スマートスムージング、雑感。

クリスタ1.9.1で実装された「スマートスムージング」の機能は、1.2Kを4Kにするのにも使えそうだけど、4Kを8Kにする際にも良さそうですネ。

 

4Kはあくまで進化の過程のフォーマットで、今後8Kへと映像進化のコマが進むことは、映像機器の博覧会に行けばすぐに判ります。気が早いかも知れませんが、頭の片隅で4Kの次はどうしたものか‥‥と考え始めており、4Kを現在の最大目標としてともかく、今のマシンの進化速度では8Kをドットバイドットで作るのは、正直厳しいと感じています。100万円のマシンでも8Kを容易く処理できるほど高性能じゃないので。

 

クリスタに限らず、スマートスムージングが他でも実装されるようになって、4Kから8Kのアップコンに使えそうなら、ひとまずは安心します。8Kは今は絶対にキビしいですもん。4Kを作っていてしみじみ実感します。

 

そうか。せっかくクリスタを使っているんだから、3840から7680pxにアップコンしてみて、具合を見ればよいですネ。ちょっと様子を見るくらいなら、8bitでもまあいいか。

 

クリスタって、16bitにはまだ対応してないよネ。なので、例え連番でも、映像をフィニッシュするには、まだ性能がイマイチ足りない側面は残っています。

 

 

 

スマートスムージング。

 

あくまでジャギったエッジをスムージングするので、そもそも繊細な線の描写は無理そうです。線を細くするのではなく、拡大のジャギを綺麗にする目的のようなので、拡大してボケた絵の印象を改善するのが役割と思います。

 

ただ、このスマートスムージングを「これ幸い」とばかりに用いて、1.2〜1.5Kの「まま」で作っていると、報酬も今までの「まま」‥‥というオチにはなりそうです。

 

制作現場がコレを悪用して、未来も2K未満で作ってスマートスムージングで良い‥‥なんて話になると、アニメ業界の2020年代の業務改革は元の木阿弥にもなりそう。‥‥1枚200〜300円の動画単価のまま、苦しい生活から抜け出せないアニメーターが2020年にも続出しそうではあります。

 

今まで通りが良い‥‥というのは、今まで通りに買い叩かれることに繋がりかねず、むしろ、改善を抑え込む理由にすらなり得る危険を孕んでいる‥‥ことをお忘れなきよう。

 

 

 

ちなみに、映像配信大手は、

 

「中間素材から4Kであること」

 

‥‥という条件を標準にしています。

 

この条件は一見「ゲゲ!」と思いますが、

 

絵を丁寧に作って、それに見合う高い報酬を受け取る

 

‥‥という、アニメーターをはじめとしたクリエイティブ部門のスタッフに対する、またとない大きな転機・改善の機運になると私は考えています。

 

でもまあ、それもこれも、制作集団の生きる道、未来の生まれ変わりに関することですから、それぞれが未来を見据えて道を選択していくしかないです。

 

自分たちの未来の運命は、まさに自分たちの現在の行動が握っています。

 

 

 

私は、初めてもらった動画の報酬が、封筒に50円玉1枚でした。高校在学中のことです。月末に研修料金で1枚だけ本番を作業したので。

 

思えば、それは良かったのです。

 

最初からそこそこの待遇、多少安くても給料で働いていたら、その「異常さ」に気付けなかったでしょうし。

 

今こうして、「自分の代で、この「悲劇を通り越した喜劇」を幕引きにする」と決心するに至ったのですから。

 

全くの笑い話ですよ。50円玉1枚の初めてのプロの仕事。泣きながら笑うわ。

 

 

 

私と同世代のみなさんはどうでしょう。

 

昭和平成の曖昧な調子のまま、引退まで逃げ切りを選択しますか。

 

それとも、後続の世代とともに、新生の道を選択しますか。‥‥私はこっちです。

 

2020年代。

 

それぞれの制作集団の中で、70〜80年代アニメブーム世代の人間の行動が問われていくでしょうネ。

 

 


色彩のテスト

おそらく、アニメ制作現場の、美術、彩色、撮影の人は、得意だと思われるWebの色彩診断テスト。

 

私も色々やってみました。

 

まず、イエローの彩度、色相、明度を見分けるテストです。

 

 

8%って、人口の割合で言えば、そんなに希少ではないよネ‥‥。

 

次に、8つの色から見分けるテスト。これはそれなりに迷いました。多分、何問か間違ったはず。

 

 

ピンク色もありました。

 

 

 

結構、難しかったのは、グラデーションの流れを汲むテスト。

 

色相、彩度、明度の3つの要素の推移を読み取って、歯抜けを当てはめるテストです。

 

 

 

他愛のないゲームみたいな診断ですが、実際、イメージボードとかを描いたり、透過光のフレアとかをAfter Effectsでトーンカーブで作る際に、このあたりの知識が必要になります。

 

RGBを思い通りに扱うのは、言ってしまえば「ある程度は慣れ」なのですが、理屈を踏まえると慣れやすいです。

 

色相はRGB値の偏りの傾向です。Rの数値が大きく、他の数値が少なければ、赤っぽい色相になります。Rが220、Gが70、Bが40ですと、赤っぽいオレンジになります。

 

彩度はRGB値の落差の傾向です。Rが255でGBが0だと最強に彩度が強い赤になりますが、Rが150でGBが120だと、赤っぽいグレーになります。RGB全ての値が近似するとどんどんグレーに近くなってきます。一方、RGBそれぞれの値の落差が激しいと鮮やかになります。

 

明度はRGB値の平均的な大きさの傾向です。Rが255でGBが20だと明るく鮮やかな赤になりますが、Rが80でGBが0だと暗く濃い赤になります。RGB全てが200だと明るいグレー、RGB全てが70だと暗いグレーになります。

 

RGBがどのように色彩を形成しているかを知っていれば、こうしたWebの色彩診断テストは知識だけでもかなりクリアできると思います。

 

感覚だけでやっていると難しい‥‥とは思う一方で、生来の感でクリアしちゃう人もいるでしょうネ。アニメ制作現場には、案外「野生」で色を識別する人も多いですもんネ。

 

ちなみに、同じ黄色でも、赤が少し混ざると「ホンダのカーニバルイエロー」っぽくなり、緑が少し混ざると「スズキのサイエンスイエロー」っぽくなります。クルマやバイクの新車の色(経年変化で退色するので新車が基準)をRGBでイメージしてみるのも楽しいですヨ。

 

プラモデルのカラーを、RGBで再現するのも楽しいです。軍用色は、グレーとひとくちに言っても、様々なグレーが山ほどありますからネ。海のグレーやら、空のグレーやら。

 

現実世界の塗料の場合、RGBと違って、色を掛け合わせるとどんどん暗く濁ってくるので、頭の切り替えが必要ですが、これもやっぱり慣れですネ。私は絵具を使うときは、無意識にサッパリとRGBの習慣は忘れて、CMY的な脳に切り替わります。

 

絵具は、原料の特性や色ごとに「染めるチカラ」が違うので、RGBよりは遥かに混色の加減がデリケートです。塗り重ねの「隠蔽力」も違うので、一般論の他に、それこそ塗料のメーカーごとに特性を覚える必要があります。

 

塗り重ね時の「泣き」(下塗りの塗料が溶け出して混色する)まで考慮すると、コンピュータのRGBより格段にノウハウが必要なのが、現実世界の塗料です。

 

 

 


実寸などいらない

びた1枚も紙が存在せず、プリントアウトもしない、完全ペーパーレスのアニメ作品には「実寸」はありません。

 

実寸を気にして、何でも実寸を当てはめようとする思考の人間は、ペーパーレスの映像制作には向いていません。脳の思考を刷新しましょう。

 

 

 

「この作品の解像度は何DPIですか」と聞かれることがあります。

 

紙が一枚もないペーパーレスの作品運用において、いわゆる「インチあたりのドット(ピクセル)数」という概念はもはや無いんですよ。

 

‥‥なので「ゼロ」と答えるか、「A4ならば400〜600dpiですかね。ただし、あくまで感覚的な目安です。」と答えています。(4Kドットバイドットなので仮定のDPI/PPIの数値もデカいです)

 

実寸を気にする人は、「何に対する実寸」かをまず考えましょう。

 

そもそも「実寸」とはどういう意味か。「実際に測定した寸法」だそうです。

 

ペーパーレスの制作運用で、実際に何を測定するんでしょうか。HDやUHDのサイズ〜1920pxや3840pxは、何か実在する物品を測定したのではなく、フォーマット策定時に規定したビットマップデータ上の寸法です。

 

ペーパーレスなので、紙の用紙は存在しません。

 

iPad Proの画面寸法? 13インチや16インチや24インチのCintiq? もしかしたら家庭の42インチや55インチのテレビ? スマホ? 劇場のスクリーン???

 

もし仮にA4用紙に描いたとしたら?‥‥という仮定がどうしても必要でしょうか。

 

一切、紙が存在しないのに、紙を仮定することの愚を、あえて犯しますか。

 

 

*こんなふうに、iPadに定規を当てて測る? ‥‥な、アホな。

 

 

 

台引き、BG引きのことを気にして、「コマ何ミリ」の指定を踏襲したくて、「実寸」思考を手放したく無い人もいるでしょう。

 

それがまずダメなのです。NGです。

 

ペーパーレスになったのなら、ミリとかセンチとかインチは、かえって混乱のもとです。紙の実寸でしか寸法のイメージができない人間は、ペーパーレスの制作現場には不要です。

 

「じゃあ、BG引きとか、どう指定するんだよ」

 

‥‥と思いますよネ。

 

でもね‥‥。ミリとかセンチとかの尺度がなくなっただけで、いきなりお手上げになってしまう思考が、そもそも大きなNGなのです。

 

いくらでも指定方法は思い浮かぶでしょう。「1秒あたりここからここまでで、尺いっぱい」とか。「1秒あたり1/4フレーム」とか。「カットいっぱい、A点からB点まで」とか。

 

フィルム時代の慣習を引きづり続けて、「0.5ミリ/k」とかシートに殴り書きするのは、もう通用せんのですヨ。

 

 

 

どうしても単位が必要なら、CSSのemとかremとかviewpointの発想で、ペーパーレス時代の単位を決めるのは有効だと思います。

 

ただし、絶対的な単位ではなく、相対的な単位が求められます。

 

未来はもはや2Kだけでなく4Kや8K、しかもZ軸無しのXYオンリーのベタ置きコンポジットではなく、Z軸も普通に使うコンポジットになりますから、px=ピクセルは使えません。

 

3840x2160のカメラフレームで、フォーカス面より奥(Z位置)へ3000px離れた位置にあるBGやBOOKを果たして何ピクセルでスライドすれば、自分の思い通りの速度感になるか‥‥なんて、レンズの画角も絡んで、もはや想像不可能なのです。

 

「見た目がどのように動くか」を指定する方法は、ミリでもセンチでもピクセルでもないんですヨ。

 

 

*さて。これをどのように、ミリやインチやピクセルで「スライド指示」「引き指示」をしましょうか?

 

*Z軸の配置を1000や2000pxで仮配置していますが、カメラを移動した時の視界の変化によって、奥行きのZ軸の値も大きく変更して調整しなければなりません。Z軸の奥行きを旧来の演出指示で指定できますか? まさか、また「TU, TB」を持ち出しますか?

 

*奥のボートは、例えば、何ピクセルと引き指示を書けば良いでしょうか。フォーカス面より離れた位置にあり、しかもカメラ自体がXYZの全ての軸線で動いていますから、4K(3840px)カメラフレームの収まりと、実際の引き幅のピクセル数は、相対的に考慮した上で指定する必要があります。「全素材ベタ置き」感覚では対応できません。

 

*フィルム時代、紙時代の経験値は、映像の「感覚的」なジャッジにのみ有効で、「数値的」なものは全く無力になります。新しい尺度の感覚で対応すべく、潔く覚悟しましょう。

 

*ミリやセンチなんて持ち出すのではなく、標準フレーム(カメラフレーム)を基準として分割した値を決めるなど新しい単位が必要ですが、軽はずみに定義できることではないのは、上図のZ軸の様子をみれば、お判りと思います。

*こういう解説図もちゃちゃっと描ける、コンセプト.appは楽し。

 

 

そうした新しい世界の新しい寸法感覚に馴染めないのなら、引退もやむなしでしょう。古い流儀は要りません。

 

実際、古い世界の流儀を何かと持ち出してくる人間は、新しい技術による現場においては、大混乱を引き起こし大迷惑になります。「モニタじゃわからん。プリントアウトすれば、そこに書き込んで指示する。」なんて御仁は、ペーパーレス時代には進まずに身を引いて去るべし。紙から離れられない人間が、せっかくのペーパーレス環境に、どんどん紙を氾濫させることになるのです。

 

ペーパーレスで4K8Kの世界に身を投じるのなら、今までの実寸感覚をキッパリ捨てるのが大前提です。大事に持ち続けても、災いのもとにしかなりません。

 

 

 

iPadで絵を描いている人同士がやり取りする時、例えば「キャラの位置を1センチずらして」なんて、言わないですもんネ。

 

もしセンチを使いたいなら、「仮のこのキャラクターが実在して、身長175cmだったら、その世界観の中で、1センチ分」というのなら、わからないでもないです。「用紙の中の1センチ」ではなくてネ。

 

紙の用紙のあれこれは、ペーパーレス時代においてはもう過去の記憶なのです。昔話として、アルバムにしまっておきましょう。

 

 

 

頭を切り替えましょう。ただそれだけで良いのです。

 

0.125ミリなんて忘れましょう。

 

フレームの収まりで尺度を考え、過去のフィルム撮影台の値は忘れましょう。

 

ベテランは、過去の数値にしがみついて離れないのではなく、豊富な映像制作経験からくる「映像の感覚」で勝負しましょう。

 

頭が固い=ベテラン‥‥なんてレッテルを貼られるのはイヤでしょう? ‥‥私はイヤですよ。

 

妙なプライド、過去の慣習で武装するのではなく、映像の経験と感覚で武装しましょう。

 

 

 

去る者は追わず。

 

しかし、まだ未来に生きようとするなら、一緒に未来の映像フォーマットを迎え撃って、世代を超えて未来を拓きましょう。

 

 


時代とともに、あるいは背を向け

VHS時代には16ミリフィルム、DVD時代にはSDのデジタル映像データ、BD時代には1.2〜1.5KアップコンのHDのデジタル映像データ‥‥と、アニメ業界は旧態依然としながらも、実は、時代に呼応する形でフォーマットを乗り換えながら歩んできました。

 

これはアニメ業界の多くのスタッフが無意識‥‥というか無関心かも知れませんが、時代に合わせて、納品物のフォーマットを変えてきたのです。

 

つまり、4Kテレビが普及し、テレビ放送や円盤商売だけでなく、ネットの映像娯楽産業も普及した未来においては、当然のことながら、アニメ業界で納品するフォーマットも「未来のソレ」になります。

 

フォーマットの進化がいきなり止まるわけ、ないじゃん。

 

いつもと同じように、アニメ業界も社会に合わせていくことになります。

 

もしアニメ業界が社会と離反するようなら、それはアニメ産業の終焉を意味します。博物館で陳列されるだけの「懐かしの産業」となるでしょう。

 

 

 

アニメはいつも、社会の技術変化に合わせて歩んでいます。

 

誰かが最初に道を切り開いて、その道に続く形で日和見層は追随します。

 

しかし、今度の新しい道〜転換期は、作画全般に及ぶので、切り開いた道に全員参加で追随できるかどうかは、ナゾです。

 

もしかしたら、アニメブーム時代(=人口的にも多い世代)のアニメーターの老化・体力の衰えとともに、一旦、制作者の層は激減するかも知れない‥‥と、ふと私は考えることがあります。

 

今までのようには、今度はいかないのではないか‥‥と。

 

アニメブーム時代のアニメーターの大半は紙とともに去るのではないか‥‥と。

 

 

 

10年後、アニメの産業は、果たしてどうなっているのか。

 

今は持ちこたえている会社も、10年後にどんなことになっているのか、まさに10年後の事実が証明するのでしょう。

 

 

 

 

 


ライセンス買取とバージョンアップの日々

クリスタのライセンスは、macOS/Windows版を2つ、iOSを1つ、計3つ、個人で所有・維持しています。macOS版は、最初に買ったクリスタの支払いがいつの間に終了し(月500円だもんね)、2つ目のライセンスを支払い中ですが、やがていつか満期(支払い終了)となるでしょう。iOS版は今月まで月額払い(980円)ですが、来月から年額払い(月あたり650円)をスタートします。個人使用目的なので、全部、自腹です。

 

クリスタは思い起こせば、今まで料金をともなうバージョンアップがありません。その昔「コミックスタジオ」を買ったことがありますが、クリップスタジオとして新しくなって以来、お金を購入時以外は払わずに、いつでも新バージョンを使える状況です。

 

もしかしたら、バージョン2になった時に、バージョンアップの料金が発生するかも知れませんが、2019年7月現在(バージョンは1.9)に至るまで、何ら追加のお金を必要としていません。いったい、クリスタが発売されてから、何年になるんだろうか。

 

このクリスタの状況。‥‥相当珍しいです。デスクトップOS(macOSやWindows)のソフトウェアとしては、異例です。

 

クリスタのこの状況が普通だと思ったら、他のソフトなど何でもお金がかかるように思えて、使えないでしょう。

 

 

 

いくつものソフトウェアを使っている場合、ランセンスの買取は、煉獄の始まり‥‥でした。

 

例えば、Adobeのマスターコレクション(PhotoshopやAfter EffectsやIllustratorなど主要ソフトがセットになった商品)を「清水の舞台から飛び降りる」勢いで購入したまでは良いものの、それから後が地獄です。いくつものソフトウェアをバージョンアップするのに、それぞれ2〜3万円のバージョンアップ料金(全部ではなくそれぞれ‥‥ですよ)で、それが2〜3年ごとに押し寄せてきます。

 

ある時期からAdobeは「毎年必ずバージョンアップ製品をリリースする。そして、3バージョン以上放置すると、バージョンアップ権を失う」という方針を打ち出しましたから、結局は必ず定期的にバージョンアップすることになりました。

 

加えて、OSがどんどん更新され、新しいファイルフォーマットやコーデックが出現した際に、以前のバージョンでは未対応で仕事に支障がでることもありました。

 

ちなみに私は、何かの付録でついていたPhotoshopのLEを、優待価格でPhotoshopフル版にグレードアップし、その後「Extended版とスタンダード版(‥‥PhotoshopはElementsやLEだけでなく、Extendedなどのグレードがいつからか導入されたのです。‥‥覚えてます?)」の分岐が発生した際は、お金が割けなくて「非Extended〜スタンダード版」で自宅(自腹)は凌いでいました。

 

自宅のPhotoshopがExtendedでないばかりに、色々なこと(プロ用途で必要になりがちな要素)で制限が発生して、なんだかミジメな気持ちになったのを思い出します。

 

Dreamweaverなどは失効ぎりぎりでバージョンアップに追われる始末。バージョンアップを諦めて失効したソフトもありました。After Effectsは私の本業のソフトでもあったので、何とか毎年バージョンアップに喰らいついていました。

 

なので、私は「買取が安い」だなんて、全く感じられないのです。クリスタは極めて稀なケースです。

 

場当たり的にお金が中途半端に消えていくのに、各ソフトウェアは決して最新版ではなく、虫食いバージョン状態だったのは、忸怩たる思い‥‥というよりは、個人レベルの限界を感じました。

 

 

 

現在、私はAdobe CCを1ライセンス、iOS版のクリスタを1ライセンス、絵描き関連のソフトウェアを自腹でサブスクリプションを支払っていますが、昔に比べて遥かに良好な作業環境を整備できています。

 

まずイニシャルコストが無いのが良いです。

 

PhotoshopもAfter Effectsも最初は10万円前後はしたはずです。After Effectsはその昔20万円前後だった記憶があります。

 

そうした初期導入の負担はサブスクリプションにはありません。

 

そして、バージョンアップ料金の消滅。

 

常にどのソフトも最新版で使えます。もしAfter Effects2019のように出来がイマイチな場合は、2018など安定したバージョンで故意に保留できます。

 

さらには、運用コストの見極めが容易です。バージョンアップ料金にハラハラドキドキしないで済みます。

 

結局なんだかんだと、ソフトやハードの更新にお金が必要ならば、イレギュラーで場当たり的な予算ではなく、Adobeは年間いくら、セルシスは年間いくら‥‥と事前に「必要経費」として1円の誤差もなく計画できていた方が、お金も明確に用意できます。

 

 

 

実際、アニメ業界がCS6で立ち止まっているのって、「金」ですよネ。

 

ハードの更新、ソフトの更新、さらにはインフラの更新まで含めて、沢山のお金が必要になることが明白なので、そもそも動画や仕上げの報酬を単価190〜300円くらいでしか設定できないアニメ業界としては、機材環境にお金を回すこと自体が難しいのでしょう。

 

サブスクリプションをマシン全台にインストールするなんて、まるで目処がたたないのかも知れません。

 

しかし、macOSだけでなく、Windowsも32bitをサポート終了する未来が近づいています。32bitソフトウェアを使い続けることは難しくなるでしょう。RETAS Studioも終了です。CS6は64bit対応との文書がありますが、サードパーティ製のプラグインが対応しているかまでは言及していませんし、他の部分で思わぬ非対応要素が発覚する恐れもあります。

 

もしかしたら、2030年になっても、アニメ業界はWindows10、macOS High Sierraを使い続けて、時代から取り残された孤島となっていることすら、笑い話ではなくリアルにあり得ます。今の感覚で例えれば、Windows XPやSnow Leopardを使っているようなものです。

 

 

 

新しい技術への転換は、新しい時代にアニメ制作現場が生き残る「必須項目」です。

 

アニメ業界だけ「平成のままで良いんだ!!」と叫んだところで、ソフトウェアやハードウェアやインフラの進化は、アニメ業界の都合に合わせてくれません。

 

時代の技術をたっぷりと活用して、未来社会で生き続けるためには、ソフトウェアの更新はどうしても必要です。

 

ライセンスの買取、そしてバージョンアップの料金に、公私ともに悩み苦しんだ私としては、「目先の買取料金」でコストを計算することは経験上できません。

 

2020年代、2030年代と続く「令和の道」を、どのように歩んでいくか。

 

20年近く前のフィルムが徐々に消えていった頃、技術を転換できずに現場を去った人、役職を変えた人は、決して少なくありませんでした。2020年代以降の令和の時代は、その転換がいよいよ作画にも及ぶ時代です。

 

気持ちだけではどうにもなりません。技術、そしてその技術を支える環境が伴わなければネ。

 

転換期にたとえレッドまみれになろうと、未来のビジョンを見失わず、ブルーの海を目指して、一緒に頑張りませんか。

 

 


アニメのTA

欧米の事例を見聞きしたり、実際に欧米とやり取りするうちに、テクニカルアーティスト〜TAという言葉の意味がだんだんわかってきました。

 

TAの人はもともと「アーティスト」と呼ぶにふさわしい技量をもった人で、その人が技術的なレクチャーや橋渡しをするんですね。日本の「TAの定義」はよくわからなかったけど、「欧米のTA」はたしかに「アーティスト」と呼んで然るべき存在だと最近感じました。

 

そう考えると、未来のアニメ業界にはTAはとても必要な存在です。絵も描けて、動きも描けて、作監やデザインもできて、ソフトウェアやハードウェアの知識も豊富で、「描きたいこと・実現したいことをコンピュータの使い方や運用計画へと橋渡しできる」人は、これからの現場には必要です。

 

作画の経験と技量を持つTAだからこそ、現場の作画スタッフも信頼するのです。作画現場のTAの絵がヘタだったら、作画の人間が言うことを聞くわけもなく、軽くスルーされるだけです。

 

アニメの作画現場の場合、とにかく作画できることが、「作画のTA」の必要最低条件となるでしょうから、まずは旧来の原動画の作業でみっちり作画技術を習得する必要がありましょう。

 

その際、最初からペンタブ作画でキャリアを積めば、自然とソフトウェアの使い方を覚えて、より踏み込んだ理解へと進めます。ソフトウェアを単に使うだけでなく、ソフトウェアの内部構造、OSの仕組み、ネットワークの仕組み、スクリプトの習得など、アニメ制作現場のTAに必要な要素を獲得する際に、ペンタブ作画での経験は基礎となりましょう。

 

 

 

私はTAを名乗ったことはないですが(そもそもTAという言葉の中身を知ったのは最近なので)、振り返ればTA的なことを随分してきました。

 

では、これから先、TAやTDを名乗れば良いかというと、私の今の年齢と立ち位置から考えて、私のこれからすべきことはちょっと違うように思っていますので、肩書きは‥‥まあ、また何か考えます。

 

私は今後、作品の中核部分に関与し、「作品が生まれ出る構造そのもの」に関わっていくことになるでしょう。従来の技術基盤では収まらず、ワークフローのテンプレートもない、混沌とした状態から何を作りだしていくか‥‥という取り組みにおいて、決まった肩書きをあらかじめ用意することが無理だとも思っています。

 

 

 

混沌とした状態からこねて固めて何かが生まれた時、さらにそれを具体的な形へと洗練させる際に、アニメ制作現場のTAたちの出番となるでしょう。俺がTA、私がTAという先取の話ではなく、アニメ制作現場には専門に応じた何人ものTAが必要になっていくと思います。

 

まあ、そのためにも、紙で停滞している現状から抜け出し、ごく普通にペンタブで誰もが作画する状況へと移行しなければなりません。カットアウトの知識も必須となるでしょう。

 

日本におけるアニメの仕事を「まともな仕事」にするためには、コンピュータをとことん使いこなす必要があります。産業としての技術革新がどうしても必要です。アニメ現場のTAもその革新要素の1つです。「各種技術に長けたアーティスト」をちゃんと名乗れる技量のスタッフは、「今まで存在しなくても、未来には必要」です。

 

 

 

今、国営放送でアニメ現場の朝ドラがやっていますが、何だか「昔のアニメに別れを告げる」ような象徴的で運命的なものを私は感じます。

 

思い起こして懐かしんで、手を振って見送って、さよならを告げる。

 

‥‥ちょうど良い、ピリオドです。

 

2019年にアニメ制作を扱った国民的連続ドラマが放映されていることは、私は「時代の必然」だとも思ってます(‥‥まあ、番組の意図とはズレた認識とは思いますが)。

 

懐かしい時代にサヨナラをするのです。懐かしい時代は、安くこき使われた時代でもあるのですから。

 

懐かしい時代の制作システムを継承する以上、懐かしくも酷く辛い境遇からは抜け出せないでしょう。

 

「昔は良かったなあ‥‥」をしみじみ実感した後は、心を新たにして、未来のフィールドへ進む覚悟もできますよネ。(今以上に昔に閉じこもる人もいるかも知れませんけど)

 

 

 

未来、作業の価値が大きく変わるのは、動画作業だと思います。恐ろしく高騰するでしょう。ケタが変わります。変動単価制度も必須でしょう。

 

今までの「何千枚・何万枚」どんぶり勘定では動画作業を取り仕切ることは無理です。

 

動画に限らず全ての役職において、昭和の「使い捨て人材」感覚と決別し、新たなエコシステムとして制作現場を再建する時、様々な新技術の盛り込みが必要となります。その際に、作画出身のTAも活躍することになりましょう。

 

古きを懐かしみ別れを告げ、新しきへと進む。

 

2019年は、その第1歩になるのかも知れませんネ。

 

懐かしいものは懐かしいままで良いです。そのまま、そっと過去においておけばよいです。

 

今を生きる我々は、今を生き、未来を生きるために、新しい何かを探し出さねばなりません‥‥よネ。

 

 

 

 


紙の経験

私は紙と鉛筆で育った世代なので、アニメーターになるスタート地点に「紙の感覚を体得する」ことは必須であると、つい最近まで何となしに思い続けてきました。

 

しかし、ふと私のギター歴を振り返った時に、ガットギターから入門したかと言えば「否」です。生ピアノから入門したかと言えば、やはり「否」です。

 

極めて純粋なクラシック畑のギタリストになる目的でもない限り、エレキギターでギターを弾き始めて、その後にガットギターやエレアコに手を出すのでも、充分習得できます。

 

‥‥‥‥。

 

あれ??

 

なぜ、私は、生「紙」と生「鉛筆」にこだわっているんだろうか?

 

動きを習得する初期段階において、どうしても紙を通過しなければならない理由を、合理的に説明できません。

 

 

 

Procreateで原画を描くには、相当の原動画の実経験が必要です。なぜかというと、「パラパラマンガ」機能がないからです。前後のレイヤーのオンオフの簡易な動きの確認だけで原画が描けるくらいの「経験と慣れ」が必要で、実際に描く前に頭の中でプランが出来上がっている必要があるからです。「描いて動かしてみないとわからない」みたいなレベルではProcreateで原画を描くのは無理です。

 

ですから、Procreateで原画を描くには、原動画キャリアが最低でも5年くらいは必要です。

 

私は在学中(バイトです。一応)の16歳の頃から、それこそ今年まで(今年は凄く少ないですが)、作画の仕事として、紙に絵を描き続けてきたので、Procreateでの原画作業は紙からのフィードバックが大きいです。

 

しかし、クリスタ。

 

月々1000円のiPad版クリスタ。そして、Bluetoothのキーボード。

 

ショートカットキーを設定すれば、前後の原画に進む戻るの操作はキーだけで、簡易的な「パラパラ」動き確認が可能です。オニオンスキンもショートカットキー1発です。ムービーとして再生=絵をパラパラめくることも、ショートカットキーで可能です。

 

初学者が紙を使う最大の理由は、とにかく何度も何度もパラパラと絵をめくって動かして、動きの様々な性質を体の感覚へと同化させることです。

 

また、ブレない線、線の入り抜きなどの、描線のコントロールを可能にすることです。

 

‥‥‥。

 

iPad Proとクリスタで良くないか? それ。

 

 

 

ガットギターは、エレキギターよりもネックも弦も太く、さらには弦高も高いので、エレキギターより格段に音が出しにくいです。ガットギターでの経験は、エレキギターを弾く際の、プラス要素にはなるとは思いますが、ニュアンスが違いすぎるのもまた事実です。

 

ガットギターは決してエレキギターの上位互換ではなく、基礎構造は似ていますがほぼ別物と呼んで良いものです。

 

同じく、紙作画とペンタブ作画は、絵を描くという行為においては似ていますが、取り扱いは別物です。

 

思うに、どちらかを極めれば、紙toペンタブでも、ペンタブto紙でも、相当応用が効くでしょう。

 

中途半端な技量しか持っていないと、どちらを使っても不満ばかりを口にしやすいです。

 

 

 

たしかに、以前のペンタブは失笑を買うような製品もありました。昔のWacomの液タブは、お世辞にも良いものではありませんでした。「まだまだ遠い」と十数年前は思ったものです。

 

しかし、iPad ProとApple Pencilが登場して、iOSの優れたドローソフトがいくつも選択可能な今、iPad Proで絵が描けないのなら、当人のポテンシャルが相当低いか、極めて紙を愛し過ぎて融通が全く効かないかの、どちらかです。

 

これから先の未来。

 

新人のアニメーターは紙を経験する必要はあるのか。

 

実質的には「必要ない」と考えるようになりました。経験として損になるものではないですが、「必須と言える理由」を、少なくとも私は「合理的」に説明できません。

 

紙の感覚は、基本だから。

 

紙時代を経験した人間〜私も含めて、そう言いがちです。しかし、

 

紙の感覚って、具体的に何でしょうか?

 

基本とはどのような要素の集合体ですか?

 

これらを突き詰めて考えた時、どうやら「自分がそれで育ったから」という当人の経験則からの「強いバイアス」が作用し、他の方法が単に思いつかないから‥‥という理由であることに、いまさらながら、気づきました。

 

つべこべ言う前に、枚数をいっぱい描かなければ、上達しない。

 

‥‥うん。それは紙でもiPad Proでも共通です。iPad Proで、それこそ何万枚も絵を描けますよ。紙じゃないといっぱい絵を描けない‥‥なんて、子供の頃に紙しかなかった人間の単なる思い込みなのです。

 

「紙じゃないとガシガシ描けないじゃん」‥‥というのも思い込みです。iPad Proでもガシガシ絵は描けます。Apple Pencilのペン先は1ヶ月ももちません。

 

まあ、架空の話でしかないですが、もし私が現代に生まれて、最初からiPad ProとApple Pencilがあれば、紙と鉛筆を必要とせずに、上達できると思います。

 

紙じゃないと夢中になれなかった‥‥なんて単なる勘違い、思い込みです。ツールはその時代が与えてくれるものです。

 

私が2010年代に生まれたのなら、子供時代からApple Pencilに夢中になって、山ほど絵を描くことでしょう。

 

 

 

なぜ、今こんなことを考えているかと言うと、絵を描くアニメの制作技術において、「根本的な思想」の「世代交代」が必要だと痛感しているからです。

 

紙と鉛筆を神棚に祀って、神頼みしている場合ではないのです。

 

過去の軍神の思い出話よりも、現代をリアルにどう生き抜くか。

 

未来なんてどうでも良いと思うのなら、過去に生きる人たちで寄り合えば良いです。

 

未来を志すのなら、全世代が未来を共生する現場を作りましょう。

 

共生とは、共に死ぬことではありません。

 

共生とは、共に生きることです。

 

 


17

現在、私の作画作業の主力は、デジタル作画をクリスタ、カットアウトをHarmony Premium(以後、ハーモニー)に定め、日々の作業で習熟を進める毎日です。

 

Toon Boomは、新バージョンの17が発売され、キャンペーン価格で年額サブスクリプションを導入できます。詳しくはToon Boomのサイトで。

 

私がハーモニーを使う際のターゲットは、もちろん4K。さらには、クリスタもハーモニーもベクタートレス線を基本にしています。

 

ビットマップは下書きに留め、清書はベクタートレス線で、4Kの解像度に最適なニュアンスで描きます。

 

ハーモニーは他のアニメ用ドローソフトと比べて格段に高価ですが、それだけの価値を秘めています。逆に言えば、カットアウトやベクタートレスなど、ハーモニーの抜きん出た機能をたっぷり旺盛に使いこなさなければ、値段の高さだけが気になるでしょう。

 

ハーモニーは次世代のアニメ技術を猛烈に意識して、実際に次世代技術を主力として使いこなすことで、その価格の真価が発揮されるソフトです。

 

その高価さゆえに、学生時代からハーモニーを常用することは日本では中々難しいでしょう。ゆえに、学生時代は、クリスタで山ほど線画を描いて色も塗って、新人としてアニメーターになった後もクリスタで山ほど原動画を描き、体の中に動きの経験と知識を叩き込んだ後で、ハーモニーへと進むのが肝要と思います。

 

日本のアニメ会社も、やみくもにハーモニーを導入して宝のもちぐされにするよりも、「枚数無制限」の新概念の強力なツールとして明確に認識し、適切なスタッフ育成をおこなうべきです。金は有意義に使わなくちゃネ。

 

クリスタとハーモニーの「ローコスト&ハイコストミックス」。

 

明確に使用用途を定めた運用スタイルは、ずるずると色んなソフトに手を出してどっちつかずのコスト垂れ流し運用より、結果的に大きな差が出てくると思います。

 

ハーモニーは彩色作業にも関わってくるので、色彩設計さんも重要な存在となります。おそらく、未来の彩色スタッフは、旧来作画と新式作画の両方に対応する「両刀使い」の能力が求められていくでしょう。もちろん、報酬における旧来の慣習は「仕切り直し」で、新しい時代に相応しい金額設定が必須となります。作画も彩色も、旧来の低価格設定から抜け出す機運となりましょう。

 

 

 

私はAfter Effectsを20年以上使ってきました。ほぼ毎日使って、After Effects漬けの日々だったがゆえに、自分の手足のように使えるようになりました。「映像の言語」がAfter Effectsの機能やスクリプトであると言っても良いくらい、体の一部です。

 

同じく、これからはクリスタとハーモニーを毎日使って、自分の体の一部に取り込んでいく所存です。iPadを使う時は、ProcreateとFresco(まだリリースされてませんが)も依然として強力なツールとして使い続けるでしょう。

*現在、Procreateのレイヤー数上限にちょっと困っていて(4K以上だと少なくなるのです)、バージョンアップでの改善、及びFrescoに期待してます。

 

ちょうど本格的に始めた時期に、ハーモニーのバージョン17がリリースされてタイミングがよかったです。

 

新しい時代は、色んなテクノロジーが集中して開花するので、道に迷うことも多いですが、突破口も見つけやすいです。

 

頑張りましょう。

 

 


機材環境は誰が買い揃えるのか

未来のアニメ映像制作を語る際、よく耳にするのは、「パソコンやタブレットは誰が買うのか」という話題です。

 

まあ、たしかに、パソコン一式、タブレット一式、そしてソフトウェアの維持費は、相当お金がかかります。

 

ぶっちゃけ、フリーランス作業者の今の金銭感覚=報酬の状況では、「制作会社がもつべき」と言いたくなる気持ちは判ります。

 

しかし、仮にA社が環境一式をフリーランス作業者の自宅に供給したとして、その作業環境は純粋にA社の作品作業だけに使用されるわけでは‥‥‥‥‥ないですよネ。正直な話。

 

A社、B社、C社の仕事を掛け持つ場合、まさかABC各社が折半でフリラーンス作業者の作業環境機材費を出費する‥‥なんてあり得る訳もないです。会社は3社以上に沢山存在するわけですから、現実としてあり得ません。

 

●ABCD各社が機材を折半

 

●各社がそれぞれ自社調達の機材をフリーランスの自宅に持ち込む

 

*両方とも、想像できない状況ですネ。

*各社が折半すると、A社の仕事が終了すると同時に、モニタだけが回収されて困りますわな。

*さらに、1社の中でも「制作班」ごとで「どの班が出費するか」揉めたりしてネ。

*つまり、上図のような、あり得ない状況を予測するだけ時間の無駄です。

*自宅作業のフリーランスが容易に成立したのは、紙と鉛筆だったから‥‥ということを、今一度、認識しましょう。

 

 

 

「事業主」の観点でいえば、事業に必要な環境設備は、事業主が調達するのが基本でしょう。

 

つまり、

 

会社に席を用意してもらって作業する場合は、その会社もち。

 

自分の自宅が作業部屋の場合は、自分もち。

 

‥‥と言えるでしょう。

 

「ふざけんな。パソコンやタブレット一式を自前で維持して定期的に更新できるほど、作画のギャラは高くねえだろ!」

 

‥‥というのは、確かにその通り。

 

フリーランス=個人事業主が環境設備を揃えて維持した上で、単価4000〜4500円のテレビシリーズ単価のまま「デジタル原画作業」などやってられないですよネ。

 

じゃあ、どうするのか。

 

単価を上げるしかないでしょ。

 

フリーランス自宅作業者に対するデジタル作画の単価は、作業環境機材を調達しないで済むぶん、上げて然るべしです。

 

‥‥だって、作業環境の維持費は紙と鉛筆より格段に高価なのですから。

 

ただし、紙作画の作品に対し、個人の都合でデジタル作画で作業する場合は、単価は上がらないでしょう。紙にむりやりタブレットをねじ込むと、運用に手間がかかりますから、無条件にデジタル作画が好遇されるとは限りません。

 

 

 

で、問題の核心は、未来の運用。

 

現在の、紙運用の作品が大多数の中で、デジタル作画の環境設備費を単価へと計上することは難しいです。

 

しかし、世界の映像技術進化に合わせてアニメ業界もレベルアップが必要になった際は、状況が180度反転して変わります。

 

デジタル作画のフリーランスや他社など「アウトソーシング」に対しては、ちゃんと環境設備費を考慮して、報酬の上乗せが必要です。アウトソーシングの場合、当該アニメ会社は何ら作業環境への出費をしていないのですから、上乗せは当然ですし、作業を請け負う側も要求して当然です。

 

 

 

今までのアニメ業界の標準設備は、買ったら一生物の机、紙、鉛筆、その他いくつかの筆記具で済んでいたがゆえに、アニメーターを安い単価で買い叩くこともできたのでしょう。環境設備に対して、アニメーター側も報酬に含ませて計上することが、実質できませんでした。

 

しかし、3DCGのレンダーファームほどではないにしろ、例えば、iMac、4K液タブ、iPad Pro、Adobe CCやClip Studioなどのサブスクリプションを、フリーランスアニメーターが負担するようになれば、今までの作画単価で作業を引き受けることは、絶対にありえませんよネ。そんなことをするアニメーターがいたら、よほどのお人好しか、無知かの、どちらかです。

 

そうなると、フリーランス作業者だけにとどまらず、アニメ制作会社の根本的な運用方針・生産体制が問われることになりましょう。

 

安い報酬設定で誤魔化し誤魔化し作ってきた会社は、立ち往かなくなります。

 

 

 

でも、それで良いんじゃないですか。

 

ほうぼうで、ブラックブラック言われ続けるアニメ業界の、自浄作用になるのなら、またとない転機です。

 

深夜テレビアニメは、QCがユルいのをいいことに、作画崩壊も御構い無し‥‥みたいな状況が恒常化するのなら、どこかで終わりにして、新しく再出発しないとさ。

 

アニメ業界人は、ブラックから抜け出したいのか、ブラックだから身を潜めてられるのか、どちらかハッキリしたほうが良いです。

 

 

 

デジタル作画を発端とした、ペンタブ作画・ペーパーレスのこれから先の未来展開は、アニメ業界を大きく揺さぶって個々を選別する、「ふるいがけ」の展開とも思える今日この頃。

 

「機材環境は誰が買い揃えるのか。」

 

事業を展開しようとする「主」が買い揃えることに、意見の相違はないでしょう。個人だろうと団体だろうと、事業主が環境を揃えるのが基本です。

 

その代わり、今までとは違う収益モデルを目指して実践し、ちゃんと維持費を作業報酬に計上するのです。もちろん、分配計算、割合を算出して‥‥です。

 

アニメ会社も、作業環境費をちゃんと考慮した、新たな報酬設定を問われる未来が、徐々に、そして確実に近づいている認識が必要です。

 

「抜け駆けする奴もいるのでは?」と思うでしょうが、コンピュータの「金食い悪魔のチカラをナメるな」です。紙時代のように抜け駆けできるほど、コンピュータ関連の維持費は甘くないですヨ。

 

制作費が全体にアップするということは、納品先でのQCもかなり厳しくなっていくことでしょう。高い金を払って、作画崩壊作品なんて、クライントが許容するわけないです。

 

「いい加減」に作品を「転がしてた」今までの感覚は、ペーパーレス時代においては、個人も会社も淘汰されていくことと思います。

 

 

 

「機材環境は誰が買い揃えるのか。」

 

ちょっと考えれば判るようなことを、延々と決められずに議論が進まないような状況が、まさに協会団体の弱さの本質です。お歴々が集まって、お互いの腹を探り合って、煮え切らない態度とリーダーシップの欠如に甘んじているのが、ひいてはアニメ業界の弱さそのものです。

 

まあ、CS6にとどまる理由も結局、「金」ですよね。

 

お金が沢山かかることを腹の中に隠して、もっともらしく口先の上辺で議論しようとするから、ちょっとした決断もままならないのです。

 

忖度会議を招集しても、何も決議できんすヨ。

 

戦後70年以上が経過して、アニメ産業そのものが「おじいちゃん」になって、そろそろ「引退」の感の強い、2019年現在。

 

本当に、戦後のアニメ業界から生まれ変わる「正念場」ですネ。

 

 


紙の立場

もし、未来のペーパーレスの現場を作る時、たとえどんな理由でも、「紙を1枚でも」使ったら、その現場はなし崩し的に紙データ化の運用に引きずり込まれて、頓挫し破綻するでしょう。

 

ペーパーレスの現場において、紙を使うスタッフは1人も招き入れてはダメなのです。

 

どんなに才能があろうと、紙を使う人間がペーパーレスの現場に混ざると、それが発端となり、ペーパーレスのワークフローは複雑なフローへと変質し、紙運用よりも劣る結果となります。

 

ですから、ペーパーレスのワークフローは、実はとても厳重な管理が必要なのです。ペンタブを導入してクラウドを設定するだけで終わる手軽なものではないです。

 

ペンタブで器用に絵を描けたからといって、ペーパーレスが実現するほど、制作運用は簡単ではありません。

 

それこそ、スキャナとプリンタを廃棄するくらいの度胸と覚悟と勢いが必要です。

 

もし、どうしても伝票等で紙が紛れ込むのなら、その部分を明確にフローとして定義します。予想していない部分で、ほんの一部だけ、なんとなく紙に戻った‥‥なんて、管理者・統括者の敗北そのものです。許容するのなら限定的かつ明確に許容する、事前のワークフロー設計が求められます。

 

 

 

現在、私らが主導で進めるワークフローは、デジタル作画周りでどうしても伝票で紙が発生しています。しかし、あらかじめ紙の伝票取り扱い部分は想定して設計しているので、大事には至りません。

 

作画そのものに至っては、紙は1枚も存在していません。もし作画で紙を用いるようなことがあれば、仕切り直して、違う方法論をも模索するでしょう。

 

もしスタッフの中に紙じゃないと作業不可能な人がいるのならば、人選からやり直す必要があります。

 

まあ、多くの場合、ペーパーレス体制が崩れる原因のほとんどが、人選ミスだとは思います。

 

 

 

ペーパーレスの優位点はまた別の機会で書くとして、紙を媒体とせずにデータを媒体とする運用の効能は、未来の制作現場の必須要素です。紙を使わないからこそフローする現場の強みを、ツール視点ではなく産業視点で活かすのです。

 

将来、数少ない「手作りの紙アニメ」としてニッチな商売は可能かも知れませんが、紙運用は確実に主流から外れていきます。

 

もしかしたら将来的には、回収運送料、スキャン料、紙保管料など、様々な紙取り扱いの手数料が、作業単価に影響することすら考えられます。紙の手間賃が単価から引かれるのか、デジタル作画に環境費として上乗せされるのかはわかりませんが、3DCGが様々な作業環境維持費を制作費に計上するのと同じく、紙はマイナス、ペンタブはプラス‥‥というような状況が発生しても不思議ではないです。

 

個人事業主は自費で環境を揃えて複数の会社から作業を請け負うでしょうから、2020年代の未来には環境維持費を単価上乗せ要求しても良いんじゃないですかネ。個人事業主が毎年10〜20万円近い機材維持費相当を払って、しかもペーパーレスでストレスフリーのコストパフォーマンスに貢献しているのなら、それなりの優遇措置が得られても当然でしょう。

 

今のところ、紙とペンタブで単価に差をつけている事例は聞いたことがありませんが、2020年代のさらに厳しくなる社会においては、どうなることでしょうね。

 

ちなみに、私はペーパーレス作画以外考えていないので、私ら主導の作品作りにおいては、差も何もありません。最初からペーパーレスの作業報酬設定です。紙時代の単価はあまりにも安すぎますからネ。

 

 

 

紙と鉛筆で生きてきた過去ばかりを見つめ続けても、未来など見えません。

 

現役を貫くのなら、時代の進化に柔軟に対応してこそ、です。

 

 



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