プロレズ

WindowsでもProResが使えるようになったとのこと。

 

アドビは、本日Adobe Premiere Pro 13.0.2のアップデートを提供開始しました。今回のアップデートではなんとWindowsでの ProRes書き出しに対応。この対応を待ち望んでいた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

https://blogs.adobe.com/japan/video-december-2018-premierepro-cc-releases/

 

正確には、Adobe製品の特定ソフトウェアでProResが書き出せるようになっただけみたい‥‥ですが、意義は大きいです。ProRes4444はHDR時代の標準画質とも言える性能を持ちますからネ。

 

ただ、4444XQは現バージョンでも非対応。12bitの深度をもつXQは、特にPQカーブを扱う際には、必須となりましょう。After EffectsからXQが出せるようになると手間が省けて良いんですがネ。

 

*ProRes4444XQはまだリストにはないみたいです。

 

 

 

2018年12月現在の最新版After Effectsのアップデート、つまりバージョン16の「ProRes4444のアルファが反映されないバグ」が治っているかも含め、検証してみました。

 

*文字を赤くしておいたほうが見やすかったですネ‥‥。

 

 

ハイ。フィックスしたようです。ちゃんとアルファが反映されてます。CC2019の使用停止措置が解けます。

 

 

ちなみに、最近のAfter Effectsは、OS管轄のQuickTimeライブライリに依存せずに、独自のライブラリに格納しているようです。ゆえに、WindowsでもProResを供給できるようになったのかな?

 

まあ、AppleはWindowsにもPreResを供給したほうが良いと、前々からこのブログでも何回か書いて来ましたし、FinalCut離れが進む現在においては、ProResをAppleの「専有」にする必要も薄れてきたと思います。

 

DNxHRも良いけど、あのディザ処理は余計かな‥‥と思います。WindowsでProRes4444が使えるようになったのなら、アニメ業界もいつまでもアニメーション圧縮のロスレスとか旧時代のコーデックではなく、ProRes4444の運用も考えたほうが良いですヨ。アニメーション圧縮はDVD時代の定番コーデックで、今ではギリギリBD(2K)に使えるくらいですから、4KHDRのUHD BDとか配信を見据えるのなら、ProRes4444の選択肢が「現実的」です。

 

PremiereでもDaVinciでも使えるし、DPXやTIFFの10〜16bit連番に比べて見分けがつかないほど綺麗ですし、無理に2Kでアニメーション圧縮を使うより容量は格段に小さいですし、どこにも拒絶する必要はないですよネ。ビデオレンジ(Full=Limitレンジではなく)に気を使えば、PQカーブもこなせますヨ。

 

 

あと‥‥。

 

ProResはどう読むべきか、カタカナで教えてください。Appleさん、Adobeさん。

 

プロレス? プロレゾ? プロレズ?

 

‥‥私は「プロレズ」を今のところ使ってますが、ポスプロや実写の現場では、色々な呼び方を聞きます。

 

4444も、「よんよんよんよん」「よんよん」「フォーフォー」「フォーフォーフォーフォー」「フォーバイフォー」と色々と聞きますけど、どれが良いかわからないので、アニメ世代の私は「999=スリーナイン」によろしく「フォーフォー」と呼んでます。

 

 

 

 


サブスク

サブスクリプションは、最新版を常に使用できる利点があります。「買い切り購入スタイル」では、最新バージョンに更新するにはその都度出費が必要ですが、サブスクリプションでは常に新しいバージョンを維持し続けられます。私はAdobeをはじめとした絵&映像のソフトウェアの維持に、公私共々、相当苦しんできたので、サブスクリプションは願ってもいないソリューションでした。

 

例えば、私はAdobe社のソフトウェアで言えば、

 

After Effects

Photoshop

Dreamweaver

Illustrator

Premiere

 

‥‥あたりを常備したいのですが、買い切り&都度バージョンアップの方法では、まず買うのに、

 

After Effects=10万

Photoshop=10万

Dreamweaver=5万

Illustrator=8万

Premiere=6万

*おぼろげな記憶なので、正確な価格ではないですが、ほぼこんな感じでした

*定価が安くなった頃の価格でこのくらいで、20年以上前はAfter Effectsだけで20万円くらいしました

 

‥‥くらいのコストがかかり、バージョンアップに、

 

After Effects=12000〜25000円

Photoshop=12000〜25000円

Dreamweaver=12000〜25000円

Illustrator=12000〜25000円

Premiere=12000〜25000円

 

‥‥をほぼ毎年のように繰り返していました。ゆえに、「バージョンアップできない」ソフトウェアが出始め、どうしても最新版を維持したい「After Effects」「Photoshop」だけは何とかマイナー・メジャーバージョンアップに毎年出費していました。メジャーバージョンアップが重なると出費はキツくて、自宅の場合は5万円をドカンと自腹で出費していましたし、会社の場合は「バージョンアップの必要性」を説き伏せて何とか維持していました。

 

ゆえに、DreamweaverやIllustratorなどは、旧バージョンのままで我慢せねばならず、最新のOSや規格に適合できないソフトウェアもちらほら増えていきました。

 

Adobe製品だけで、この大変さ。‥‥他の製品を含めると、かなりの額を出費していました。

 

ハッキリ言って、買い切りは辛かったです。ソフトウェアを含めた総合的な環境を、まともに更新してメンテしようと思えば特に、です。

 

ですから、アニメ業界のAdobe製品がCS6止まりで、最新版に更新できない会社が存在していても、不思議では無いです。容易に状況は想像できます。

 

 

そして、サブスクリプションが登場しました。私には願ってもないソリューションでした。たとえ、年額6万かかろうと、常に全Adobe製品の最新版を維持できて、OSのバージョンアップにも新しいコーデックにも対応できるからです。

 

Adobeはサブスクリプションを開始する前の頃、「毎年何らかのバージョンアップをする」と宣言しており、傍目から見ても「維持にお金が必要なんだろうなあ‥‥」と感じていました。「開発にはお金がかかり、世間の技術進化に歩調を合わせるためには、継続的な収益が必要」なんだろうなと、ごく自然に感じ取りました。

 

つまり、ソフトウェアを使う方も、提供する方も、一蓮托生、運命共同体のようなところがあるわけです。

 

例えば、自動車。‥‥購入するのに、150〜300万円も支払いますが、それで出費は終わりではないですよネ。必ず、古くなって痛んでくるので、メンテにお金を少なからずユーザーは投入しますし、自動車産業も「自動車のライフサイクル」があるからこそ商売として成り立ちます。

 

もし、「俺はこの車を買うのに、300万円も出費したんだ。以後、どんな故障があっても、無償で修理して、常に新品の状態をメーカー側でケアしろ」なんて言い始めたら、産業・商業は破綻して成り立ちませんよネ。

 

自動車だったら、そんな無茶なことはユーザーサイドでも言い出しませんが、なぜか、ソフトウェアは「買ったら、以後はタダで維持できる」と思う人も少なからず存在します。ソフトウェアの劣化は、目に見えにくいので、実感がない‥‥‥のでしょうかね?

 

 

‥‥で、「お金がかかるから」という理由で、環境を更新しないままで営業し続けているのが、「数兆円規模の市場」を支えるアニメ業界だったりします。

 

メンテもできないほど古くなった自動車で走行して、色々な現代的な機能・サービスも導入できず、公道で渋滞を巻き起こすような状態でも、お金の問題でどうにもならない‥‥のでしょう。

 

ぶっちゃけ、なぜ、Adobe CCの最新版をアニメ制作団体や個人は、使わない人が多いのか?

 

金‥‥ですよネ。

 

CCのサブスクリプションを毎月支払うのも金。最新版のソフトウェアが動作するようにマシンや周辺機器を買い換えるのも金。金、金、金の問題です。

 

でもさ。これから先の未来、いや‥‥今までだって、産業・商業として必要なお金だったんですよ。ソフトウェアの環境維持のコストは。

 

それをずっと後回しにして省いて、今まで来てしまって、サブスクリプションを受け入れられない体質を自ら作ってしまっていたのです。

 

今後、サブスクリプションは、絵や映像でプロとして食っていくための、いわば「ライフライン」なのです。ライフラインが止まったら、生きていけないですよネ。電気代にお金がかかるからと言って、電気を止めるわけにはいかんでしょ。

 

つまり、生きるのに必要なコストとして、サブスクリプションのソフトウェア形態を捉える必要があります。プロのライフラインならば、ね。

 

 

 

「なぜ、そんなに大変なんだ。昔のままでアニメを作れば、それでいいじゃないか」

 

‥‥と言いたくなる気持ちもわからなくもないです。だったら、紙に描いて、トレスマシンでセルに転写して、絵具で塗って、フィルムで撮影して、テレシネすれば良いです。

 

「デジタル」でも、ライセンスサーバが導入される前のAdobe製品群で、Windows98やMacOS9を使い続けて、「外界と遮断したスタンドアロンの環境」で制作すれば良いです。

 

そのかわり、フィルム撮影台ならば、クロス引きに制限はあるし、特定のセルだけ拡大縮小の撮影なんてできないし、ペイント色のブレンド(セレクトブラー)なんて無理だし、旧時代の「デジタル」なら720x486=D1程度の「ミニサイズ」で作るのが妥当です。

 

都合の良いところだけ「デジタル」に頼って、都合の良いところだけ「現代の映像技術」にのっかって、都合の悪い部分だけ「昔のままで良い」なんて、成立しないのです。

 

昔のままの環境で作って、2KSDRまでしか対応できなくても、誰も文句は言わないですが、確実に時代のギャップは広がっていき、やがて忘失の彼方に消えていくでしょう。「おじいちゃん、おばあちゃんの頃は、アニメを手で描いてたんだよ。今とは比べ物にならないほど古い品質だったけどねぇ。最近のテレビアニメは手描きではなくなってしまったねぇ‥‥」と思い出話にしたい人がいても、誰も止めることはできないでしょう。

 

しかし私は、アニメをそうした「過去の産物」にはしたくないです。「数兆円規模の市場」なんて言われても、何の未来の保証にもならないのは、古今東西のアレコレを見ればわかりますよネ。どんな規模だろうが、廃れる時には廃れます。でも、私は廃れさせたく無いし、消滅させたくもないです。

 

時代とともにアニメが進化して生き続けるためには、「今まで作りかたで十分だ」なんて言ってたら不可能です。「今までの作りかたから変えていく」からこそ、時代の新しい技術を、アニメの血肉として吸収できるのです。

 

手で絵を描くのを止めたくないのなら、人間が絵を描く「未来の技術」を、新しい映像技術とともに生み出していくことは必須です。

 

 

 

CS6で停滞するのは、「昔のまま変われない現場」「どんどん古くなる現場」の象徴です。古い体質を変えられない人々を、CS6がまさに代弁しています。

 

CCをはじめとした各種サブスクリプションに対応できるのは、新しい制作体制・体質の象徴です。ソフトウェアの維持更新を「制作のライフライン」の「負荷」ではなく「推進力」として取り入れて、新しい技術で新しい現場を形成し、未来を掴もうとする意欲の表れと言えます。

 

アマチュアの人なら、「買い切り」で古いバージョンのまま、好きなように自分の趣味の範疇で作れば良いです。

 

でもプロフェッショナルで、現代の映像技術の体現者であろうとするのなら、それ相応の覚悟と度胸、技術と経験と知識、そして作業環境は必要になるでしょう。

 

 

 


0枚目、1フレーム目

コンピュータの流儀に合わせて、原画動画の1枚目を、「0枚目」と言うわけにはいくまい。同じく、現場のタイムシートが1コマ目から始まるからと言って、タイムコードを「0:00:00:01」から始めるのは違和感たっぷりで気持ち悪いです。

 

描いた絵、塗った絵は、1枚2枚‥‥と数えたいし、タイムコードは0スタートにしたいです。配列のインデックスも「Array[0]」で0からカウントしたいです。

 

なんか、フィルム・紙時代からの現場とコンピュータとの根本的な齟齬を象徴しているように思えます。

 

毎日コンピュータをいじって仕事をする私でも、まさかAセル1枚目のTargaファイルを「a-0000.tga」とか命名しないです。一方で、タイムコードは絶対に0スタートにしたい=24fpsで「0:00:00:24」とか表示されると頭が一瞬固まりますし、コンピュータプログラムでの数え始めを1にしたいからといって[null, 1, 2, 3, 4, 5]なんていう配列は作りません。

 

0スタート、1スタートの齟齬を解消するために、どちらかどちらかに合わせるのは、基本的に無理があります。

 

双方の事情、今に至る経緯を理解して、両方の流儀を受け入れる必要がありましょう。

 

アニメの現場って、撮影セクションに至るまで、結構「1スタート」の習慣が根強いです。たまにAEPを受け継ぐと、タイムコードが1フレームオフセットされていて、混乱することがあります。まあそれ以前に、フレーム数表示にしてあることがほとんどで、「アニメの現場はタイムコードを使わない(編集以降を除く)」と言っても過言ではないです。

 

でも、絵を連続で描いたり塗っていた段階を抜けて、ムービーとして扱い始めたら、「郷に入っては郷に従え」であって、タイムコードに慣れるべきだと私は思っています。ビデオファイルになったら、タイムコードに頭を切り替えないと、「他の映像ジャンル」の人々とズレが生じます。

 

1コマ目は0フレーム目。

 

コマはタイムシートの用語、フレームはビデオフォーマットの用語…として、完全に切り分けたほうが良いです。コマとフレームの用語をルーズに混在させると、

 

アニメ現場しか知らない人:「1秒12フレーム目から云々」=コマをフレームの同義として混在させて喋る

アニメ現場の慣習に疎い人:「0:00:01:12」=1秒11コマ目だと受け取って勘違いする

 

…のようなこともありましょう。

 

なので、まずは「タイムシート」で喋っているのか、「タイムコード」で喋っているのか、基本的な確認をしつつ、「コマ」「フレーム」の使い分けを徹底して、念押しで、指示・指定のやりとりに用いるムービーファイルには以下のような表記を映像画面に刻印しておくのが良いでしょう。

 

*24fps、6秒シートの場合

*「7+12は7.5秒だろ」というのは「デュレーション」の場合の読みかたです。‥‥これもプチ混乱の元ですネ。

*「7秒12コマ目」と「尺が7秒12コマ」と言うのでは、実は認識が1コマずれるんですよネ。After Effectsエクスプレッションで言うところの「isDuration」の真偽値です。

 

アニメ業界の現場は、「コンピュータを基盤としたビデオファイルを扱っているんだ」という意識を、これから先の未来は原画マンであっても持つべきです。なぜって、少なからずムービーフォーマットのファイルを、自分の原画の動き確認で扱うようになるわけですから。‥‥その時にいつまでたっても「1スタートオンリーの数え方」ではタイムコードとの齟齬を抱えたままになります。

 

要は、タイムコードにアニメの作画現場も慣れましょうヨ‥‥ということです。

 

そのかわり、「枚数」の1枚目は「0枚目」ではなく、あくまで「1枚目」でカウントを始めれば良いです。何から何まで0からスタートする必要はないです。

 

どちらかが「オレに合わせろ」と踏ん反り返るのではなく、双方が柔軟に歩み寄れば良いだけです。歩み寄って理解を示せば、齟齬は軽減されるでしょう。

 

まあ、状況を鑑みるに、アニメ業界の現場に今後、数多く必要になるのは、コンピュータやムービーフォーマットへの歩み寄りでしょうネ。

 

 


5.1.2、7.1。

私の作業場・職場には、それなりに良い音を鳴らせる環境を揃えています。まあ、作業部屋であって、音響専門ではないので、あくまで「それなり」ですが、2.1ch=Stereo2チャンネルとサブウーファーを、3種類のスピーカーで鳴らし分けるルーティングをおこなっています。

 

しかし、今や映像は5.1chがスタンダード。日本はそうでもないと聞きますが、欧米では5.1は標準だそうです。

 

で、色々ありまして、作業の音場を、2.1から5.1へと拡張する計画を1〜2ヶ月前から考えています。

 

最初は廉価な価格帯の5.1でいいかと思ってたんですが、ATMOSにも対応しとこうかと思って、ワンランク上のAVアンプ(と言っても、5万円以下)を考えています。「5.1.2」または「7.1」のスピーカー構成・配置が可能になります。

 

YAMAHAのRX-V585

 

DENONのAVR-X1500H-K

 

 

5.1.2とか、私個人レベルでは未知の設置です。立体音響=右左前後上下の音響は以前にDTSのデモで聴いたことはあるのですが、自分で設置するとなると中々に怖気付きます。

 

フロントハイトスピーカー‥‥とか、ドルビーアトモスイネーブルドスピーカーとか‥‥。

 

でもね。これからはこうした音出し環境も必要になります。市場は日本のアニメマニアオンリーではなくなってくる‥‥のですから。

 

 

モノラルスピーカーは0次元、ステレオLRは1次元、フロントLRとリアLRでようやく2次元、上のLRを足してようやく3次元の立体音響になるのは、2010年前後にデモで体験して「目から」‥‥いや「耳から鱗が落ちる」思いでした。

 

大学や専門学校の教育機関でも、未来はちゃんとした映像リファレンスモニタと立体音響を用意して、中途半端で雑な技術指導から脱すべきとも思います。ましてやアニメ制作会社においては、プレビュールームにリファレンスモニタと立体音響を設置するのは必須だと思います。

 

金をできるだけかけない、必要なものさえ省く‥‥という悪習から、まずはアニメ制作の総本山たる制作会社=映像のプロ集団が実践していくべきでしょう。‥‥現状ではなかなか難しいのはわかってますが、「数兆円規模の市場を生み出している現場」なんでしょ? 安作り、投げ売り、消化試合なんて、いつまでもやり続けていては未来は見えてこないですヨ。

 

今、私が関与している新しい映像品質の仕事は、新しい皮膚が空気に触れるだけでヒリヒリ痛むかのごとく、生まれ変わりの苦しさがいっぱいです。しかし、だからといって、いつまでも過去の殻・羊水の中に閉じこもっていても、新しい風が吹く未来を生きてはいけまい。

 

業界の窮状を訴えて、周囲の人たちの認識を変えてほしいのなら、新しい時代に合わせて自分たちも生まれ変わらないとネ。1980年代〜2000年代を引き合いに出して、作り方は昔のままで、お金だけ現代的・未来的に‥‥なんて言ったところで、どうにもならんス。

 

 

 

ステレオ2chはそれはそれで良いです。

 

新しく5.1.2の世界も手弁当ながら導入しようと思っています。

 

 


ご無沙汰です

忙しくて首が回らないス。ゆえに、ブログを書くこともままなりません。まあ実際は、時間の余裕よりはメンタルの余裕のほうが、文章を書くことに影響するようです。

 

HD=2KからUHD=4Kへ、SDRからHDRへ、24コマからそれ以上のコマ・フレーム数へ‥‥と、技術が進んでいく中、日本のアニメ現場の状況は深刻な要素だらけで、途方にくれます。技術も人も機材もお金も時間も、何もかも足りて無いことを、この数ヶ月で他人事でなくリアルに実感しつつ、一方でアニメ業界・現場の「どうにも抜け出せない停滞」も肌身で感じています。


運命は自分で切り開くものでしょう。ただ、自分の行動だけで世界を変えられるほど、世界は軽くもなければ柔軟でもなく、諸事情が絡みに絡んで現実が紡ぎ出されていきます。

 

「前に進める」「生き残れる」かは、まさに「総体的な運命」次第だと、より強く思うようになりました。

 

 

日々のリアル=現在未来の現実を作り出していく経緯において、現場全体の旧来の技術や作業習慣や意識が、あまりにも未来の動向とかけ離れているのを間近にひしひしと痛感すると、ニュースでいくら「数兆円の市場規模」と言われても、一層の違和感が目立つだけです。太平洋戦争の際の軍需産業の活況は、日本の明るい未来を保証していたのか?‥‥誰もが歴史で知る通りです。

 

私が「旧来から未来へ」の取り組みの中で、最近、悲観的な要素として特に再認識したのは、以下の通りです。

 

●紙に依存し続ける意識

 

紙と鉛筆は今でも優れた道具・手段だと思いますが、デジタルデータで映像を作りだす作業工程にはあまりにも厄介な存在です。

例えば、大判作画・拡大作画で大きな紙に絵を描くのは、多大な作業コストの浪費です。iPad Pro 12.9やCintiq Pro 13なら、どんなに大判作画をしても13インチより道具・作業段取りが大きくなることはありません。16や24インチの液タブでもそれ以上のサイズにはなりませんが、紙の大判作画は大きいサイズに歯止めが効きにくいです。

紙から離れられないのであれば、未来の4K8K映像世界には根本的に対応できません。A3用紙をスタンダードにするのは無理ですよネ。

 

●旧式フォーマット&ソフトウェアに縛られ続ける現場の実情

 

DCI-P3、BT.2100、300〜1000nits、PQカーブと言った新しい映像の基準を前に、アニメ制作現場の技術基盤はあまりにも旧式です。

TGA(=TGAは1984年のフォーマットです)は8bit止まり、PNGとTGAはプロファイルを持てないフォーマット、クリスタはプロファイルの運用が可能な一方で16bit非対応、スタイロスとペイントマンは今でも広く使い続けられていますが、旧式なTGAやPNGがベースになっています。

クリスタの開発で頑張っているセルシスさんを悪くは言いたく無いですが、セルシスソフトウェアの足りていない部分が、今までの現場の技術停滞に直に影響してきましたし、未来の現場にももろに影響するでしょう。セルシスさんには4KHDRは当然のこと、大袈裟な話ではなく8K120pまで見据えたロードマップを描いて頂きたいです。現場の現状の打算にまみれないでほしいです。

絵や映像を作り出すソフトウェアが、Dolby Visionなど12bit時代の映像産業をリアルに意識しなければ、ソフトウェアを使う作業者はいつまでたっても新時代の映像フォーマットを用いて作業することができません。

 

●そして金。

 

AdobeのCS5〜CS6を使い続けているのは、まさに「金がない現場の象徴」です。数兆円規模の市場を支える現場が、なぜ、Adobe CCを導入できない? なぜ、サブスクリプションを受け入れる体力が制作会社にないのでしょう?

ソフトウェアメーカーと、ソフトウェアを使う作業者・作業団体は、いわば、運命共同体です。iPadで使うクリスタEXは月額1000円ですが、決して「プロの道具」としては高い月額ではなく、むしろ安いとすら感じますが、その1000円の月額をアニメの現場では「高過ぎる」と言う人もいます。‥‥金がないからです。

ソフトウェアの使用コストを「できるだけタダにしたい」というアニメ制作現場の「民度の低さ」は、現実的に金がないからでしょう。しかしどんな理由がアニメ制作現場にあれど、ソフトウェア会社とその中にいる人々は「霞を食って生きているわけではない」ですから、ソフトウェアを時代の進化に合わせて機能向上させていくには、継続的なお金が必要です。

「数兆円規模の市場」っていうフレーズは、CS6止まりの現場の現状を見れば、あまりにも虚しく響きます。

 

 

 

‥‥と、できるだけ手短かにまとめましたが、こうしたことを未来に向けて現場を変えていくには、物凄く大変です。例えるなら、敗戦確定の太平洋戦争を勝利(=講和でも良い)に導くくらいに、絶望的に無理と言って、過言ではないです。

 

例えば、

 

  • 紙を廃止し、タブレット作画に完全移行
  • Adobe 旧CSを使用停止し、CCのサブスクリプションに移行
  • 各色16bitでカラープロファイルを持てるPSDかTIFFにファイル運用を完全移行
  • 各作業者は作品固有の色域に合わせてプロファイル運用を徹底する
  • 300〜1000nitsのHDR/PQカーブを扱える機材に、全スタッフ全機材をリプレース

 

‥‥なんていう現場の環境移行を、すんなり実行できるアニメ制作会社は、日本のどこにも存在しないでしょう。アニメ制作のスキームは、フリーランスの環境も含むがゆえに、いち部署の環境だけ移行しても立ち行きません。

 

アニメ業界は、「新学期」を迎えるにあたり、「夏休みの宿題」を、8/31の夕方まで、ほとんど何も手をつけずに過ごしてしまったわけです。原爆を投下されてもなお、竹槍とバケツリレーで勝てると思い込んでいるのです。‥‥しかし、どんなに後悔して懺悔して悔改めようと、8/31と新型爆弾の現実は冷酷に迫っています。そればかりか、B-29に竹槍、M69焼夷弾にバケツリレーのありさまを、美談にすらしようとする雰囲気すらあります。

 

 

ゆえに、旧来現場とは別立ての、新しい現場の構築を進めてきたのですが、機材はなんとか揃ってきたものの、人間がどうしても足りないです。新しい技術を使って生み出す人間が、シンプルに不足しています。

 

では、できるだけ工程を分割して「できるところ」から作業分配しようとすると、どんどん時間とお金が増えていきます。工数を増やすとコストも増えるのです。コンパクト、少数精鋭‥‥といったコンセプトは、工数を増やした時点であっけなく破綻します。

 

今まで、以下のようなシンプルな工数で済んでいたのが‥‥

 

*内製「プロジェクトマネージメント」システムからのスクリーンショットですが、…すみません、進行中のプロジェクトなので、モザイクかけてます。

 

‥‥以下のような工数に膨れ上がれば‥‥

 

 

‥‥何をどうやったって、コストは猛烈に嵩みます。

 

‥‥で、この工数の多さは、旧来〜現在のアニメ制作現場の姿そのものですが、その姿に新しい技術もハマり始めているので、どうやって「型崩れ」を阻止するかが、目下の課題です。

 

実は、良い作品を作ることと、工数の多さは比例しません。しかし、盲目な現場は「工数とチェックを多くすれば良いものに仕上がる」と信じて、どんどん崩壊への道を突き進みます。「今が苦しいから」「しょうがないから」と工数をむやみに増大させることは、四方八方に戦域を増やして破綻し敗戦したドイツ・日本の姿に等しいです。

 

 

しかし。

 

悲観して悲劇のヒーロー・ヒロインに酔うばかりでは、事態は悪化するばかりです。

 

ツイッターやブログも、何か重大な転機・転換期においては、ほぼ無力です。ツイッターやブログはあくまで累積戦略の手段であって、順次戦略には向きません。

 

ツイッターで「このままではいけない」「改善しよう」と書いても、一向に改善の兆しなど現れず、むしろ「みんな苦労しているからホッとした」と真逆の効果にもなりかねないです。なんとも皮肉なことですネ。

 

悲観しているだけでは、愚痴を垂れているだけでは、どうにもなりません。

 

どんな実践スタイルであれ、一見遠回りに見えるような道筋であれ、リアルに実行し続けねばなりません。

 

 

‥‥と、日記には記しておこう。

 

 


いきなり!4K

技術は後退したことがほとんどありません。自動車が馬匹に戻った地域社会があるか。携帯電話・スマホが公衆電話や黒電話に戻れるか。ハイビジョンデジタル放送はブラウン管時代のSDテレビ放送に戻ることはあるか。カラー放送をモノクロ・白黒放送の時代に戻せるか。インターネットによるネット通販を捨てて、テレフォンショッピングの口頭伝達による注文に戻せるか。


2000年に突入する寸前の前世紀末、「携帯電話」は皆が所有したい「技術成果物」の筆頭でした。今は、携帯電話・スマートフォンを持っていない人のほうが珍しいくらいです。

 

未来も同じことを繰り返すのは明白。映像の技術成果物だって、同じです。4K HDR 60pもやがていつのまにか身の回りのテレビやスマホで普通に見れる日が来ましょう。

 

じゃあ、アニメ業界は4K HDRに対応できるか。60pはあまりにもハードルが高いので今は除外しても、4KとHDRに対応できるかは、かなり深刻と言わざる得ません。未だに手を出せない制作会社も多いでしょう。

 

世の中の一般技術の移り変わりで言えば、4KHDR、そして60pが「普通の日常の風景」の1つになる中で、アニメ業界だけは1.5〜2KでSDRで24コマの古い技術で成果物を量産し続ける可能性が高いです。

 

別の見方をすれば、アニメ業界は進行する社会からズレ始めます。‥‥今のままの作り方だとネ。

 

思うに、2020年代になった頃から、慌てて4Kや60pを意識し始める会社が続出します。今までの4Kに対する懐疑的・否定的なスタンスから早変わりして、尻馬にのるいつものアニメ業界の光景です。

 

でも全く技術は持っていません。なにせ「アニメは2Kで十分」と言っていた人たちの集団なので、何の知識も準備もないです。

 

そこで付け焼き刃のあらゆる模索が始まります。

 

そう‥‥、まるで今の「いきなり!AI」のように、です。

 

面白い記事を目にしました。読んでで思わず吹いてしまった箇所もありました。

 

 

「AI開発ミステリー 〜そして誰も作らなかった〜」 とある大手製造業の怖いハナシ

 

 

この「AI」部分を「4K」に置き換えると、未来のアニメ会社の姿がなんとなく浮かび上がってきますネ。

 

面白いのは図でも同じで、

 

 

 

‥‥の図は、近い未来の「なんの実感もないまま、社会の風潮に翻弄されて4Kに手を出す」アニメ制作会社を予感させます。詳しくは、ITmedia newsの記事をお読みください。

 

同記事の最後のページ「そして誰も作らなかった」は、まさにミステリーですネ。

 

 

私は今、まさに4Kに取り組んでいるので、リアルに4Kの色々を実感しています。どこがどう難しいのか、どのようなスタッフがこれから必要か、どのような制作意識が根本に必要か‥‥など、頭で考えるだけの空論では体験できない様々な要目と現実に取り組んでいます。

 

特に深刻なのはアニメーター。4Kに対応できるアニメーターは現在業界には個人としても集団としても「枠」が存在しません。未来のアニメーターは、線画だけ液タブで描けてもどうにも立ち行きませんから、新たに育成する必要があります。

 

記事の中で、

 

そこで問題だ! どうやってAIを開発するのか? 3択で1つだけ選びなさい 

 

 

 少年漫画ならば1か2になりますが、残念ながらこれはIT業界のお話です。

 

 

‥‥のくだりがありますが、この文中の単語を

 

AI→4K

エンジニア→アニメーター

IT業界→アニメ業界

 

‥‥に読み替えれば、必ず「答え3」になることは、言わずとも予想できますよネ。

 

 

 

別のITmediaの記事で、

 

結局、地道だけど人材の育成に取り組むしかない

 

‥‥という現場単位での意識、そして、当事者本人においても、

 

勉強し続ける気概、情熱が大事だ」

 

常にアップデートし続けないと生き残れない

 

‥‥も、改めて重要なことですネ。既存のシステムに腰かければ生きていける‥‥なんて、どこかで通用しなくなるのは、いつの時代も変わらないとは思いますけどネ。世代はあまり関係ないです。

 

 

 

4Kは2Kの延長線上の「ちょっとした仕様変更」では済みません。大げさな話ではなく、現場=制作会社の体質の入れ替えすら必要になりましょう。2Kで通用していた演出論は4Kでは通用しなくなります。2Kで通用していた作画技術の慣習は、4Kではプア過ぎて見窄らしいです。

 

アニメを2Kで終わらせて消える運命にあるのか。

 

4Kをむしろ武器として新しい足場を獲得するのか。

 

 

「じゃあ4Kだ」と意気込んでも、意気込むだけでは何も得られません。自分自身の手で4Kの絵を描き、HDRで色を塗り、そして60pで動かすからこそ、実感が得られるのです。

 

自分たちを助けてくれて、自分たちを未来へと導くのは、結局は最後、自分たちでしかない‥‥ですよネ。

 

 


紙の保管コスト

アニメーターの描いた作画成果物に何らかの二次的価値を創出してアニメーターに還元する‥‥という話を最近ツイッターで目にします。特に紙に描かれた原画・動画は「世界で1つだけのオリジナル」なので、その価値をお金に変えれば、単価の低い作画料金に苦しむ作業者に、付加する形で還元できるのではないか‥‥という意見です。

 

その議論の内容自体は、まさに紙を扱う当人で議論すれば良いです。私は作画も含めて、ワークフローに関するすべての要素をコンピュータのデータに移行しているので、その議論の本筋には加わることはしませんし、できません。

 

ただ、本筋ではなく、周辺の事情で言えば、紙の問題は私にとっても悩ましいです。

 

「紙の置き場」です。

 

紙は場所をとります。紙は、特にアニメ制作の場合、それそのもの=マテリアルとしては安いかも知れませんが、置き場が高いです。保管しておく場所の「場所代」が高いので、実はデジタルデータよりも保管のコストは非常に高いです。

 

紙に原画を描いている人々は、描いた後の保管の事情など、ほとんど気にしないでしょう。しかし、二次利用するなり、販売するなりの展開をするには、まず、適切な状況管理と保管のコンディションを毎日途切れず維持しなければなりません。

 

カビが生えた、破れた、どこに置いたかわからない‥‥なんていう管理や保管状態では二次利用など到底無理ですからネ。

 

どこか場所の離れた、地価の安い地方に倉庫を建てて、そこに置いておけば‥‥とか、考えの浅いことを言い出す人もいるでしょう。その倉庫の温度管理・空調管理のコストは? セキュリティは? まさか南京錠1つでドアに鍵をするだけではすまないでしょうから、セキュリティがある程度しっかりしつつ、常駐の管理人は必要になるでしょう。

 

手元にあるからすぐに確認できますが、自動車で片道2時間の場所に保管したら、紙そのものをすぐに確認することはできず、スキャンしてデータ上でインデックス管理することになります。当然、そうした管理コストは相当な人件費を費やし、1ヶ月あたりの維持費もスゴいことになります。

 

都合、有効な保管場所は確保できず、アニメ制作会社には、所構わずそこら中に、紙を突っ伏し込んだダンボールが置かれることになります。外来のお客さんが訪れるところ=エントランスや会議室周辺の廊下にも、ダンボールが山積みになる光景=フロントヤードにバックヤードが溢れ出す光景は、ホントに「アニメ会社のだらしない情景」と思います。

 

 

あのさあ‥‥。ポスプロのラボや試写室で、エントランスやロビーや廊下に、無造作にダンボールが積まれているのって、見ないじゃん?

 

なぜかというと、クライアントに舞台裏のゴタゴタを見せたくないからです。商談を円滑に進めるために、相手に裏事情を気取られて不安要素を感じとってほしくないからです。

 

個人単位だってさあ‥‥、誰か大事なお客さんが来て、大事な話をする時に、家の中を散らかし放題にしておく? ‥‥しないでしょ??

 

しかし、紙が後から後から増えて溢れ出せば、都合、廊下まで保管場所になって、ダンボールを置きっぱなしにしても、やがてその光景に慣れて麻痺します。

 

紙を使い続けるのなら、紙を保管するか、破棄するか、ちゃんと「紙の一生」までケアする必要があります。そしてそのケアは、テレビ1シリーズにつき、何万何十万にも及ぶ「膨大な物量に対するケア」が必要だということも忘れてはなりません。

 

描いたら終わり‥‥じゃないのです。

 

アニメーターの中には、描いて終わりではなく、もしかしたら、描いた原画動画が副次収入にもなるかも‥‥的な見通しの甘い考えをする人もいるでしょうが、その紙の保管の労力と費用まで含めて「収益」が見えていますか? 紙を整然と保管して適切に状態管理するのは、ものすごいコストがかかりますよ。

 

 

こうした状況の中、例えば、私の作業スペースの前にどこかの作品のダンボールが積まれるたびに、「XX日ごろにクライアントの方々が来訪されますので、ダンボールの場所を移動してください。」的なメールを、何度も何度も繰り返し社内関係者宛にメール連絡して、「いちいち、うるせーな」的に思われてもやむなし‥‥とアクションせねばなりません。

 

バックヤードは構いませんが、フロントヤードにまでダンボールが溢れ出すのは、アニメ会社の昔からの「問題解決できない象徴」のように思います。宅配業者ではないのですから、そこら中にダンボールが置いてあるのって、異様な光景だと思うんですヨ。ラボやポスプロに行った時に、「外からのお客さんを迎える場所がどうなっているか」よく見学して、自分らにも取り入れるべきです。

 

作画の問題を語る時、例えば紙の作画ならば、紙を「自分が関わっている瞬間だけの視野」ではなく、紙のライフサイクルのコストまで思いを馳せて、議論すべきと思います。

 

 

じゃあ、デジタルデータはどうか。

 

データは作業集団によって扱うデータの差が著しいですし、データ管理や保全の意識や実践も紙以上にバラバラです。

 

紙は30年放置しても閲覧できます。私が18歳の頃に作業したロボットアニメの設定は黄ばみこそすれ今でも見れます。一方、デジタルデータは再生システムを喪失すればいともあっけなく読めなくなります。

 

*まあ、私は今でも、MDもDATも再生できますけどネ。画像に関しては、さすがにPC98時代の絵は私の環境では再生できず(=マルチペイントのデータとか)、MacのPICTはかろうじてまだ表示できます。USB接続のフロッピーもMOもドライブは確保してあります。

 

20年前のデータはちゃんと開ける? ファイルフォーマットの変遷にどのように追随している? ハードディスクは正常に回転してデータを読み出せる?

 

ずさんな管理だと、デジタルデータは格段に紙のデータより危うくなります。データをハードディスクに保存すれば何もかも安全ではなく、むしろ未来に全くデータにアクセスできなくなる危険性が高いです。

 

私は10年前くらいに、そうした危機感を強くしたこともあり、完璧とは言えませんが、相応にデータ保全の基準を設けています。同じデータでも複製をとって複数の場所で保管する、読み書きの環境自体をモスボールする、安い銘柄の記録装置に飛びつかず定評のある製品を購入する、室温や湿度の安定した場所に保管する、地震などの災害でダメージを受けにくい保管場所を選ぶ‥‥などです。

 

上記の基準を紙に置き換えると、とんでもないコストがかかりますが、デジタルデータなら比較的安価に実践できます。安くできるとは言わないですが、バカ高くもなりません。

 

よく巷で言われる「データ危機」は、データを外付けハードディスクに移動したらそれで終わり‥‥のような人間の、マッチポンプのような行為です。本当にデータが大切だと思うのなら、データを外部記憶装置に追い出した後もケアする必要があります。

 

 

 

まあ、何らかのデータ、それが紙であっても、デジタルデータであっても、ちゃんと保管して維持するには、相当な労力が必要なのです。

 

紙は安く管理できると思っているのなら、それはあまりにも浅はかです。紙を棚に置き続けるだけでも、お金を確実に消費しているのです。

 

 


アドビのラッシュ

早速使ってみました。Adobeの新しい「Premiere Rush CC」。

 

んー。なんだか昔のiMovieみたいで懐かしい。つまり、手軽な操作で、「ソフトにおまかせにし過ぎず」に、ムービーを編集できます。

 

で、なぜ私が早速試したかというと、作業している4K HDRのムービープレビューで、ちょっと困っていたからです。

 

まさに「ラッシュ」を確認したい時に、Premiere Rushが役に立つのではないかと思って、昨日の今日ですぐにインストールして試してみたら‥‥

 

十分、各個人環境ローカルでの「ラッシュフィルムチェック」的には使えそうです。

*スタッフを呼んでチェックする「ラッシュチェックイベント」には、横着せずに、然るべき環境でDaVinciかAvidで再生しましょう。

 

 

手元で内容をチェックするくらいなら、QuickTime PlayerやVLCじゃダメなの?‥‥と思われるかも知れません。

 

ダメなんです。

 

QuickTime Playerは「リミテッドレンジ」に表示を変えて再生するので、PQ1000nitsのクリップポイントが打撃を受けて絵が変わってしまってチェックできません。

 

VLCは、何か妙なお節介をしてモニタの輝度を変えて再生するので、これもNG。

 

After Effectsに読み込んで再生すれば、フルレンジの正常なルックになるのですが、After Effectsは編集ソフトではないので、クリップを並べて再生する用途にはイマイチ向きません。手間がかかります。

 

PremiereもDaVinciもラッシュを見るには、ちょっと段取りが大げさなんですよネ。

 

 

そこでまさに名前の通りの「Rush」。

 

Adobeが「Rush」と名付けたのは、ラッシュフィルムとは意味が違うかも知れませんが、Rushのそもそもの意味=「急いで」の意味は共通してます。iPhoneで撮影したムービーを手早く編集して手早くSNSなどに公開する目的のPremiere Rushは、その「手早く」が、私らのニーズにもうまくハマりそうです。

 

After Effectsでフルレンジ再生できたので、Rushも恐らく大丈夫だろう‥‥と思って再生してみましたが、ちゃんと正常にフルレンジで再生されました。

 

 

ちなみに、QuickTime Player 7もXも、リミテッドレンジで再生していることがすぐにわかったのは、まず映像が異常だったこと(=PQ1000は異常に気付きやすい)と、ボールドにつけたカラースケールが役に立って、レンジの変動に気付いた次第です。

 

*ブラウザではsRGB・Rec709の表示なので、PQカーブとは無縁のリニアな階調で表示されています。

 

PQ1000ですと、183と191の間にクリップポイントの様子=グレースケールの大きな落差が表れますが、QuickTime Playerやその他の簡易プレイヤーで再生すると、クリップポイントがズレて表示されます。QuickTime Player Xですと、175と183の間に大きな差が表れるので、「リミテッドレンジに圧縮されている」ことが容易に判別できたわけです。

 

PQ1000はひじょ〜〜〜〜〜〜〜〜うにデリケートなので、転ばぬ先の杖でカラースケールをボールドにデカデカと入れておきましたが、早速、役にたって良かったス。

 

 

で、Rush。

 

敷居がとても低く、インストール直後の簡単なチュートリアル(ものの5分で終了)で、すぐに使い始められます。

 

iMovieは色々と仕様変更があって、ユーザ不在で自動でムービーをチョイスして映像を作ったりと、使う気がどんどん失せていましたが(それはそれで皮肉な話です)、Rushはちゃんとユーザー本位の「編集作業」でムービーが作れるので、昔のiMovieとかが好きだった人にはオススメです。

 

 


20と16

今日、After EffectsやPhotoshopの2019が利用可能になりましたネ。

 

After Effectsはバージョン16、Photoshopは20。

 

昔、「Photoshopって、どこまでバージョンアップし続けるんだろう。もしかして20とか。ふぇふぇふぇ。」と笑っていたのが本当にバージョン20。

 

同じくその頃に、「Photoshopがバージョン20とか言ってる時には、自分も相当ジジイになってんだろうなあ」と思ってましたが、まさにジジイになりました。半世紀生きてもうた。

 

Photoshopは、レイヤーモードを切り替えるとライブで更新されるのが目新しいです。小技が盛り込まれてます。

 

あと、やっぱり仲間内で「おお〜」っとなったのは、複数回アンドゥ機能。「今更感」と、誰もが思う機能ですが、あれば便利です。

 

早速使い始めてますが、驚いたことに、

 

After Effectsは複数回アンドゥに体が無意識に馴染んで対応して、コマンドZに慎重な操作をしている

 

Photoshopは「どうせ1回しかアンドゥできない」と体が覚えているので、雑にコマンドZを押しまくって戻っちゃいけないところまで戻って混乱する

 

‥‥という自分の「PhotoshopとAfter Effectsの使い分けの癖」をはじめて認識しました。

 

もしかして、ユーザーから「前のような1回しかアンドゥが効かないオプションも追加してくれ」とかニーズがアドビに寄せられたりして。

 

 

After Effectsをアップデートすると、どうやらAME(アドビメディアエンコーダ)も合わせて自動でアップデートする模様です。

 

最近のAfter Effectsは、様々なムービーのファイルフォーマットやエンコードに対応するのに、AMEとの連携機能を使いますから、AMEのアップデートは必然です。

 

After Effectsはエクスプレッション・スクリプト制御のJavaScriptが強化されたと聞いたので、早速試してみました。

 

バージョン15、つまり2018のAfter Effectsまでは「Date()」をエクスプレッションで使うことができませんでした。以下の通りに。

 

 

つーかね‥‥、現在時刻をカットボールド(スレート)に書き込みたいので、Date()を使いたいのにな‥‥と、ずっと困っておりました。しょうがないので、昔ながらの「番号」エフェクトを使っていました。日付と時間を同時に使えなくて、どんくさくてイヤなんですけど。

 

しかし、新しいバージョンのAfter Effectsはめでたく、Date()が通るようになりました。

 

テキストレイヤーを作って、テキストソースにエクスプレッションを追加して、「Date();」と書くだけです。

 

 

 

これを、テキトーに加工して自分の好きな書式に変えれば、現在日時を書き込むことができるはず‥‥ですが、キャッシュが画像を握っていた場合は、番号エフェクトの時と同じく、期待した結果にならない可能性もありますネ。

 

すっかりJavaScriptのDateとはご無沙汰だったので忘れてましたが、JavaScriptのDateってShellの「+%Y.%m.%d」みたいに簡単に日付を文字列化するのってなかったっけ‥‥? いちいちgetYear()とかで「2018.10.16」を組み立てるのかな‥‥。

 

なので、やってみました。

 

以下のエクスプレッション文。

 

var cd=new Date();cd.getFullYear()+"."+cd.getMonth()+"."+cd.getDate();

 

で、結果がコレ。

 

あれ? 9月? しかも1桁。

 

 

 

そうか‥‥。なぜか、月だけはゼロスタートのコンピュータ流儀なのです。だったら、getDateもgetFullYearもゼロスタートにすれば良いのにネ。‥‥あ、アレか、月には呼び名があるから、配列のインデックスとして使えるようにゼロスタートなのかな。

 

var cd=new Date();"今日は"+["睦月","如月","弥生","卯月","皐月","水無月","文月","葉月","長月","神無月","霜月","師走"][cd.getMonth()]+"です";

 

‥‥みたいな感じで。

 

なぜ月だけゼロスタートなのかは本当の理由はナゾですが、まあ、それはおいといて、ちゃんと今日の年月日が出るようにします。

 

var cd=new Date();

cd.getFullYear()+"."+(String(cd.getMonth()+101)).slice(1)+"."+(String(cd.getDate()+100)).slice(1);

 

ベタベタな方法ですが、これで4ケタ.2ケタ.2ケタの年月日表記になります。

 

 

 

一発でこの書式が作れないのは面倒といえば面倒ですが、Date()が使えるようになっただけでも、素直に喜びましょう。

 

地道に機能を更新し続けるAfter Effects。Dateの他にもどんなことができるようになったのか、使いながら探っていきたいと思います。

 

 

そういえば、今回のアドビフィーバー(Maxか)で予告された「Project Gemini」は結構期待してます。他のドローソフトに遅れること数年、満を持しての登場だと良いんですけどネ。

 

 

 


iPad版 Photoshop CC

「iPad版Photoshop CC」の情報が今日、出ましたネ。

 

https://www.adobe.com/jp/news-room/news/201810/20181015-adobe-announces-next-generation-creative-cloud-max-2018.html

 

以下、引用です。

 

 

マルチデバイス対応の高性能な画像アプリとイラスト制作アプリをプレビュー

アドビは、マルチデバイスという新たな時代の制作環境に対応し、主要デスクトップアプリと連携したワークフローを構築できる、2つの次世代モバイルアプリのプレビューを公開しました。

 

iPad版Photoshop CC:タッチ操作でコントロールできるよう再設計されたiPad版Photoshop CCは、デスクトップ版と同じパワーと精確さを受け継いでいます。つまり、iPad版PhotoshopでPSDのネイティブファイルをそのまま開いて業界標準と言えるPhotoshopの画像編集ツールで編集ができ、使い慣れたレイヤーパネルも装備されます。マルチデバイス対応のPhotoshop CCは、iPad版が2019年に提供開始予定です。iPadで編集作業を開始し、すべての編集内容をCreative Cloudを介してデスクトップ版Photoshop CCで引き継ぎ、両者間を行き来して編集をすることができます。

 

Project Gemini:デバイス横断でのドロー&ペイントワークフローを加速するために新たに開発されたアプリです。Project Geminiは、iPad版を2019年に提供開始予定です。ビットマップとベクターならびに新しいダイナミックブラシを統合し、単一のドローイングエクスペリエンスを提供します。Project Geminiでは、アーティストは使い慣れたPhotoshopブラシを同期して使うことができ、Photoshop CCとの連携もスムーズに行えます。

 

 

iOSでのPhotoshop。‥‥既にiPadを作画&映像制作業務で毎日使っている私としては、メモリの上限によるレイヤー数や、色深度(8bitどまりか否か)の制限が気になるところですが、まずは「デバイス横断」が可能となるPhotoshopの登場を素直に喜ぶことにします。

*デバイス横断を宣伝するあたり、16bitモードの読み書きは可能だとは思いたい。ちなみに、クリスタもプロクリも8bitどまりで、16bitは扱えません。軽量のプロクリはともかく、クリスタが今でも16bit非対応なのは不満というよりはナゾです。カラーイラストを扱うのにネ。そんなに設計の古いソフトなのかな。

*PQのHDRを扱う場合、8bitは使わないので、いちいち16bitをiPadのドローソフト用に8bitに変換するのが面倒です。‥‥線画作業なら8bitでも大丈夫ですが、行き来がネ。Pixelmatorは16bitファイルを開けますが、ドローソフトにはならないので、なかなか悩ましい。

 

選択肢が広がるのはイイです。

 

私がPhotoshopを初めて使ったのは、バージョン2の頃で、レイヤーがないバージョンでした。レイヤーのないPhotoshopなんて、今では冗談みたいな話ですが、当時はアンドゥリドゥ、フェード、マスクが使えるだけでも、めちゃスゴいと喜んで使ってました。だってさ、現実の写真撮影や絵具を使ったイラスト制作は、アンドゥやフェードなんて無理ですもんネ。

 

当時では夢の道具でしかなかったiPadのようなガジェットが出現した上に、Photoshopが動作するようになるとは、リアルに想像できませんでした。奥行きがあってドカンと重いCRTに、タワー型Macの1152px解像度の映像を映し出し、1670万色なんて無限の色彩だ!‥‥とか言ってた時代が、何もかも懐かしいです。

 

今度のiPad Proの新型は、5.9mmの薄さとも噂されていますよネ。

 

時代はどんどん進化しますネ。

 

 

1995年頃に初めてPhotoshopをイジった時に、「これで自分の人生が変わるかもしれない」と予感したものですが、2015年に発売されて即座に飛びついて買ったiPad Proも、実は、刻々と自分の人生を変え続けているのかも知れません。

 

たとえ将来にAppleのiPadがなくなったとしても、iPad Pro的な何かさえあれば、自分はなんとかなりそうだ‥‥という実感があります。

 

だってさ‥‥、私が20代の終わり頃にPhotoshopとMacと遭遇していなかったら、アニメ業界から離れて、今は全く別のジャンルの仕事をしていても不思議ではなかったと思います。そのくらい、道具との出会いは重要です。当人を生かすも殺すも、道具次第‥‥だと、人生を半分以上生きた今、ハッキリと自覚できます。

 

iPad版Photoshop CCは来年に提供が開始されるとのことです。

 

iPad Proの新型もあいまって、また何か、新しいワークフローやものつくりのアイデアが生まれると良いですネ。

 

 

 

 

 

 



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