動画の経験

私は動画の期間があまり長くなくて、3〜4年には満たないものの、動画の経験を経て、原画になりました。

 

動画の経験なしに原画になると、原画歴数年で限界が訪れ、その後、定期的に、動画歴がないことに起因する様々な挫折に直面すると思うのです。

 

自分の経験で考えても、動画の作業経験と知識は必須で、実は原画だけでなく、アニメでもなく、画業全体に動画の経験がかなり大きな財産として活きているのを、アラウンド50になってひしひしと感じています。

 

私の限界は、おそらく、動画チェッカーを経験しないまま、原画になったことだと、自己分析しています。私が原画になってから、10年以上は、その「後遺症」に苦しんだと述懐します。今でこそ冷静に分析できますけどネ。

 

ただ、動画自体は3年未満は作業していますので(さすがに私の時代は、素人から直に原画というのは、ほとんど聞きませんでした)、動画の勘所は体得しました。

 

その勘所は、iPad ProとApple Pencilを使うようになった今でも、強烈に有効活用しています。

 

動画をやっておいて良かったよ。。。

 

 

 

動画未経験者って‥‥、色々な未獲得アイテムがあると思うのです。

 

一番初歩的な要素だと、線。

 

清書ありきの原画作業なら不要じゃん‥‥とか思いますが、あまりにも視野が狭すぎます。線質を自由自在にコントロールする能力は、生涯規模の自分の画業に必須です。原画作業だけの線しか描けない人間なんて、あまりにも閉所局所過ぎます。

 

動画の線が描けるということは、様々な線を描けるように自分の体をコントロールする能力を得ることです。

 

丁寧な線から、荒々しい線まで。

 

神経質な線から、激情に任せた豪快な線まで。

 

様々な作品に作風に対応した動画の線を描く技術は、徹底的に叩き込まれないと、身につきません。

 

普通に生活してマンガ絵が得意なレベルじゃ、線1本に真剣に向き合う気運などおきないでしょう。「ただヨレない線を描けば良い」と思い込みがちです。ヨレてなくても、無神経でスボラで雑な線じゃ意味ないヨ。

 

私の時代は、綺麗な軌跡を描き、かつ、トレスマシンに出る描線を描く、技術の獲得が必須でした。

 

まるでアカデミックな楽器演奏の基礎です。自分の思った通りの音量と音の長さで、必ず一定の音を出す‥‥という点において。

 

アニメの動画は、線に対してかなりシビアだと思います。ヨレや途切れなど一切生じず、整然とした美しいストロークで、下に敷く原画にピッタリと一致した線を描き、さらには原画がラフな場合は理想的な描線を研ぎ澄まして描き出す必要もあります。

 

そんなのね‥‥‥普通に生きてたら、身につかない技術なんよ。

 

実際、アマチュアとプロのアニメ作品で、大きく違うのは線のクオリティです。

 

アマチュアは往々にして、ルーズで雑です。いわば、料理の中に髪の毛が混ざっていたり、食べられない筋や茎がそのまま入ってたりするような感じです。味がどんなにうまくても、それじゃあ、売り物にならないじゃないですか。

 

「しろうと線」から脱皮するのが、動画技術の第一歩です。

 

動画の場合は、例えばラフなニュアンスの線でも、雑に描いてたまたまラフな描線になるのではないです。丁寧に冷静に描いてラフな作風を表現するのです。

 

 

 

ただ、最近の150dpiレタス互換の動画は、どの作品も似たような線で描き、以前のような線質の広がりがないのが、少々残念です。

 

とは言え、自分の描線をコントロールする能力を得た動画マンなら、少しの慣らし期間を経れば、荒々しい劇画線も描けるようになると思います。たまたま、今はレタス向けの線だけを要求されているだけで、ポテンシャルは内に秘めています。

 

自分の描線を思い通りにコントロールする能力。

 

動画の基本中の基本ですが、社会一般で言えば、極めて特殊な能力です。

 

そして、その能力を獲得しないと、絵を動かすステップには進めないので、必ず体得することになっています。

 

今の現場は相当崩れているとはツイッターで目にしますが、ちゃんとしている会社もありますヨ。

 

 

 

線だけで、こんなにあります。さらには、様々な動きの知識も動画作業には必要です。

 

アニメ業界に居ながら、しかも作画の現場にいながら、動画を経験せずに、原画になるなんて、なんとまあ、未来を損していることでしょう。

 

私がカットアウト完全移行ではなくハイブリッドをターゲットにするようになったのは、従来の動画経験が必須だと強く認識するようになったからです。

 

素人がカットアウトでアニメが作れるほど、アニメの底は浅くないです。

 

もし動画未経験者でも、カットアウトで良い感じに動かせるのなら、そもそも動きに対する感覚と執念を併せ持っていた「稀有」な人です。

 

「稀有」に頼るより、「育成」を考えたほうが良いですよネ。

 

自分の過去を振り返ると、動画経験がなかったら、疾っくの疾うに潰れていたでしょう。イメージボード、ショットボード、コンセプトアート、カラースクリプト‥‥といった作画以外の作業の最初の線1本を支えているのは、紛れもなく、動画経験です。

 

動画の期間は、厳しい時代ですが、ゆえに、基礎力が格段に養われます。

 

プロ現場の色眼鏡や慣れきった習慣ではなく、真に動画作業がもたらす恩恵を、今一度、見つめ直せば、その大きな存在意義を実感できるでしょう。

 

 

 


英語のマニュアルは読める

結構な頻度で、「マニュアルが英語だから解らない」という言葉を耳にします。

 

それはね。

 

思い込み。英語に対する、苦手イメージ。

 

マニュアルの英文なんて、中学生レベルです。

 

高校はもはや義務教育のようなものですからともかく、大学まで卒業していて英文のマニュアルが読めない‥‥なんて、ありえません。

 

どこが難しいのさ。

 

 

 

ハッキリ申しまして、英文のマニュアルで難しいのは、専門用語だけです。

 

専門用語なんて、日本語のマニュアルだってわかんないでしょ?

 

ですから、英語だから、‥‥じゃなくて、専門用語が出てくるから、難しいように思うだけです。

 

 

Perceptual Quantization。

 

英語だから難しい?

 

じゃあ、

 

パーセプチュアル・クオンタイゼーション。

 

日本語だって難しいじゃん。カタカナじゃなくて、訳してみましょうか。

 

知覚的量子化。

 

訳しても難しいよね。

 

 

 

つまり、英語だから難しいのではなく、専門技術の専門用語がバンバン登場するから難しいのです。

 

専門用語が難しいことを、「英語だから」とすり替えていては、永遠に英語のマニュアルなんて読めず、どこかの誰かが日本語訳してくれるのを待ち続ける人生です。

 

 

 

専門の単語が難しいのは、英語も日本語も同じ。

 

そんな時はググれば良いです。

 

 

 

そりゃあ、日本語を読むように、ページ全体を見ただけで文章が頭に入ってくるレベルは難しいでしょう。よほど、英語に小さい頃から馴染んでいる人でもなければ。

 

普通に1行ずつ読めば、マニュアルの英語の文法なんて、中学英語レベルです。

 

「ともすれば」「であるにも関わらず」「もしそうだとしても」「であったとしてもおかしくはないが」‥‥なんてまどろっこしい表現なんて皆無です。

 

「であるわけがない」「そうでなくもない」なんて書いてあるマニュアルは目にしたことがないです。‥‥あ、オライリーの序文は別として。

 

 

 

英会話はできなくても、英文を自分では作成できなくても、英文のマニュアルは読めるはずですよ。よほど英語を嫌いでもない限り。

 

 


エーイーのやつ。

今月〜来月あたりに、iMac 2020の出荷時に装着していた4GBメモリモジュール2枚を外して、32GBメモリモジュール2枚に差し替えようと思います。26000円くらいかかるけど、勢いのあるうちに済ませておきたいので、交換します。

 

そうすれば、自宅のiMac 5K 2020は、128GBメモリ!

 

既に増設していた32GBモジュール2枚と組み合わせて、4つのスロットは全て32GBで埋め尽くされることになり、仕事場のiMac Proでも為し得なかった128GBのメモリ容量となります。

 

私が初めて、自分用にあてがってもらったQuadra650は、オンボードメモリが4MBか8MBで、メモリモジュール(シムだったと思います)を128MB増設して、132MBか136MBだったと記憶します。

 

20年余の月日は、とうとうコンシューマ向け(と言っても上級機種ですが)のメモリを1000倍にするのですネ。

 

128MBから128GBへ。

 

 

 

After Effectsがバカスカとメモリを喰うんでなあ‥‥。

 

でも、メモリが必要なら、できる限り、与えます。だって、ユーザができる改善案ですもんネ。

 

だから。

 

バグは直してちょ。ユーザじゃ手出し出来んのよ。

 

After Effects史上、5本の指に入るであろう、最凶のバグです。

 

私は様々なバンク素材を数年前にProRes4444 アルファ付きに変換し直したのです。画質がとびきり綺麗で非圧縮同然の最高画質なので。

 

それらのバンク素材がすべて8bitで認識されてしまい、CC2020から出力した10bit素材まで8bitで読み込まれる、今回の最凶最悪のバグは、正直に言えば、アドビに作業損失の保証くらいしてほしいレベルの「人災」です。

 

でもそんなことは言わんす。このブログで愚痴るだけにします。

 

だから、はやく直して。最凶のバグを。

 

 

 

ちなみに、数日前にAfter Effectsの17.1.4と17.5ベータのアップデートがありましたが、バグは治ってません。

 

ここまで治せない期間(数ヶ月)が続くと、内部で何かあるんでしょうかね??? 邪推したくなるほど、治りませんな。

 

 

 

 


10年の沈黙

After Effectsの3Dレイヤーを活用したコンポジットは、既に10年前以上に欧米が積極的に活用していました。‥‥にも関わらず、日本ではほとんど顧みられることがなかったのは、UIの使い易さ云々ではなく、日本のアニメ制作体制がZ軸の導入を阻んでいたからです。

 

アニメーターが従来の方法でレイアウトを描く。‥‥その時点ですでにZ軸は存在しておりません。横幅と縦幅のXY平面の世界です。TUやTBはZ軸というよりは拡大縮小であって、奥行きを表現するものとしては認識されていません。

 

レイアウトでZ軸が存在しないので、その後に続く工程でもXY軸の2軸だけで継承されます。撮影も同じ。

 

つまり、アニメーターがコンポジットを深く理解し、レイアウトを描く時点でコンポジットの立体構成が頭の中にできていなければ、どんなにAfter EffectsのUIが改良されようと、Z軸は活用されないままです。

 

もちろん、背景の位置をプラスに、手前のBOOKの位置をマイナスに設定することで、当座できそうなZ軸配置は可能です。しかし、後付けには限度があって、どのくらいフォーカス面から離せば良いかはコンポジター(今の通り名は撮影)のさじ加減ですし、カメラワークによってはバレが生じることもあります。特にティルト〜角度を傾けると、バレの危険性が高くなります。

 

下図は、3Dレイヤーのサンプルとして以前に作ったものです。左が3Dレイヤーで組んだコンポジションの中をカメラが動く様子、右がアニメ撮影の単純なTUです。

 

*一見普通の線画に見えますが、全てベクター線です。ぐりぐりと太い鉛筆で描いた線画(当時はApple Pencil登場前)をスキャンしてベクター化し、どんなに近いてもジャギやボケが発生しないようになっています。従来の仕上げ&撮影方式でこんなに寄ったら、ボケてしまいますので、従来方式では皆の嫌いな「拡大作画」で処理することになります。

*ちなみに、左の映像で徐々に背景や前景がボケていくのは、被写界深度が浅くなるからで、そのようにカメラの絞りを設定しています。

 

このカメラワークをおこなうには、After EffectsのUI云々の前に、まずアニメーターが3Dレイヤーで構成するレイアウトを描いて、適切な舞台セットを組むことが必要です。

 

今までの通りのレイアウトしか描かずに、「撮影さんよろしく」というわけにはいきません。

 

つまり、3Dレイヤーで立体的なコンポジットが可能になる‥‥ということは、アニメ業界の技術が生まれ変わる‥‥ということと同義です。そしてアニメ業界の一般的なワークフローも再定義されるでしょう。

 

アニメーターが3Dレイヤーを用いたレイアウトを描けるということは、アニメーターがコンポジットに深く関与することですから、今までの撮影の枠組みは大きく姿を変えます。

 

3Dレイヤーだけでなく、直にAfter Effectsに描画するテクニックも、長らく封印されたままですが、アニメーターがコンポジットに積極的に関わるようになれば、当然、エフェクト作画系は「その場でAfter Effects作画」で描くものも増えてくるでしょう。

 

以下は、同じく以前にデモとして作った映像です。黒い平面レイヤーに白で描画するとAfter Effectsで瞬時にエフェクト処理され炎のVFXが可能になる様子です。

 

*このデモを作った当時は、マシンの性能も低かったので、VFXの描画がワンテンポ遅れていますが、最新のiMac 5Kでメインメモリとビデオメモリ増し増し環境なら、応答速度も高速でしょう。

*これも随分前の映像なので、板タブ(Intuos)で描きました。今だったら、iPadとAstroPad等でもっと身近な感覚で描けるでしょうネ。

 

こんな調子で白いマスク作画を送り描きすれば、手描きの炎のアニメーションを作ることができます。プラズマやスパーク、破片、火花、マズルフラッシュ、弾着、衝撃波‥‥、いかにもすぐに出来そうですよネ。

 

 

 

日本人は巧みに道具を使いこなす一方で、一度体得した道具や方法論に固執するあまり、新しい道具や方法論を「拒絶」と言ってよいほどに遠ざけて使いこなせない側面も合わせ持ちます。

 

これらの機能は10年以上前から使用可能ですが、アニメ業界ではサッパリ何も‥‥ですよネ。

 

カットアウトは無視し続けるわ、レイヤー直描き作画も無視するわ、3Dレイヤーも無視するわ‥‥で、日本は10年以上の時間をずっと無駄にしてきたのです。

 

まあ、その代償として、定型の制作方法で膨大な作品数とカット数をこなしてきましたが、それでアニメ業界の技術はどれほどバリエーションを増やしたでしょうか。‥‥どちらかというと、くる日もくる日も同じような作業で僅かなマイナーチェンジで埋め尽くした日々だったのではないでしょうか。

 

 

 

3DレイヤーでXYZ軸の立体的なコンポジットが可能になる日。

 

それはアニメ業界の制作技術の大転換を意味します。

 

アニメーターがコンポジットに関わることで、ようやくものごとが変わり始めます。

 

報酬も今までのようには、いかなくなるでしょう。

 

そこからスタートです。

 

 


即席スクリプト

After Effectsは色んなところにガタがでています。

 

After Effectsのプロジェクトの中に、既に作ったプロジェクトを入れ子で読み込む際に、読み込む数が多いと非常に読み込む速度が遅くなるのは、おそらく数を読み込むほど総当たりの処理が増えるからでは?‥‥とは思うものの、ユーザサイドではその速度低下を改善することができません。

 

できることは、「そもそも、数を読み込まない」しかないです。

 

数を一気に読み込むのではなく、1つずつ処理する、もしくは10個くらいに抑えて処理すれば、速度の遅さを回避できます。

 

 

 

現場では、状況によって大量に処理しなければならない場面があります。

 

たとえば、570ファイルのAEPを一気にレンダリングする場面とか。

 

1つ1つのAEPファイルの内容は軽くても、大量の処理が必要な場合に、現バージョンのCC2020では、読み込むAEPファイルが多いほど、読み込み時間が鈍化します。

 

例えば、100個のAEPファイルをプロジェクトに読み込んだ際には、20個目あたりから1個ずつの読み込み時間が低下し、40個目あたりでは1個の読み込みに10秒くらいかかるようになり、70個目あたりだと、1個あたり30〜60秒くらいの待ち時間が生じます。

 

数が増えると、処理が極端に遅くなっていく‥‥という状態は、総当たりの処理数がどんどん増えていく感じに似ています。100個のファイルを読み込むには、以前の99個の読み込み済みのファイルの内部項目を総当たりでチェックしているような雰囲気。

 

インサイダーじゃないので、単なる想像でしかないですが、とにかく遅いです。昔のAfter Effectsは高速な連続読み込みが可能でしたが、いつの頃からか、CC2020においては速度が極端に遅くなっています。

 

 

 

私がAfter Effectsを使い始めたのは、バージョン3.1の頃です。1997年。

 

現在のAfter Effectsのバージョンは17.1。次のバージョンは17.5。2020年。

 

After Effectsがどんどん高機能化して、コンポジットソフトの騎手として成長し躍進する姿を、ユーザとして一緒に見てきて、いつしか進化が鈍化し、そして今、老いぼれて各所にガタが出ている姿を見るのは、正直、悲しく切ないものです。

 

人と同じく、ソフトウェアプログラムも老いるのかな。

 

 

 

とは言え、感傷的な気分に浸っていても、570個のAEPファイルを処理する現実はそこに横たわったままです。

 

数を読み込むのと速度が落ちるのなら、1つずつ処理すれば良いです。プロジェクトに大量のAEPファイルを読み込むこと自体を止めれば回避できます。

 

570個のファイルは、H.264の軽量なオフライン素材としてレンダリングする内容だったので、After Effects本体のレンダリングではなく、AME(アドビメディアエンコーダ)に送ってレンダリングする必要がありました。

 

大量に読み込んで、大量にAMEに一気に送る‥‥という手段はあきらめて、1つずつAEPファイルを開いてAMEに送る方針に変更しました。570個のAEPファイルを1つずつネ。

 

「げ! そんな大変な‥‥」と思うでしょうが、自動処理なら大変ではないです。自動処理する様子を見守っていれば良いだけです。

 

 

 

即席でスクリプトを作り、大量処理を自動化します。

 

スクリプトの内容は以下。

 

After EffectsでAEPファイルを開く。

 

レンダキューの項目をAMEにキューする。

 

AEPファイルを保存せずに閉じる。

 

たった、これだけです。2〜3分もあれば処理そのものは書けます。

 

しかし、After Effectsには「フォントがない」とかの警告や、そもそもユーザが誤ってAEPファイル以外を処理しようとしてオープンできなくて止まる‥‥などの、スクリプトが停止しそうなエラーへの最低限の対策は施しておく必要があります。‥‥自分自身で作ったプログラムで、自分だけで使う場合でも、うっかりミスには対応しておくのが良いです。

 

最低限のエラー対策を施して、macOSで動作するAppleScriptのアプレット&ドロップレットに仕立てたのが、以下。

 

on run

    tell application "Finder"

        set x to selection

        my main(x)

    end tell

end run

 

on open x

    my main(x)

end open

 

to main(x)

    set err to 0

    set errList to ""

    repeat with xx in x

        repeat --continueの代用

            tell application "Finder"

                set xxName to name of xx

                if name extension of xx is not "aep" then

                    set err to err + 1

                    set errList to errList & xxName & return

                    exit repeat --continue

                end if

            end tell

            tell application "Adobe After Effects 2020"

                set num to (DoScript "app.exitCode=0;

app.beginSuppressDialogs();

var prj =app.open(new File('" & (xx as Unicode text) & "'));

app.endSuppressDialogs(false);

if (prj.renderQueue.canQueueInAME) {

    prj.renderQueue.queueInAME(false);

} else {

    app.exitCode=1;

}

prj.close(CloseOptions.DO_NOT_SAVE_CHANGES);") as integer

            end tell

            if num > 0 then

                set err to err + num

                set errList to errList & xxName & return

            end if

            exit repeat --continue

        end repeat

    end repeat

    

    activate

    if err < 1 then

        display dialog "全ての項目をAMEにキューしました." with icon note buttons {"終了"} default button 1

    else

        display dialog ((count of x) as text) & "項目のうち、" & (err as text) & "項目がキューできませんでした." with icon caution buttons {"終了"} default button 1 default answer errList

    end if

end main

 

*「x」とか「xx」とか、如何にも短いスクリプト向きの変数名は、私のクセです。長文でサブルーチンが多数ある場合は、ちゃんと判りやすい名前にしますヨ。‥‥後で後悔するから。

 

 

こうしたスクリプトを作って、Appとして書き出して、ドラッグ&ドロップで動作するツールとして活用します。

 

行数からもわかるように、コンパクトに収めたスクリプトなので、動作検証も含めて1時間もあれば作ることが可能です。

 

自分だけが使うことが前提なので、考えもしないような使われ方に対するエラー対策は不要で、短時間でビルドできます。予期せぬエラー対策にあれこれ対処しているうちに、どんどん時間がかかるんだよねえ‥‥。個人やグループ内の限定使用ならば、使い方を伝達できるので、エラー対策は最低限で済んで開発時間も極端に短くて済みます。

 

After Effects内部のキューでレンダリングする場合は、タイムアウト(スクリプトが応答待ちで時間切れになってエラーになる)に対応しつつ、1つずつレンダリング実行するスクリプトを作ればイケそうです。

 

 

 

20年以上愛着のあるAfter Effectsが老いぼれていく姿を、リアルタイムで見るのはツラいです。

 

アドビの気の抜けたバージョンアップ状況が、いつしか改善されることを期待しつつ、今はユーザ側の立ち回りで対応して、After Effectsの疲労をアシストする必要があります。目の前の現実は待ってくれませんもんネ。

 

After Effectsの姿が未来のアドビを象徴しないように願いつつ。

 

 

 


After Effectsの老朽化

After EffectsのCC2020を常用していますが、老朽化を感じずにはいられません。どこかでリフレッシュしてもらわないと、いつか倒れてしまいそうなほど、古さが目立ちます。

 

ご存知の通り、アドビはサブスクリプションに移行して、旧バージョンに対する方針も変更となり、CC2019以降のバージョンしかインストールできません。(少なくとも公式には)

 

つまり、今後After Effectsを使い続けるのなら、最新版と仲良く生きていく必要がありますが、最新版とは名がつくものの、中身は相当くたびれています。「お疲れの様子」です。

 

最近、必要に応じて、500個のAEPファイルを大量処理しなければならなかったのですが、500個はともかく、50個でも、After EffectsにAEPファイルを入れ子で読み込むと、15個あたりから異様に速度が低下し、50個のAEPを読み込もうものなら、最後の方は1個のAEPの読み込みに1分近く待たされる鈍足さに呆れてしまいました。

 

‥‥昔は、こんな子じゃなかったのに。

 

ぶっちゃけ、50個のAEPファイルをAfter Effectsで読み込むよりも、AMEに送ってレンダリングする速度の方が速くて追いつかれる始末。

 

 

 

そして、相変わらず、10bitのQTが8bitで読み込まれるバグは治っていません。バグとかミスとかのレベルではなく、業務上過失です。

 

外から見てても、After Effectsの開発に情熱が失せているのが判ります。

 

お願いだから、まともに動くように、メンテしてくれよ‥‥。

 

 

 

仕様変更なら、いくらでも対応するよ。

 

小数点の精度や取り扱いが変わったのなら、いくらでもそれに合わせて、エクスプレッションもスクリプトも変更します。

 

鈍足になったAEP読み込み処理速度は、レンダーキューのAME送りなら、スクリプトの工夫でなんとか対応はできます。一度に読み込むと速度が落ちるのなら、1つずつAEPをオープンしてキューに送る自動処理で切り抜けられます。

 

AMEにキューを送るメソッドが数年前から新設されているようです。引数がtrueの場合は、送ったと同時にレンダリング開始、falseの場合は送るだけでレンダリングは開始しません。

 

app.project.renderQueue.queueInAME(true);

 

 

でも、バグには対応できんス。

 

10bitのQTが8bitで読み込まれるのは、仕様変更じゃなくてバグで、しかも次期バージョンのAfter Effectsでもそのバグは治ってません。ユーザサイドでは対応不可です。

 

 

 

とは言うものの。

 

After Effectsを凌牙するコンポジットのソフトって、何か良いのあります?

 

ないのよ。

 

みな、After Effects エレメンツとかAfter Effects エッセンシャルみたいな、機能制限版で、After Effectsを上回る性能のコンポジットソフトウェアは、そうそう見つかりません。

 

After Effectsでできたことが、乗り換え先のソフトウェアで、たとえアプローチが変わったとしても可能なら、乗り換えを考えても良いのですが、実際、見当たらないのですヨ。

 

ノードで連結できても、作れる映像が大雑把では、乗り換える動機が失せます。

 

タイムラインがAfter Effects風でも、機能が足りなければ、アマチュア向けのiMovieとさほど変わらんです。

 

 

 

After Effectsが復活してくれれば良いのですけどね。

 

もしくはポストAfter Effectsになり得る、高機能で痒いところまで手の届く、新しいコンポジットソフトウェアの出現さえあれば‥‥。

 

 

 

 


広さと深さと

作業の中、いつもモニタで見ている映像は、実はソフトによって見え方が異なることが多いです。

 

4KHDRでは、PQ〜「パーセプチュアル・クオンタイゼーション」で作業することもあるので、ソフトウェアのガンマやレンジの違いは、場合によっては大事故に繋がることもある、非常に重要な環境設定項目です。

 

macOSで言えば、まずApple御本家のQuickTime Playerは色が明るくなるので昔から有名(?)です。カラーシンクとか色々な絡みがあるのでしょうが、190(8bit-256諧調換算)の明るいグレーを190で素直には出力しません。

 

色彩計で専門スタッフに測定してもらったところ、macOSで素直に数値通り出力しているのは、After Effects、Photoshop、そしてDaVinci Resolveでした。DaVinciはリミットレンジではなくフルレンジにして4KHDR PQに対応しています。

*もちろん、プロファイルの変換はおこないません。RGBそのままの値が出る状態にAfter EffectsもPhotoshopも設定します。

 

 

 

こうした知識。‥‥とても個人では賄いきれるものではありません。

 

制作会社で機材のメンテやセッティングに長けたシステムスタッフ、経験豊富な機材関連代理店の方々、そして専門のラボの方々など、何人もの知恵と知識を結集して、どのように運用すべきかをようやく決めることができます。

 

日頃、リニアの映像しか見ていない人間が、PQににわかに対応できるわけがないのです。変な言い方ですが、自信を持って、初心者を自覚して習得すれば良いです。

 

20〜30年のキャリアがあるからって、何でも映像のことを熟知しているようにイキらなくても良いのです。

 

知らないことを、知っているかのように振る舞うことこそ、哀れで不様です。

 

自分の知っていることで自分の役割を発揮して、知らないことはどんどん覚えていけば良いです。そして、その習得や気付きの過程が新たな人間関係の輪を生み出すことにも繋がります。

 

 

 

iMac 5KとiPad Proで自宅でもアニメを作れます。作っている人間が現役のプロなら、プロ同等の映像が作れることでしょう。

 

とは言え、自宅では限界があります。機材面だけでなく、もっと広範な映像技術全般の知識において、不足しがちです。

 

しかし、一旦、プロ現場の知識を得れば、自宅環境の弱点を知識で補い、適切な操作が可能になります。

 

つまりどういうことか‥‥というと、

 

グローバルとローカルの両方の知識が必要

 

‥‥ということです。

 

プロの仕事でしか得られない広い知識

 

プロの仕事では踏み込めない深い知識

 

この両方が相互に作用しあって、より広く深い知識を得て、活用できるようになります。

 

通常の作画の仕事って、広いけど浅いよね。

 

自分の趣味で没頭する絵って、深いけど狭いよね。

 

広さと深さを自分のそばに携えておけば、色々な応用や活用の場面に恵まれます。

 

 

 

何百万円もするマスモニも、何十万円もする色彩計も、自宅には常備できません。ゆえに、プロの現場で作業して知識と経験を得るのです。

 

一方、自宅でなかば趣味で没頭している絵や造形は、プロの現場の仕事ではほとんどニーズがありません。しかし、ちょっとした場面で、深く没頭して得た知識が、現場で役に立つことがあります。そしてそれが、自分の役割を増やして仕事の幅を広げる契機にもなります。

 

 

 

まあ、自分は単に、映像関係の会社で働くサラリーマンで会社の方針に従うまでの事よ‥‥と思っているのなら、年功序列で生きていく人生もありでしょう。

 

しかし、残念ながらアニメ業界はサラリーマンとして生きて、老後も悠々自適なんて人間は、限られていましょう。特にアニメーターはまだまだサラリーマンには縁遠いです。

 

撮影スタッフだって、自分が50歳、60歳になった時のことを、リアルに想像できるでしょうか。同期はみんな撮影監督で、フロア中が撮影監督で満たされている‥‥とか、監督職のデフレです。

 

やっぱり、自分の未来は、ある程度は自分で計画して準備しておかないと、とんでもない転落が待っているように思います。

 

制作会社の仕切るアニメ作品制作では「広さ」を獲得し、日々の自分の取り組みでは「深さ」を獲得する。そして、一定の年齢に達したあたりから、その広さと深さを自分の「事業」(必ずしも会社を興すという意味ではなく、自分の生涯を支える取り組み全般です)へと展開するのが、老後貧困に陥らないクリエイターの道だと、私は考えています。

 

自分には、得意な広さがあるはずです。そして、自分に得意な深さもあるはずです。それを40代以降はちゃんと見極めて、自分の特性を活かせるように展開していくことが必要でしょう。向いてない物事にいくら金を注ぎ込んでも成就しません。あくまで、今まで生きてきてモノになった成功事例のバリエーションを増やして、新たな自分のプロジェクトとして再構成するのです。

 

 

 

仕事では広さを。

 

プライベートでは深さを。

 

明確に意識して獲得していきましょう。

 

 

 


平坦化と標準化の違い

平坦化と標準化を混同するのは、実は大きな過ちでその後に深い傷を残す直接原因になります。アニメ業界を見渡せば、標準化をせずに平坦化を推し進めた様々な害悪で溢れています。

 

最低限の取り決めを規定して円滑に制作運用できることと、皆で同じ技量に収まって作業価値を均一にすることは、まったく違います。

 

作業価値を均質化して、どの作業者でもどんな会社でも同じような品質にフラット化したら、始まるのは安売り合戦です。

 

標準化は、作業のベース(用語や指示方法など)や受け渡しの方法を規定すること。

 

平坦化は、作業の品質を均質化して、どんな作業者や会社も同じ価値で並ぶこと。

 

全然違う意味です。

 

注意しましょう。

 

 

 

標準化は規格化とほぼ同じ内容です。ちょうど、HD24pが1980x1080で24fps(23.976fps)で規格されているように。

 

様々な方式でブロードキャストする映像を、制作者が自由にピクセル寸法や縦横比やフレームレートを決めたら、視聴する側は少なからず混乱します。2257ピクセル四方で43fpsだ!SDRでもHDRでもない「マイダイナミックレンジ」だ!‥‥なんて言われても、再生できる環境にバラつきも生じましょう。

 

道交法があればこそ、様々な車が道路を走行できるのと同じです。

 

基本的な映像のフォーマットを標準化団体があれこれ協議して決めて、そのフォーマットの上で自由に作品を作る‥‥という仕組みは、映像制作関係者なら承知していましょう。

 

アニメ作品を作る際に、「アニメとはこれこれこういう内容であるべきで、キャラのデザインはこんな感じにまとめて、云々」と、どれも似たような内容に平坦化する必要はないです。みんなで同じ技術を共有する必要はなく、最低限の決めごとさえ踏襲していれば、技術の広がりや発展は個々の作業グループの「売り要素」にすれば良いのです。

 

道交法を決めたからって、どんなメーカーでも同じ性能の車を作るべし!‥‥とはならないですよネ。

 

 

 

標準化は、それこそ標準化団体を結成してでも、アニメ業界には必要かと思います。用語1つとっても、さじ加減な業界なので。

 

平坦化・平均化・均質化を望むのは、他の業種を見ていても、やめた方が良いです。技術のデコボコがあるからこそ、価値も生まれます。競争とはすなわち代謝。‥‥代謝を失ったカラダは死にゆくのみです。

 

技術の底上げ‥‥なんて、自分たちの作業集団で取り組めば良いのです。他社・他者に望むことではありません。淘汰があって、結果的に水準を保てば、それで十分です。皆が淘汰を生き抜こうとする行動が、すなわち、技術の老朽化を防いで新陳代謝を促し、技術の底上げにも繋がるのですから。

 

 

 

付けPANとFollowPANは違う意味だ。いや、同じ意味だ。大判作画と100F作画で用語が違う。いや、用語にはさほど意味はなく、どの方法を使うかは別の問題だ。

 

こんな議論を何十年も前から延々と続けているようなアニメ業界に必要なのは、Standardization。標準化です。

 

最低限の標準化もせずに、よくまあ、何十年もアニメを作り続けられたのは、逆に畏敬の念すら感じますが、それは笑い話でもあります。日本人のさじ加減コントロール能力の凄さを色んな意味で感じます。

 

今度の転換期に必要なのは、平坦化や平均化ではありません。

 

最低限の標準化さえ確立できれば、その上で、新時代の自由競争も可能になりましょう。

 

 


カットアウト

カットアウトを自分でもやってみよう!‥‥と思う時、当然の事ながら、カットアウトの初心者状態なわけで、初心者なればこそ、謙虚に物事にあたることが肝要です。

 

どんなに業界歴が長くても、カットアウトに関しては初心者丸出しであることを、しっかりと自覚して、作画歴が長かろうが傲慢にならずに、1つ1つをゼロから習得する意識が必要です。そしてそれがカットアウトを自分の技術にできる最初の一歩でもあります。

 

何かと従来作画技術と比較して、自分の初心者ぶりを誤魔化すのは、みっともなく哀れなことです。「めんどくさい」とか早々に言い出す人は、結局モノにはできないでしょう。それはカットアウトに限らず、何に対しても同じ。

 

逆に、今までの経験や知識を一旦ゼロにして、何から何まで初心状態から覚え始めようとする人は、それだけで凄みがありますよネ。

 

 

 

実際、カットアウトの初歩の初歩は、パーツの分割から始まりますが、慣れてくると、絵を書く段階から「カットアウト脳」が働いて、これはどのように分割してどんなリグを仕込むかを、絵を描きながら想像して計画できるようになります。

 

もっと言えば、コンテを見た段階でカットアウト脳が動き出して、それこそドローソフトのレイヤー分割やAfter Effectsでのキーフレームまで思い浮かぶようにもなります。

 

でも、それはごく普通な技術体得の流れです。

 

従来の原画作業でも、コンテを見て作打ちしている段階から、タイムシートのタイミングまで思い浮かぶでしょう?

 

カットアウトも同じで、演出のオーダーをどのように具現化するかは、絵を描く前、ソフトウェアを使う前から頭に浮かんで、あとは実際に描いたり操作したりするだけです。

 

 

 

作画歴がどんなに長かろうと、カットアウトでは初心者。

 

初めて原画を描いた時のことを思い出してみてください。すらすらと何の迷いもなく描けたでしょうか?

 

カットアウトも同じこと。初めてのカットアウトで、すらすらと操作が進むわけがないです。

 

作画歴が長いと、プライドが邪魔して、初心に戻れないこともありましょう。でもそれは確実なる災い。初めてのことを学ぶ時に、過去のプライドなど害悪にしかなりません。一時的に外してしまいましょう。

 

 

 

カットアウトの初心の頃は不要なプライドに姿を変えてしまい障害になりがちだった従来作画の作業歴も、カットアウトの基本をマスターする頃には、従来作画の「動きの知識」が至るところで有効に応用できるようになります。

 

思うに作画歴の真骨頂とは、作画作業の慣習や様式ではなく、「動きに対する広範な知識」です。

 

「中3枚」という指定フレーズではなく、「中3枚だとどのように動いてみえるか」という動きそのものの知識こそが、経験者のアドバンテージなのです。

 

原画作業を消化する定型のスタイルではなく、自分の思った通りの動きにするにはどんな絵を描けば良いのかを知っていることです。

 

原画作業の流儀ではなく、絵を動かす知識こそが、作画歴を他の映像技術に応用する最大の武器です。

 

 

 

作画歴をカットアウトに活かせて、自分の技術の1つに加えることができる人は、技術の根本を知る人でしょう。作業のうわべではなく、作業を支える中核をしっかり認識して制御できている人。

 

一方、原画はだいたいこんな感じの絵を2枚描いて、中3枚か中5枚にしておけば、テキトーに動いて見えるよ‥‥なんて、絵を描きながら絵と動きを見ずに定型の段取りだけで原画を描いている人は、カットアウトでもチープなものしか作れません。

 

カットアウトは、当人の動きの能力がそのまま開けっ広げに出てしまいますので、作画の動きに対する意識の差も、カットアウトでそのまま表面に表れるのです。

 

実はアニメの撮影〜コンポジットも同じで、コンポジターの映像表現力がそのまま映像に表れる性質があります。同じく、カットアウトも動かす能力がそのまま映像に表れます。

 

 

 

カットアウトは一部には真逆の認識、大いなる誤解があって、「自分は作画ができないけど、カットアウトなら絵を動かせるかも」と考える向きもあるようですが、それは甚だしい誤認です。

 

絵を動かすには、絵を動かす能力や知識が必要なのは、誰でもわかることです。

 

髪の毛を別パーツにして左右に動かしても、髪の毛が動いているようには見えません。あたかも髪の毛が風に吹かれたり体の動きに振られているように動かすから、動いて見えるのです。キーフレームを漠然と操作しただけでは、絵は動いて見えません。

 

ソフト一発!‥‥で、高い技術力が手に入るわけ、ないじゃん。

 

カットアウトは、動きの能力を数々の試練を経て体得した人間が、さらに自分の能力を大幅に拡張するために用いるものです。

 

0x10は0ですが、10x10は100になります。‥‥カットアウトとはそういう技術です。

 

 

 

自分は5や8や10の技術を持っている!‥‥と確信できる人は、カットアウトにチャンレジしても良いと思いますヨ。

 

うまくカットアウトに技術形態に馴染んで活用するコツをつかめば、従来技術とかけあわせて、能力を確実に拡張できます。

 

それに‥‥です。

 

日本の、しかも、高度な動きの技術をマスターしたアニメーターが、欧米とは違うスタイルでカットアウトを駆使できるようになったら、どこまでアニメの表現が拡大するか、想像するだに恐ろしい(良い意味で)です。

 

欧米のカットアウトは格段に日本より発達していますが、絵作りや動きの感覚は欧米の予定調和の中に収まっています。

 

日本人は、欧米の予定調和は体感で知り得ないですから、当然、予定調和の枠をどんどんブチ破るでしょう。それこそ、日本の最大のアドバンテージ。

 

つまり、日本のアニメーターがカットアウトをマスターしても、欧米とは違うアニメを作りたがるし、実際に作っていくでしょう。

 

日本人が欧米人の真似ができないように、彼らも私らの真似はできないのです。ゆえに多様な作品価値が生まれて、ディズニーも愛されれば、ジブリも愛されるフィールドが形成されます。日本のアニメはジブリ作品だけではないから、なおさら多様化しましょう。

 

従来のスキームにこじんまり収まっていては、一歩も進めません。

 

アニメの知識をマスターして従来のフィールドを発展させたのち、さらにカットアウトで新たなフィールドを獲得しましょう。

 

 

 

さて‥‥こうして書いていることが、10年20年後には、どのように当たって、どのように外れていることか。

 

ペンタブ作画、ペーパーレス制作方式など、もろもろ含めて、転換に失敗し日本のアニメの衰退を見るのか、それとも、生まれ変わった現場の生き証人として著しい発展を体験するのか、アニメ制作者全員のまさに行動の結果が、10年後には見えていることでしょう。

 

 


Photoshopのスクリプト

以前も書きましたが、様々なドローソフトで作画を行うと、同様に様々な独自ファイル形式が入り乱れるので、標準中間ファイルが必要となります。そのファイル形式こそ、何かと融通の効くPhotoshop形式です。

 

 

 

単にレイヤーとフォルダの入れ物としても重宝する、デファクトスタンダード画像形式です。

 

で、このPSD形式は、Photoshopのスクリプト機能で、これまた相当融通の効く自動処理が可能です。

 

プロクリでもクリスタでも、自分の好きなドローソフトでレイアウトや原画を描いて、PSD形式で出力すれば、macOSやWindowsのPhotoshopに持ち込んで、規定に沿った出力をほぼ全自動で自動化できます。

 

もちろん、作画規定そのものが自動化にあまりにも不向きな場合は苦労しますが、その際は要望を出して規定をバージョンアップして貰うのが良いです。使う側が、標準化団体(=制作会社の中の人たち)へフィードバックしてこそタフな規定へと進化するものです。

 

幸い、私の関わる作品は、自動化に対応できる規定内容なので、以前作ったスクリプトを少し変更するだけで、対応できました。

 

 

 

Photoshopの自動化。

 

レイヤー階層をちゃんと規定しておかないと自動化は困難ですが、ちゃんと約束事を決めてレイヤーやレイヤーセットを整理すれば、JPEGなどの出力は全自動で可能です。

 

じゃあ、どうやってスクリプトを作るのか。

 

まずは任意のファイル形式で書き出せないと、出力はできないですよネ。

 

ファイルを新たに書き出すのは、実はPhotoshopもAfter Effectsも段取りが似ています。

 

セーブオプションというオブジェクトをスクリプトの中で新規作成し、セーブオプションの内容を設定、ファイルの書き出しをセーブオプションと共に実行します。

 

例えば、JPEGを書き出す自作のファンクションの例は以下。

 

function saveAsJPEG(_doc,_path){

var _opt=new JPEGSaveOptions;

_opt.embedColorProfile=false;

_opt.quality=11;

_doc.saveAs(new File(_path+".jpg"),_opt,true,Extension.LOWERCASE);

}

 

 

JavaScriptの良いところは、プログラム初心者でも、文を読んでみれば、なんとなくやっていることが判る点です。

 

  • 新しいJPEGのセーブオプションを生成
  • セーブオプションのプロファイル埋め込みを偽(OFF)にする
  • セーブオプションの画質を11にする
  • ドキュメントを(パス&ファイル名.jpgとして新規ファイルを作り、セーブオプションの内容で、複製として、拡張子小文字で)保存する

 

‥‥という段取りです。まさに文の示す通りです。

 

「複製として」という部分は、trueだけで表現されていますが、「photoshop-cc-javascript-ref-2019.pdf」というアドビ配布の参考書を読めば、どのように書けば良いかが説明されているので、ナゾの呪文では全くないです。

*その手の参考書〜リファレンス文書は、平易な英文で書かれていますので、中高の英語読解力で普通に読むことができます。詩的な表現や言い回しなどないので、ご安心を。

 

JPEGにはプログレッシブとかベースライン、マット、スキャンなど、上記以外のオプションが存在しますが、何も設定しなければ、デフォルトの値が適用されます。画質はデフォルトで3の設定であまりにも画質が悪いので、最高画質の12より1つ下の11に設定しました。最高にしたければ12に書き換えるだけです。

 

 

 

レイヤーごとに書き出すのは、表示状態を切り替えながら、JPEGで保存するだけの段取り‥‥ですが、これがまたシンプルな動作ながら、工夫と知恵が必要な部分でもあります。

 

常時表示するレイヤー、書き出したくないレイヤー、止めセル、連番セル、BOOK、BG、スライド指示‥‥と、色々レイヤーが存在しますから、PSDファイルの整頓術も問われます。

 

他人に簡単に口頭で伝えられる整理内容なら、自動処理も可能です。逆に、あまりにも条件分岐が複雑な整理が必要で、簡単には覚えられない内容はNGです。

 

難解な構造を他人に理解してもらうよりも、レイヤー構造そのものを洗練させる必要があります。

 

自動処理では、for構文を使ってレイヤーを総当たりして書き出していきます。その際にフォルダを何階層まで潜るかを決めて、無闇に再帰検索しない仕組みを作っておきます。

 

 

 

PhotoshopのPSDファイルを標準中間ファイルにすれば、少なくともレイアウトと原画の作業は、様々なドローソフトで作業可能です。

 

1つのソフト、1つのバージョン、1つのOSに束縛されずに済みます。

 

1つの何かに限定したいのなら、専用環境の専用スタッフを育成するしかないですもんネ。環境を限定し過ぎない汎用性はどうしても必要でしょう。

 

なまじ、クリスタのタイムシートでカメラワークを使っても、After Effectsには継承できないので、あまり意味のある作業とは言えません。クリスタで処理したカメラワークに演出OKしても、そのカメラワークのキーフレームはコンポジットのソフトウェアには継承できないので、「雰囲気」だけの作業になってしまいます。

 

通常のXY軸だけでなく、XYZ軸やティルト(傾き)を使ったカメラワークは、PSDファイルを経由して、After Effectsで実践可能で、そのまま本番のコンポジットにも流用できます。Z軸の位置操作による画角のコントロールも、PSDファイルでAfter Effectsに持ち込めば可能です。

 

クリスタではできない自動処理も、PSDファイルを経由すれば、Photoshopの自動処理で可能になります。

 

 

 

 

私が恐れているのは、1つのソフトウェアに作画ソフトを限定すること。‥‥それは、可能性の死を意味します。

 

すぐ先の未来の映像フォーマットには、今までのアニメの作り方では対応できないことが判明しています。そんな転換期において、可能性を殺してしまうのは、自死に等しいです。

 

1.5Kではうまくいった方法も、4Kでは通用しません。ゆえに、様々な可能性を大事にしておくのです。

 

2010年代は大量のアニメを「デジタル」で作った時代でしたが、それはRetas方式1色に染めて可能性を否定したがゆえの濫作状態だったとも言えます。新たな会社がどんどん生まれてチャンスの時代だったと考える人もいますが、そのチャンスとやらは、安く大量のアニメを作るために作画料金のデフレ(お金の価値が上がって作業の価値が下がる)を招き、作監ですらカット単価でカウントされ安く取引される状況を生み出しました。

 

‥‥それは本当にチャンスだったのか。そして大量に作られたアニメは今どれほど記憶に残っているのか。大量に作って業界の状況が大きく改善したのならまだ義はありますが、その真逆でしょう? 大量に作って大量に捨てた時代が、2010年代だった‥‥とも言えます。

 

供給過多によって廃棄したのは、作品だけでなく、作品表現の多様性も、未来の可能性も、人材育成の機運も、技術進化の潮流も、様々に廃棄したのです。

 

まだペンタブ作画の可能性の全体像も見えてない今の時期から、ソフトウェアを1つに絞ってシステムを組むことの愚を、2010年代の大量生産大量廃棄の状況から学びましょう。

 

金のチカラが強くなり、技術や技能の価値が弱くなる。ゆえに買い叩かれる。‥‥という構造は、自分たちが1つの制作技術に早々に決めきって制限してしまい、作業内容をフラット化して作業価値を自ら下げた行動も深く影響していることを、改めて認識しましょう。

 

 

 

PSDファイルを標準中間ファイルにして、Photoshopのスクリプト自動処理でニーズに対応する‥‥というのは、実は自動処理の中に、様々なソフトウェアでの制作技術方法論の可能性を担保しているのと同義です。

 

手作業でしか処理できない人間は、中間ファイルなどなしにダイレクトに‥‥と考えがちですが、それがまさに可能性を徐々に殺して、自分たちの作業価値を安売りするきっかけでもあるのです。

 

いくつかの制作技術が確立されて、作品価値の多様性を見出すまでは、多少の手間が生じようと自動処理で相殺して、未来の可能性を殺さないように心がけたい‥‥‥ものですネ。

 

 



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