ。我が国の性質とは言え。

 

 

それにまあ、根本的なシフトである必要もなく、日本人の「なんでも取り入れてしまう国民性」を発揮して、今の技術に新しい技術を組み合わせる発想で、むしろ良いと思います。白黒はっきりさせて「塗り替える必要」など、こと、技術に至っては必要ないのです。技術発展の本質は「覇権争い」ではないのですから。

 

中々に、技術のシフトや新規導入というのは、日本人の気質ゆえ、難しいものがあるな‥‥とも思いますが、少なくとも私は、難しいからといって、あきらめないですヨ。

 

踏みつけられても、最後には粘り勝ちできるのも、日本の「強み」なのですから。

 

 


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