初期導入

「デジタル作画」という言葉は、従来の紙の原画動画をそのままタブレット作画に移行した「総称」として、もはや定着させても良い‥‥と最近は感じるようになりました。現在作業中のペーパーレスの4K作品では、デジタル原画を「dgen」、デジタル動画を「ddou」という作業種別として定めて、カットアウトなどの新しい技術とは分類して運用しています。「Digital Genga」「Digital Douga」というように、出自は欧米でも日本独自に進化した技術形態として、「Manga」「Anime」と言った日本語英語表記が最適だと達観するようになりました。‥‥実際、分類的にはとても解りやすくなります。

 

その「dgen」「Digital Genga」を作業する際に、クリスタは初期導入のハードルの低さゆえに、ダントツです。

 

まず初期導入には、どんなソフトウェアを使おうが、ハードウェアの共通した出費が必要です。「ハードウェアを個人が所有すべきか、会社が供給すべきか」の問題は、それこそ20年前から解決しない話題で、今に始まったことではないです。

 

重要なのは、

 

初期導入に関する出費を、新しい作業環境の仕事で、取り戻してプラスに転じることができるか否か

 

‥‥です。その「自腹で出た分は稼いで取り戻す」構造が成就できれば、個人だろうが会社だろうがOKオーライ。

 

損をしないで得をすれば、導入の可否は自ずと見えてきます。

 

 

 

おそらく、マシン本体は、20〜30万円です。WindowsでもMacでも似たようなもんです。iMacの場合は、5Kモニタの費用込みで30万円を考えます。作画用途に今秋のMac Proは過剰です。iMac 5Kの性能で十分です。Windowsも本体10万円スタートでビデオカードやCPUをBTOでアップして、20万円前後を目指すのが「作画マシン」の目安でしょう。メモリは32GBをベースとして、将来的には64GBまでアップすることを念頭におきます。

 

今からマシンを購入するのなら、4K時代をちゃんと意識するのが肝要です。すぐに役不足になって買い換えるのはお金の無駄です。そこそこ高い性能のマシンを買っておけば、5年は使える時代です。

 

またビデオ性能も4K時代を見越しておきましょう。安いビデオカードはNG、かと言ってバカ高いのも必要ないです。4Kを最低2つ接続できるビデオ性能を基準にします。

 

次にタブレット。

 

これは中々難しい。最近、改めてCintiqを使う機会が少しだけありましたが、iOSのiPad Pro&Procreateに慣れていたので、レイテンシーが気になりました。結構遅いなあ‥‥と感じました。30〜40ms(30〜40ミリ秒)くらいじゃないのかな‥‥。ちなみに、次期iOSでのApple Pencilのレイテンシーは9msとのことです。ゲーマーの人は5msでもお話しにならないと言いますしネ。

 

かと言って、iPad Proは12.9インチの広さの限界はありますし。

 

今買うのなら、2.5Kは必須、せっかく買うならUHD〜3840pxの液晶タブレット解像度は欲しいです。1920pxの2Kを10万円で買って、数年後に20万円の4K液タブを買うくらいなら、現行の24インチ4K液タブを買うのも有効な選択肢の1つと思います。もし、P3仕様の液タブを待っているのなら、あえて2Kの液タブを買うのもアリとも思います。

 

なので、液タブは中々悩ましいです。私もmacOSで使うのなら、24インチくらいの液タブが欲しいですが、iPad Proの液タブ化で今はやってやれないこともないので、時期を伺っています。

 

そしてソフトウェア。

 

今日すぐに誰でも使い始められるのは、まぎれもなく、クリスタ。Clip Studio Paint EXです。その点は誰も異論はないでしょう。

 

会社に詰めて作業するのなら、会社の環境にTVPaintがインストールされていることもあるとは思います。しかし、アニメ業界の事実として、会社員アニメーターだけで成り立っているとは思えませんし(もちろん、明確な方針を持って、全員を会社員として雇用する優れた会社もありましょう)、アニメ会社に即座に16万円のTVPaintや50万円or月額1万円のHarmony Premiumを調達できるほどの体力があるとも思えません。フリーランス個人ならなおさらです。

 

あまりにも安すぎるクリスタの導入費用。‥‥しかし、その安さにあえてのってみるのも、意外と有効な選択肢と最近は思えるようになりました。安いからと言って、粗末なわけでは全然無いことに注目しましょう。

 

ソフトがどうのこうのと耳年増に拍車をかけるよりも、まずはクリスタを使って、ペンタブに持ち替えて絵を描くことを最優先したほうが良いです。もはや時代の流れは変えられません。フィルム撮影台を廃棄した時から、作画のペンタブ化は宿命付けられていたと言えます。

 

現在、私もクリスタを常用して原画を描いています。‥‥‥正直、3年以上使い慣れたProcreateのほうが、書き味も慣れて作業も速いのですが、Procreateを原画用途で知人には自信をもって勧められないので、クリスタの習熟に勤しんでいます。

 

初期導入の観点でクリスタを考えると、何よりも、

 

ショートカットの設定

ペンのプリセットの設定

 

‥‥の2つをまずフィックスさせることに尽きます。これをしないと、先に進もうにも足元がぬかるんで思うように歩けません。

 

昨日の記事にも書きましたが、ショートカットの設定は、スタイロスの設定を踏襲しつつ、PhotoshopやAfter Effectsのショートカットも盛り込む方針です。オニオンスキンやライトテーブルなどアニメ作画系の機能はスタイロス系、画像ソフト特有の色調補正やレイヤー関連はPhotoshopも加味、モーションプレビュー系はAfter Effects‥‥と、常用してきたソフトウェアのキーコンビネーションをうまく盛り込めればと思います。‥‥ちなみに、スタイロスは私は縁がほとんどないので(チェックで使う程度)、経験者さんに聞きながらになります。

 

ペンのプリセットは、まさに自分の絵描きとしての重要部分です。ペンの設定をおろそかにすると、いらぬストレスを抱え込むことになります。ペンの設定次第で恐ろしく作画の効率が上下しますので、ペンの設定は作業しながら改善して、筆圧も含めて最終的に自分のポテンシャルが活きる設定、かつ、作品の「標準ペン」の制定も必要でしょう。

 

クリスタはベクター線が売りの1つです。ラスターとベクターをうまく使い分ければ、かなり自由に自分の描線をコントロールできるでしょう。ロングサイズ(小指の爪くらいの遠くの小さい人物とか)などの細かい描写は、ベクター線が俄然有利です。ロングの絵は、筆圧に対する挙動がベクターレイヤー(=ベクター線を描くレイヤー種別)だとコントロールしやすいです。

 

まずはこの「ショートカット」「ペンのプリセットの設定項目の挙動」を「クリッパー=最近開始した共有サイト」にまとめるところから、情報共有を開始したいと思っています。

 

 

 

初期導入さえほぼ完了すれば、あとは個人次第。

 

言い換えれば、初期導入がうまくできなければ、個人の能力は空滑りして空転するままです。

 

どんなにキャリアを積んで技量の高い人でも、新しい環境が自分の思い通りに使えなければ、もどかしいやら腹立たしいやら悔しいやら‥‥でしょう。

 

新しい環境の性能自体が悪いことは稀で、多くの場合、初期導入の環境初期設定の優劣が「使いやすさ・使いにくさ」の印象を決定付けます。

 

私は今まで多くのソフトウェアを使ってきましたが、ソフトウェアの性能云々よりも、初期の導入でつまずくことで中々習熟が進まないことを知っています。はやく描きたい作りたいと焦りますが、ここはひとつ、度胸を据えて、自分の「画材」を整えてから、先に進むのが肝要です。

 

Procreateは直感的に使えるツールを絞りに絞っているので、かなり短期間に自分の思うままに絵が描けるようになります。一方クリスタは多機能ゆえに、まずは自分の特性に合わせて、スタートラインの環境を作り込むことが前提として必須です。

 

‥‥で、その環境作りの段取りは、皆で同じような試行錯誤をしていても効率が悪いので、自分の好みはともかく、共通した情報は「覚書」程度でも共有したほうが有効かと思います。

 

自分の思った線が描けないのが、一番イラつくし、もどかしいですよネ。鉛筆だと思うように上手に描けてたのに‥‥というのは、なんとも悔しい。

 

クリスタでどのようにすれば、作画に必要な線が描けるのか、ハードとソフトの両面で、環境構築を進めましょう。

 

 


クリスタとUS配列

iOS〜iPadで使えるBluetoothのキーボードは、結構US配列が多くて、iOS版クリスタのキーボードショートカットがズレます。

 

キーボード配列の「認識担当」がiOSなのかAppなのか、よくわからないのですが、現実としてiOS版のクリスタはキーボードを自動認識はしてくれていません。なので、@や [ ] の配置がズレます。US配列の [ を @ として認識します。

 

*上から順に、iMacのJIS配列、AnkerのUS配列、logicoolのJIS配列です。「P」の右側の「 [ ] 」の並びが違います。

 

 

[ を入力すると、@としてクリスタに認識されるのは、なんともややこしい。

 

クリスタの環境設定を総当たりしても、キーボードの配列に関する環境設定は見当たらず。

 

でもまあ、iOSに限らずmacOSにおいても、キーボードの配列はJIS配列に慣れているので、US配列〜ANSI配列のキーボードを使わずに、JIS配列のキーボードを購入すれば事なきを得ます。頻繁にJISとUSに合わせて頭を切り替えるのも面倒ですし。

 

私はホントにたまたま、logicoolのK380(JIS配列)を使っていたので、ショートカットの表記とズレることなく使い続けています。写真にもあるように、US配列のキーボードはいくつか持っていますが、偶然、クリスタを常用するiPadではK380を使っていて、後から気づいた次第です。

 

気になって調べてみると、「iOS対応」を謳っているコンパクトキーボードはほとんどがUS配列で、JIS配列は中々見当たりません。K380を発売しているlogicoolが他にも何種類か発売してくれています。

 

まずは私が使っているK380

 

 

 

 

テンキー付きだとK370。USBのワイヤレスとBluetoothの選択式のようです。

 

 

 

 

まあ、どうしても自分好みのJIS配列キーボードが使いたい場合は、USBのアダプタを介してiPadに接続‥‥ですが、どんどんiPadの機動性が損なわれますネ。大きいキーボードを机に置くのも、iPadの机の上での軽快さを邪魔するので、中々悩ましいです。

 

でもねえ‥‥、テンキーのブロックがあったほうがクリスタには便利なんですよネ。‥‥なんですが、もうちょっとK380でネバってみようかと思います。

 

 

 

ちなみに、今、私がショートカットの設定で目指しているのは、スタイロス系のショートカットを意識しつつ(クリスタを使う以上は、皆にできるだけ合わせたほうが良さそうだから)、AdobeのPhotoshopやAfter Effects系のショートカットも盛り込むセッティングです。

 

クリスタをこれから使い始める人間は、スタイロスからの流れだけでなく、PhotoshopやAfter Effectsからの流れも増えるでしょうしネ。

 

例えば、テンキーの「0」キーをプレビューの再生と停止に割り当てると、それだけでAfter Effects感覚でクリスタのムービープレビューを違和感なく使えます。K380にはテンキーがないので、macOS版のクリスタで設定していますが、たったソレだけでも、「いつもの感じ」のまま‥‥というのは、案外良いものなんですネ。

 

 

 

レイアウトクリスタ>演出クリスタ>作監クリスタ>原画クリスタ>演出クリスタ>作監クリスタ>動画クリスタ>動検クリスタ‥‥という作画関連一律クリスタの流れで進めているカットがありますが、clip形式はタイムラインも持てるので、Photoshop形式や連番フォルダ形式よりは何かと円滑に進みます。

 

月々の使用料の低さで、会社に詰めている演出さんのパソコンにもクリスタを供給することは可能でしょう。環境作りのハードルが低いです。

 

クリスタに共依存する制作体質が果たして良いか?‥‥はこれから先のフィードバック次第ですが、たとえProcreateなどのハシッコのドローソフトで描いてもPSDで書き出してクリスタに受け継げばclip形式には乗り換え可能なので、案外融通の利くフローだと感じています。メディバンとかでも参入可能と思われます。

 

クリスタの使い方を暗記ではなく構造から攻めれば、意外にストレスなく理解は進みますしネ。

 

クリスタのベクターレイヤーは確かに便利ですネ。ロングの細かい絵で対比をミスってちょっとだけサイズ変更したい時に、線が解けずに済むのはビットマップにはない便利さです。まあ、いかにも「パス描いてます」的なペンの挙動はありますが、ロングの絵では気になりません。

 

これから先、描く側だけでなく、チェックする側や修正する側にとっても、ベクター線のニーズは高まっていくのではないでしょうかネ。

 

私としては、カタリナのサイドカーが待ち遠しいです。モロに作画作業に作用する新機能ですもんネ。macOSを使っている私としては、OSでiPadサブモニタ化をサポートしてくれるのは、心強いです。AstroPadと同等の性能(有り体にいえばレイテンシー)が実現されるのを祈るばかりです。‥‥はよ来い、カタリナ。

 

 


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