いきなり!4K

技術は後退したことがほとんどありません。自動車が馬匹に戻った地域社会があるか。携帯電話・スマホが公衆電話や黒電話に戻れるか。ハイビジョンデジタル放送はブラウン管時代のSDテレビ放送に戻ることはあるか。カラー放送をモノクロ・白黒放送の時代に戻せるか。インターネットによるネット通販を捨てて、テレフォンショッピングの口頭伝達による注文に戻せるか。


2000年に突入する寸前の前世紀末、「携帯電話」は皆が所有したい「技術成果物」の筆頭でした。今は、携帯電話・スマートフォンを持っていない人のほうが珍しいくらいです。

 

未来も同じことを繰り返すのは明白。映像の技術成果物だって、同じです。4K HDR 60pもやがていつのまにか身の回りのテレビやスマホで普通に見れる日が来ましょう。

 

じゃあ、アニメ業界は4K HDRに対応できるか。60pはあまりにもハードルが高いので今は除外しても、4KとHDRに対応できるかは、かなり深刻と言わざる得ません。未だに手を出せない制作会社も多いでしょう。

 

世の中の一般技術の移り変わりで言えば、4KHDR、そして60pが「普通の日常の風景」の1つになる中で、アニメ業界だけは1.5〜2KでSDRで24コマの古い技術で成果物を量産し続ける可能性が高いです。

 

別の見方をすれば、アニメ業界は進行する社会からズレ始めます。‥‥今のままの作り方だとネ。

 

思うに、2020年代になった頃から、慌てて4Kや60pを意識し始める会社が続出します。今までの4Kに対する懐疑的・否定的なスタンスから早変わりして、尻馬にのるいつものアニメ業界の光景です。

 

でも全く技術は持っていません。なにせ「アニメは2Kで十分」と言っていた人たちの集団なので、何の知識も準備もないです。

 

そこで付け焼き刃のあらゆる模索が始まります。

 

そう‥‥、まるで今の「いきなり!AI」のように、です。

 

面白い記事を目にしました。読んでで思わず吹いてしまった箇所もありました。

 

 

「AI開発ミステリー 〜そして誰も作らなかった〜」 とある大手製造業の怖いハナシ

 

 

この「AI」部分を「4K」に置き換えると、未来のアニメ会社の姿がなんとなく浮かび上がってきますネ。

 

面白いのは図でも同じで、

 

 

 

‥‥の図は、近い未来の「なんの実感もないまま、社会の風潮に翻弄されて4Kに手を出す」アニメ制作会社を予感させます。詳しくは、ITmedia newsの記事をお読みください。

 

同記事の最後のページ「そして誰も作らなかった」は、まさにミステリーですネ。

 

 

私は今、まさに4Kに取り組んでいるので、リアルに4Kの色々を実感しています。どこがどう難しいのか、どのようなスタッフがこれから必要か、どのような制作意識が根本に必要か‥‥など、頭で考えるだけの空論では体験できない様々な要目と現実に取り組んでいます。

 

特に深刻なのはアニメーター。4Kに対応できるアニメーターは現在業界には個人としても集団としても「枠」が存在しません。未来のアニメーターは、線画だけ液タブで描けてもどうにも立ち行きませんから、新たに育成する必要があります。

 

記事の中で、

 

そこで問題だ! どうやってAIを開発するのか? 3択で1つだけ選びなさい 

 

 

 少年漫画ならば1か2になりますが、残念ながらこれはIT業界のお話です。

 

 

‥‥のくだりがありますが、この文中の単語を

 

AI→4K

エンジニア→アニメーター

IT業界→アニメ業界

 

‥‥に読み替えれば、必ず「答え3」になることは、言わずとも予想できますよネ。

 

 

 

別のITmediaの記事で、

 

結局、地道だけど人材の育成に取り組むしかない

 

‥‥という現場単位での意識、そして、当事者本人においても、

 

勉強し続ける気概、情熱が大事だ」

 

常にアップデートし続けないと生き残れない

 

‥‥も、改めて重要なことですネ。既存のシステムに腰かければ生きていける‥‥なんて、どこかで通用しなくなるのは、いつの時代も変わらないとは思いますけどネ。世代はあまり関係ないです。

 

 

 

4Kは2Kの延長線上の「ちょっとした仕様変更」では済みません。大げさな話ではなく、現場=制作会社の体質の入れ替えすら必要になりましょう。2Kで通用していた演出論は4Kでは通用しなくなります。2Kで通用していた作画技術の慣習は、4Kではプア過ぎて見窄らしいです。

 

アニメを2Kで終わらせて消える運命にあるのか。

 

4Kをむしろ武器として新しい足場を獲得するのか。

 

 

「じゃあ4Kだ」と意気込んでも、意気込むだけでは何も得られません。自分自身の手で4Kの絵を描き、HDRで色を塗り、そして60pで動かすからこそ、実感が得られるのです。

 

自分たちを助けてくれて、自分たちを未来へと導くのは、結局は最後、自分たちでしかない‥‥ですよネ。

 

 


紙の保管コスト

アニメーターの描いた作画成果物に何らかの二次的価値を創出してアニメーターに還元する‥‥という話を最近ツイッターで目にします。特に紙に描かれた原画・動画は「世界で1つだけのオリジナル」なので、その価値をお金に変えれば、単価の低い作画料金に苦しむ作業者に、付加する形で還元できるのではないか‥‥という意見です。

 

その議論の内容自体は、まさに紙を扱う当人で議論すれば良いです。私は作画も含めて、ワークフローに関するすべての要素をコンピュータのデータに移行しているので、その議論の本筋には加わることはしませんし、できません。

 

ただ、本筋ではなく、周辺の事情で言えば、紙の問題は私にとっても悩ましいです。

 

「紙の置き場」です。

 

紙は場所をとります。紙は、特にアニメ制作の場合、それそのもの=マテリアルとしては安いかも知れませんが、置き場が高いです。保管しておく場所の「場所代」が高いので、実はデジタルデータよりも保管のコストは非常に高いです。

 

紙に原画を描いている人々は、描いた後の保管の事情など、ほとんど気にしないでしょう。しかし、二次利用するなり、販売するなりの展開をするには、まず、適切な状況管理と保管のコンディションを毎日途切れず維持しなければなりません。

 

カビが生えた、破れた、どこに置いたかわからない‥‥なんていう管理や保管状態では二次利用など到底無理ですからネ。

 

どこか場所の離れた、地価の安い地方に倉庫を建てて、そこに置いておけば‥‥とか、考えの浅いことを言い出す人もいるでしょう。その倉庫の温度管理・空調管理のコストは? セキュリティは? まさか南京錠1つでドアに鍵をするだけではすまないでしょうから、セキュリティがある程度しっかりしつつ、常駐の管理人は必要になるでしょう。

 

手元にあるからすぐに確認できますが、自動車で片道2時間の場所に保管したら、紙そのものをすぐに確認することはできず、スキャンしてデータ上でインデックス管理することになります。当然、そうした管理コストは相当な人件費を費やし、1ヶ月あたりの維持費もスゴいことになります。

 

都合、有効な保管場所は確保できず、アニメ制作会社には、所構わずそこら中に、紙を突っ伏し込んだダンボールが置かれることになります。外来のお客さんが訪れるところ=エントランスや会議室周辺の廊下にも、ダンボールが山積みになる光景=フロントヤードにバックヤードが溢れ出す光景は、ホントに「アニメ会社のだらしない情景」と思います。

 

 

あのさあ‥‥。ポスプロのラボや試写室で、エントランスやロビーや廊下に、無造作にダンボールが積まれているのって、見ないじゃん?

 

なぜかというと、クライアントに舞台裏のゴタゴタを見せたくないからです。商談を円滑に進めるために、相手に裏事情を気取られて不安要素を感じとってほしくないからです。

 

個人単位だってさあ‥‥、誰か大事なお客さんが来て、大事な話をする時に、家の中を散らかし放題にしておく? ‥‥しないでしょ??

 

しかし、紙が後から後から増えて溢れ出せば、都合、廊下まで保管場所になって、ダンボールを置きっぱなしにしても、やがてその光景に慣れて麻痺します。

 

紙を使い続けるのなら、紙を保管するか、破棄するか、ちゃんと「紙の一生」までケアする必要があります。そしてそのケアは、テレビ1シリーズにつき、何万何十万にも及ぶ「膨大な物量に対するケア」が必要だということも忘れてはなりません。

 

描いたら終わり‥‥じゃないのです。

 

アニメーターの中には、描いて終わりではなく、もしかしたら、描いた原画動画が副次収入にもなるかも‥‥的な見通しの甘い考えをする人もいるでしょうが、その紙の保管の労力と費用まで含めて「収益」が見えていますか? 紙を整然と保管して適切に状態管理するのは、ものすごいコストがかかりますよ。

 

 

こうした状況の中、例えば、私の作業スペースの前にどこかの作品のダンボールが積まれるたびに、「XX日ごろにクライアントの方々が来訪されますので、ダンボールの場所を移動してください。」的なメールを、何度も何度も繰り返し社内関係者宛にメール連絡して、「いちいち、うるせーな」的に思われてもやむなし‥‥とアクションせねばなりません。

 

バックヤードは構いませんが、フロントヤードにまでダンボールが溢れ出すのは、アニメ会社の昔からの「問題解決できない象徴」のように思います。宅配業者ではないのですから、そこら中にダンボールが置いてあるのって、異様な光景だと思うんですヨ。ラボやポスプロに行った時に、「外からのお客さんを迎える場所がどうなっているか」よく見学して、自分らにも取り入れるべきです。

 

作画の問題を語る時、例えば紙の作画ならば、紙を「自分が関わっている瞬間だけの視野」ではなく、紙のライフサイクルのコストまで思いを馳せて、議論すべきと思います。

 

 

じゃあ、デジタルデータはどうか。

 

データは作業集団によって扱うデータの差が著しいですし、データ管理や保全の意識や実践も紙以上にバラバラです。

 

紙は30年放置しても閲覧できます。私が18歳の頃に作業したロボットアニメの設定は黄ばみこそすれ今でも見れます。一方、デジタルデータは再生システムを喪失すればいともあっけなく読めなくなります。

 

*まあ、私は今でも、MDもDATも再生できますけどネ。画像に関しては、さすがにPC98時代の絵は私の環境では再生できず(=マルチペイントのデータとか)、MacのPICTはかろうじてまだ表示できます。USB接続のフロッピーもMOもドライブは確保してあります。

 

20年前のデータはちゃんと開ける? ファイルフォーマットの変遷にどのように追随している? ハードディスクは正常に回転してデータを読み出せる?

 

ずさんな管理だと、デジタルデータは格段に紙のデータより危うくなります。データをハードディスクに保存すれば何もかも安全ではなく、むしろ未来に全くデータにアクセスできなくなる危険性が高いです。

 

私は10年前くらいに、そうした危機感を強くしたこともあり、完璧とは言えませんが、相応にデータ保全の基準を設けています。同じデータでも複製をとって複数の場所で保管する、読み書きの環境自体をモスボールする、安い銘柄の記録装置に飛びつかず定評のある製品を購入する、室温や湿度の安定した場所に保管する、地震などの災害でダメージを受けにくい保管場所を選ぶ‥‥などです。

 

上記の基準を紙に置き換えると、とんでもないコストがかかりますが、デジタルデータなら比較的安価に実践できます。安くできるとは言わないですが、バカ高くもなりません。

 

よく巷で言われる「データ危機」は、データを外付けハードディスクに移動したらそれで終わり‥‥のような人間の、マッチポンプのような行為です。本当にデータが大切だと思うのなら、データを外部記憶装置に追い出した後もケアする必要があります。

 

 

 

まあ、何らかのデータ、それが紙であっても、デジタルデータであっても、ちゃんと保管して維持するには、相当な労力が必要なのです。

 

紙は安く管理できると思っているのなら、それはあまりにも浅はかです。紙を棚に置き続けるだけでも、お金を確実に消費しているのです。

 

 


アドビのラッシュ

早速使ってみました。Adobeの新しい「Premiere Rush CC」。

 

んー。なんだか昔のiMovieみたいで懐かしい。つまり、手軽な操作で、「ソフトにおまかせにし過ぎず」に、ムービーを編集できます。

 

で、なぜ私が早速試したかというと、作業している4K HDRのムービープレビューで、ちょっと困っていたからです。

 

まさに「ラッシュ」を確認したい時に、Premiere Rushが役に立つのではないかと思って、昨日の今日ですぐにインストールして試してみたら‥‥

 

十分、各個人環境ローカルでの「ラッシュフィルムチェック」的には使えそうです。

*スタッフを呼んでチェックする「ラッシュチェックイベント」には、横着せずに、然るべき環境でDaVinciかAvidで再生しましょう。

 

 

手元で内容をチェックするくらいなら、QuickTime PlayerやVLCじゃダメなの?‥‥と思われるかも知れません。

 

ダメなんです。

 

QuickTime Playerは「リミテッドレンジ」に表示を変えて再生するので、PQ1000nitsのクリップポイントが打撃を受けて絵が変わってしまってチェックできません。

 

VLCは、何か妙なお節介をしてモニタの輝度を変えて再生するので、これもNG。

 

After Effectsに読み込んで再生すれば、フルレンジの正常なルックになるのですが、After Effectsは編集ソフトではないので、クリップを並べて再生する用途にはイマイチ向きません。手間がかかります。

 

PremiereもDaVinciもラッシュを見るには、ちょっと段取りが大げさなんですよネ。

 

 

そこでまさに名前の通りの「Rush」。

 

Adobeが「Rush」と名付けたのは、ラッシュフィルムとは意味が違うかも知れませんが、Rushのそもそもの意味=「急いで」の意味は共通してます。iPhoneで撮影したムービーを手早く編集して手早くSNSなどに公開する目的のPremiere Rushは、その「手早く」が、私らのニーズにもうまくハマりそうです。

 

After Effectsでフルレンジ再生できたので、Rushも恐らく大丈夫だろう‥‥と思って再生してみましたが、ちゃんと正常にフルレンジで再生されました。

 

 

ちなみに、QuickTime Player 7もXも、リミテッドレンジで再生していることがすぐにわかったのは、まず映像が異常だったこと(=PQ1000は異常に気付きやすい)と、ボールドにつけたカラースケールが役に立って、レンジの変動に気付いた次第です。

 

*ブラウザではsRGB・Rec709の表示なので、PQカーブとは無縁のリニアな階調で表示されています。

 

PQ1000ですと、183と191の間にクリップポイントの様子=グレースケールの大きな落差が表れますが、QuickTime Playerやその他の簡易プレイヤーで再生すると、クリップポイントがズレて表示されます。QuickTime Player Xですと、175と183の間に大きな差が表れるので、「リミテッドレンジに圧縮されている」ことが容易に判別できたわけです。

 

PQ1000はひじょ〜〜〜〜〜〜〜〜うにデリケートなので、転ばぬ先の杖でカラースケールをボールドにデカデカと入れておきましたが、早速、役にたって良かったス。

 

 

で、Rush。

 

敷居がとても低く、インストール直後の簡単なチュートリアル(ものの5分で終了)で、すぐに使い始められます。

 

iMovieは色々と仕様変更があって、ユーザ不在で自動でムービーをチョイスして映像を作ったりと、使う気がどんどん失せていましたが(それはそれで皮肉な話です)、Rushはちゃんとユーザー本位の「編集作業」でムービーが作れるので、昔のiMovieとかが好きだった人にはオススメです。

 

 


20と16

今日、After EffectsやPhotoshopの2019が利用可能になりましたネ。

 

After Effectsはバージョン16、Photoshopは20。

 

昔、「Photoshopって、どこまでバージョンアップし続けるんだろう。もしかして20とか。ふぇふぇふぇ。」と笑っていたのが本当にバージョン20。

 

同じくその頃に、「Photoshopがバージョン20とか言ってる時には、自分も相当ジジイになってんだろうなあ」と思ってましたが、まさにジジイになりました。半世紀生きてもうた。

 

Photoshopは、レイヤーモードを切り替えるとライブで更新されるのが目新しいです。小技が盛り込まれてます。

 

あと、やっぱり仲間内で「おお〜」っとなったのは、複数回アンドゥ機能。「今更感」と、誰もが思う機能ですが、あれば便利です。

 

早速使い始めてますが、驚いたことに、

 

After Effectsは複数回アンドゥに体が無意識に馴染んで対応して、コマンドZに慎重な操作をしている

 

Photoshopは「どうせ1回しかアンドゥできない」と体が覚えているので、雑にコマンドZを押しまくって戻っちゃいけないところまで戻って混乱する

 

‥‥という自分の「PhotoshopとAfter Effectsの使い分けの癖」をはじめて認識しました。

 

もしかして、ユーザーから「前のような1回しかアンドゥが効かないオプションも追加してくれ」とかニーズがアドビに寄せられたりして。

 

 

After Effectsをアップデートすると、どうやらAME(アドビメディアエンコーダ)も合わせて自動でアップデートする模様です。

 

最近のAfter Effectsは、様々なムービーのファイルフォーマットやエンコードに対応するのに、AMEとの連携機能を使いますから、AMEのアップデートは必然です。

 

After Effectsはエクスプレッション・スクリプト制御のJavaScriptが強化されたと聞いたので、早速試してみました。

 

バージョン15、つまり2018のAfter Effectsまでは「Date()」をエクスプレッションで使うことができませんでした。以下の通りに。

 

 

つーかね‥‥、現在時刻をカットボールド(スレート)に書き込みたいので、Date()を使いたいのにな‥‥と、ずっと困っておりました。しょうがないので、昔ながらの「番号」エフェクトを使っていました。日付と時間を同時に使えなくて、どんくさくてイヤなんですけど。

 

しかし、新しいバージョンのAfter Effectsはめでたく、Date()が通るようになりました。

 

テキストレイヤーを作って、テキストソースにエクスプレッションを追加して、「Date();」と書くだけです。

 

 

 

これを、テキトーに加工して自分の好きな書式に変えれば、現在日時を書き込むことができるはず‥‥ですが、キャッシュが画像を握っていた場合は、番号エフェクトの時と同じく、期待した結果にならない可能性もありますネ。

 

すっかりJavaScriptのDateとはご無沙汰だったので忘れてましたが、JavaScriptのDateってShellの「+%Y.%m.%d」みたいに簡単に日付を文字列化するのってなかったっけ‥‥? いちいちgetYear()とかで「2018.10.16」を組み立てるのかな‥‥。

 

なので、やってみました。

 

以下のエクスプレッション文。

 

var cd=new Date();cd.getFullYear()+"."+cd.getMonth()+"."+cd.getDate();

 

で、結果がコレ。

 

あれ? 9月? しかも1桁。

 

 

 

そうか‥‥。なぜか、月だけはゼロスタートのコンピュータ流儀なのです。だったら、getDateもgetFullYearもゼロスタートにすれば良いのにネ。‥‥あ、アレか、月には呼び名があるから、配列のインデックスとして使えるようにゼロスタートなのかな。

 

var cd=new Date();"今日は"+["睦月","如月","弥生","卯月","皐月","水無月","文月","葉月","長月","神無月","霜月","師走"][cd.getMonth()]+"です";

 

‥‥みたいな感じで。

 

なぜ月だけゼロスタートなのかは本当の理由はナゾですが、まあ、それはおいといて、ちゃんと今日の年月日が出るようにします。

 

var cd=new Date();

cd.getFullYear()+"."+(String(cd.getMonth()+101)).slice(1)+"."+(String(cd.getDate()+100)).slice(1);

 

ベタベタな方法ですが、これで4ケタ.2ケタ.2ケタの年月日表記になります。

 

 

 

一発でこの書式が作れないのは面倒といえば面倒ですが、Date()が使えるようになっただけでも、素直に喜びましょう。

 

地道に機能を更新し続けるAfter Effects。Dateの他にもどんなことができるようになったのか、使いながら探っていきたいと思います。

 

 

そういえば、今回のアドビフィーバー(Maxか)で予告された「Project Gemini」は結構期待してます。他のドローソフトに遅れること数年、満を持しての登場だと良いんですけどネ。

 

 

 


iPad版 Photoshop CC

「iPad版Photoshop CC」の情報が今日、出ましたネ。

 

https://www.adobe.com/jp/news-room/news/201810/20181015-adobe-announces-next-generation-creative-cloud-max-2018.html

 

以下、引用です。

 

 

マルチデバイス対応の高性能な画像アプリとイラスト制作アプリをプレビュー

アドビは、マルチデバイスという新たな時代の制作環境に対応し、主要デスクトップアプリと連携したワークフローを構築できる、2つの次世代モバイルアプリのプレビューを公開しました。

 

iPad版Photoshop CC:タッチ操作でコントロールできるよう再設計されたiPad版Photoshop CCは、デスクトップ版と同じパワーと精確さを受け継いでいます。つまり、iPad版PhotoshopでPSDのネイティブファイルをそのまま開いて業界標準と言えるPhotoshopの画像編集ツールで編集ができ、使い慣れたレイヤーパネルも装備されます。マルチデバイス対応のPhotoshop CCは、iPad版が2019年に提供開始予定です。iPadで編集作業を開始し、すべての編集内容をCreative Cloudを介してデスクトップ版Photoshop CCで引き継ぎ、両者間を行き来して編集をすることができます。

 

Project Gemini:デバイス横断でのドロー&ペイントワークフローを加速するために新たに開発されたアプリです。Project Geminiは、iPad版を2019年に提供開始予定です。ビットマップとベクターならびに新しいダイナミックブラシを統合し、単一のドローイングエクスペリエンスを提供します。Project Geminiでは、アーティストは使い慣れたPhotoshopブラシを同期して使うことができ、Photoshop CCとの連携もスムーズに行えます。

 

 

iOSでのPhotoshop。‥‥既にiPadを作画&映像制作業務で毎日使っている私としては、メモリの上限によるレイヤー数や、色深度(8bitどまりか否か)の制限が気になるところですが、まずは「デバイス横断」が可能となるPhotoshopの登場を素直に喜ぶことにします。

*デバイス横断を宣伝するあたり、16bitモードの読み書きは可能だとは思いたい。ちなみに、クリスタもプロクリも8bitどまりで、16bitは扱えません。軽量のプロクリはともかく、クリスタが今でも16bit非対応なのは不満というよりはナゾです。カラーイラストを扱うのにネ。そんなに設計の古いソフトなのかな。

*PQのHDRを扱う場合、8bitは使わないので、いちいち16bitをiPadのドローソフト用に8bitに変換するのが面倒です。‥‥線画作業なら8bitでも大丈夫ですが、行き来がネ。Pixelmatorは16bitファイルを開けますが、ドローソフトにはならないので、なかなか悩ましい。

 

選択肢が広がるのはイイです。

 

私がPhotoshopを初めて使ったのは、バージョン2の頃で、レイヤーがないバージョンでした。レイヤーのないPhotoshopなんて、今では冗談みたいな話ですが、当時はアンドゥリドゥ、フェード、マスクが使えるだけでも、めちゃスゴいと喜んで使ってました。だってさ、現実の写真撮影や絵具を使ったイラスト制作は、アンドゥやフェードなんて無理ですもんネ。

 

当時では夢の道具でしかなかったiPadのようなガジェットが出現した上に、Photoshopが動作するようになるとは、リアルに想像できませんでした。奥行きがあってドカンと重いCRTに、タワー型Macの1152px解像度の映像を映し出し、1670万色なんて無限の色彩だ!‥‥とか言ってた時代が、何もかも懐かしいです。

 

今度のiPad Proの新型は、5.9mmの薄さとも噂されていますよネ。

 

時代はどんどん進化しますネ。

 

 

1995年頃に初めてPhotoshopをイジった時に、「これで自分の人生が変わるかもしれない」と予感したものですが、2015年に発売されて即座に飛びついて買ったiPad Proも、実は、刻々と自分の人生を変え続けているのかも知れません。

 

たとえ将来にAppleのiPadがなくなったとしても、iPad Pro的な何かさえあれば、自分はなんとかなりそうだ‥‥という実感があります。

 

だってさ‥‥、私が20代の終わり頃にPhotoshopとMacと遭遇していなかったら、アニメ業界から離れて、今は全く別のジャンルの仕事をしていても不思議ではなかったと思います。そのくらい、道具との出会いは重要です。当人を生かすも殺すも、道具次第‥‥だと、人生を半分以上生きた今、ハッキリと自覚できます。

 

iPad版Photoshop CCは来年に提供が開始されるとのことです。

 

iPad Proの新型もあいまって、また何か、新しいワークフローやものつくりのアイデアが生まれると良いですネ。

 

 

 

 

 

 


iMac相当のWindows PC

私は最近はMacばかり使っていますが、昔からWindowsも使ってきました。2010年代に入ってからはFusionとかの仮想OS環境の性能が向上したこともあり、ハードウェアはiMac、仮想環境でWindowsという状況が続いています。

 

最近はその仮想環境も使わず、macOSとiOSだけで仕事場も自宅も作業しています。

 

別にWindowsが嫌になったわけでもなく、macOSとiOSの作業快適性が、新しい映像制作のスタイルに適しているからです。もし自主制作をするにしても、macOSとiOSのコンビはパフォーマンスに優れています。映像制作には絵も音も必要ですが、GarageBandは言うに及ばず、有償のLogicにしても、他社では太刀打ちできないライブラリの豊富さがありますし、なんだかんだ言っても、QuickTimeのProResが使える恩恵は大きいです。

 

昔、Windowsは「フリーソフトがいっぱいある」のが売りでした。とは言え、大して使い物にならないフリーソフトが膨大にあるよりも、使えるソフトが指折りで数えられるくらいあれば良いのです。

 

 

で‥‥、前回の続きですが、「自分たち数人でプロレベルのアニメを作りたい」と自主制作を思い立った時に、Macに「お引越し」しなければならないのは、大きなハードルですよネ。

 

私はmacOSでのノウハウが積もりに積もっているので、Macを使いたいという理由もデカいです。同じく、Windowsを使っている人もノウハウは継承したいでしょう。

 

なので、Macだけに偏って未来の少人数精鋭のワークグループを模索するのは、あまり良い方針とも思っていません。Windowsだけに偏るのもマズいですが、Macだけなのもマズい。

 

ゆえに、現在、「iMac 4K」「Mac mini上位機種」あたりの性能と同等クラスのWindowsマシンを探し始めています。自分で所有して使ってみないと、実感に基づく文章は書けないもんネ。

 

「Windows PC おすすめ」の語句で検索すると、そりゃあもう、「ノートパソコン」ばかりが検索に引っかかります。ああ‥‥そうだった‥‥、世間ではWindowsは「ビジネスパソコン」なんだよネ。ジョブズの術中にまんまとハマった世界が今ここにある‥‥という感じで。

 

10万円台前半で買える構成で、

 

4K10bitを接続できるビデオ性能

PCIeのスロット

Core i7 4GHzあたり

M2のSSD

 

‥‥くらいので良いのです。メモリは4スロット、PCIeは2スロットあるのが望ましいです。

 

後で自分で増設して、

 

追加で16GB2枚=32GBのメモリを追加

BlackmagicのHDMI出力カードをPCIeに差す(=当初は必須ではない)

ビデオカード(ボードのビデオ出力が1つしかない場合)

適当な4K HDRモニタ(6〜7万くらいの)

適当な4K HDR出力モニタ(編集ビデオ出力をカードから出して繋ぐ・別接続でサブモニタにもする)

追加のHDDか、SSD

 

‥‥というあたりでストップ。それ以上のお金はかけずに、必要最低限のマシン構成のWindowsでどこまでできるかを試してみたいです。

 

ちなみに、ソフトウェアは、

 

Adobe CC(全部入りかAfter Effectsのみ)

DaVince Resolve

 

‥‥くらいで良いでしょう。Adobe CCとDaVinciがあって映像が作れない‥‥なんて言うのなら、そもそも本人のポテンシャル不足でしょうしネ。

 

そこに、iPad Proとプロクリ&クリスタで、ペンタブ環境は十分です。板タブはあれば良いけど、必須ではないです。高い液タブ(30万円前後)は不要です。

 

安く抑えても、これらを一度に買おうとすると、50万円くらいはかかってしまいますが、これら機材を一度に使うことはあり得ません。ですから、最初はiPad Proから買い始めて、たっぷりと絵を描きためて、iPad Proのローンが終わる頃に4Kマシン(MacでもWinでも)を買って、カットごとのアニメ制作が終わる頃=4Kマシンのローンがそろそろ終わる頃に、サブモニタと出力カードを買って編集をおこなう‥‥という順番でしょうかね。

 

あしかけ5〜6年くらいにはなると思いますヨ。なので、年齢的なことを考えても、若い頃から取り組んだ方が良いです。

 

「え〜、そんなにかかるの?」と言う人は、おとなしく受け身で、商業ベースの単価仕事を続けていれば良いのです。自分の欲しいものは簡単には手に入らないんですヨ。

 

 

私は何もMacのエバンジェリストになりたいわけではなく、アニメーションの再定義・再発明のムーブメントを盛り上げたいので、MacもWinもどっちも「どんとこい」です。

 

そんな私がWindowsマシンを現在稼動状態にしていないのは、ちょっと苦しい。‥‥ので、何か、iMacの中位機種かMac mini上位機種くらいのそこそこの値段でWindowsマシンを買えると良いなあ‥‥と思っています。

 

でもねえ‥‥‥。私がMacに落ち着いているのって、煩わしい構成に気を揉まずに、だいたいどんなMacでもすぐに映像制作が開始できること‥‥なのですよネ。一番安いMac miniでも買わない限りは。

 

 

 

 

 


魂!=手段

ネットの記事を読みました。コレ。

 

失敗を重ねる名門パイオニアが、”解体ショー”に突き進むこれだけの理由

http://blogos.com/article/328092/?p=1

 

パイオニアの凋落

http://blogos.com/article/325227/

 

 

考えさせられる事の多い記事です。「成功体験が未来の失敗の原因となる」というのは、まさに「デミヤンスク包囲戦」=「スターリングラードの悲劇を招く遠因となった成功体験」を彷彿とさせます。実はこの「成功体験の暗部」は、私がプロジェクトの立ち上げに関わる時にいつも念頭におくことでもあります。「成功体験に基づく自信」と「次がうまくいくとは限らない」という相反する思考は、プロジェクトのキーマンならば当然のように有すべきことだと痛感します。

 

「解体ショー」の記事でもう1つ気になるのは、「企業の魂」というフレーズです。

 

私も「魂を売るべきではない」という事自体には同感です。‥‥で、そこで「魂」という「言葉だけ」で「わかった気」にならずに、「では、魂とは何を指して表す言葉なのか」をちゃんと考えるべきでしょう。

 

パイオニアの部外者から見た、パイアニアにとっての「魂」とは、決して「オーディオコンポを売る」ことではなかったと、オーディオコンポ世代の私は思います。チープなモノラルラジカセとはまるで別世界の音楽体験こそが、オーディオコンポの魅力でした。

 

アウトサイダーである私が、パイオニアに期待するのは、「音」「映像」を「上質な体験としてユーザに提供」してくれることです。オーディオコンポやカーステレオやレーザーディスクは「単なる手段」に過ぎません。「手段」は時代とともに変化しますから、パイオニアに私が期待するのは、あくまで「素晴らしい音と映像をユーザにもたらしてくれる」伝道者のような役割です。そして、その「素晴らしい」という状況も時代によって変わりますから、常に「時代とともに歩む」意識が不可欠だと感じます。

*もちろん、「提供」「伝道」の対価はユーザが然るべき価格で支払います。タダではありません。例えば製品購入とか。

 

 

 

日本人って、「根本を解き明かして、始点から発想をチェンジする」ような取り組みが苦手な国民です。それはまさに、今のアニメ業界が雄弁に物語っています。

 

他業種の内情には詳しくないので、アニメ制作業で考えると、アニメ制作会社における「魂」って何だろう‥‥ということです。

 

紙と鉛筆を使い続けて、セルと背景を「撮影」する‥‥というのが、アニメ制作会社の「魂」なんでしょうかね? 紙と鉛筆をペンタブに置き換えることが「時代とともに歩むこと」なんですかね?


アニメ制作会社における「魂」とは、まさに「アニメ制作会社」なのですから、「アニメ映像作品」を作ること‥‥だと思います。少なくとも私は、そう思います。

 

そして、アニメ映像作品は、必ずしも、今までの技術やシステムや慣習で作る必要はないです。アニメを作ることが成就すれば、アニメ制作会社足り得ると私個人は考えます。

 

ゆえに、アニメ映像作品(=商品)が全世界の潜在的なユーザに対して、どのように「かけがえのない体験として提供」されていくのかも考えます。深夜に追いやられた日本国内のテレビ枠がアニメの最後の砦なんでしょうかネ??

 

アニメ制作者の未来の居場所は、世界のどこにあるのでしょう?

 

しかしながら、アニメ制作会社、フリーランス作業者、そしてアニメ業界は、あまりにも「手段に固執し過ぎている」ように思います。そして、「アニメ」を一意に考えすぎて柔軟性がほぼゼロのような状態にも思えます。慣習による行動を「自分の魂の発露」と思い込んで、惰性で未来を占おうとします。

 

つまり、アニメに対する「固着化した思考にもとづく手段」を、「魂」に同化させてしまって、まさに「解体ショー」に突き進んでいるように思えるのです。作監20人なんていう制作体制も、それが「何がなんでも作監の肩書きは必要。アニメの魂だ」ということになれば、自分の思考の内外で正当化もできる‥‥とういう仕組みです。

 

私自身はハッキリと自覚していますが、正直、「旧来のアニメの作り方は現代に合っていない。技術的にも、品質的にも、そして思考的にも、立ち遅れが酷い」です。それは各個人の人間としてのポテンシャルではなく、技術的思考の古さによるものです。

 

実際、旧来のワークフローや制作体制の作品に関わると、いくつもの新しい技術を封印せねばならず、とても暗いキモチになります。新しいことを受け入れられず、むしろ頑固になって殻に閉じこもる業界の体質に、先の見えない暗さを感じます。

 

 

 

アニメを作るプロとしての「魂」。

 

アニメーターなら、まず絵を描くこと。そして絵を動かすことです。決してタップ穴に固執したり、紙と鉛筆に固執することではないはずです。道具は、自分の魂を具現化するための手段です。決して魂そのものではありません。

 

アニメ制作でいえば、アニメ映像を作り出す、そのことズバリが「魂」でしょう。アニメ映像を作り出せるのなら、既存のシステムやワークフローや技術体系に凝り固まる必要はないのです。新しい時代の新しい技術をどんどん旺盛に盛り込んでいくべきと考えます。

 

家電メーカーの凋落を笑っていられるほど、アニメ業界の会社や個人は安泰ではないはず。むしろ、未来に対する無思考・無計画の酷さは、家電メーカーより遥かに上回るでしょう。限界アリアリの「原動仕美撮」に変わる未来の制作構造をどれだけ考えていますか? ノープラン? 今までやってきたことをやり続ければ良い? ‥‥それこそが凋落ド直球なのです。「未来はノープラン。今までやってきたことをやり続ければ良い。」を体現し続けてきた他の業種の企業が、どれだけ消え去ったか、枚挙にいとまがないです。

 

自分の「魂」、制作集団の「魂」とは何なのか。

 

道具が魂だというのなら、道具の衰退とともに、自分も消えていくしかないでしょう。

 

作り出す事自体が魂だというのなら、作り出すための道具と手段を変えていけば、存在し続けられるでしょう。

 

 

 

まあ、色々と悩みはつきませんが、楽観的に構えられる絶大な要素を、絵は持っています。

 

これだけ実写の媒体が身の回りに溢れているのに、なぜか、人は絵に惹かれる。絵は現人類誕生の太古から存在し、今まで滅んだことがない。

 

それだけでも、凄く、楽観的状況だと思うのですヨ。

 

あとは、その絵の「表し方」を、現代社会とともに考えていくだけ‥‥です。

 

 

 

*追記:

 

引用記事で「その後音響製品をベースに映像分野にも手を伸ばし、映像デジタル化の流れの中ではレーザーディスクを担いで参入。」とありますが、それは取材不足。‥‥というか、引用元は「ブログ」なので、取材というよりは知識の不足か。

 

レーザーディスクの映像データはデジタルではないですヨ。アナログ映像フォーマットです。アナログからデジタルへの移行は、時代を語る上でとても重要な要素なので、見落としはマズいです。記事の説得力がガタ落ちです。

 

まあ、パイオニアの内情は全く知りませんので推測の域を脱し得ませんが、もしパイオニアがあの当時(80年代)にいちはやくデジタル映像フォーマットのディスク&機器を開発・発売できるくらいの「イノベーティブ」な体質だったら、今のようなことにはなっていないかも知れませんネ。


作業力としてのコンピュータ

コンピュータに作画作業の一部を負担させる‥‥という取り組みは、私は1997〜8年から開始して、実際に実用として私が使用したのは2000年公開のBlood The Last Vampireだったように記憶しています。

 

現在、業界で注目され始めている「自動中割り」=作画労働力としてコンピュータを扱う目的ではなく、「動かせないものを動かす」「今までは不可能だった映像表現を実現する」という目的でした。Bloodでは主人公の小夜がよじ登るBOOK描きの金網(=普通だったら止め絵で動かせないもの)を、たしかメッシュワープで動かした記憶があります。あの当時にも、かろうじてAfter Effectsにもアニメーションに活用できるツールはあったんですよネ。

 

いつも思うんですが、新しい技術を実現しようと取り組む「思惑」には2種類あって、

 

  • 表現の拡大のため
  • コストの縮小のため

 

‥‥があります。

 

私は今でも、「映像表現の拡大」を主軸にしています。動かせないと思っていたものを動かす。無理だと思っていたイメージを実現する。‥‥そのために、コンピュータの能力を作業計画に組み込みます。

 

とはいえ、「映像表現の拡大」取り組みの副産物として、「普通だったら、4人がかりで2週間かかる内容を、1人で3日で終わっちゃった」みたいな「強烈なコスト抑制効果」を「たまたま」得たのは事実で、「セレンディピティ」的な感じです。

 

現在は、その「高効率生産能力」も考慮していますが、やはり本筋は「映像の表現のため」です。

 

 

 

‥‥で、これもいつも思うんですけど、映像技術におけるプロジェクト・取り組みが迷走するのって、

 

コストを縮小するのが目的の場合

 

‥‥がほとんどように見受けられます。

 

なぜか?‥‥って、映像技術を扱っているわりに「イメージ」「ビジョン」が希薄だからです。

 

例えば今回の「作業力としてのコンピュータ」の事案を考えた場合、作ろうと思う映像のビジョンがあって、その具現化のためにコンピュータの具体的な機能を活用する場合は、どの作業が「人間管轄」で、どの作業が「コンピュータ管轄」かを、最初から計算して運用できます。映像をイメージして思い浮かべるのと同時に、コンピュータの能力を作業計画に組み込むので、「映像表現」と「現場の制作技術運用」が合致します。

 

一方、映像はぶっちゃけ今まで通りで構わなくて、人間の代わりにコンピュータが自動中割りしてくれれば良い場合は、当座、制作中の作品で「試してみる」スタンスになりがちです。コンピュータが関わって生み出される映像に対しての明確なビジョンなどなく、人間でもできることを、コンピュータにやらせてみて、うまくいけば省力化、うまくいかない場合は人間がフォローする‥‥みたいな、結果待ちで後追いの制作展開になりやすいです。

 

つまり、「コストを縮小するのが目的の場合」は打算的で泥縄的で、当然のことながら、運用計画を事前に想定できなくなるわけです。‥‥だってさ、「できるかどうかも、わからない作業を、コンピュータに投げる」のですから、作業計画なんて事前に組み立てられるわけがないもんネ。

 

 

 

コンピュータを自らの意志で使う人間は、コンピュータの能力に期待していますし、以前のコンピュータの作業経験からくる信頼もそれなりに厚いものがあるでしょう。「コイツがいれば、新しいことができる」と思うからこそ、コンピュータの能力も応えてくれます。コンピュータを相棒のように頼もしく感じて、色々なアイデアも次々と浮かびます。

 

しかし、「コンピュータを使うと作画の人件費を節約できるらしい」「あまりあてになるとは思えないけど、自動中割りとやらでも使って見るか。もしダメならファイルは使わずに人間が作業すれば良いんだし」みたいな人間は、やっぱりと言えばやっぱり、コンピュータの能力を存分に引き出せるまでには至らないでしょう。普通に考えて、引き気味で期待薄の対象に、とことん突っ込んで使いこなすようにはならないからです。

 

コンピュータを使う人間のキモチによって、いくらでも、コンピュータが生み出す映像とお金も大きく変わってきます。「コンピュータが期待に応えてくれる」なんていうとオカルトみたいですが、要はコンピュータの能力をうまいこと活用できるようになると、状況が連鎖的にかけ合わさって、ルッサーの法則の「良いバージョン」的な膨らみ方をするのです。

 

コンピュータに大した期待もせず、色々な機能をテキトーにイジるだけだと、各機能のポテンシャルを0.5くらいしか引き出せず、そのかけ合わさった結果は、

 

0.5x0.5x0.5x0.5=0.0625

 

‥‥と、まあ、事実上0%になって「なんだこれ!?コンピュータなんてボロくて使えないわ」とか言い出す始末。

 

しかし、コンピュータの能力を理解してたとえ10%でも想定以上のポテンシャルを引き出せば、

 

1.1x1.1x1.1x1.1=1.4641

 

‥‥と50%近くも総合的な能力がアップして、「コンピュータって、すごい!どんどんやりたいことができる!」と感激するわけです。

 

実は、コンピュータの機能を殺すか生かすかは、当人たちの写し鏡なんですけどネ。

 

使う人間次第だということに、個人はおろか、制作集団や会社まで気づけていないこと‥‥は、相当多いよなあ‥‥と思います。高いコストを支払って導入するコンピュータ。それを、実際にどう使うかは、それこそ、数十年以上語り継がれてきたテーマです。

 

打算的に‥‥ではなく、意欲的に、コンピュータと一緒に仕事をしていきたいと、私は思っています。

 

 

* * * * * *

 

 

私が初めて仕事で「正式に」使ったコンピュータ、「Macintosh Quadra650」。ネットワーク線は引かれておらず、MOでのデータ受け渡しだったのが懐かしいです。この1〜2ヶ月後に、私専用の「PowerMacintosh 8500/180」が設置され、コンピュータの面白さにどんどんハマっていくことになります。

 

 

 

1カットごとの上がりがTIFFやSGIなどの連番ファイルだった時代(2000年代初頭)に、簡単な操作で「プルダウン画像」「プルダウン解除(=元の絵に戻す)」を生成するソフトを作りました。たしか、REALbasicで作ったはずです。フィールド合成の仕組みさえ理解していれば、プログラム自体はそんなに難しいものではなく、ラインごとに合成するだけですから、画像処理プログラムの初歩も兼ねて2002年くらいに作りました。

 

コンピュータで絵や映像を作るのは作業のメインとしても、コンピュータの長所は、雑事の自動処理にも活用できるはず‥‥と、1997年にApple Scriptからプログラムの自己学習を開始しました。コンピュータを使っているのに、ファイルのまとめとか手作業で大量の反復処理をするのは、釈然としなかったですしネ。

 


板タブ

最近、補助的な役割ですが、板タブも使うようになりました。板タブはどうにも思い通りにならなくてあまり使わなくなっていたのですが、線の1本を書き足すのにiPad Proに戻すのも面倒なので(特にファイルサイズが巨大な場合は)、簡単な線は板タブでも描くようになりました。

 

改めて、ここ数年のIntuosを使ってみると、色々と機能がついていて、便利というよりは戸惑います。Procreateを常用していることもありますが、ボタンが6つ(切り替えボタンまで含めると7つ)もついていて、ホイールもあり、ジェスチャーも可能‥‥となると、機能過多で使いにくいもんだと実感します。日本のメーカーが陥りがちな傾向はペンタブにも継承されておりますネ。機能過多で使わないのならまだしも、誤動作のきっかけになるのはなんとも邪魔です。

 

まあ、Photoshopのショートカットは体に染み付いているので、板タブのボタンはかたっぱしからOFFにしても良いのですが、それでもたまにホイールが反応したりして面倒なので、ちゃんと設定することにしました。私は左利きなので、利き腕の設定も変えて、ボタンもホイールも使えるように設定しました。

 

さすがに6個のボタンと、1つの切り替えボタンで4つのホイール機能全てを暗記するのは無理です。少なくとも私は。

 

なので、以下のようにダイモのラベルを貼りました。

 

 

 

ダイモの透明テープに最長4文字で刻印して、機能ラベルを貼り付けました。ホイールの設定は初期設定のままですが、他は設定を変えました。取り消し=アンドゥは、間違えずに操作できるように一番上のボタンに割り当てました。

 

透明テープなので、LEDの上に貼っても光が透けます。

 

 

ただ、透明の純正品テープは製造中止らしく、上図のマシューズのものが出回っています。これがちょっと扱いが面倒で、純正品より色々とヘボいので、ダイモに慣れない人は黒の純正テープを買ったほうがよいかもしれません。LEDは透けなくなりますけどネ。

 

ジェスチャー(タッチ機能)はOFFで使っています。色々とジェスチャー機能はあるのに、1本指でのジェスチャーが「クリック」しかなく、1本指ドラッグに消しゴムを割り当てることができなさそうなので(もしかしたら、ある?)、今は使わない設定にしています。1本指のドラッグ(摩って動かす)が消しゴムに早変わりするのは、とても便利ですヨ。iPad ProのProcreateとクリスタでは、1本指を消しゴムに割り当てています。

 

 

で‥‥、久々に板タブを使ってみて思うのは、板タブは何を言うても、もはや過去の機材だな‥‥という事です。ろくな液タブがなかった時代やiPad Proが未発売の頃の、前時代の名残りのような画具です。マウス代わりに使うのはアリかも知れませんが、絵を直に描く道具としては決して優れているとは思えません。コンピュータ機材が未発達だったころの産物です。

 

Apple製品をむやみに推すつもりはないですが、絵が描ける人なら、iPad Proの12.9インチとApple Pencilを買っとくべきです。板タブを補助的に使うようになって、改めて、しみじみと、絵を描く道具としての優劣を実感します。

 

 

 

やっぱりさ‥‥。絵を描く時にはさ‥‥、余計なストレスは背負い込みたくないじゃん?

 

 

絵を描くのなら、絵を描く視点と手(=ペン)が一致していたほうがダイレクトでストレスがないですよネ。「いやいや、離れていたほうが良い」という人は相当珍しいです。

 

ハッキリと言い過ぎるかも知れませんが、板タブの「ペン先から目を離してモニタを見ながら描く」というのは、相当、異常な光景だったのです。

 

ラジコンのような操作感で絵を描いていたのは、単に「昔のコンピュータがその程度の性能しか提供できなかったから」です。

 

 

iPad Proを推す、もう1つの理由は、その外形の状態。つまり、「単体で動作する」ことと、「薄く、軽量」であることです。

 

iPad ProとMacが完全に独立して動作するのは、とても「やりやすい」です。4K HDR フルモーションの作業をする場合、今までの2K映像とはレンダリング時間が段違いにかかるようになりますから、レンダリングの待ち時間にiPad Proで別の作業を進められます。

 

薄さ、軽さは、作画用紙1枚の薄さには到底及びませんが、薄手のスケッチブックくらいの薄さゆえに、違和感なく絵を描くことができます。しかも、自分の画材の全てをiPad Proの中に詰め込んで、どんな場所でもApple Pencilで、イラストでもコミックでも原画でもデザインでも即座に描き始めることができます。

 

iPad Proは机が狭くならないのも良いです。電力をコンピュータより格段に消費しないのも、実はかなり大きな利点です。

 

 

一方、ホストコンピュータが起動していなければ絵を描くことができない「周辺機器系のペンタブレット」は、マルチに作業を請け負うようになると、色々と面倒が増えてきます。

 

まず、After Effectsで重いレンダリングをしている裏で、6〜8Kサイズでレイヤー数の多い画像をPhotoshopでペンタブでイジるのは、クラッシュしそうで怖いです。じゃあ、マシンを2台に増やせば良いかというと、そんな単純な話ではなく、電源供給の問題や発熱の問題、モニタやキーボード・マウスの増設または切り替えの問題、設置スペースの問題などが、どんどん山積みになります。

 

自分の能力を多岐に展開したいのなら、会社の作業机でしか絵が描けない「固定された環境」ではなく、自由に活動できる環境の下地が必要です。ペンタブを使うのは会社の机だけ‥‥では、どうやって、自分の絵を描く能力を拡張できるでしょうか。

 

 

それこそ前世紀から20年以上、色々とコンピュータでの作画&映像制作の作業環境を模索し続けてきて、iPad Proの性能〜単体の性能だけでなく環境性能も含め〜は、相当優れていると実感しています。

 

まあ、私個人の性質もありましょうが、板タブは1997年から使い続けているのに、結局、自分の「最強」と言えるほどの画具とはなり得ませんでした。しかし、3年前(2015年)に出たiPad Proはあっという間に、大きな信頼を預けるほどの画具になりました。

 

だってさ‥‥。絵がちゃんと描けることを、自分の肉眼で目の当たりにして、それでどんどん仕事をこなせば、信頼せずにはいられないもんネ。

 

昔の道具や機材の欠点をあげつらう事が本意ではないのですが、今そこに存在する大きな落差を無視することもできません。なので、正直に書いております。

 

板タブを久々に使って、色々と実感しました。

 


泥縄と命綱

新しい映像技術を確立する際は、どんなに前もって準備してリサーチしても、泥縄式の状況に巻き込まれていきます。

 

事前に調べておけば‥‥というのは、確かにあります。HDMIケーブル1本にしても、「ハイスピードケーブル」だけを確認するだけじゃ、リサーチ不足でしょう。

 

しかし、どんなに下準備を積み重ねても、泥縄になる場面は回避できません。全て計画通りに事が進むと思うのは、「あんたは何年生きてきたんだ?」と、逆に失笑の的です。成功の前例がないから判断できない‥‥なんて、どんな素人だって可能ですヨ。成功例があるからOK、前例がないからNG‥‥なんて、凡人そのものです。

 

前例のないところから、成功のカギを見つけ出すのが、プロの仕事でしょ?

 

むしろ、自分に絡んでまとわりついた泥縄を、丁寧に1つずつ解いて、編み直して、強く頑丈な命綱にもできるのです。

 

泥縄式状況にハマった時は、泥縄から抜け出すことだけに終始せず、ちゃんと泥縄を解いて束ねて洗浄して、新たな命綱を編む材料として有効活用すれば良いのです。そうすれば、制作集団はどんどん強くなれます。

 

泥縄式を「単なる災難」として捉えるのは、あまりにも愚か。

 

 

 

失敗例から学べることは格別に多いです。

 

成功例は、確かに成功例を体現したわけですから相応の成功のメソッドは得られますが、同時に、成功したことで過信してしまう、非常に危うい側面も併せ持ちます。

 

成功例に伴う技術過信は、負け戦の典型、先の大戦でドイツや日本での「技術立国が陥った大きな落とし穴」です。例えば、パンターがT-34に1:10のキルレシオを誇ったとしても、相手が12台で迫ってきたら、2台のT-34が戦線を突破するということですし、優秀な日本パイロットがドッグファイトで空の戦いを制覇しても、サッチウィーブによって一人また一人と歴戦パイロットを失えば、やがて劣勢に傾きましょう。

 

日本のアニメ業界は、「アニメと言えば日本」というくらいに大成功を収めたのは、誰も動かしようがない事実、成功事例でしょう。だからこそ、とてつもない負け戦が、これから先に待ち受けているように思えてなりません。

 

日本のアニメーターや美術スタッフ、色彩や撮影スタッフの技量を、まるで所与の日本の財産であるかのように錯覚して、かつての成功例に酔いしれてドカスカジャンジャン、アニメを濫作乱造する状況は、後の大カトストロフィを暗示しているように思いませんか?

 

現在の現場がハマっている泥縄式地獄で、その泥縄を掴んで解いて編み直して、新たな未来の命綱にできると思うのですが、当人らが泥縄を腫れ物のように扱うレベル止まりではどうにもならないですよネ。

 

 

 

私の在籍する小さな技術集団は、まさに技術立国的な立場ですが、ゆえに、技術を打ち出して切り拓いていく意識と同等に、技術だけでは立ち行かなくなる状況も絶えず意識しています。

 

では人海戦術を正義とした意識に転向すべきか? ‥‥まあ、日本じゃソレは無理ですよネ。

 

アメリカや中国、インドのようにはいかんです。国土も人口も少なく、資源も乏しい。

 

だったら、泥縄も資源として活用したいと、少なくとも私は思います。新しい現場での様々な困難と泥縄式対応も、糧として蓄えて、形を変えてエネルギーとしたいです。

 

技術で身を立てるということは、技術を過信することに非ず。

 

泥縄も場合によってはやむなし。むしろ、回り道や泥縄によって得られるアイデアは豊富だと、心得るべし‥‥ですネ。

 

 

 



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