基礎知識

いつも仕事をしている方々はともかく、たまに初対面の人、特に作画の人と話した時に、「??」となるのは、コンピュータの基礎的な知識の部分です。ツイートでも見かけますネ。

 

まず、ストレージとメモリの混同

 

メモリは2TBあれば十分ですか?

 

このような場合、言った本人は、ストレージの容量を指しているのは明白です。RAMの容量で2019年現在、少なくともパーソナルコンピュータで2TBは存在しえないからです。

 

メモリは512GBあれば十分ですか?

 

これもRAMではなく、SSD、フラッシュメモリを指しているものと思われます。512GBのRAMは2019年現在でパソコンではないですよネ。研究機関の特殊なコンピュータは知りませんけど。

 

またHDD=ハードディスクドライブではないことも、2019年の状況からして察することが可能でしょう。0.5TBのハードディスクを2019年にわざわざ買い求める状況は、想定が難しいですもんネ。

 

512GBの場合、2019年の今なら、SSD〜フラッシュメモリを指しましょう。

 

難しいのは、SSDといえど、512GBなら、iPadでもありえるしパソコンでもありえるので、「何の記憶容量ですか? iPadですかコンピュータですか?」と確認しないと話題の対象が特定できません。

 

メモリは64GBあれば十分ですか?

 

これはちょっと迷います。iPadの下位モデルだと、ストレージの数値でありえるし、4つのメモリモジュールスロットを持ったiMacやWinのマシンにおいては16GBメモリモジュールx4=64GBでRAMの容量としてもありえます。

 

そもそも「メモリ」という言葉の幅広さに由来する混同だと言えます。勘違いしても仕方ないですよね。「メモリ=記憶」という一般的な意味で考えれば、なかなか悩ましい用語です。

 

HDDもSSDもRAMも、データを記憶=データを溜め置いて保持することには変わりはないので、コンピュータ機器の仕組みをある程度理解していなければ、初心の頃は混同してもやむなしです。

 

それに、書いてて思いましたけど、「RAM」という言い草も、なかなか古い言い回しですネ。言葉の意味を考えてみると‥‥。ランダムアクセスじゃない記憶装置って、今あるんかな?

 

ランダムアクセス‥‥。昔「QD」というのがあってな‥‥、MIDIのデータを外部記録保存する時に、シーケンシャルアクセスQD=クイックディスクを使っていて、ランダムアクセスのFD=フロッピーディスクに装置を換えた時に、とても嬉しかった‥‥なんていうのは、50代のオジサンの思い出話だわな。

 

話を戻して。

 

コンピュータはおおまかに、演算処理の際にデータを一時記憶する、とても高速な記憶エリアと、速度よりも容量が重視されるストレージのエリアの、2つに大別されます。

 

ややこしいのは、演算処理に用いる高速な記憶エリアでも、ストレージとして使うこともありますし(=昔、RAMディスクなどと呼ばれた)、演算処理の一時的な記憶エリアでも、ストレージのエリアを使うこともありますから(=キャッシュと呼ばれる)、大別して概要を理解した後は、「いろんな使い方があるんだな」と事例を徐々に覚えていくのが現実的です。

 

M.2の高速なストレージは、処理計算の一時記憶エリア=キャッシュには最適ですしネ。

 

 

 

GB‥‥という単位でありがちなのはビットとバイトの混同です。

 

例えば、通信速度で、

 

GB/s

Gbps

 

‥‥は、8倍もの差があります。これは1バイトが8ビットをひと固まりと定められたからです。バイトは無条件に8bitか?‥‥というとそうではなく、情報を形成する1単位であって、昔は4ビットも6ビットも1バイトとして扱われた歴史があるようです。

 

調べてみると、意外にも1バイトが8ビットと明記されたのは2008年のことらしいです。

 

成り行きはそう言うこととして、日常会話で混同しがちなのは、

 

通信速度は1ギガだ

 

‥‥という、バイトかビットかわかりにくい言い回しです。ギガまでしか言わなければ、バイトかビットかは不明ですよネ。

 

まあ、数字慣れした人で、ネットの速度の話題なら、

 

1Gbpsのことだな

 

‥‥と推し量るのですが、外部のUSBやThunderboltの実測通信速度の話題においては、ビットかバイトのどちらを指しているか、よくわからないことも多いです。なので、「bpsか否か」を結構頻繁に確認し合うことになります。

 

「通信速度」と「転送速度」の言葉の違いも、実は結構明確に使い分けられていて、話の要領を得るには、必要なキーとなる言葉ですよネ。「通信速度」はWANやLANなどのネットワーク関係の言葉として使われがちです。一方「転送速度」は昔はSCSI、今はUSBやThunderboltなどのローカルデータストレージのデータ送受の速度として使われがちです。

 

とはいえ、10Gbpsの高速線ともなると、ローカルでのデータストレージをネットワークに置き換えるようなことも未来には可能になりますから、その際は「通信」と「転送」のどちらを使うことになるんでしょうネ‥‥。

 

 

 

アニメ現場で耳にしがちなのは、解像度のしくみの理解不足です。

 

何dpiで作業すれば良いですか?

 

‥‥という言葉が端的に物語っています。dpiが絶対的な画像の寸法を指し示すと勘違いしている人は、結構多いように思います。

 

dpi(ppi)の略語の意味を考えれば、ピクセル寸法と同等の言葉ではないのはわかるはずです。

 

ドット(ピクセル)・パー・インチ=インチあたりのドット数

 

つまり、現実世界の実寸=何インチに、何ドットが割り当てられているかが、ピクセル寸法を決定します。

 

100Fを150dpi

 

‥‥と言っても、肝心の100Fの縦横の寸法が判らなければ、ピクセル寸法は永遠にナゾのままです。

 

制作現場には、B4用紙100Fの作品もあれば、A4用紙100Fの作品もあります。そして、各社でA4用紙の100Fの横幅もバラバラです。

 

dpiだけでは話が通じません。ドット・パー・インチと言うのですから、実物の実寸=レイアウト用紙の100Fの横幅と、dpiの数値をセットで伝えないと、必ずと言って良いほど、

 

dpiは了解しました。

すみませんが、加えて、100Fの横と縦の実寸をミリで教えてください。

 

‥‥との問い合わせが必要になります。

 

コンピュータによる画像処理の基礎知識があれば、dpiだけ伝えても要領を得ないことはすぐに解るはずです。でも、dpiだけを知りたがる作画の人間は結構多く接してきました。

 

今でも基礎知識の浸透が、特に作画の人間には不十分だということの表れでしょう。

 

彩色さんや撮影さんは、解像度にはピリピリして作業するので(=素材の解像度がバラバラだと作業に支障がでるから)浸透していますが、「デジタルは後任せ」で今まで経過した作画の現場は、dpiだけで話が通じると誤解することが多いように感じます。

 

ちなみに、実寸とdpiからのピクセル数の算出は、暗算では中々難しいので、スクリプトを作っておけば簡単に数値が算出できます。私はAppleScriptで作っていますが、ESTKでも簡単に作れますヨ。

 

まずミリをインチに変換し、ドット(ピクセル)・パー・インチからピクセル数を算出するだけの、とても簡単なスクリプト文です。

 

main();

function main(){
    var length=prompt("実寸をミリ単位で入力してください.","0");
    if(!length){return;}
    var dpi=prompt("dpi (ppi) を入力してください.","0");
    if(!dpi){return;}
    var result=length/25.4*dpi;
    var intResult=Math.round(result);
    var evenResult="";
    if(intResult%2){evenResult="¥r偶数値だと「"+Math.ceil(result)+"」です.";}
    prompt("ピクセル数は「"+result+"」です.¥r整数値だと「"+intResult+"」です."+evenResult,intResult);
}

*「¥」は実際はバックスラッシュです。うまく動作しない場合は「¥」をバックスラッシュ(macOSの場合、「option+¥」で入力可能)に置換してください。

 

上記スクリプト文をESTKのエディタにコピペして実行すると、以下のようになります。対話式で数値を入力します。

 

 

 

 

 

これから先の未来、作画の人間は、むしろ誰よりも最初に、最終的なビデオ解像度を確認し、作画作業では何ピクセルの寸法で作業するのか、時には、作業時にそもそもdpiというスキャン解像度の定義が必要な作品か否かも含めて、理解しなければならない立場になるでしょう。

 

一生懸命作画したのに、「リテークです。ピクセル寸法が半分しかありません。線がボケて拾えませんので、書き直してください。」なんて言われたら、気絶しそうになりますもんネ。

 

「誰よりも真っ先に、作業する際のピクセル寸法を確認して、確かな返答が得られるまで、作業に入るべきではなかった」

 

‥‥と、作画の人間が痛感する日も近いでしょう。

 

そのためには、解像度とはなんぞや、解像度とはどのような意味の言葉なのかを、ちゃんと基礎知識として知っておく必要があります。

 

 

 

ちなみに、レタス系の固定解像度のソフトウェアに慣れている、現在のアニメ制作現場ですが、異なるピクセル寸法の素材を「故意に混在させるテクニック」も未来には求められます。

 

例えば、クイックズーム(現場では通称で「Q.T.U」)のあとで尺(秒数)が長いカットの場合、何も考えずに単純計算で4Kで組むと、こんな凄いピクセル寸法になります。

 

*図ではわかりやすく4000pxと記述していますが、実際の規格サイズは、3840(UHD)か、4096(4Kシネマ)です。

 

およそ、3万ピクセル‥‥だなんて、まあ‥‥無理ですよネ。静止画の版権ならまだしも。

 

寄った後のフレームを正規の4Kにするため、逆算で引きのサイズを単純に計算すると、こうした、あまりにも巨大なコンポサイズとなり、実質的に取り扱いが困難になります。(2019年現在のマシンスペックでは)

 

ソフトウェアの動作が鈍足になるどころか、エフェクトの処理の重さによっては「イメージバッファが足りません」とレンダリング不可能に陥ることすらあります。

 

かと言って、引きフレームを4Kで組むと、フレームが寄った後で明らかに解像度不足になります。寄った後の顔のアップで間が長く続く場合、とてもではないですが、品質が低すぎます。

 

顔に寄った後の品質を無視して計算しても、破綻します。

 

困った状況を打開するには、昔から存在するテクニック〜解像度の混在を用います。

 

以下のように、ピクセル寸法を混在させて、映像の内容と運用の現実を踏まえた「最適解」を導きだせば良いのです。要は、解像度を切り分けてコントロールするわけですネ。

 

この図を見て「5Kと6Kと4Kの縮尺がおかしい」と思う人は、ラスタライズして配置するコンポジットに慣れきってしまった人です。部分的に解像度を変えるテクニックは、実は前世紀から存在しています。画面の中の要所で、縮尺が動的に変わるコンポジットは、未来の大画面時代においても必須のテクニックです。

 

After Effectsの場合、「コラップストランスフォーム」で、この方法が実現できます。解像度を混在できないソフトウェアでは、この方法は全く無駄になるので、どんなソフトウェアでもできることではないことを念頭においてくださいネ。

 

クイックズームなので、ズーム途中は像が目まぐるしく変化して、解像度の荒れなど気になりません。つまり、カット内容を鑑みて、「実のある」作業計画を立てて対処すれば良いです。

 

ただ注意すべきは、この方法が普及していない現場もそれなりに多いでしょうから、「ブログで読んだ!」とか自己の判断で勝手に作画しないようにお願いしますネ。「解像度混在のテクニック」は示し合わせをしないと通用しないことがあるので、事前に撮影監督さんと仕上げチーフさんと美術監督さんと演出さんと作画監督さん(つまり全員)に相談してから、実際の作業にインしましょう。

 

そうすることで、実は工程間の垣根が徐々に取り除かれ、新しい時代を迎えるにあたり、セクションを超えて結びつくきっかけにもなり得ます。アニメ制作は個人作家でもない限り、共同作業であって、独裁体制は通用しません。少なくとも、新しい技術が旺盛に盛り込まれる未来においてはネ。

 

ゆえに、コンピュータの基礎知識を、セクションを通じた「共通言語」として捉えて、会話で齟齬が生じないように努めるのが肝要です。未来に、「アニメ業界はむしろ先進的な運用をしている」と言わせるべき状況の基盤を作るのです。

 

アニメ業界は他に比べて2歩も3歩も遅れている‥‥なんて、未来もずっと言われ続けないように、頑張りましょう。

 

 

 

未来、作画の人間は、コンポジットの技術も少なからず知識に加えて、作画時に最適な内容で作画することが求められます。フィルム時代の知識はソレはソレで「温故知新」としてとっておいて、新たな知識もどんどん覚えて未来に備えましょう。そして、自分の技術蓄積を担保に、相応の報酬を得る「裏付け」を形成するのです。

 

凄く乱暴な言い方をすれば、基礎知識のない現場は、どんどんトラブって、「安さ爆発の映像制作の方針」が破綻すれば、業界も「このままではいけない」と気づくこともありましょう。

 

ダメな現場と良い現場の分離は必要であり、自然界のソレと同じく、自然淘汰はどうしても未来に生じましょう。

 

スタッフ個人の視野で言えば、相応の基礎技術と専門技術を身につけた人間が相応の対価として報酬を得るには、現場も相応のレベルに到達する必要があります。紙の時代の慣習を引きずって開き直るような現場は、未来の発展とスタッフの引き留めは難しいと思います。

 

頑張れば報われる。

 

レベルを上げれば、報酬もアップする。

 

そんな現場を目指しましょうヨ。

 

 

 


PMがないと無理

未来の‥‥というか、今からでも、コストを有効に活用しようと思うのなら、PM〜プロジェクトマネージメントは絶対に不可欠です。絶対にネ。

 

PMはその字の通り、プロジェクトをマネージメントすることなので、今までは(今でも多くの現場が)人間の管理能力と采配で実践していました。しかし一方で、「人が暗記できるように、簡略化したシステムが必要」でもありました。ゆえに、3日で済む内容を、3週間も浪費して処理するような事例も数多く見られました。すぐそこの隣町までいくのに、わざわざ高速道路を使うようなものです。

 

かならず、高速道路を使って、簡潔な経路を選択することだけが、「明快な管理」ではあるまい。

 

たしかにインターチェンジとサービスエリアだけを覚えれば良いのなら、管理も暗記も楽ですが、高速料金はどんどん消費するし、皆が同じ高速道路に殺到するので、信号がないだけが取り柄の「低速道路」に成り下がるような状況もあるでしょう。

 

先人の作り上げたアニメ制作の基幹となる「高速道路」は、テレビシリーズを毎週納品するには適していたかも知れませんが、未来も同じ高速道路だけの運用でうまくいくとは到底思えません。何をするにも高速道路を使うやりかたは、もう時代に合わなくなっていると思います。

 

一般道をうまく使わなきゃ。

 

しかし、現実がそうであるように、カーナビなしでは、複雑に入り組む一般道を間違わずに、最短で目的地に着くことは難しいでしょう。

 

だから、PM。

 

現在、制作状況がどのような状態にあるかを把握できるPMのソリューションが必要です。

 

PMをナメてると、未来にはさらなる莫大な人件費、制作費、時間を浪費するようになる‥‥と確信します。

 

 

 

‥‥ということを書くくらいなので、私は昔からプロジェクトマネージメントをサーバと端末で実践してきました。「アニメ撮影」に最適化した「atDB」「xtools」という自己開発のソリューションです。

 

今はアニメ制作工程全体を把握し運用するためのPMを、システム開発の方にお願いしてゼロから作ってもらい、日々の作業で活用しています。節目ごとでフィードバックして、より使いやすいPMに育てていこうと考えています。

 

ぶっちゃけ、4KHDRのような未来の映像制作には、PMなしでは運用そのものが無理です。

 

今までの大味な高速道路仕切りの運用形態では、4KでHDRになったら、どれほどコストがかさむのか、想像もつきません。でっかい荷物を大量に運ぶ巨大トラックが高速道路に殺到して、渋滞がさらなる渋滞を引き起こすでしょう。その渋滞の規模は、計り知れません。

 

どんなにお金の問題が改善されても、PMなしで大味な運用を続けていれば、お金をドブに次から次へと捨てるようなものです。

 

 

 

アニメ業界は周囲からそうとう「見縊られて」います。侮られています。

 

コンピュータの苦手な人間の巣窟で、サーバを活用するのもファイル置き場だけ、PMなんて考えたこともない、どんなに非効率だろうが働かせるだけ働かせておけば良い‥‥なんて思われているのなら、そりゃあ、できるだけ安く作らせとけば良いとお金を出し渋られますよネ。

 

コンピュータを活用すれば、あれが改善できる、これが効率化できる‥‥というのは、やがては働き方の根本に目がいくことでもあります。コンピュータの活用の是非は、すなわち、ビジネスの是非と言っても過言ではないです。だって我々は、映像の電気信号、しかもデジタルデータによって組成した成果物で飯を食っているわけですから、まさにコンピュータの使い方が明暗を分けます。

 

周囲に窮状を訴えるのも良いでしょうし、労働問題の改善も必要でしょうが、自分たちのビジネス音痴も相当に直していかなければ、空回りするだけです。1970年代から続く現場の意識はもう終わりにして、2020年代からは積極的に認識をリプレースして、現代のビジネスにおけるコンピュータの使い方を実践しましょう。

 

「学のない労働者の集合体」みたいに扱われるなんて、甚だ屈辱的でしょう? 私は嫌ですよ。そんな周囲の認識からできるだけ早く脱出したいです。

 

コンピュータを賢く使って、自分たちのチカラに変えていきましょう。

 

アニメ制作現場は、他の業種と比べて、コンピュータやネットワークの使い方が1歩も2歩も進んでいる‥‥と言われるくらいでちょうど良いと思っています。

 

 


クロス引き・スーパー

‥‥というのも、今や昔の常識、消えた常識ですネ。

 

現在はコンピュータでのソフトウェアによるコンポジットなので、クロス引きも、タップの干渉も全くノープレブレム。何のことやらさっぱりわからない人もいると思います。

 

でも、もし大判の作画用紙があるなら、数枚用意して、80度、90度、100度、180度とそれぞれ重ね合わせて同時にスライドしてみれば、「タップをどう固定してスライドすれば良いか」わからなくなるでしょう。物理的に現物をスライドさせると、どのような制限が発生するか、紙でシミュレーションすればわかりますよネ。

 

ですから、コンピュータでコンポジットするようになって、何が一番自由になったかというと、異なるスライド方向の混在、そしてタップ位置の制限からの解放でした。

 

しかも、Bセルだけ「TU」=拡大することまで可能になって、「オプチカルに頼らずに済むなんて、なんて凄い」と当時思ったものです。

 

カメラワークの自由度が格段に増したのは、1990年代後半のコンピュータによる彩色とコンポジットの「隠れた大革命」でした。

 

コンポジットの機能でいえば、フレーム内にタップがあろうが、全く問題ありません。現在制作中の4KHDRの作品では、タップのために余白を設けるとそれだけで結構なピクセル数を消費することもあり、また、タップがなくても十分に位置を合わせることが可能なので、タップ自体を廃止しました。それでも全然問題は生じません。‥‥まあ、タップは紙作業との互換性が主たる目的ですから、ペーパレスの現場にはもはやタップがなくても運用可能だ‥‥ということを現在証明し続けて制作しております。

 

 

ちなみに、フィルム時代の昔から、宇宙空間のシーンで、静止画の宇宙船やロボットをTUなりTBして前後移動しているようにみせかける技術があります。

 

これは「スーパー」という撮影技術によるもので、まず1回目に宇宙の背景だけを撮影して、2回目にメカのセルにカメラワークをつけて撮影して実現していました。今でいうと、セルを「スクリーン合成モード」にしたような内容です。

 

1.jpg

 

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*雑な絵でスマンす。前回、前々回に引き続き、これもiPad miniです。

 

 

しかし、よ〜く見ると、セルの部分だけ星が描いていないのに気づくことでしょう。加えて、何か、メカがかすかに白く浮いて見えることもあります。

 

これには明確な理由があります。背景に星がまんべんなく描いてあると、スーパー撮影した時にメカの中に星が透けて見えてしまうからです。また、黒で塗られた背景部分も、実際は少し明るい黒なので、メカの暗部が影響を受けて明るくなってしまうのです。

 

3.jpg

 

4.jpg

*スーパー(スクリーン合成モード)だからさ‥‥仕方ないよネ。

*この例は、星の透けだけで、「黒浮き」は再現していません。

 

 

なので、現場の人間が見ると、映像作品中で、星が描いてない部分を見るとすぐに「この部分に宇宙船が近づいてくる」と察知するわけです。

 

‥‥なんだか、壊れる建物だけがセル描きで「壊れる部分が、壊れる前からモロバレする」のと、ちょっと似ていますネ。

 

あたかも、「たまたま、その部分には星が少ないんだよ〜ん」というていで、難局を乗り切っていたのですネ。昔の人々は、ホントにバイタリティがありますよネ。

 

今みたいに、「なんでできないんだ! デジタルなんだろ?!」みたいなコドモみたいなダダをこねるのではなく、「できないのなら、こうしよう」とリソースが乏しいがゆえのアイデアをどんどん生み出していった先人には尊敬と畏敬の念が絶えません。

 

 

 

コンピュータソフトウェアによるコンポジットが導入されて、実は地味に、カメラワークの大革命が起きていたことを、今やもう、語る人は少ないでしょう。‥‥なので、不肖私が、ここに書いておきます。

 

ちなみに、拡大縮小に関しては「デジタルTU(TB)」「D.T.U(D.T.B)」なんて用語をひねり出したのに、「デジタルスライド」「デジタル引き」とは言わなんだネ。

 

クロス引き制限の解消は、アニメ映像表現の大きな転機だったのに。

 

 

 

クロス引きの大きな制限、個別の拡大縮小はさらに大きな制限、セルの透明度が100%でないばかりにセル重ねで色は変化し、セル影も「ニュートン」も出て‥‥と、今では発生するはずもない数々の制限の中、先人たちは名作と呼ばれる数々のアニメを作ってきたのですよネ。

 

凄い。

 

考えてみれば、私も、そうした先人たちの仕事に直接的にも間接的にも感銘を受けて、今の仕事を選んだのです。

 

先人に学ぶべきは、習慣や作法ではなく、数々の技法と表現を開拓した「折れない、強いココロ」です。

 

一方で、お金や労働の問題は、ほとんど改善されぬまま、今まで来ました。思うに、作業習慣がお金の習慣まで引きずり続けているのでしょう。

 

4KHDRの映像データをネットワークで配信して視聴する時代に、昔の16ミリや35ミリフィルム時代アニメ制作の猿真似をしても滑稽です。

 

先人の習慣を学ぶと、変なことになります。

 

学ぶべきは、先人の開拓精神であり、一方で、変えていくべきは習慣〜お金や労働の問題ですネ。

 

 


規則の順番

ファイル名なりレイヤー名なりレイヤー構造なり、制作現場で整然と運用するためには、何らかの規定が必要です。皆が皆、めいめいに自由な独自規則で作業したら、あらゆる面で弊害が発生します。作業現場の歴史は、作業規則の確立と崩壊の歴史‥‥とも言えそうです。

 

なので、ある程度経験を積んだ人々は、「作業を開始する前に規則を決めるぞ」と意気込みます。作業経験ゆえの、当然の流れでしょう。

 

しかし一方で、新しいタイプのワークフローや作業規則の計画を思い描いて実施する時、最初のひと筆から迷いなく清書状態で描き始められるものではありません。絵と同様に、運用計画図にも必ず、下絵やスケッチ、下書きが必要です。

 

ある程度の経験‥‥ではなく、何度も新しい取り組みを経験して成功も失敗も経た人間なら、「規則を決める順番」のバッファをあらかじめ用意しておくものです。

 

規則を決めるにも順番というか手順のループがあります。

 

Observe

Orient

Decide

Act

 

新しいワークフローや技術を実施する際は、上記のループ〜OODA(ウーダ)ループで、「初めてのことばかりで予測が難しく、どこに飛んでいくかわからない」物事をしっかり捕捉することが求められます。既存の現場でPDCAを回すのとは、異なります。

 

技術的にも運用的にも新しいことばかりのプロジェクトでは、過去の経験と知識は充分活きますが、過去の決め型や定番は通用しないことが多いです。戦闘機パイロットが、今までの敵機とは一味も二味も違う新型戦闘機と遭遇するようなもので、OODAの2度目のループの「Observe」は貴重な「次の手がかり」となります。

 

今までこれでうまくいってたんだから‥‥なんて、OODAループには通用しません。どんどん頭を切り替えて、有効な手を繰り出していきます。

 

ですので、最初から大軍団で、例えば4KHDRなどは制作不可能です。今までの「軍隊」のドクトリンと装備では対応できないことも多く、色々と難しい局面に立たされるからです。‥‥だから、今でもアニメ業界の多くの現場は4KHDRなどの新しい映像制作にはに手を出せないままですし、いまだに「デジタル作画」すら取り扱いに難儀していますよね。

 

1発でうまくいく、新たな規則などありません。新しい物事が試行錯誤の連続なら、新しい規則も試行錯誤の繰り返しです。

 

観察し、仮説を立て、暫定判断し、実行、その結果を、観察し、新たな仮説を立て、‥‥の繰り返しを行いながら、徐々に「使える規則」へと育てていくわけです。

 

 

 

下書きなしで描けるのは、以前描いた絵だからです。特徴も勝手も分かっていれば、下書きなしで描けることも多いでしょうが、一度も描いたことがないものを下書きやスケッチなしで描き始めて満足のいく仕上がりにするのは、実質無理です。

 

なので、新しい技術やプロジェクトを、いきなり大きなハコからスタートするのは、まあ、無謀ですよネ。戦い方を解っていない素人的な発想です。

 

新しい規則は、二転三転しますが、それは無計画だからとは言い切れず、むしろ新しい規則を決める時にはいくつも「読みきれない要素」が含まれていると認識しましょう。そうした「フワフワした状態」であることを、ヘッドメンバーはいつも実感し、OODAループにて改良を積み重ねることに力を注げば良いのです。

 

はっきり正直に言えば、「読みきれない要素」が多く、「フワフワした状態」は、不安が多いです。ゆえに、その不安から逃れようと、「昔取った杵柄」を持ち出したくなります。しかしそれはあまり良い結果を招きません。昔取った杵柄が、テクノロジーを過去へと引き戻す「本末転倒」を呼び寄せやすいからです。

 

経験のある年長者なら、昔の杵柄で威勢を張るのではなく、経験の多さをもって動じない恰幅の広さを示すべきでしょう。

 

「新しい未知の物事でトラブル? であるなら、これこれこういう風に事態の解決を実践しよう」とパニックにならない重心の低さを活かしてこそ、「年の功」ですよネ。

 

 

 


品質鎖国

その昔、プレイステーション(初代)のゲーム内イベントムービーという、アニメの仕事のジャンルがありましてね。プレイステーションの仕様で、

 

320x240 / 15fps

 

‥‥という、今では「アイコンサイズか」と思うようなミニミニサイズで映像を完パケしていた時代がありました。

 

その際に、真正直に、320x240で作っちゃったものだから、あまりにも解像度が低すぎて、後年に映像再評価の対象にならずに、すっかり闇に葬られた状態です。

 

黒歴史なんていう言葉がありますが、まさに「黒解像度」です。振り返りようにも画像が荒くて振り返ることすらままならない、かわいそうな映像。‥‥その当時はみんなで苦労して作ったのに、悲しい限りですよネ。

*注)320x240は当時としてもミニサイズでした。当時は640x480〜720x486(480)が標準でした。

 

で、

 

1280x720

 

これも、相当なプチサイズになる予感。

 

既にHDのサイズ=1920x1080が標準になって久しいのに、アニメ業界はこの解像度が依然として多いようです。

 

4Kへと移行した未来に、過去を振り返って、「なんで、あんな小さい解像度で完パケしちゃったかね‥‥」と、後悔するのが目に浮かびます。

 

まあ、実際には1920x1080のHDサイズでの完パケなのですが、中身は1280x720のアップコン‥‥という作品は、業界内で沢山存在するようです。

 

せめて、スキャン解像度のドットバイドットにしておけば良いのに、1280まで縮小しちゃうんだもん。せっかく作ったのに、勿体無いです。

 

「フリッカー対策で」というのは、何年前の技術で停滞したままなのか。‥‥エッジを柔らかくするために、わざわざ1280pxなどにしなくても、スキャンのドットバイドットや2Kのままでも、そして4Kドットバイドットであっても、十分「詳細感を保ったままでのチラつき防止」は可能です。

 

 

 

民放テレビ深夜枠にて「タダ」で視聴できる現在のアニメの立ち位置なら、まだ1280pxでも良いかも知れません。

 

しかし、映像そのものが売り物で、お客さんがサブスクリプションで対価を支払う4K映像配信の時代には、もはや1280pxなんて通用しません。

 

せめて、作業当初から2Kで。それがだめなら、せめて、作画用紙の150dpiのドットバイドットで。

 

 

 

昔、プレステのムービーを、あんなにみんなで苦労して作って、結果、320ピクセルの「今では冗談と思えるようなサイズ」しか残っていなくて‥‥という私の経験から、「できるだけ品質を保った状態でマスターはつくるべき」と考えています。

 

1996年当時、プレステのゲーム攻殻のOPだけは、たしか640ピクセル前後で作ってたはずです。fpsも30でした。‥‥それでも、今ではミニサイズで解像度不足です。

 

もちろん、お金の問題もありましょう。

 

であるのなら、ちゃんと2Kや4Kで作業当初から作っている作品は、相応の高額な制作費を発注側が定め、作業者にも品質保証の見返りを還元するのが良いでしょう。もちろん、制作上の品質誤魔化しなど不正がおこなわれないように、QCや監査は必要となります。

 

当のアニメ業界が1280pxで十分だと「品質鎖国」している状態では、いつまでも「文明開化」〜技術の開化は果たせません。

 

もし、発注側が「お金は出す」と約束してくれるのなら、受注側は相応の品質を保証しないとダメですよネ。

 

逆に、従来の1話あたり1500万円以下の制作費であれば、品質も従来のままで1280ピクセルでもやむなしとも言えましょう。制作費によって対応可能な解像度が変わるのなら、見た目として一番ソレが判りやすいかも知れません。

 

 

 

過去、アニメ業界は「窮状を訴える」と同時に、相当ヤバい品質誤魔化しや水増しをしてきたのも事実です。受発注双方が「黒いパンチ」を繰り出す「黒いクロスカウンター」だったと言えます。

 

新しい時代が到来して、体質を変える好機が訪れても、いつまでも低解像度に自己満足して納品しているのなら、好機は無残に打ち砕かれましょう。

 

低解像度のアニメ映像は、線を見るだけでバレます。ぼやけて滲んで、しかも一律に線が太いので、内状が透けて見えるのです。

 

作品の好みは自由でいいのです。でも、解像度まで未来に自由が許されるかは、320や640(720)ピクセルの作品を振り返れば、言わずと知れます。やがて「絵が雑」という印象で括られて、時代からズレていくでしょう。

 

「絵が雑」だなんて、心外にもほどがありますよネ。プレステのムービーパートは決して雑には作っていませんでしたもん。

 

しかし未来は、解像度の低さゆえの雑さがどんどん目につくようになります。抗おうにも、人々の目が肥えてしまうので、避けられません。

 

お金を出す側、受け取って作る側。そして、実際に対価を払って視聴するサブスクリプションのお客さん。‥‥お金に関する過去との因縁を断ち切る際に、1280ピクセルは案外、判りやすい品質分岐の基準になるのかも知れませんネ。

 

 

 

では、どうすれば、4K時代に見合った品質が、アニメで可能となるのか。

 

まずは相応に見合った制作費です。そこはベタにリアルです。

 

現場的には、スキャンの存在しないペーパーレスは必須ですし、マシンの全体的な機種更新・環境パワーアップも必要でしょう。作画技法だけでなく、演出技法の革新も必要となります。昭和起源のテレビアニメ演出法はフォーマットに合わず通用しなくなります。映画の演出法を応用しつつ新しい4KHDRのテレビ感覚が求められましょう。

 

作業者の報酬も当然、4Kに適合した額面が求められます。ゆえに、膨大に枚数が嵩む今までの方法ではどんなにお金があっても破綻は目に見えています。新しい技術も併せて実用化して導入し標準化することが求められます。

 

一方で、4K相応の制作費を貰っていながら、1280pxで作ってアップコンするような会社は、監査やQCを受けて作り直しするなり、納品拒否されるなりして、淘汰され消える運命を辿るしかないです。1000円の商品を、4000円の外箱に入れて出荷する‥‥なんて、許されるわけがないですし、産業の信頼にも関わります。

 

今まで2000円の商品を1000円で売っていたような、業界の悲話はありましょう。作業者を苦しめ続けた現実として。‥‥ゆえに、どこかで適正な仕切り直しが必要で、曖昧でうやむやな制作基準・作品のグレード認識を正す機会が近い未来に到来すれば‥‥良いですけどネ。

 

「スーパーの女」の「正直屋」を目指すくらいでちょうど良いです。「どうせアニメ会社はどこも一緒」みたいな認識から脱出しないとさ。

 

抜け道はないです。地道に足場を固めていくだけです。

 

お互い、頑張りましょう。

 

 

 


高画質時代への備え

スタイロス(最新バージョン)の「モーションチェック」において、大きなサイズ(4Kとか)でQuickTime出力すると内容が真黒になる障害があります。サイズを50%にして2Kに抑えると、正常に書き出すことが可能となります。

 

最初、何がマズいのかわからなくて、シートやアルファチャンネルを確認したのですが、ソフトウェア上の問題(内部的に上限を設定してるのか?)だと判明して、作業フローで対応しました。

 

あくまで「モーションチェック」での不具合なので、連番の書き出しでは正常に4K等の大サイズで書き出すことができます。ただし、単一のムービーファイルは「書き出し」管轄だとFlashしか書き出せないので、これまた悩ましいです。

 

まあ、ソフトウェアも色々と「曲がり角」ですネ。

 

 

 

ちなみに、スタイロスから出力するオフライン用途の線画ムービー(=前述のモーションチェックからの出力)は、QuickTimeのProRes422LTで出力しています。そこそこ綺麗なわりに低容量なので、ProResを使える環境でオフライン用途だったらオススメです。

 

ProResは現在の私らの標準ムービーフォーマットで、ProRes4444を常用するようになって既に結構な年数が経過しました。品質も含めた信頼性は抜群です。同じ10bitのDPX連番と重ねてON/OFFして比較しても、全く同一と言って良いほどの画質を誇りますが、容量は遥かに低容量なので、コンポジット出力最上位のムービーファイルとしてProRes4444は最適です。

 

ProRes4444はさらに4K時代に適した「XQ」も用意されているので、当分はProResでイケそうです。

*ただし、After EffectsからXQはいまのところ書き出せないんですよネ‥‥。XQはAppleがAdobeに提供するのを渋っているのでしょうかね?

 

昔、HDCAM(SRではない無印)で運用していた頃と同等の画質は、ProRes422(無印)です。ビットレートもほぼ同じですし、絵の荒れ方も大体同じです。HDCAMや422のトーンジャンプに悩まされないためには、やはりProRes4444以上を使うのが良いですネ。422のHQでもちょっと危なっかしいです。

 

QuickTimeのWindowsサポートが終了して「脱QT」が盛り上がったのは数年前。‥‥とは言っても、他のフォーマットやコーデックに移行して画質が劣化するのでは残念な限りなので、ProResコーデックはまだしばらくは手放せません。

 

以前AvidのDNxHRをテストしたことがありますが、絵は目に見えて荒れることなく綺麗でした。ただし、容量はProRes4444よりさらにデカいので、その辺は覚悟して、制作現場のインフラの拡充は必要になりましょう。容量がデカくなるということはサーバの容量だけでなく、通信速度も10Gbpsなど、相応に大きく速くすることが求められます。デカいトラックを高速に走らせるためには、道幅も広げないとダメ‥‥ということです。狭い道路のままだと渋滞しちゃいますもんネ。

*DNxHRは、素でディザ処理をするようなので、圧縮効率はProRes4444よりもかなり低めなんでしょうネ。

*最近のアニメーションロスレス圧縮(昔からあるヤツ)も、ディザ処理が入っているのでトーンジャンプが出ないのですが、容量は8bitのわりに極めて大きく、とても未来のコーデックには適しません。昔はディザなんて処理してなかったのに、After Effectsから出力する場合に限って‥‥なのかな?

 

 

 

未来はこうして、今までのソフトウェアが新時代の基準から脱落したり、インフラの拡充が必要だったり、「金、金、金、金、金」の連続です。2010年代の10年間を「のほほん」と今までの環境のまま過ごしちゃった人や集団は、2020年代には結構大きなツケが回ってきます。

 

なので、ちょっとちょっとの地道な環境更新を実施して、巨大過ぎる環境入れ替えが一度に来襲するのを防いだほうが良いです。

 

「高品質なんて必要ない」といくら強がっても、例えばスマホを毎日使っている人はそもそも「通信手段の高品質」を享受しているわけで、いざ自分の職業だけ別待遇で「高品質拒否」をしようとしても、まあ、そう都合よくはいきませんよネ。時代の技術進化は、すべて相関関係にあることを、自分の職業のリアルな毎日にも当てはめて考えることが求められましょう。

 

高画質時代への備えは、一度には無理でも、ロードマップを描いて、徐々に実践していくことで現実味が生まれます。未来を一括払いで手に入れるのは難しいですが、分割してパーツごとに揃えていくことは可能です。

 

 


なびきと目パチ

相変わらず、従来技術のアニメ制作現場では、「多重組み」「複合組み」のトラブルが頻発しているようですが、キャラクターデザインから考え方を改めなければ、「多重組み」のトラブルは絶対になくなりません。

 

「多重組み」を引き起こした本人が修正して責任を持つべき‥‥というのなら、「本人」とはすなわち、「多重組み」が絶対に発生するデザインをしたデザイナーでしょう。

 

髪の毛に目が透けるデザイン(=髪の中に目を書き込み)だったら、顔Aセル、目パチBセル、髪の毛のなびきCセルで、100%「多重組み」は発生します。

 

原画マンが「目パチのタイミング」を髪の毛のなびきの一定区間に必ず限定して、セル番号もちゃんと事前に振っていれば、「意図した多重組み」によって絵の破綻は防止できます。

 

●目パチの区間だけリピートをバイパスする

*セル番号の模式図ですので、「1コマ打ち」というわけではないです。適宜、2コマや3コマに読みかえてください。

*当然ですが、目パチできるタイミングは、髪の毛のリピートの「C4,5,6」の区間に限定されます。

*同じく当然ですが、目パチの「コマ打ち」は髪の毛の「コマ打ち」に完全にシンクロする必要があります。

 

 

しかし、「目パチのタイミングは、ここじゃなくて、こっちにズラして」と演出さんがタイミングを変えたら、その時点で原画マンの「意図した多重組み」は総崩れとなり、「目は閉じているのに、髪の毛の中の目は開いている」という「テクニカルエラーとしての多重組み」となります。

 

それでも、エラーの当事者は原画マンなのでしょうか。「テクニカルエラーとしての多重組み」を問われるのは、原画マンなのでしょうか。

 

あまりにも理不尽過ぎますよ。

 

もうね‥‥、こんな話題でトラブっている時点で、従来の現場はダメなんよ。「多重組み」は本人が修正すべき‥‥と言いつつ、その本人とは誰なのかも曖昧。

 

原画マンは、キャラ表に描いてあれば、よほどのことがない限り、デザインを守らなければなりません。「よほどのこと」が、まさか、目パチ&髪の毛のなびき?

 

「テクニカルエラーとしての多重組み」を原画マンの作業範囲で100%回避できるというのなら、その方法をちゃんと明示しないと説得力がないです。

 

私の見解では、どんなに原画マンがタイミングに気を使って、セル番号をちゃんと振っても、後でタイミングの変更があったり、そもそもデザイン上で「多重組み確定」で、さらには髪の毛や目に作画修正が入って設計意図が崩れたら、もはや原画マンの「テクニカルエラーの修正の保証対象外」です。

 

 

ちなみに。

 

現在作業中の作品で「多重組み対策」として実践しているのは、「デジタル作画」と呼ばれるカテゴリのカットにおいては、

 

髪の毛の奥側の目は透けない=目の書き込みはない

肌や目に、髪の毛の影は落ちない

 

‥‥という処理です。かなり割り切ったデザイン上の処理にすることで、どんなに目パチのタイミングをズラそうが、変則タイミングだろうが、髪の毛のなびきに関する「テクニカルエラーとしての多重組み」は100%発生しません。

 

一方、新しい技術を用いるカットでは、

 

髪の毛の奥側の目はコンポジット処理で美しく滑らかに透ける=目のトレス線かきこみだけの処理とは大きく異なる

タイミングは自由自在

肌や目に髪の毛の影が落ちてもOK=髪の毛の影が肌や目に落ちる場合は、コンポジット処理

 

‥‥です。そもそも「組み」が存在しません。レイヤー重ね、もしくはマスクワークで、コンポジット技術上で実現します。

 

 

残念ながら、従来の現場では、

 

原作のキャラに縛られて、アニメのキャラデザインをセルワークに最適化できない現実

マスクワークに関する処理の指示は、旧来のタイムシート用語では確立できていない

レイヤーを全て分けられるほど、手間もかけられないし、お金もかけられない

 

‥‥という状態です。

 

クライアントの無茶なオーダーに、意に反してキャラデザインを合わせなければならないこともあるでしょう。マスクワークの指示方法は、「T光」くらいだけで、より高度なマスクワークはタイムシートでは伝達不可能です。キャラのカットだけ豪勢に贅沢にレイヤー分けできるほど、アニメの現場には余裕はないです。

 

ですので、現状のアニメ制作現場では解決しようがないです。アニメのキャラは美少女キャラ合わせでどんどん複雑になる一方で、新しいセルワークや処理が業界全体に標準化されるわけでもなく、ただひたすら「根性で作画」「根性で仕上げ」「根性で撮影」体質だけで支えているのですから。

 

ゆえに、状況がわからない人は延々と「原画マンがルーズだから」と思い続けて、現場の不信感は増す一方です。‥‥ダメになり始めると、とことん、ダメになっていくよねえ‥‥。

 

じゃあ、どうすれば良いのでしょう。

 

少なくとも、ツイッターで文字を書き込むだけじゃ、改善など不可能ですよネ。焦燥感、飢餓感だけが煽られるばかりで。

 

「テクニカルエラーとしての多重組み」を「意図した多重組み」へと改善するにも、何らかのアクションは必要でしょう。旧来の現場を大切に想う当事者、旧来の現場でこれからも飯を喰っていこうと思う当人が、重い腰を上げてこそです。

 

 


筆圧と肩こり・リプライズ

タブレットを導入したら肩こりが激しくなった‥‥みたいな文を読むと、何よりもまず確認せずにいられないのは、筆圧設定です。

 

タブレットは、敏感な設定にするのが、体を守る鉄則ですヨ。

 

 

 

「自分は筆圧が強い方だから」なんて言って、タブレットの筆圧まで鈍感にしたら、際限なく力を込めてしまって、あっという間に肩を痛めます。

 

過去の自分の筆圧とは決別する覚悟くらいじゃないと。

 

前にも同じことを書きましたが、こういうことです。下図は再掲。

 

 

ちなみに、Apple Pencilはワコムのペンと違って、全く沈み込みません。なので、力の入れ過ぎに気がつきやすいかも知れません。

 

「描き方が変わるのは嫌だ」というキモチも分からなくもないですが、そもそも、筆記具を変えたのなら、書き味も感触も変わって当然です。

 

鉛筆などは同じメーカーでも、9800とかuni starとかuniとかHi uniとか変わるだけで書き味も描線も変わるわけですから、ペンタブに変わったら、相当な覚悟で描き方を変えないとアカンす。

 

ペンタブに変えたら肩がこるようになったので、病院や整体に行った‥‥なんてことは、ひとりボケツッコミみたいなものです。

 

 

 

私は全く肩は凝りません。若い頃の鉛筆時代は、相当筆圧は強かったですが、ペンタブを使うようになって変わったのです。鉛筆を使っていた頃のほうが、指も痛むし、肩も凝りましたし、首も痛かったです。今はないです。

 

個人差もあるのだとは思いますが、ペンタブのほうが肩はこりませんヨ。いくらでも「筆圧に対する感度を調整できる」のですから。

 

リアルな鉛筆の場合、濃い線を描くには、濃い黒のカーボンの鉛筆銘柄と、紙の繊維に強くカーボンを擦りつける強い筆圧が必要ですが、ペンタブの場合はペンの設定で如何様にでも「軽く濃く」描くことが可能です。

 

例えば、エレキギターを上手く弾くには、運指の指に力を込めてはダメです。軽いタッチで、十分に音は出ます。力強い音を出すことと、抑える左指の力は、全く比例しません。ネックを強く握る必要など全くないです。

 

同じく、iPad Proでもペンタブでも、力強い絵を描きたいのならそのような内容の絵を描けば良いだけで、力強くペンを握ってペンタブを貫かんばかりにペン先を押し付ける必要はないです。

 

私はiPad Proを使い始めた時に、「これで画業の寿命がぐっと伸びた」と思いましたが、それは筆圧を敏感にして描けるがゆえに、体に優しいからです。

 

とにかく、筆圧だけは軽くしておきましょう。ペン設定も、筆圧に対する流量を増やして、僅かなペンの強弱でニュアンスが表現できる「自分の体に優しいプリセット」を作りましょう。

 

自分に合った環境設定とペンのプリセットは、最強の武器と言っても盛り過ぎではないのです。

 

 


新環境基準・2

実際問題として、最初から高スペックのマシンを買うのは、なかなか厳しいです。それは個人であっても会社組織であっても。

 

なので、段階的にスペックを高める工夫が必要です。幸い、現在はあまりCPUの性能向上が進まず停滞していますから、CPUとビデオ周りだけ「未来派志向」にして、後は段階的にスペックアップしていくことが可能です。

 

とは言え、iMacの場合、もはや「カスタム不能」と言えるまで「ユーザにあれこれ触らせない主義」でマシンが構成されているので、macOSユーザの場合は、最初からiMac 5Kの最上位CPUにカスタムしたものを買って、メモリだけアマゾンで買って交換する方法が良いです。

 

iMac 5Kの場合、すでにiMacにくっついている5Kのモニタで1つ分のビデオ処理能力を消費しています。残念ながら、iMac 5Kのモニタは未来の4K映像制作には不向きです。単に面積が広くて色が鮮やかなモニタだというだけで、どんなに500nitsを謳おうがPQ1000で表示できるわけではないので、将来は5K寸法の「サブモニタ」として使うことを前提にして今は使います。

 

2台の外部ディスプレイで3,840 x 2,160ピクセル解像度(4K UHD)、60Hz、十億色対応

 

‥‥とAppleの仕様説明のページには書いてあります。これは4K UHD(4Kには3840と4096がありますが、3840のほうをUHDと呼びます)で10bitで60Hzの接続を保証しているという意味です。10bitのRGBは「2の30乗」で、10億となります。アレクサさんに「2の30乗は?」と聞けば、末尾の1桁まで正確に答えてくれますヨ。

 

iMacの背面のThunderbolt3は、高速な40Gbpsの理論値をもち、4Kモニタはもちろん、高速なキャッシュディスク(SSD)を接続できます。ただ、1系統しかないので(1系統に2つの接続口)、あまり無茶はできません。この点は、新しいMac miniの方が優れています。限りあるThunderbolt3を高速のまま使うために、従来のUSB3.0を賢く用いて、速度の低下を散らす工夫が必要になりましょう。

 

実は、iMac 5Kで4KHDR環境は、去年に色彩設計さん用にセッティングしたので、実感があるのです。メモリは、空きスロットに16GBモジュールを足して48GBにしました。コンポジットなど連番やムービーに重い処理を加えるのなら、あらかじめ装着されていた8GBモジュールを外して16GB4枚=64GBに差し替えた方が良いですネ。モニタは本体の5Kと4Kをミラーリング(当然、4K合わせになりますが)、波形モニタとして2Kモニタを繋いでいます。

 

Windows環境に関しては、DELLなどの将来64GBにメモリを増設できる基本モデルをベースとし、順次スペックアップする計画で購入するのが宜しいかと思います。Windowsの未来環境の詳細は、他の方にお任せしますネ。

 

 

 

4Kの液タブも今は諦める。4KHDRのプロ用モニタ(俗っぽい言い方ですが)も今は様子を見る。

 

今ある環境で、何を進めておけるかを考え、来るべき時に備えるのが肝要です。液タブではなく、iPad Proを自腹で買って、4Kのキャンバスサイズでどんどん描き溜めておくのも有効な手です。良いのが描けたら、ツイッターに載せるのも「累積戦術」として有効ですよネ。

 

何度も書きますが、「作画工場」での仕事と、自分の一生の画業は、ちゃんと明確に切り分けて、然るべき戦略と戦術で生きていくのが、「絵描き」として一生を生き抜くことだと思います。アニメ業界のシステムにどっぷり浸かって、制作会社に自分の一生の運命を委ねるなんて、考えるほうが馬鹿なのです。

 

他人は、自分の生涯に対して、そんなに優しく思いやってくれないですヨ。生涯のパートナーでもない限り。

 

同じ事を一生懸命繰り返していれば、やがて努力が認められて、年功序列で出世できる。‥‥そんな甘い考えはさっさと捨ててしまって、たとえ個人レベルのプチ事業でも、どんどん意欲的に進めていくべきです。

 

団塊ジュニアにありがちな、「エスカレーター式の出世を享受できなかった」という恨みは、そもそもエスカレーターに乗ろうとしている時点で甘かったと思います。エスカレーターなんて使わずに、若いうちにとっとと階段で駆け上がっておけば良かったのです。

 

団塊ジュニアは世代人口が多いので、エスカレーターからあぶれた人間も多くて、一層「ロスト」感が強いとも思えます。でも中には、「空いてても、エスカレーターなんか使わない」と考える人もいて、とっとと自分の足で階段を昇る人もいたのです。ベビーブームの一番頂点に生まれた人でも、社会の序列をあてにせずに生きている人は「就職難とは言われてたけど、関係無かった」と言います。

 

ですから、現在20〜30代の人は、エスカレーターにのんびり乗っているよりも、手すりを飛び越えて、今からでも階段を駆け上がれば良いと思います。業界の仕組みとか、協会なんてアテにしないでさ。歳を喰ってから階段を駆け上がるのは、心臓がバクバクして体力がもちませんから、若いうちにどんどん行動して手応えと自信と足場を築くべきと思います。

 

私は、20歳の頃に、60万のローンを組んで、環境一式を買ったことがあります。そのことがずっと下地として活き続けて、今に繋がっているのを、ひしひしと感じます。まあ、当時は相当辛かったですけどネ‥‥。

 

*当時買った機材。8トラックの1/4インチのMTR。オープンリールというのが何とも。‥‥もう回転するかも怪しいですが、捨てられんのですヨ。

 

 

これは何も、無茶なローンを組め!‥‥ということではなく、結局、自分こそが屋城だということを自覚せよ‥‥ということです。

 

自分が屋城であるなら、自分の真田丸を築きましょうよ。堀も作ってネ。

 

 

 


環境新基準

1〜3ヶ月前、新しいPC/Macを作画&デザイナー作業さんに調達するので、意見を求められたのですが、以下のように答えておきました。今だけを凌ぐ最低限のマシンではなく、今後の作業に耐え得る仕様です。

 

将来的に4Kモニタを3台10bit以上で繋げるビデオ性能

メモリは64GB

記憶装置は1TBのSSD(M.2)か2TB以上のFusionDrive

CPUはi7で4GHz

 

実際に調達されたマシンは、ほぼこの通りとなり、当人の作画&デザイナーさんも「速くなって快適になった」と喜んでおられました。

 

 

4Kモニタ3台なんて、ギョッとするかもしれませんが、甘い甘い‥‥、すぐそんな時代が来ますし、もうそこまで来てます。液タブで1台分のビデオ処理能力を消費するのですから、sRGBとPQ1000のデュアルモニタ&液タブで4K時代になれば、それでもう4Kを3つ分です。

 

メモリは、これからは64GBもごく普通になりましょう。「メモリが増えた」なんていう話題は、もう20年前以上から話され続ける話題ですから、64GBだってすぐに見慣れます。。32GBだとちょっと少なく感じるようになり、8〜16GBはあきらかに少ない部類に入ります。できれば、128GBにしたいですが、まだまだ値段が高いので、64GBがしばらく標準でしょうかね。

 

記憶装置は、今や必ずしもHDD=ハードディスクドライブとは言えません。SSDでもSATAではなく高速なPCIe〜M.2のSSDがマシン内部の記憶装置にふさわしいです。素材を貯めておく低速で構わない記憶装置は、今までのUSB3.0でRAID10でも組めば良いです。また、キャッシュの置き場は、Thunderbolt3などの高速な接続手段でM.2外付け箱のSSDがふさわしいです。キャッシュの割り当てディスクが低速だと、キャッシュそのものが大容量化した時に、作業上の大きなストレスになりますヨ。

 

ちなみに、光学ディスクは本体内蔵でなくても、もう充分作業は成り立ちます。他のマシンとの使い回しのDVD/BDのUSB接続のドライブが1つだけあれば良いでしょう。光ディスクを記録メディアとして仕事で最後に使ったのは、もういつだったか、忘れてしまいました。

 

CPUは最近は性能向上があまり見られないので、数年前と似たようなi7の4GHz前後となりましょう。現在は、CPUの速度が云々よりも、もっと他の要素で速度を稼ぐ時代になっています。

 

なので、自宅に買うのなら、DELLなどの相応のマシン(だいたいモニタなしで15〜20万くらい)か、iMac 5Kです。メモリは自分で16GBモジュールを4つ買って交換しましょう。BTOだと不用意に高くなっちゃいますからネ。

 

モニタに関してはもうちょっと様子を見るのが良いです。現在、ちゃんとプロとして使える4KHDRモニタは、最安で60万くらい(CG-319X)なので、まさかそれを個人で買うわけにはいかないでしょうから、今は2.5K〜2560pxのsRGBモニタか、買い替え覚悟で10万円以下の4KHDRモニタ(HDMIでHDRが目覚めるヤツ)を割り切って買うのが肝要かと思います。

 

 

 

先日、米国のカラーサイエンティストの方と意見交換‥‥というか、色々とお話を聞かせてもらったのですが、今はどんどんノウハウが溜まっている時期で、かつ機材も徐々に充実し始めており、柔軟な対応が求められると痛感しました。

 

1000nitsで今は作業していますが、2000〜4000nitsになった時の明るい部分の扱いはどのようにすべきか(白の中の白)とか、ドルビービジョンにおけるHDR to SDRの「下位品質への配慮」とか、「この歳になっても、まだまだ覚えることが、いっぱいあるなぁ」と感じ、未来の映像制作は何とも刺激的です。

 

After Effectsでも、

 

 

‥‥みたいなエラーも出るしで、今まで普通にできていたことが、未来は普通にできなくなることも多々あるだろうと思います。

 

ちなみに、上図のエラーは、2万3千ピクセルのコンポサイズにしたわけではなく、内部的な処理の何かが、より大きいイメージバッファを必要とするルーチンなのでしょうネ。AdobeのAfter Effectsインサイドのことは、わかりません。アウトサイダーなので。

 

セルシスさんもそろそろ、いい加減、8bpc止まりの設計から脱して、さらにはsRGBモニタでHDR PQ1000の「擬似表示」ができるようにカラープロファイルなどにも対応して、未来のロードマップを示してほしいものです。Adobeに一歩も二歩も遅れをとらないように頑張って欲しいです。‥‥日本屈指のメーカーさんが、世界標準から遅れに遅れて失笑されるようでは、悔しいじゃないですか。

 

 

 

何度もしつこく書いていることですが、これからは金がもっとかかるようになります。

 

つまり、制作技術の大変革・大転換をしなければ、破綻するということです。

 

作画界隈は、今まで大きな変革期を迎えずにきました。反面、ずっと低額な報酬額に耐え忍んできた‥‥とも言えます。大転換を免れた代わりに、報酬の改善もなされてこなかったわけです。

 

現在、ちまたの業界人ツイートでは、報酬についての意見が盛んですが、今までの作業基盤・技術基盤が継続するという「暗黙の前提」で話されていて、いまいち現実味が欠けるように感じます。

 

紙と鉛筆の時代に比べて、結構金がかかるようになる‥‥ではなく、猛烈にハンパなくお金がかかるようになるのに、1枚いくら1カットいくらでカウントする意識のまま報酬金額の交渉をするなんて、未来の世界を全く無視した近視眼的な考えです。

 

作業環境は、いわば、自分の「武器」です。

 

その武器を、「作画工場」用途だけの貧弱な装備に留めて、自らを「デジタル作画専用」の人材に限定しますか?

 

昔、「いい加減、目覚めなさい」が決め台詞のドラマがありましたが、アニメーターも新しい春に向けて、目覚める時が近づいている‥‥と思います。

 

 

 



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